オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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連日投稿だぜ!ま、今日で終わりだぜ!多分夏休み最後の投稿ですかね?








56話「・・・・・ごめんなさい。」

あぁ・・・・・死んでしまった。

 

思い返す昔の事を。タケの味噌汁に辛子ぶち込んだり、ワサビを色が変わるまでぶち込んだり・・・・・タケに投げ飛ばされたり、色々したなぁ。命達と同じ部屋にされた時はしばらく眠れなかったっけ・・・・・いつの間にか眠れるようになったけど。

 

あぁ・・・・・約束、守れなかったなぁ・・・・・。

 

命達が遊びに誘ってくれて、ついて行けばそこには春姫が居て、皆で走り回ったり隠れんぼしたりして遊んだんだ。そこで「お友達になりましょう!皆様!」って春姫が言って・・・・・初めての友達ができて・・・・・なのに・・・・・その後どうなるか知ってたのに・・・・・俺は何も出来なくて・・・・・約束したのに・・・・・必ず助けに行くって言ったのに・・・・・。黒いカチューシャだって春姫からの初めてのプレゼントだったのに・・・・・。

 

なんで、俺は・・・・・こんなにも弱いんだよ・・・・・。

 

もう嫌だよ、家族の為に強くなったつもりだったのに・・・・・全然強くなんてなれてなかった・・・・・ただの強がりだったんだ。

 

「「「殺す・・・・・殺す・・・・・殺してやる」」」

 

・・・・・皆が来た。目を血走らせて、怨みを込めて、殺意を放ちながら。・・・・・でもそれは、正しい事なんだろう、俺は何もかも間違ってたんだから。

 

「殺すも何も・・・・・もう死んじゃってるじゃ無いですか・・・・・」

 

思わずそんな事が口から零れる、小さい声だったから彼らには聞こえなかったみたいだけど。まぁでも、これから皆にボコボコにされるんだろうな、俺の右腕みたいに。・・・・・なんで死んだのに腕治ってないんだろう、まぁ痛みを長引かせる罰かなんか何だろうけど。

 

「妖夢・・・・・」

「・・・・・アリッサ・・・・・ごめんなさい」

 

アリッサが目の前に立っていた。鎧全体に傷が入り、ヘルムは凹んでいる箇所まである、・・・・・こんな人まで殺してしまったのか・・・・・。

 

「貴女のせいではない貴女は己の全てを注いだのだろう?」

「頑張ってこれでは・・・・・意味がないです、ごめんなさい」

 

そう言うとアリッサが若干ムッとした表情をする。ヘルムの下だからムッとしてるのかもわからないけど、それでも何となくそう思えた。

 

「そんな事を言うな。何の為に私が来たのかわからなくなるだろう。」

「・・・・・ごめんなさい」

 

アリッサもベルもやっぱり変わった人だ。こんな俺に何の価値があるってのさ。・・・・・わからない、あいつらの考えている事がわからない。こっちに殺意を向けてる冒険者達の方がわかりやすいよ。

 

「貴女達は・・・・・わかりません、理解出来ないです・・・・・なぜ、私なんかを・・・・・」

「理解などしなくていい、わからなくてもいい。私は、助けるよ。この魂に誓ったのだから。」

 

アリッサはそう言って俺の前に仁王立ちする。そしてフッと笑った後「死んでまで被る必要もあるまい」とヘルムを脱ぎ捨てる。

 

「私の名はアリッサ・ハレヘヴァング!!魂魄妖夢を守護する者なり!!」

 

砂金の様な煌びやかな髪を靡かせ、アリッサは堂々と宣言した。アリッサのアビリティも相まって敵意がアリッサに集中した。

 

わからない。本当にわからない。なんで、俺の前に立つ?なんで敵意を一挙に引き受ける?敵意を向けられるのはこんなにも辛いのに、どうして平然としてられる?わからない、わけがわからない。

 

「・・・・・妖夢、顔を上げろ。ふふっ、何も敵だらけという訳でも無いらしいぞ」

「・・・・・・・・・・・・・・・ぇ?」

 

言われて伏せていた顔を上げれば、そこには見た事のある者達がいた。なんで・・・・・アイズ達まで?嘘だろ?

 

「ししょー。助けに来た、よ?」

「私もー!ティオナヒリュテ参所ー!」

「おお!それいいねっ僕も僕も!リーナディーン参所ー!」

「わわわっ、これは私もやるべき所かも?・・・・・んん!クルメフート参所ー!」

「あぁ?俺はやらねぇからな?」

「「「「・・・」」」」

「・・・・・わあったよ!やりゃあ良いんだろ!?・・・・・だ、ダリルレッドフィールド参所ッ!!」

「リーナさんはドン引きだよ」

「何でだっ!?」

 

み、皆死んじゃったのか・・・・・。でも命達は居ない・・・・・。良かっ・・・・・───家族家族って家族だけ助けてほか全部を見捨てたりしねぇよな!?おい!なんか言えよ!───ッ!!・・・・・そうだ、良くないんだよ。

 

何にも・・・・・よく何かないんだ・・・・・。

 

「ほら見ろ!ダリルのせいで泣いちゃったよ?僕は悲しいなぁ!」

「いや違うだろ?!俺は特に何もしてねぇからな!」

「特に何もしていないから失望した可能性も・・・・・」

「うるせぇ!もうリーナテメェは黙ってろ!!」

「僕は死ぬまで口は閉ざさないのさっ!!」

「死ねっ、今ここで死ねっ!」

 

・・・・・何なんだよ、ベルと言いリーナ達と言い・・・・・もう死んじゃってるって言ってんのに・・・・・なんでまだ生きてるみたいな言い方をしてんだよ・・・・・──俺達が意識を刈り取った───・・・・・そうか、タケが気絶させたんだっけ・・・・・

 

ん?という事は・・・・・西行妖に肉体を操られた奴は気絶させるとこっちに来ちゃうのか?

 

なら、俺に出来ることとすれば・・・・・ちゃんと元の世界に返してあげるくらいか。俺は確実に死んだしな。あの感覚的に絶対に死んだよ多分。・・・・・肋骨とか治ってないしな、うわ、気が付いたら途端に痛くなってきた。死んでも痛みって感じるんだな・・・・・。

 

「お前達・・・・・お前達は、殺されたんだぞ!?そのガキに!悔しくないのか!?恨めしくないのか!?」

 

誰かが人ごみの中から声を上げた。・・・・・そう、そのとおりだ、普通ならああやって俺を罵倒するべきなのに・・・・・。悔しくないのか?

 

「あぁ?うるっせェな。寝言は寝て言え」

「ふむ、忠告しておくと、向こうから見たら同じく見えているだろうな」

「うるせぇよアリッサ。アイツらはまだ支配下にあんだろ?」

「そうなる・・・・・筈だが・・・・・」

「ししょーも?」

「・・・・・わからん、あの金髪の女性は大雑把な答えしか渡してこなかった」

 

・・・・・何が何だかわからないけど・・・・・金髪の女性?誰だよ。ここは東方の世界って事は知ってるけど・・・・・あ、紫かな?・・・・・んん??ちょっと待って・・・・・混乱してるぞ?支配下?よし、少しアリッサに聞いてみるか。

 

「アリッサ、その金髪の女性・・・・・扇で口元を隠したり、日傘を差したりしてませんでした?」

「むっ、知り合いか?・・・・・少し元気を取り戻したか」

 

やっぱりそうか、なら、希望が見えてきたかも?ベルは白楼剣がどうのこうの言って走っていったし。あの時またノイズが走って妖忌と妖夢の談話が見えたせいでベルがなんて言ってるかわかんなかったけど励ましてくれたんだろう。

 

「やるべき事が、少し見えてきました。ありがとうございます皆さん。」

「チッ、なんだよ勝手に立ち直りやがった」

「くっ、リーナさんのモフモフアタックは封印かっ」

「よ、よかった、私の料理は流石に食材ないと出来ませんから・・・・・」

「ししょー、もう平気?」

「おおー!立ち直れたの?」

 

いいや、そんなことは無い。多分俺は死んでるだろうしな。でも、だからこそみんなの為に動こうと思った。皆を生かして返さなきゃベートに更に怒られると思うしね。

 

「ベル・クラネルさんが来るまで私達は全力で時間稼ぎです」

「「「「「はい!(うん!)(おう!)」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂利が敷き詰められた中庭、見渡せば桜が生えていたり、苔が敷きつめられ花まで植えれている。川が通り、そこに橋がかかっている。・・・・・妖夢さんのホームで見た景色と似ている。それを更に大きくしたような場所だ。

 

そこで僕は老剣士と対峙していた。汗が頬を伝い顎まで届いて落ちる。対して向こうは目を瞑ったまま全く動かない。1秒が1分にも感じる時間の中で、僕は両手に持った短刀を意識する。

 

思い出せ、どう戦うのかを。右手の短刀を前に構えて、左手の短刀をそこに添えるように構える。

 

そして前傾姿勢になって胸が地面に付くかどうかのスレスレを駆ける!

 

「はあぁ!!!」

 

先ずは左手、軽く振り牽制、後に右手の短刀を深く振り下ろす。でも。

 

「ぐあっ!?」

 

薄く目を開いた妖忌さんは左手の短刀を刀の柄でずらし、右の一撃をそのまま刀で受け止め、がら空きになった僕の腹を蹴りで撃ち抜く。

アイズさんの回し蹴りに迫るほどの前蹴りに僕は何mも後ろに吹き飛んでいく。

 

「ぐッ!!」

 

吹き飛びながら体勢を直して着地と同時に左横に飛び跳ねる、先ほど着地した場所には蹴りを振り抜いた妖忌さんの姿。危険を感じてバックステップを踏む。が

 

「遅い」

「かはっ」

 

妖忌さんは真後ろに居た。肘打ちが背中に突き刺さり無様に転がりながら数m転がった。

 

「負ける、訳には・・・・・!!」

 

立ち上がって走る。走って走ってすれ違いざまに脇腹を狙うけど刀で短刀を受け止められそのまま滑らせるようにはねあげられて胴体ががら空きにされる、不味い!と思っ時には既に斬撃を放つ体勢になっていて、急いで短刀をクロスさせてガードする。

 

「ううぅぅ!?」

 

その斬撃の余りの重さに僕は驚きが隠せない。両手がビリビリする。・・・・・違う、重いんじゃない、斬撃の力を僕の両手に流してきた・・・・・!!

彼我の力量の差に、更に汗が垂れる。魔法を使うしかない!

 

「【ファイアボルト】!!」

 

牽制の一撃。雷炎はその名前に違わず凄まじい速度で妖忌に迫る。僕はそれを放つと同時に走り出す。が、妖忌さんは刀をファイアボルトに合わせて滑らかに円を描く様な動作をした。

 

「えっ!?」

 

刀に炎を纏わせ最上段に構える妖忌さん。か、刀で魔法を受けとめて・・・・・いや、刀で魔法を奪った!?

 

「魔法まで心得るか、なるほど、確かに器だな。だが────力とは全てが諸刃であると知るがよい」

 

はあぁ!!!と言う気合いと共に僕のファイアボルトがその威力を何倍にもして僕に迫ってくる。

 

「速いっ!!ぐぁぁぁあ!!・・・・・ぐぐぅ・・・・・!?」

 

全身を焼かれながらも防ぎ切る。炎を振り切り周囲を見渡すも妖忌さんは見えない。しかし、突如右頬に蹴りを受けて吹き飛ぶ。

 

「けほっけほっ!・・・・・ど、どこに・・・?」

「目の前だ」

「───ッ!!【ファイアボルト】!!」

「ほう・・・・・」

 

急いで立ち上がれば目の前に立っていた妖忌さん、僕は驚きながらも真下にファイアボルトを打ち込んだ。その熱量に身を焼かれながら、今度は立ち止まらず走り出す。

 

炎を抜けて急ブレーキを掛けながらUターン。腕を構えながら妖忌さんを探す。

 

「でぇぇあああッ!!」

 

真上から声がして僕は咄嗟に上にファイアボルトを放つ。

 

「ふんっ!」

 

ファイアボルトを今度は真っ二つに切り裂きながら妖忌さんは斬りかかってくる、僕は短刀を両方クロスさせてガードする。

 

「ぐ、ぐ・・・・・ああぁ!!」

 

一瞬の硬直の後地面に足をつけている僕の方が力を込めやすいから上方向に吹き飛ばそうと力む。けれどその力を利用してそのままの高さで回転してそのまま回転斬りを放ってくる。

咄嗟に放った蹴りがたまたま妖忌さんの刀の鍔の部分に命中して刀の軌道を逸らす。バランスを崩した妖忌さんに僕は右の短刀を胸元に構え、左手を柄に添えて一気に突き刺そうとする。

 

「見事!だが・・・・・!」

 

妖忌さんは刀の切っ先を地面に押し付け、─多分感覚的に霊力だと思う─爆発させた。そんなのあり!?と思った僕だけど、そんな事を考える暇も無く連撃が僕を襲った。

 

「まだ若いなっ!!」

「ごふっ・・・・・!!」

 

刀を最上段に構えた妖忌さんに合わせて短刀をクロスさせれば、それはフェイントで前蹴りが僕のお腹に命中した。ほとんど食べてなくて良かった・・・・・!

 

蹴られてよろめいた所に回し蹴りが放たれる。でも、それはアイズさんで学習したっ!!後ろに大きく仰け反るようにしてスレスレで躱してそのままサマーソルトキックを顎に叩き込んだ────筈なのに、僕の足は顎のやや手前で妖忌さんの手に捕まった。

 

「うわっ!?」

 

そのまま持ち上げられて宙ぶらりんになる。でも、お腹ががら空きだ!!

 

「【ファイアボ】「若い。手が単純に過ぎる」ガハッ!!」

 

と思っていた僕の顔に蹴りがうちこまれて、逆刃にした刀で下から刈り上げるように振るわれて上に更に吹き飛ばされる。空中で何回も攻撃を食らって、俗に言う空中コンボを受けて僕は地面に叩きつけられる。

 

「・・・・・ふむ、まだ立つか」

「・・・・・・・・・・負けられ、ないんだっ!負ければ、僕は・・・・・リリともヴェルフとも会えなくなっちゃうから!・・・・・負ければ、妖夢さんを恨んでしまうかも知れないから!!」

 

僕は、妖夢さんの涙を見た。妖夢さんの決意も見ていた。妖夢さんがどれだけ家族を愛しているかも知っているつもりだ。それを、勘違いで終わらせたくない!!勘違いで泣かせたくない!!

 

「【ファイアボルト】!!!」

「単調よな」

 

ファイアボルトの7連射。それと同時に走り出す。目指すのは懐。僕の武器が最も効果を発揮する距離。

 

──リン、リン、リン

 

7連射された雷炎を妖忌さんは全て刀に這わせ巨大な炎剣へと変化させる。それでも、僕は止まらない。ただ真っ直ぐ走る!!!

 

───リン、リン、リン

 

「青いな、青すぎる。────だが、それでこそ男の子(おのこ)だ。」

 

振り下ろされる炎剣。まだ多少の距離があるのに肌が焼けそうだ。止まらずに走り続ける。正面から突っ込む!!

 

「終わりだ──」

 

炎が壁のように僕に迫った。ここだ、ここしか・・・・・無いっ!!4秒チャージの英雄願望!!

 

「【ファイアボルト】ォオオオ!!!」

 

白い光が放たれる、それは小さいが確かに炎の壁を貫いた。開けた視界の先驚きに軽く目を見開く妖忌さんの姿、行ける!!!!

体を炎に焼かれながらどうにか妖忌さんの懐に潜り込めた。

 

「───────ここは、僕の距離だ!!!」

 

体をひねり、構える。妖夢さんに教わった。僕の必殺技!!!

 

「小太刀二刀流───────!!!!」

「来るかッ!!」

 

僕の動きに合わせ体勢を変える妖忌さん、受け流す気なんだ。でも、止めない!!

 

「回転剣舞六連!!うっらァァアアアア!!」

 

始動は右、に見せかけた左。左から順番に六連続の斬撃を放つ。

 

「甘いわっ!!」

 

刀と短刀が連続でぶつかりあって甲高い音を連続して響かせる。だけど、まだ、こっちには手が残ってる!!

 

「【ファイアボルト】おぉお!!!!」

「ぐっ・・・・・!!」

 

ファイアボルトを放ちながら、回転剣舞六連をもう1度放つ。手が焼けて嫌な匂いがするがそのまま押し切る!!!

 

───リン、リン、リン

 

5発目を放つと同時にしゃがみこみ足払い、小さな跳躍で回避した妖忌、足払いの回転に合わせて最後の6回目を放つ!一秒チャージの英雄願望!!

 

「うらぁぁぁああああ!!」

 

振り切る、全力の一撃。攻撃が妖忌さんに吸い込まれていく。その刹那の世界で妖忌さんが─────笑った気がした。

 

「ぐっ────はぁっ!!!」

 

炎で加熱された刃が妖忌さんの腹を横一文字に切り裂く。そのままの勢いで更に回し蹴りを叩き込んで壁に叩きつける。まだだ!

 

「【ファイアボルト】ォォオオオオ!」

 

全力でファイアボルトを叩き込む。10発のファイアボルトが妖忌さんに殺到し、爆発。

 

「はぁはぁ・・・・・はぁ。」

 

チラりと女の人たちを見る。するとニコニコとしながら頷いてくれた。

 

「合格ですわ。お疲れ様、ベル・クラネルさん、それと妖忌。」

「え?」

 

妖忌、と名前を呼ばれると同時に煙の中から無傷の妖忌さんが現れる。

 

「いやはや、手加減をして戦うなど・・・・・何十年ぶりかわかりませぬな・・・・・いやぁ良い経験になった。」

「ど、どうしてこんな事を?」

 

て、手加減してアレなの・・・・・?と少し絶望しつつどうしてこんな事をしたのか気になった僕は聞いてみる。

 

「あら、そんなの決まっていますわ。─────ただの暇つぶしですわっ。うふふ」

 

金髪の女の人が扇で口元を隠しなが笑う。何故がどっと疲れが体に・・・・・いや、英雄願望のせいか・・・・・?。

 

「所でお主、ベルと申したか」

「は、はい!!」

「孫は元気か?もう、儂心配なんじゃが・・・・・」

「・・・・・へ?」

 

妖夢さんのおじいちゃんだったの!?妖夢さんは・・・・・!・・・・・・・・・・・・・・・元気では無いと思う。

 

「げ、元気では無いです・・・・・」

「な、なん・・・・・だと・・・・・な、なぜ白楼剣が必要になったのか分かるか!?」

「ええと、踏ん切りを付けるため・・・・・?」

「ええい!急いで持っていけ!!ほれ!ここにあるから!」

「ははい!(うわあぃこの人親バカだぁ!!)」

 

「あ、ありがとうございます!!」

「馬鹿者!遅れたらどうするんじゃ!急げ!!」

「は!?はいいイィ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る、走る。妖夢さんの元へ。刀を抜こうとしてみたけれどまるで抜かれたくないって言ってるみたいに拒否された。

 

鞘に入れたまま走る。西行妖が見えてきた。禍禍しいその全容が初めて見えた。天にまで届くんじゃないかって思うくらい大きい。

 

その根本、戦闘は始まっていた。でも、妖夢さんの味方は僕だけじゃないみたいだ。アイズさんやティオナさんもいる。あとはタケミカヅチ・ファミリアのリーダーの人たちも居る。良かった!間に合った。

 

───リン、リン、リン

 

え!?英雄願望が発動した!?鞘ごと光る白楼剣に驚きながらも走っていく。

 

───リンリンリン

 

鈴の音が早くなり、僕の鼓動も速くなる。冒険者達が波のように妖夢さんに襲いかかっている。妖夢さんはほとんど動けないみたいで西行妖に背を預けている。

 

「妖夢さぁぁぁあん!!」

「ベル・クラネル、さん!!」

 

僕が大きく叫べば妖夢さんは青ざめ暗い顔でこちらを向き、顔をぱあっと輝かせる。

 

「急ぎやがれ!!!」

 

ダリルさんが火の粉を大量に発しながら槍と剣で冒険者達を近付けないように頑張っている。他の人もみんなそうだ。殺さないように気をつけながら必死に戦っている。僕が、変えなきゃ。冒険者同士で戦っている暇はないんだから!!

 

鈴の音は止まらない、僕の足も止まらない。僕の思いも止まることは無い!僕はみんなを助けたい!!救えるものは全部すくってみせるんだ!

 

冒険者達を押しのけ飛び越えくぐり抜ける。

 

「ベル、お前は・・・・・!それでいいのかよ!」

「目を覚ましてヴェルフ!!」

 

掴みかかってきたヴェルフの顔を殴りつけて吹き飛ばす。後で、謝るからっ!

 

最後の1人を押しのけて、僕は妖夢さんの目の前に立っていた。

 

「はぁ・・・・・はぁ。持って、来ました。」

「はい。ありがとうございます。ベル・クラネルさん!」

 

妖夢さんは僕の手に自分の手を被せるようにして添えた。そして、体内の木のせいでブクブクと不格好な手で鞘から刀を引き抜いていく。

 

鈴の音が鳴り響く───白く輝く刀がその光をどこまでも届かせていく。

 

「皆さん!!気をしっかり持って!此処にいる人は誰も死んでなんかないんですッ!!」

 

僕は全力で叫ぶ。誰も死んでなんか居ないんだ。ここに居る人はみんな誘われただけ、だから、それをしっかりと認識してくれれば・・・・・!

 

「認識、させる必要は、ありません・・・・・迷わせれば、それで、良い・・・・・!」

 

妖夢さんがそう言った。迷わせればイイ?・・・・・そうか、確か白楼剣は迷いを断つ剣だったはず・・・・・今思うとどうして魔法の筈の白楼剣が実在してるんだ、とか疑問は山ほどあるけど、それは後で聞けばいい。

 

「死んでない──?どう言う意味だよ、ベル」

「リリにもわかるように言ってください!」

 

リリとヴェルフが抗議して、他の冒険者達も頷く。

 

「皆は西行妖に誘われただけなんだ!死んでなんか無い!皆は気絶しただけなんだ!」

 

ざわめきが大きくなっていく。迷いが、生まれていく。もう十分だと思ったのか妖夢さんが頷く。

 

「ベル・クラネルさん、これは断迷剣です。それを貴方の力で増幅させる・・・・・!」

「ベル、でいいですよ」

「・・・・・ベルさん、行きますよ!」

「はい!」

 

2人で一つの刀を持って、高々と掲げる。光が薄暗い世界を蹂躙していく。誰もがその光から目を背けた。僕と妖夢さんはそんな暖かな光に包まれながら、もう1度頷き合う。

 

──振り下ろされる断迷の一刀、英雄が放つ決別の一閃。

 

「「はああぁぁぁああああ!!!!」」

「戻れぇえええええええええ!!!」

 

───誰もが手の隙間から見えたその光に目を細めた、その光は、確かに生命の輝きを放っていた。抗い難い欲望が心を支配する。『生きたい』と。

 

僕は全力で叫んだ。全力で振り下ろした。強い光で何も見えなくなって──────────気がつけば

 

「ベル君!!!目が覚めたんだね!!!」

 

戻ってきていた。













うへあ。主人公の隠された能力がチート過ぎて精神を追い詰められないジレンマ。ぐぬぬ、あんなのあるのにどうやって心折ればいいんだ・・・・・!

まぁそんな事はどうだっていい重要じゃない(結構重要)
今回は主人公が立ち直り、ベルくんが頑張って妖忌にかって、白楼剣をゲット!そして現世に戻ってくる。と、非常にあっさりした終わり方をしたわけですが・・・・・。

ベルと妖夢がやった事は「生きているか、死んでいるか」で迷わせて、「死んでいる」と言う迷いを斬り落とし、「生きている」としか思えない様にした訳ですね。

もちろん本当に死んでいたらこんな事やっても意味無いですが、ヴェルフ達は死んでいた訳では無いためゴリ押しでどうにか帰還。

でも、西行妖は未だにあるので目が覚めた瞬間自分の腕が襲いかかってくる悲しみ。次回はそこを何とかしつつも頑張っていくのです。

うーむ、妖忌VSベルの部分アッサリし過ぎたかなぁ・・・・・。一応妖忌は空間斬ってベルの後ろ行ったりしてた訳ですが・・・・・まぁとっても力を抜いて手加減してたし仕方ないか・・・・・。どのくらい力抜いてるの?と言われると・・・・・マシンガンに向かって横一列に戦列組んで近づく位ナメぷ。・・・・・でもそれで勝った人居るから歴史って怖いよね。事実は小説より奇なり。

それと全く関係ないけどクルメさんの挿絵どぞ。相当前に書いたやつですが・・・・・。


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