オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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シリアスー。

・・・・・バトルフィールド1が楽しい。











66話『あ、おはようっ。今日は張り切ってるぜ!』

「妖夢殿、少しお話があります。」

 

命がそう言って切り出してきました。私は無言で命の方を向いて、目を正面から見つめます。

 

「・・・・・知っているのですか、妖夢殿は。・・・・・知っていたのですかっ!」

 

命が焦燥に駆られた様に、私に詰め寄ります。

 

「なんの話しですか?」

「・・・・・春姫様を覚えておいでですか?・・・・・知りませんか?」

 

詰め寄り問いただし、けれど、私の中身があの子ではない事を思い出したのか、命の勢いが鈍る。私が春姫を知らない可能性があったからでしょう。

 

「知っています、狐人の春姫。極東で友になった少女です。」

「!!・・・・・妖夢殿は、春姫様がイシュタル・ファミリアに居ることを知っていたのですか?」

 

知っていました。知らされました。あの子は初めから知っていて、私はそれを知っただけ。けれど、知っていたことに変わりはありません。

 

「知っていました。」

「っ!な、なら『お狐様』の話しはしっていますか?」

「タケから聞いています。」

 

私が目を逸らしながらそう言えば、命はぐいっと顔を近づけてくる。

 

「『お狐様』ですよね!?妖夢殿がそうなんですよね!?」

 

命が私の肩を掴みます。少し怖いけど我慢します。

 

「命、落ち着いてください。」

「落ち着いてなんていられません。」

 

命が私を睨み付けるように、正面から私の顔をのぞき込みます。その目は不安に曇り、けれど、覚悟をした目でした。私は・・・・・どうすればいいのでしょうか。

 

「命が慌てても、何も変わらないでしょう」

「・・・・・!・・・・・それは、分かって、ます。」

 

今の言い方はダメでした。アレでは傷つけてしまう。

 

「命、私に任せてはくれませんか?」

 

記憶にあるのは、命の「自爆」。イシュタル・ファミリアの戦闘になれば、それこそ自分の(いのち)を投げ捨ててまで、春姫を救おうとするでしょう。それは、許容出来ません。

 

「なぜ・・・・・ですか?」

「・・・・・命?」

 

命が俯いて涙を流す。私には何が何だか分かりません。何がいけなかったのですか?あの子なら分かるのでしょうか?

 

「なぜ・・・・・頼ってくれないのですか?私が力不足なのは分かっています、でも、それでも・・・・・」

 

私を見ながら、私以外を見ていた。命は私ではなくて、あの子を見ている、そう思いました。私は、頼られるようなことをしていない。頼ることもしていない。だから、命の心情を察することは出来ない。記憶はあっても、所詮は記憶。むしろ記録と言ってもいい、そのくらい・・・・・希薄なもの。

 

「わかりません・・・・・分からないんです。」

「そう、ですよね。失礼いたしました妖夢殿。」

 

私は、皆と仲良くしたい。だから、傷つけたくない、傷つけたくないから危険な事から遠ざけようとした。

・・・・・けれど、その結果がこれだ。

命が去っていく。その背中は寂しげで・・・・・・・・・・やはり、決意に満ちていた。

私は・・・・・どうすればいいんですか?なにを、どうすれば。わからない、なにも、わからない。あの子がいないと、わからない・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命です。私は、知ってしまいました。春姫殿が何をしているのか。

娼館、イシュタル・ファミリアが経営するそこで、春姫殿は働いていたのです。なぜ私がそのような事を知っているのかと言うと、いざという時のため、オラリオの詳細なマップを制作し、逃走経路の確保をしようと考えていたからです。逃げられないにしても、防衛に向いた場所をさがしていました。

 

そして、大凡のマップを作り終わった時、後回しにしていた場所を思い出した。私にはまだまだ歓楽街なんて早いと思い、後回しにしていました。けれど、いずれは通らなくてはならない道。故に、私は歓楽街の詳細な情報を得ようとマッピングを開始したのです。そして・・・・・店先で見世物の様に座っている春姫殿を見つけた。

 

声が出ませんでした。再会が・・・・・こんな形になるなんて、思ってもいなかった。

 

私は逃げるように駆け出した。もう、見ていられなかった。ショックが強すぎました。

 

そして、マッピングしている最中に聞いた『お狐様』、その行動を追うと、何か引っかかるものを感じたのです。

 

襲撃しておきながら、殺さず、盗らず、むしろ死なない様にポーションを使う。

 

腕試しなのか、他に理由があるのか。分かりませんが、目撃者の証言で、私は犯人が分かってしまったのです。

 

刀の二刀流。狐のお面。これだけで、私はその秘められたメッセージに気が付きました。

 

妖夢殿が、春姫殿を救おうとしているのだと。

 

ならば、私も行かないわけにはいきません。同じファミリアであり、家族であり、春姫殿の友人である者として。

 

故に、私は妖夢殿に会いに行きます。部屋から出てきた妖夢殿に私は声をかけます。

 

「妖夢殿、少しお話があります。」

 

無言でこちらを見つめる妖夢殿、その目は「関わるな」と言っているようでした。

 

「・・・・・知っているのですか、妖夢殿は。・・・・・知っていたのですかっ!」

 

思わず掴みかかってしまいました。私は、妖夢殿の力になりたい。友を救うために力を使いたい・・・・・焦ってはいけないと思っても、体は落ち着いてはいられなかった。

 

「なんの話しですか?」

 

妖夢殿が眉を顰める。少し気圧された、でも、それでも聞かねばなりません。

 

「・・・・・春姫様を覚えておいでですか?・・・・・知りませんか?」

 

覚えているか、そう問いて、思い出す。・・・・・もう、あの時の妖夢殿では無いと。覚えているはずですが、もしかしたら、と言う不安がつきまとう。

 

 

「知っています、狐人の春姫。極東で友になった少女です。」

「!!・・・・・妖夢殿は、春姫様がイシュタル・ファミリアに居ることを知っていたのですか?」

 

覚えています、では無く、「知っています」。その一言が、妖夢殿が変わってしまったことを主張する。

 

「知っていました。」

「っ!な、なら『お狐様』の話しはしっていますか?」

「タケから聞いています。」

 

淡々と、機械のように無表情で答えていきます。でも、今のは嘘です。目を逸らしました。確信を持って問いただす。

 

「『お狐様』ですよね!?妖夢殿がそうなんですよね!?」

 

 

「命、落ち着いてください。」

「落ち着いてなんていられません。」

 

睨みつけるような視線になっている事は分かっています。ですが、落ち着いていられる状況では無いのです。早く、あの場所から春姫殿を救い出さなくては・・・・・!

 

「命が慌てても、何も変わらないでしょう」

「・・・・・!・・・・・それは、分かって、います」

 

そんな私の内心を見抜いたのか、妖夢殿がそう言いました。確かに、その通りです。だからこそ、妖夢殿と協力して何とかしようと持ちかけて・・・・・。

 

妖夢殿の表情が初めて揺らぎました。私が落ち込んだ事に気がついたのでしょうか。私を心配する様な顔で私の顔をのぞき込む。

 

「命、私に任せてはくれませんか?」

 

・・・・・耳に響く。その言葉を聞きたくはなかった。その、否定の言葉を耳にしたくはなかった。私は役にたたないのだと、そう言われているように思えたから。

分かっている、分かってはいる。それが、否定でも拒否でもないことは。私を心配し、私の為を思って、自分を犠牲に最善を選ぼうと努力していることは。

 

分かっている。・・・・・けれど、困難を共に乗り越えるのが家族ではないのですか・・・・・?なぜ、私達を頼ってはくれないのですか?

レベルも違います、才能だって差があります。努力だって妖夢殿の方がしてきた筈です。

 

でも、それでも・・・・・その隣を歩きたいと、遠い昔に思ってしまったから・・・・・!それを、今でも思っているから!

 

「なぜ・・・・・ですか?」

「・・・・・命?」

 

妖夢殿が不安げに私を見ます。その顔に、私の限界は超えた。

 

「なぜ・・・・・頼ってくれないんですか?」

「わかりません・・・・・分からないんです。」

「そう、ですよね。失礼いたしました妖夢殿。」

 

私は・・・・・「子供」だ。妖夢殿からも、そう思われている。実力も、思考も、子供だった。

唯のワガママでは無いか、今の私は。

強くも無いのに、危険な戦いについて行こうとする足でまとい(・・・・・)、足にしがみついた重り。私は、妖夢殿に背負われた赤子でしかないんだ。

 

なら、私も自分の足で歩こう。妖夢殿の隣を歩むなら、後ろ姿を眺めるだけではダメだった。そうだ、なぜ、今まで気が付かなかったんだ。

 

隣を歩む?

 

───否。

追い越すつもりでいかなければ、けして、追いつけない!

隣に立つなど夢のまた夢!隣を歩むなど、果ての幻想!

でも、それでも叶えてみせる。

私は、私の方法で、妖夢殿のお役に立って見せます。

見ていてください妖夢殿。私は、もう子供ではありません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い。頭が、痛い。手が、足が、体が、顔が、目が・・・・・痛い。いたい。イタイ・・・・・。

 

どうして、こんなに、痛いんだ・・・・・?何があった・・・・・?寝てるあいだになんか起きたか・・・・・?踏まれた?グロスの寝返りでやられた?

 

薄らと目を開ける。入り込むのは数を減らした水晶の光だけだ。暫く見つめていると、ようやく視界が開けてくる。

 

天井だ。見覚えがある天井だ、自分で作ったんだからそれもそうだ。体の調子を確かめなくては。

 

まずは指・・・・・動く、痛いけど問題ない。次に腕・・・・・動く、けれど痛い。足・・・・・問題はなかった、痛いだけだ。そうやって少しづつ体を動かしていく。

 

『ぅ・・・・・いてて・・・・・』

 

起き上がろうとして失敗する。痛くて動けなかったんだ。仕方ない、使うか。『可能性』の能力を。

 

うし、『体が動かせる可能性』くださいな。

 

───能力を使用。

 

うぐっ・・・・・痛い・・・・・頭に響くなぁこれ。

 

───61%の可能性で行動が可能です。使用エネルギーに霊力を選択。

 

ブーストしますー。ブーストブースト。61%じゃ、外れそうだぜ。99まで上げてしまおう!

 

───可能性増加(ブースト)を確認。内蔵霊力81%に減少。

───行動可能な可能性80%。

 

あるぇ?100にするつもりだったのに。やっぱり80までしか行かないのか?まだあんまり使ったことないし、はっきりとしたことは言えないけど。

 

───施行開始・・・・・・・・・・成功。

 

体がふと軽くなる、そして不自然に動き始めた。

 

『おっふ、痛い・・・・・』

 

イメージとしてはマリオネットだ。動かない体を能力を使って強引に動かしているに過ぎない。『自分がこうやって動いただろう』と言う可能性を持ってきた・・・・・のかね?

 

『ん〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!』

 

思いっきり伸びをする。しばらく体を動かして慣らす。グロスが隣に寝ていて、むにゃむにゃと寝返りを打った。可愛いな、てかモンスター全体的に可愛いよな。こう、わかるかな。つぶらな瞳に可愛らしい体躯。あ、ちがうな、モンスターが可愛いんじゃなくて、『異端児』が可愛いのかっ!

 

そんなこんなで心を癒しながら、部屋を出る。そして朝食を作り始めた。なんと素材は頑張って探してきたのです、皆が。

すまねぇ、家づくりに夢中だったんだぜ・・・・・。

 

そうだ、どうせなら料理が得意な『俺』から知識もらっていいものを作ろう。えーっと『料理が得意な俺がいる可能性』・・・・・でいいのかな?

 

───能力を使用。検索します。平行世界の自分から知識を選択。・・・・・36%の可能性が存在。

 

頭がクラっとするのは少し困る。

 

───内蔵エネルギー源から霊力を選択。霊力81%。

 

・・・・・ほほう、なかなか可能性あるじゃーないですか。ブーストですね、ブースト。

 

────可能性増加(ブースト)を確認。霊力、72%まで減少。

────80%まで可能性が上昇。

────知識領域、深層意識から『料理』についての情報を構築中。

 

うむ、やっぱり可能性は80%までみたいだね。まぁ十分だね、こんだけでも強いと思う。

 

────失敗(ファンブル)

 

あり?失敗したな・・・・・。もっかい!ブーストも!

 

────能力を使用。確率80%。霊力65%まで減少。

────成功。情報を開示(インストール)。衝撃に備えることを推奨。

 

ガン!と頭を殴られた様な感覚と共に、記憶や知識が流れ込む・・・・・!頭が割れそうなほどに痛かった。意識が・・・・・消えた。

 

 

 

 

トントン、ジュージューと料理を作っていく。メインは完成したけど、野菜も取らねば。野菜というか果物だけどね。それをスライスして並べて見栄えもよくしないと。いやぁ・・・・・あの後気絶して2分くらい無駄にしたぜ。

 

「ふわぁ〜・・・・・お、ハルっち、おはよう」

『あ、おはようっ。今日は張り切ってるぜ!』

「おお!スゲーうまそうじゃん!」

 

だろだろー?モンスターの〇〇や○○○を惜しみなく使い、植物、例えば果物をこれまた山ほど使ったのだ。

 

そんでもって分かったこと。食べ物が足りない。今までリヴィラは、その食料事情を地上からの物資運搬と、十八階層で取れる植物などで賄ってきた。でも、今回はそれも難しい。物資の運搬なんて出来るわけもなくて、この階層は8割がた崩壊し、再生もしない。だから食べ物を得るには更に下のセーフティーエリアに行くか、もしくは各階層を回って少しづつ集めるしかない。

 

「ハルっち?」

 

じゃあどうするのって言われたら、自分達で自給自足するしかない。と答えるのです。

この階層に生える水晶が太陽の役割を果たす事は分かっている。なので、それを使って畑を作るしかないだろう。・・・・・問題は「種」が無いことだ。

 

「おーい、ハルっちー」

 

まぁここはフェルズって奴が来るのを待つしかない。まぁ直接あったことないけどね!いずれ来るだろう。なので来た時に頼めるように畑だけ作ってしまおう、と言う考え。我ながら天才か!?

 

「お、おーい、返事してくれよー、悲しくなるだろー」

 

む、だがしかし、今度の問題は水か・・・・・水は壁側に多くあって、滝になってて、下が滝壺になってるのが多い。リヴィラにもあるにはあるが、規模が小さいから人の生活用だろうか?

 

「おーい・・・・・あれ、もしかして俺嫌われた・・・・・?」

 

大規模で畑とかに使うなら・・・・・奥の方か。いや、そもそもジョウロとか使えば近くに水場はなくても平気か。いや、でも疲れるしなぁ。みんなに苦労をかけるわけには行かない。でも遠くになると飛行系モンスターに襲われる・・・・・。

 

「・・・・・・・・・・ハルっちー、おーい、あ、みんな起きたかおはよう」

「オハヨウ。・・・・・コレハ?」

「おはヨー?あら?どう言ウ状態?」

「わからん、なんか考え込んだら自分の世界に入ったらしい」

「・・・・・ソウカ。・・・・・食べテモイイノダロウカ?」

 

はっ!飛行系モンスター!?そうだった!ドーナッツみたいになっちゃったから飛べる奴らは下から上がってくるんだよな・・・・・対空設備も備えとかないと不味いな。とは言えそんな技術知らないし・・・・・あ、そこは能力使えばいいのか!万能ですな。俺ってもしかして凄い?

 

「うまっ!!なんだこれ!?フェルズが持ってきたやつよりうまいぞ!?」

「・・・・・・・・・・!!!旨イナ」

「うん!おいシイね!ん?あ、ラーニェ!おはよう!」

「あぁ、おはよう。・・・・・この者はどうしたんだ?」

「考え事だ。・・・・・それにしてもラーニェがハルっちの計画に乗るなんて驚いたぜ」

「乗ってなどない。賛同した覚えもない。決して反論しようとしたら部屋も何もかも用意されていて対応に困ったとかそんなんじゃない。」

「あぁ・・・・・把握。なんでか知らないけど好み知ってるんだよな、ハルっちって。扉を開けたら自分にとっての天国、出たくなくなるのも分かるぜ」

「だ、だから違う!」

 

今のうちに使うか?いや、でもそれだと早すぎるよな・・・・・?ん?防衛設備を優先した方がいいのか?それとも他の設備を優先した方がいいのか?

むむむ、ダンジョンと言う特異な環境だからなぁ、要するに敵国に四方囲まれてる中に、街作ろうぜ!ってやってる訳だからなぁ。防衛優先?でも人が来た時に警戒されるんじゃないかな?

それに・・・・・人を見るとまた襲いかかるかもしれない・・・・・あ、能力使って襲わない様にすればいいのか。万能だな!

 

うーむ、どうしよっか。今日は家とか店とか作っとく?あ、井戸を優先させようか?いや、建物が密集し始めてからでも井戸は遅くないか。

 

・・・・・あれ?グロスにフィアにラーニェまで来てるぞ?

 

あっ!ご飯食べてんじゃん!早いよ!まだみんな起きてないのに!?待って待って!

 

『わわわ!待って待って!みんなが降りてきてからにしないと!』

「「「「?」」」」

『みんなで「頂きます」ってやってからたべるんだよ。』

「へえ、そうだったのか」

『うわっ取ったやつは皿に戻したらだめだって!』

「お!?悪い!」

 

もう!どうするのさ!あぁでもマナーとか教えてないし俺のせいじゃん!

よっし!決めた!マナーも教えるし、戦いも教える!てか教えられそうなことは全部教えてやる!

 

『決めたぞ。決意したぞ。俺がおしえられるものはぜんっっっぶ!教えてやる!』

 

確定事項です、変更は許しません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い空間。ここはギルドの地下だ。静寂に包まれたそこに、溜息が大きく響く。それが誰のものだったか、黒い外套に身を包む男、フェルズは理解していた。

 

「・・・・・また異分子か?」

「あぁ、やってくれた」

 

フェルズが見上げた先、そこに神は居た。名を、ウラノス。ギルドを作った神であり、ダンジョンを鎮めるため祈りを捧げる神だ。

そんな神、ウラノスが額を抑えている。頭痛でもしているのか、それとも何か頭を痛めるような事件が起きたのか。真意は定かではないが、何かが起きているのだろう。

 

「今度は何をしたと言うんだ?」

「・・・・・」

 

黙り込むウラノス、それは言いよどんでいるというよりも、どう伝えればいいか、少し困っていたのだ。正直に伝えたら、フェルズはどんな顔をするのだろうか。

 

「街を・・・・・異端児(ゼノス)の街を、十八階層に作っている。」

「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」

 

だから、なんだと言うのか。フェルズはポカン、とその骸骨の顔を傾ける。確かに、異常な行動だとは思うが、だからなんだと言うのか。

 

「違和感は抱かなかったか?・・・・・フェルズ、お前はここ最近、異端児達に会いに行こう、と、そう思ったか?」

「・・・・・いいや。思っていない・・・・・おかしい、思わないはずがない・・・・・何せ、きな臭いファミリア達が動いている。ッ!!!その事を伝えなければ!そう思っていた!」

 

ウラノスが感じた違和感。それは「行動の制限」だ。異端児の事を考えようとすれば、他の何かが起こり、思考が途切れる。いや、止められる。

 

「今だ。」

「・・・・・今?」

「ほんの数分前、この事実に気がついたのだ。」

「・・・・・!」

「異分子の能力は不完全なのか、隙が生まれた。そこに強引に神威を割り込ませ、どうにか我らは支配下から抜け出したが・・・・・」

「なにが、どうなっている?」

「世界事改変されている。異端児の元に人類が向かわないように、動かされているのだ。思考が異端児に向かっていかないようにされていた。」

「ウラノス、そんなことが可能なのか?」

「分からん、が、それ以外に説明が出来ん。なにせ、半人すらその影響下にある。」

「私はどう動けばいい」

「接触してくれ。どうやら畑を作っているようなのでな、何か植物の種でも持っていくといい。」

「・・・・・あ、あぁ。」

 

ウラノスが語ったそれは、世界規模の認識阻害だ。人も、神も、魔物でさえ、今は異端児に気が付けない。しかし、それも所詮可能性。気が付く可能性も残されている。ウラノスはたまたま運良く抜け出せただけだったのだ。

 

「・・・・・南瓜か?芋か?・・・・・人参?」

「色々持っていってやれ。それと、くれぐれもいざこざは起こさないように頼む。」

「あぁ、分かっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□名前 ハルプ(妖夢と同じ部分は省略)

□二つ名

□Lv.4

□ステイタス

 

「力」:D501

「耐久」:B702

「器用」:C622

「敏捷」:C656

「魔力」:D511

「霊力」:A862

 

 

□発展アビリティ

【集中:C+】・・・・・集中力を上昇させる。「+」・・・アルファベットの位を倍にする。

【剣士:F】・・・・・剣士としての技量を上げる

【怪異:G】・・・・・ランクが高いほど、理性が人から離れている事を表す。ランクに応じてステイタスが妖夢を基準に考えて上下する。

 

 

□スキル

【半人 (ハルプ・ブラオト)】

・意思疎通が出来る。

・自身の戦闘力が半人にほぼ依存する。

・魔法を使う際「魔力、霊力」で発動できる。

・半人で戦闘を行った場合も経験値を得られる。

・半人に別意識の介在を確認。自立した行動を取れる。

 

【怪異異能】

 

・『剣術を扱う程度の能力』を持っている。

・可能性を操る程度の能力を持っている。

・それらが合わさり『剣技剣術を模倣し扱う程度の能力』となっている。

 

□異能

 

『可能性を操る程度の能力』

 

・20〜80%までの可能性を操ることが出来る。本来ならば1〜99%まで操れた。妖夢の能力にこの能力が引っ張られた為、とてつもなく劣化した。

 

 

『無限の剣製?』

 

妖夢の第3魔法によって、ハルプの魂に強引に生成された固有結界、世界を塗り替えることは出来ない。

無限の可能性を内包した世界であり、オリジナルの3割劣化した物が作れる。

無限の可能性とは、例えば、その剣を見た事が無くても、「持っている可能性」があるならば持っている。と言う謎の理論。

 

オリジナルの無限の剣製を、可能性の能力が、自分の魂に合うように変化させた姿。新たな異能であるのだが、本人は気がついていない。

 

〈獲得したスキル〉

・【建築】

・【料理】

 

追加されたスキルについて。

スキルと言うよりは、その事に対する知識、経験、記憶。

ハルプの魂は、自身を定義付ける殆どを抹消されており、そのお陰で妖夢の魂と限りなく自然に癒着、融合した。つまり・・・・・?

 

 







余りにも遅い対応。フェルズ頑張れ。

次回はシリアル寄り。ほのぼのとしていきたい。

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