オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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遅れました。そして次も遅れます。修学旅行だからね、仕方ないね。

なんと・・・・・今回の話、シリアス要素が何も無いです。

リーナとクルメが多く出てきます。


61話「おサボリは駄目ですよ!めっ!」

どもども、僕はリーナ。ファミリア内では「リーナさん」と呼ばれているよ。そんな僕の趣味は食べることと寝る事。ギルドからのお触れでダンジョンは暫く使えないからね、僕は最近になって増えた仕事をするのです。

 

そんな僕は今日も今日とて書類整理。なので棚からお菓子を取り出しますー。僕は書類整理が苦手ではないんだけど、スキルの性で眠いんだよねー。

 

むー、バトルロワイヤルで勝った人がリーダーなんて・・・・・僕は「やったっ。僕はならなくて済むじゃん!」とか思ってたのに・・・・・結界に篭ってたらいつの間にかみんな同士討ちして僕だけ残ってたからね。「これでいいのかなー」と言ってたら妖夢ちゃんは良いって言うし。

 

「バリバリ。もしゃもしゃ。♪〜〜♪」

 

まぁでも割と楽しいんだよ、これが。ぬふふ、この『必需品』の欄にこっそりとお菓子を追加しておくのは本当に楽しいのさ。そして『食糧』の欄にもお菓子をたっぷり・・・・・ふふふ、ふふふふ、フハハハハハハ。お菓子三昧、ウマ味重点。リーナさんのパラダイスはここにあった。誰にも邪魔されず、誰も咎めない。だって仕事はしてるもの。

 

「僕の♪楽園〜♪お菓子ー沢山ー♪ふんふん♪」

 

極楽気分で書類整理をしていく。僕らリーダーが書類を整理しまとめ、ある程度目を通す。そしてその最終確認を幹部の人が行って、最後に主神が目を通すって流れなんだけど・・・・・あれ?書類取りに来るのっていつ「失礼します」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・リーナ?なぜお菓子を机に広げているんです?」

「(や、やばいぞ。どうやって言い訳しようか・・・・・よし、いつもの常套手段でいこう。)糖分は頭に良いらしいんだ。だからこうして糖分を取ることで・・・・・」

「それ、甘く無いですよね。」

「は、は、ははは、何言ってるのさ妖夢ちゃん!心頭滅却すれば塩味もまた甘しという言葉を知らないのかね?!」

「知らないですね。・・・・・はぁ、またサボリですか?私も手伝ってあげるので一緒に頑張りましょう」

「天使・・・・・!圧倒的天使・・・・・!」

 

そんなこんなで圧倒的天使さが露見した妖夢ちゃんと書類整理を行っていく。

 

「パク。・・・・・もしゃもしゃ。」

「あの?まだ食べてるんですか?」

「もうすぐ無くなっちゃうね」

 

ふふふ、ご安心を。僕は準備万端だからね。なんとこっちの棚にも・・・・・あった。

 

「はい、お菓子追加!」

「そのお金はファミリアのお金ですよね?」

「・・・・・・・・・・でも、ほら、あの、モチベーションの為には!必要と言うか?」

「それもそうですね、なら無駄にしないように。」

「・・・・・ごめんなさい。もう僕悪い事しないよ!」

 

なんだこの天使は・・・・・!なんか逆に申し訳なくなる。悪い事なんてしてないけどね!お菓子を食べながら一緒に書類整理をする僕ら、そこに「トントン」ってドアをノックする音が。

 

「クルメだよ、リーナ入っていい?」

「いいよ〜」

 

どうやらクルメちゃんみたいだ。小さくて細くて可愛らしいという人形さんみたいな娘だね。料理が得意でまさに女の子!って感じなんだけど、戦闘方法は荒々しくも繊細、と言うなんかすごい人だね。

 

「お邪魔しま・・・・・・・・・・した。」

「あっ・・・・・わ、私は嫌われてるんでしょうか・・・・・」

 

うん、でも今みたいに人見知りな所があってね、僕やアリッサには友人として接してくれるんだけど、幹部の人達には、尊敬が勝ってしまって上手く話しかけられないみたいなんだよねー。

 

「クルメちゃーん!入ってきなよ〜。お菓子あるよー!てかクルメちゃんのお料理食べたいよー!」

「そうですよ〜!私も是非!」

 

互いに目配せして頷き合う僕と妖夢、そうして呼びかければドアが少し開いてチラッとフードを被ったクルメがコチラを覗く。あれで隠れてるつもりなのかな・・・・・?

 

「ほ、本当ですか・・・・・?でも今はまだ下準備も終わってない・・・・・です、よ?」

「はい、私はクルメのお料理を是非とももう1度食べたいのです。前に食べた料理は即興なのにとても美味しかったですからっ」

 

にこやかに微笑みながら妖夢ちゃんが、クルメちゃんに話しかける。クルメちゃんは嬉しそうに顔を赤らめてフードの両端を掴んで引き下げ顔を隠す。この光景を見られる僕は幸せ者だ。だって食べ物に困らなくて、雨風が凌げて、なおかつこんな微笑ましい物が見られるなんて、僕は幸せだよ。仕事だって適度にサボれば「サボリはダメです」あ、読まれた。

 

「おサボリは駄目ですよ!めっ!」

「ブッ」

「うわ!?リーナ大丈夫ですか!?」

 

腰に手を当て、前のめりになるように僕に顔を近づけた後、人差し指を立てながら「めっ」とは・・・・・恐れ入ったよ。鼻血出た、どうしよ。

 

「ええええと、は、はゆかちは何処に・・・・・ありました!リーナ動かないでくださいね・・・・・よーし、大丈夫ですか?」

 

か、噛んでる・・・・・可愛い。そしてハンカチ持ち歩いてるなんて女子力高い・・・・・可愛い。わざわざ拭いてくれるなんて健気・・・・・可愛い。

 

「ブッ!・・・・・だ、大丈夫れす」

「ままた鼻血が!?リーナ〜!大丈夫なんですか!?変な病気とかですか!?流行病?お医者さん、いやお猿さん呼んだ方が?!」

 

慌てる姿もグッチョブだぜ・・・・・あぁ、綺麗な光景が見える。

 

「リーナ!リーナーーー!!」

「Zzzzzzzzzzzzzzzzzzz」

「って寝てる!?」

 

はっ。ここはどこ僕は僕。なんだ、何時もの部屋か。すぐに寝てしまうのは悪い癖だねー。ん?

 

「リーナ?本当に平気ですか・・・・・?」

 

な、ん、だ、と?目をうるうるさせながらこちらをのぞき込んでいるだと・・・・・?なんだ、この破壊力は・・・・・?僕の火+風+霧之狭霧よりも破壊力高いぞ・・・・・!!

 

「うんだゐじょうぶ・・・・・今魔法で回復するから」

 

鼻を押さえて血を止めようと頑張る。

 

「【千差万別魔の嵐。月。火。水。木。金。土。日。雷。風。光。闇。毒。酸。何が当たるか知る由もなく。引かれた線の導くままに】・・・・・あっ」

「「あっ?」」

 

選ばれたのは、『日』でした。

 

「「う、うわぁ〜・・・・・あったかい」」

 

ね、眠い・・・・・これは凶悪過ぎるんだよ・・・・・ぽかぽかして・・・・・眠く・・・・・

 

「Zzzzzz」

「リーナー!鼻血出しながら寝ないでくださいぃ!!書類が!書類が!」

「「Zzzzzz」」

「クルメぇ!なんで一緒になって寝てるんですかぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーナ「ハァイ!という訳でやって来ましたオラリオの街中っー!」

 

クルメ「ごめんリーナちゃん、話の前後が見えないよ・・・・・」

 

リーナ「そうー?僕とクルメと妖夢ちゃんがお仕事して、その後のご飯でしょう?」

 

クルメ「私まで仕事巻き込まれたし、妖夢ちゃーさんは今居ないし、私のご飯食べたいんじゃ無かったの?」

 

リーナ「細かいことーは気にするなー!急に台本形式になってるとか気にするなー!僕はキニシナイよ!」

 

クルメ「何言ってるのか分からないよ?もう、で、何処に行くの?」

 

リーナ「ふふんっ。食べ歩き歴何年を誇る僕に任せなさい。」

 

クルメ「(年数覚えてないんだ・・・・・)」

 

リーナ「そうだなぁ・・・・・zzz・・・・・蜂蜜亭なんてどうかな?」

 

クルメ「今寝た?「寝てないよー」・・・・・そ、そう、で蜂蜜亭って?私行ったことないなー。」

 

リーナ「あはは。うーん、クルメが行ったことないのは外見からでもわかるね。」

 

クルメ「外見?むー!痩せてるってこと?私だって頑張ってお肉つけようとしてるんだよ!?」

 

リーナ「違う違うー。イシュタル・ファミリアが経営してるんだよー。僕は常連さんだけど、クルメはそもそも歓楽街に行ったことないでしょ?」

 

クルメ「か、歓楽街?・・・・・確かに行ったことないけど・・・・・平気なの?変な人に声かけられたりしない?」

 

リーナ「するする、こうみえて僕は美人だからね!すーぐ声かけられるよ?でも筋力が低くたって仮にもレベル3だったし、ビンタで一撃だね。」

 

クルメ「なるほど・・・・・」

 

リーナ「クルメだってもうレベル3でしょーう?」

 

クルメ「そういうリーナはレベル4でしょ?」

 

リーナ「えっへん!そうだよ!」

 

クルメ「もう結構歩いてるけど・・・・・うわぁ、見えてきた」

 

リーナ「美味しそうな香りでしょ?」

 

クルメ「う、うん。確かに」

 

リーナ「ふふん。リーナさんは大人だからね。こういうのもスルー出来るのさっ!」

 

クルメ「ちょちょ!リーナー!どこ行くの!?」

 

リーナ「はっ!釣られるところだった!おのれ何て巧妙な罠・・・・・!」

 

クルメ「な、何やってるのぉ・・・・・?」

 

リーナ「危ない危ない・・・・・」

 

 

モブA「お?おい見ろよ、あそこに上玉がいるぜ?(クルメとリーナは非戦闘用の服なので気づいていない。)」

モブB「おお!エルフじゃねぇか・・・・・。こんな所歩いてるなんて・・・・・誘ってんだよな?」

モブC「隣のガキはダメだな。細すぎる。折れちまいそうだ」

モブA「そういうアレ何じゃねぇか?」

 

 

リーナ「不穏な空気だねぇ。」

 

クルメ「どうするの?逃げる?」

 

リーナ「料理を前に、逃げてはならぬは、食う者の運命(さだめ)よ」

 

クルメ「・・・・・ゴクリ。確かに料理を作るものとして逃げる訳には行かないかも・・・・・!」

 

 

モブA「なぁ!誰が話しかける?(小声)」

モブB「お前行けよ」

モブC「何で俺なんだよ、お前行けよ。」

モブA「へっ童貞どもが、俺が行ってくるぜ」

モブBC「(お前だけじゃん童貞・・・・・)」

 

 

モブA「やぁ、お嬢様方?こんな所でブシュッ!?」

 

リーナ「あ、腕が滑った。」

クルメ「あ、足が滑った」

 

モブA「て、テメェら・・・・・何しやがる・・・・・!」

 

リーナ「あれ?倒れないね、恩恵持ってたか。」

 

モブA「この俺を誰だと思っブルワッハ!」

クルメ「あ、今度は手が・・・・・」

 

リーナ「もう話さなくていいよー。〜〜〜阿弥陀籤!・・・・・あり?回復しちゃった」

 

モブA「へっ馬鹿め!行くぜアガパァ!?」

 

クルメ「あ、・・・・・えっと、膝が滑った?」

 

 

モブBC「(帰るか)(だな)」

 

 

モブA「もう許さなぇ!」

 

リーナ&クルメ「いや、諦めてよ」

 

モブA「うぉおおおおおペプシッッ!?」

 

リーナ&クルメ「!?」

 

謎の仮面少女「大丈夫ですか、御二方。此処は危険につき、去ると宜しいかと。」

 

リーナ「(えっ、誰?イシュタル・ファミリア?)」

 

クルメ「(助けてくれたんだ、優しい人だなぁ)」

 

リーナ「えっと・・・・・名前は?」

 

謎の(ry「名乗る名など持ちえておらぬ故、名乗る事は出来ませぬ。では。」

 

リーナ「えー。・・・・・誰なんだろう。」

 

クルメ「カッコよかったね・・・・・」

 

リーナ「え・・・・・?仮面が?」

 

クルメ「違うよ登場の仕方とか色々と。」

 

リーナ「さっきのモブ君、きりもみ回転しながら三回転捻りしてゲッタンしながら飛んでいったけど・・・・・カッコよかった?」

 

クルメ「そ、それだけ私達のために全力を出してくれたってことで・・・・・ね?」

 

リーナ「ははは、まぁなんだね、到着したよー。」

 

クルメ「うわ〜ここが蜂蜜亭かぁ・・・・・あまーい香りがするね!」

 

リーナ「でしょう?此処は蜂蜜を使った料理や、お酒何かが楽しめるよ!・・・・・お金払うと蜂蜜を他の使い方出来るらしいよ。」

 

クルメ「最後の説明は要らなかったかな・・・・・」

 

店員「いらっしゃ〜い。あらあら?もしかしてリーナ様?」

 

リーナ「そうだよ〜。今日は同じファミリアの娘を連れてきたんだ。」

 

店員「そうなの〜。いらっしゃいませ、お嬢さん。」

 

クルメ「は、はいっ・・・・・。えと、リーナ?」

 

リーナ「うん?何?」

 

クルメ「平気だよね?大丈夫だよね?」

 

リーナ「心配しないのー。・・・・・もしものことがあればっ、僕が店ごと吹飛ばすからっ」

 

店員「止めて、それは止めて。んん、では2番席にお座り下さい」

 

リーナ「おー、いつもの場所だ。空いてたんだね」

 

クルメ「2番席?・・・・・あの隅っこの席?」

 

リーナ「そのとーり。人からの視線も集まりにくいし、目立たないし、外の景色も見えないし、最高の席さ。全く・・・・・どうしてこの店はここにあるのかなぁ・・・・・せっかく美味しいのに・・・・・。」

 

クルメ「あはは・・・・・。仕方ないよ、だってイシュタル・ファミリアの派閥なんでしょ?ここからお店動かせないんだと思うよ。」

 

リーナ「それはわかってるけどさー・・・・・。よしっ気を取り直して注文だー!」

 

クルメ「おー!。で、オススメは?」

 

リーナ「オススメは何とお肉料理です!」

 

クルメ「おー、そう来たかぁ。」

 

リーナ「おろ?わかってた?」

 

クルメ「予想はしてたかな。蜂蜜にはお肉を柔らかくする効果があるんだよ♪。蜂蜜はね?成分の殆どが糖分で出来てるの、だから浸透性が高くてお肉に溶け込んで硬くなりにくくしてくれるんだよ♪それでねそれでね!」

 

リーナ「はーい、ストップ。どうどう。落ち着いてクルメ。」

 

クルメ「今からいい所なのに・・・・・(๑ŏ _ ŏ๑)」

 

リーナ「あはは(長くなるのでカットってやつだよクルメ・・・・・)後はデザートかな。」

 

クルメ「・・・・・蜂蜜酒は?」

 

リーナ「ミード?ミードも美味しいよね」

 

クルメ「蜂蜜酒の作り方なんだけどね?」

 

リーナ「ちょ」

 

クルメ「蜂蜜酒って言うのは最古のお酒って言われてて、お水と蜂蜜だけで出来るんだっ。浸透圧が高い蜂蜜はお酒の為の微生物が増えにくいから、お水で薄めるんだよ♪後は1週間もしない内に完成するよ!ちなみにここに生薬とかハーブを加えたものをメセグリンって言うよ!」

 

リーナ「へ〜。メセグリンかぁ。飲んでみたいかも。」

 

クルメ「そうそう、作る時に酵母を入れてあげると失敗しにくくなるんだよ。」

 

リーナ「ふむふむ、ならクルメのお店でメセグリンとかを出せば売れるのかな?」

 

クルメ「うーんどうだろうね・・・・・ソーマ様が作るお酒には負けちゃうし・・・・・」

 

リーナ「目標高すぎでしょ・・・・・神酒と比べたらそりゃあ霞むのは仕方ないよ。」

 

クルメ「目標はどこまでも高くなきゃ駄目でしょ!料理人だもん!」

 

リーナ「料理人とは一体・・・・・いや、余り外れてもないか。」

 

店員「ご注文はお決まりかしら?」

 

リーナ「うん、僕は決めてあるよ。ねぇねぇ、メセグリンってあるのかい?」

 

店員「はい、ありますよ。当店自慢のブレンドです。心も体もスッキリ爽快夢見心地のハーブ入です」

 

クルメ「それダメなやつだ。」

 

リーナ「ちなみにそれ飲んだ娘って今どうしてる?」

 

店員「娼婦として日々精進してます」

 

リーナ「これアカンやつや。生薬じゃなくて性薬交ぜちゃったか・・・・・」

 

クルメ「ごめん何言ってるかわからない。」

 

リーナ「じゃー・・・・・普通のミードと蜂蜜漬けのチキンでお願い。」

 

クルメ「あ、私もそれでっ。」

 

店員「はい。・・・・・えっと年齢は・・・・・」

 

クルメ「お酒飲める年ですよっ」

 

店員「申し訳ございません。かしこまりました。」

 

リーナ「むふふ、楽しみだねー。」

 

クルメ「うん、だけど良かったのかな?」

 

リーナ「ん?何が?」

 

クルメ「いや、アリッサちゃんとか皆を誘わなくて・・・・・」

 

リーナ「いいのいーの。たまには少人数の方が話せる事もあるんだよ〜。てかアリッサ連れてきたら色々と問題が起きそう。」

 

クルメ「この不埒者めが〜!ってさっきの男に人をボッコボッコにしそうだね・・・・・」

 

リーナ「絶対に「ダァァアクパワァァア!」ってやるね、僕にはわかるよ」

 

クルメ「うわぁ・・・・・。あー。でも妖夢さんとか連れてこなくて良かったね」

 

リーナ「え?どうして?」

 

クルメ「いや、多分普通に「何ですか?え?はい分かりました」とかそんな感じでついて行っちゃいそうでしょ?」

 

リーナ「そして惨死体が3体・・・・・」

 

クルメ「うん・・・・・。」

 

リーナ「くふふ、まぁ人殺しを好んでやったりしないからだいじょーぶでしょう。千草ちゃんは絶対に攫われるね」

 

クルメ「ブッ!失礼だよリーナちゃん・・・あは、でも、わかるかもっ」

 

リーナ「命ちゃんも連れてかれるね。帰ってこれるだろうけど」

 

クルメ「真面目だし素直だしね〜」

 

リーナ「あとは・・・・・クルメは臆病だから平気かな、いざとなったら速いし」

 

クルメ「酷いなぁ、リーナちゃんだってお菓子で釣られそうじゃんっ」

 

リーナ「僕は釣られたふりして全部貰ってから逃げるから平気だよ〜」

 

クルメ「嘘だー、足遅いじゃん」

 

リーナ「ふっふっふ〜。体に纏うように物理反射の結界を張っておけばいいのさ」

 

クルメ「・・・・・それってお菓子持てないよね?」

 

リーナ「・・・・・・・・・・・・・・・お、お菓子は・・・・・自分で買うよ」

 

クルメ「それが一番だね。・・・・・経費で買ったりしてない?」

 

リーナ「ギクリ。」

 

クルメ「(口で言うんだ・・・・・)」

 

リーナ「そんな事があろうはずがございません」

 

クルメ「ダウト。」

 

リーナ「ぐへぇ。でもモチベーションの為には必要な事で・・・・・」

 

クルメ「リ〜ィナ〜ァ?ダメだよ?迷惑かけちゃ。あんなにボロボロになってまで戦ってくれるんだから、私たちは守ってもらってるんだよ?」

 

リーナ「うぅ、確かに前衛は大切だよね・・・。わかったよ・・・・・お菓子を半分に減らそう」

 

クルメ「(無くさないんかいっ)」ガクッ

 

リーナ「そう言えばクルメ、レベルアップしたけど、何かステイタスに変化はあった?」

 

クルメ「うん!あったよ!私ねっ、新しい魔法覚えたんだ♪名前がね、大禁呪大飢饉って言うの!」

 

リーナ「おめで・・・・・ん?なんか凄いえげつない名前聞こえたけど幻聴かな?」

 

クルメ「大禁呪大飢饉っていうの!多分私がお腹減ってる時期の事が魔法になったんだと思うよ」

 

リーナ「ははは・・・(飢饉かぁ・・・・・嫌なものだよねアレは・・・・・)所でどんな効果なのさ?」

 

クルメ「えっとね、呪術でね。無差別の超広範囲なんだけど、ステイタスの大幅ダウンと、お腹が空いて喉が渇くって効果の付与だったと思うよ。」

 

リーナ「ぶはっ・・・・・それってお店作った時に使えば大儲けじゃんっ!」

 

クルメ「ひ、酷いマッチポンプだね・・・・・」

 

リーナ「でも戦闘じゃまともに使えないし・・・・・僕が対魔力結界を張らないと味方もその状態になっちゃうからね・・・・・」

 

クルメ「う、うん。」

 

リーナ「で、どんな詠唱なの?」

 

クルメ「えっとね、こんなの。【飢餓(きが)飢饉(ききん)に飢える飢民(きみん)よ。飢寒(きかん)の冬、希望は無く飢乏(きぼう)だけがそこにある。飢渇(けかつ)は終わらぬ。決して満たされぬ。されど鳴蝉潔飢(めいせんけっき)の心もて、饑神(ひだるがみ)に捧げよう。動けぬ痩犬蒼空(そら)望め、恨めしき鳥願う。不毛不動な餓鬼(がき)達よ、それそこにこそ餌はある─────大禁呪大飢饉】ってやつ何だけ──────」バァァン!ギュイィィン!

 

クルメ「─────ど?」

 

リーナ「ふぉぉおおおおお・・・・・お腹、が、減った・・・・・っ!もう・・・・・だめ・・・・・ぽ・・・・・。」

 

クルメ「は、発動しちゃったぁ!?」

 

 

その日、オラリオ全体が赤い光に包まれたかと思えば、誰もがお腹を空かせて付近の店に駆け込んだ。

 

お店は潤ったのか?否。店を動かすべき店員達も皆、お腹を空かせてしまったのだから。

 

まさに大禁呪。たった1人の人間が街を一つ飢饉に陥れたのだ。

 

クルメ「や、やばい・・・・・!私がなんとかしないと!!!」

 

こうして、クルメの料理店は飢えた人々を助ける救世主として堂々たるデビューを果たした。

 

赤い光を纏い、獣のような唸り声を上げながらも恐ろしい手際の良さで料理を作るクルメに飢えた人々は歓声をあげながら飯をくらった。

 

そんな時、地下では・・・・・

 

 

「うぉおおおおお!腹減ったァ!飯!飯作ってハルっちー!!!」

「私も!」「俺も!」「グ・・・・・タエラレン・・・・・」

 

『お、おいおい・・・・・わかったから大人しくしてくれよ?今作るから。』

「エプロンなんて要らねぇよハルっちー!早く早く!」

『馬鹿っ、食中毒になったらどうするんだ、衛生に気を使うべきなんだぞ?』

「ギュルルルルルルル・・・・・腹がなってるぜ・・・・・星が見えてきた・・・・・星ってこんなに明るいんだな・・・・・綺麗だ・・・・・」

「ホントウダ・・・・・」「キレイだね・・・・・」「キュウ・・・・・」

『おおおい、待ってろ!今作ってるから!』

 

 

お腹が減らないハルプが必死に働いていましたとさ。










盛大なマッチポンプ。効果が切れるまではお腹減ってるのでたべても食べてもお腹減るのです。
オラリオ全域のみならず、19階層まで届いちゃったぜ(筆が滑った)まぁいいか(目逸らし)良くないけどいいよね?(現実逃避)

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