オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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シリアスじゃないって素敵。とても筆がスムーズにすすむ。
リアルが忙しすぎてまともに時間取れないというのに、投稿できる程度にはスムーズ。

懐かしい感じが出せてるかな?













78話『ドヤァ』

『っと言う訳で、なんとハルプさんは真夜中にも関わらず人目の少ない城壁の上に連れてこられたのでした』

「人聞きが悪い!?」

『はっはっは、安心したまえ。本気で行くから』

「えぇ・・・・・・」

 

よっすよっす。俺だ。ハルプだ。あの後ベルに連れられて城壁の上までやって来ましたぜ。

 

「・・・・・・行きます」

『おう』

「───ッ!!」

 

時間が惜しいと言わんばかりにいきなり突撃するベル。確かに速い、だけどそれだけだ。

 

『よっと』

 

獣の如き敏捷性、とでも言うのか。ひっくい姿勢で走ってきて足を取りに来た。

俺は楼観剣を鞘にいれたまま地に叩きつけ跳躍、空中で体を捻り、その反動で鞘がすっぽ抜けで刃が剥き出しとなる。

そのまま真下を通るベルを切付ける。

 

「ッ!?うわっ!」

 

練習用に渡していたナイフが真っ二つに斬れてベルがスッコケる。あー、あれだな。楼観剣はやっぱりダメだね。ちなみに殺さないように振ってるから安心してくれベル君!

 

『楼観剣はまだ早いか、じゃ、やっぱり白楼剣だな』

「す、すみません」

 

詠唱して白楼剣を召喚。同時に楼観剣を消しておく。白楼剣なら切れ味は並。むしろこの世界なら鈍らの部類に入る。

更には斬ると迷いを斬れるという性質を使って、踏み込む勇気を与えたりと模擬戦にはもってこいだ。

 

『どぞ、待っててあげるから好きに来ていいよ?』

「はいっ!【ファイアボルト】!!」

『反射下界斬!』

 

いきなりブッパですか!いい戦術だけど一回ポッキリの使い捨て戦術だぞそれは。奇襲に失敗した時点で次に続けよ?

 

「──ッ!」

 

爆炎の中からベルが飛び込んでくる。あちゃー、自分が食らってたら意味無いぞ?・・・・・・いや、俺達も前やってたけどね!

 

『リーチ短いんだから、飛び上がったらダメだ、ろっ!』

「あがっ!」

 

 

白楼剣を真っ直ぐ突く。ベルのお腹をブチ抜いて背中から刃が伸びる。そのまま何か行動を起こされる前に蹴り飛ばす。

ついでに死への迷いも斬ってやった。これで怪我も気にせずやって来るはず。・・・・・・あれ?さっき言ったことの逆やってるよ俺。

 

「【ファイアボルト】!!」

『単調だ。もっと工夫しろ』

「───くっ、わかってマブっ!?」

 

ファイアボルトを反射下界斬で真上に逸らす。斜め下から掬い上げるような一撃を、反射下界斬の切り上げの勢いのままに半歩横に逸れ、ガラ空きになったベルの腹に回し蹴りを叩き込む。

 

「・・・・・・行きます」

『当然だな』

 

数m城壁の上を転がるベル。だけどすぐさま立ち上がってくる。ベルには幾つかナイフを渡してあるから、多分投げてくるかな。

 

「はぁ!!」

 

うん、やっぱり。ベルは1本のナイフを投げ───?!

うっは、それよりも速く走って来た!!

 

『いいねぇっ!!』

 

ベルの横薙ぎを白楼剣で弾き、飛んできたナイフを左手で掴む。素早く逆手に持ち替えてベルに振り下ろす。

 

「っ!ここだ!」

『おおっ!?』

 

振り下ろしを完全に無視して俺にタックルを食らわせるベル。肩甲骨の間にナイフを刺してあるので、後は柄の部分を押してやれば肩甲骨を外せる、まぁ流石に万能薬は持ってきてないから骨折まではしないようにしないとな!

 

「はぁ、はぁどうですか!!」

『うーん、幼女にのしかかる変態さん?』

「え・・・・・・?うわぁっ!?ごごごめんなさい!!」

 

おいおい、バカベルめ。相手が幼女で同じこと言われたら同じように下がるのか?

 

『そこで逃げるなよ。その撤退はお前だけでなくお前の味方を危険に晒す。つまり、リリとかヴェルフが死ぬぞ』

「っ」

『わかったらとどめを刺すまでは油断するな。いい?』

「はいっ!」

『隙あり!』

「そげぶっ!!」

 

まだまだ青いな!というか、お腹ぶち抜いたんだからさ、もう少し痛みを感じる素振りをしてください?俺なんか困るんだけど。罪悪感を感じるんだけど?

 

『お腹平気か?』

「痛いですけど、不思議と」

『この剣の力だな。迷いを断てる』

「迷いを?」

『そ、だから俺に突撃する時怖くないだろ?』

「・・・・・・確かに。凄いですねその剣!」

『へへ、そうか?そうだろ!』

 

さーて、もっともっと続けるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも!私ですっ。妖夢ですよっ!

 

私は何とも頭の痛ーい朝を迎えつつ、障子を開いて朝日を浴びます。脳裏に過ぎるハルプの感情の波から、ハルプが戦っていると私には分かるのです。

じゃあハルプに連絡してみますか!みょんみょんみょん・・・・・・!繋がれぇ〜。

 

 

もしもーし、えっと、誰と戦ってるんですか?え、ベル・クラネルさんですか?あー、そう言えば戦争遊戯の時期でしたね。はい、はい。ふむ、ダンジョンにアイテム集めに行こう、ですか?

えっ!?ドロップ率80%上げたらどうなるのかの検証ですか・・・・・・?ずるくないですかね、怒られません?

平気ですか、ならいいんですけど。

 

誘えるやつは誘ってほしいですか、分かりました。幹部のみんなで行くのもいいかもしれませんね!あ、やっぱりそう思います?ですよねっ!じゃあ連れていきます!

へ?あぁ分かってますよそんな事。もちろん皆さんの予定を優先です。はい、はい。大丈夫ですよ、平気です。

 

私ですか?私はこの後皆さんの朝ごはんを作って軽く掃除や洗濯をしておきます。あはは、そんなお礼だなんて。いつもの日課ですし?鍛錬はダンジョンでできそうですから。

 

「ふあぁ〜。・・・・・・おはよう、妖夢。あー、今何時だ・・・・・・」

 

あ、タケが起きました。・・・・・・。はい、分かりました。10時頃にセントラルパークですね。了解ですっ!

 

「おはようございますタケ。今日もいい天気ですよ!」

「んん〜っ!はぁ!・・・・・・そうだな!いい天気だ!!」

「では私は朝食を作ってきますから、もう少ししたら皆さんを起こしてあげてください」

「あぁいつも悪いな」

「いえいえ、いいんですよ。私がやりたいだけですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

了解ですーっと。

 

「・・・・・・どうでしたか?」

 

ベルが若干不安げにそう聞く。

 

『いいよーってさ!』

「やった!リリも喜んでくれますね!」

『そうだな、リリ可愛いし抱きしめたいな!』

「はいっ!・・・・・・はい!?」

 

なんだよ、抱きしめたいだろ?

 

『さて、ダンジョンに行く目的は分かるかね少年!』

「は、はい!モンスターを倒す事で経験値を得ます!」

『正解だ!だが今回の目的はそれだけでは無い!』

「え、そうなんですか?」

『そうなんです。・・・・・・時にベル・クラネルさんや。』

「は、はい。何ですかハルプさん」

 

なんか妖夢に「ずるくね?」って感じで言われたせいで不安になった俺はとりあえず尋ねる。

 

『君さ、スキルのせいでモンスターからアイテムが沢山ドロップするとしたら、嫌かな?』

「いえむしろ嬉しいです!え!?まさか、ハルプさんが・・・・・・!」

『ドヤァ』

「キラキラ(尊敬の眼差し)」

 

良かった欲まみれだ!良くないけどな!

 

「あっ!いましたベル様〜って妖夢様!?」

『ん?』

「あ、リリおはよう!」

「あ、はい。おはようございますベル様!」

『おはよう!』

 

リリが俺に驚いてる。・・・・・・そう言えばリリとはハルプ形態で話したことほぼ無いな。というか、あったか・・・・・・?

 

「えっと、妖夢様のスキルの・・・・・・」

『ハルプって言うんだ。よろしくねリリ。妖夢からはよく話を聞いてるぜ?』

「そ!そうですか?うへへ、妖夢様が・・・・・・」

 

あれ、俺の思ってた反応と違う。まさか・・・・・・!当初の目的だった「イケ妖夢」計画がこんな所で効果を・・・・・・?まぁ、あの計画は即潰れたけどな!

 

「えっとねリリ、このハルプさんがアイテムドロップ率をあげるスキルがあるみたいでさ、一緒に集めてくれることになってるんだ」

「おぉ、それは素晴らしいですっ!ベル様も時折美味しいお話をお持ちになりますね!リリ感激です!」

「いやぁそれほどでもないよ」

『褒められてねぇぞ?』

「え!?」

 

おっと、思わず2人の惚気に入ってしまった。すまぬ。

今はまだ7時頃だからなぁ、よし、ショッピングと洒落こもうか!

 

『みんなが揃うまで時間があるし、とりあえず腹ごしらえでもするか!』

「はい!」

「え、ベル様食べてなかったんですか?」

「えっと、うん、これからだね」

『そうそう、俺を人気の無い場所に連れ込んでな。朝ごはんを頂こうとしたらしいけど』

「なんで!?」

「ベル様・・・・・・リリは、リリは悲しゅうございます」

「話し方が可笑しいよリリ!?」

 

いえーいとリリとハイタッチを交わし、豊穣の女主人へと歩いていく。

 

「まっ、待ってくださいよ!!リリ僕は何もしてないからね!?」

「分かってますよベル様ー」

「棒読みッ!?」

 

 

 

 

暫く歩いて豊穣の女主人へと到着した俺達。朝昼はカフェ、夜は酒屋へと変身するこの店は昼夜問わず人気を誇る。なにせ、皆美人だしね。

 

「あっベルさん!おはようございます!」

「シルさん!」

 

パタパタと走ってきたのはシルだ。愛嬌を振りまきながらベルの手を取る。あ、リリがほっぺ膨らませてる。

 

「それに、リリルカさんも妖夢さんも。お久しぶりですねっ」

「そうですね、ささ、ベル様早く中に行きましょう!」

『よっすシル!あと俺は妖夢じゃないぞ?』

 

この身体だと初対面かな?多分。あ、シルが「えっ」て顔してる。なはは、驚いたか。

 

「あぁえっと、この人はハルプさん。妖夢さんのスキルです」

「あ、戦争遊戯に出ていたあの」

『そうそう、それだよ。あ、俺はご飯食べても意味無いから冷やかしになっちゃうけど・・・・・・平気か?』

「大丈夫ですよ!」

 

「3名様ごあんなーい」というシルの声。店の奥からは「ハイニャー!」「はーい」と言う返事が届く。

 

「行きましょうベル様、ハルプ様」

「うん」『あいよー』

 

店の中は夜来た時と殆ど同じ内装であるものの、壊れやすそうな花瓶などの小物が増えて飾られている。

ま、1度この時間帯も妖夢の体で来たことあるけどね。ヘルメスに刀を突き付けた時とか。

 

「おー、白髪ニャ!恋人!」「こらこら、静かになさい」「そうです、シルに悪い」

「もぅ!みんな止めてよ!あっ、ごめんなさいあはは」

「ぃ、いや、あはは・・・」

 

ベルとシルが顔を赤くして良い雰囲気だ、ただ、ベルが頻りに自分の足を見てる。多分リリがゲシゲシ蹴ってるのだろう。

 

「ベル様のバカ」

『アホ、ドジ、マヌケ。ウナギ』

「最後のは何!?ウサギじゃないんだ!?」

『ははは!ごめんごめんっ!ウサギねウサギ』

「いやそういう事じゃないよ!?」

 

いやー、揶揄いがいがあるね。リアクションが素晴らしいです。

 

おっ?・・・・・・妖夢からか。なんだね?はいはい、なるほど・・・・・・春姫が使うならどんな武器ですか、か。うーん、和服だし、薙刀なんてどうだろう。武錬の城の倉庫に幾つかあったはずだぜ。戦争遊戯の時の余りが。

 

うん、そうだね。薙刀なら横に構えて回るだけで人間程度なら両断できるし、少し重めの奴でいいと思うぞ。仮にも恩恵を受けてる身だしね。

 

はいはい、防具かぁ。余ってるっけ?あっ、各館に行けば多分あまりはあるよ。お下がりになっちゃうけどな。いいか聞いてあげてな。いきなりオッサンの加齢臭の鎧はきついだろうし、OK?了解ー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は朝ごはんを作り終え、テーブルへと運んでいます。

1度料理をお盆ごと下に置き、襖を開くと部屋は既に片付いていて、皆起きていました。

まぁ、少し具合が悪そうな人はいますけど。

 

「おはようございます皆様。朝食を運んできますから、暫く待っててくださいね」

「はい・・・・・・」「うぐ・・・・・・頭が・・・・・・」

「あはは・・・」

 

全く、飲み過ぎなんですよ!私なんてコップ1杯しか飲んでませんからね!さすが私偉いです。

お酒は飲んでも呑まれるなです。

 

「妖夢様、妖夢様!」

「みょん?春姫どうしましたか?」

(わたくし)もお手伝い致します!」

「そうですか!ありがとうございます春姫!」

 

話しかけてきた春姫を仲間に加え、家事をこなしていくのでした。

 

 

色々と準備していれば10時が近付いてきました。既に皆さん揃っています。

今回付いてきてくださるのは~、デデン!

 

命!千草!春姫!の3人ですっ!!タケが付いてこようとしましたが命が止めました。タケ、最近枷を外し過ぎな気がします。もう少し落ち着きましょう。

 

「装備、良し。妖夢殿、我々の準備は完了しました」

「うん、準備万端だよ!」

「は、はははい!わた、私も出来ております!」

 

肩と腰に鎧を付けているのは私、命、千草の3人。

確りと革鎧を着ているのが春姫です。着ていると言うよりは着られているですが。

和服も脱いでいるので、その抜群のプロポーションが遺憾無く発揮されており、私と千草は遠い目でそれを眺めましたが・・・・・・それは置いておき、なかなか見ない姿なので記念に記憶に焼き付けておきましょう。

 

「はい、分かりました。では行きましょう!中央広場へ!」

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

『という訳で全員揃いました』

「揃いましたね」

『うんうん、じゃあ早速向かう訳だけど、皆バックパックとかは持ったかい?リリのだけじゃ足りなくなるかもしれないからな』

「「「「はい!」」」」

「おう!もったぜハルの助!」

『ハルの助!?』

 

今回の参加メンバーは、タケミカヅチ・ファミリアからは俺&妖夢、千草、命、春姫。

ヘスティア・ファミリアからはベル、リリ。

ヘファイストス・ファミリアからはヴェルフが参加することになった。

 

7人だな、頭数的には8人だけど。あとハルの助はどうなのさ。

 

「ダメか?」

『まぁいいか。んじゃお前はヴェルターすオリジナルな?』

「ヴぇ、ヴぇるだー・・・・・・なんだって?」

『冗談だよーだ!』

 

全く、ヴェルフのネーミングは相変わらずだなぁ。

 

「「「「「「(可愛い)」」」」」」

 

・・・・・・なんか四方八方から変な視線を感じる。前にもこんなことあったね。

 

・・・・・・あぁ、そうか。男達は身長高くて、女の子で身長高めなのは命と春姫だもんな。後は小学生か中学生程度の身長。ふっ・・・・・・(泣き)

 

「まぁまぁ、そう泣かないで下さいよハルプ」

『泣いてねぇし?全然(震え声)?泣いてねぇから?身長なんて知らねぇし?関係無いから?』

「あははっ気にし過ぎですよ!」

「そうだぞ!まだまだ伸び盛r」

「『・・・。』」

「か、刀を、降ろそうか。な?」

 

貴様には持たざる者の悩みなど分かるまい、ヴェルフクロッゾぉ!

 

「「「「「「「ざまぁwwww」」」」」」」

 

なんか神の視線を感じるけど無視だ無視!

 

「では参りましょう皆様方。予定通りの陣形で構いませんか?」

 

と命が手を挙げてそう言った。ちなみに予定通りというのは盾役として命が最前線、その後にヴェルフ。攻撃役として俺&妖夢とベル、後衛に千草、リリ、春姫だ。

 

「あの、ベル様」

「ん、何?」

「この戦力・・・・・・改装主でも倒すんですか?」

「た、確かに・・・・・・どうなんだろうね」

 

ん、なんかベル達がコソコソ話してるな。まぁいいか。ダンジョンに入ったらそれぞれ軽く自己紹介でもして、仲良く行こう。の、前に。

 

────能力を使用する。

 

えっと、こういう時はどういうプロセスだったか・・・・・・

使用、行動選択、エネルギー源選択、可能性提示、可能性の増減、エネルギー消費、発動。だったかな?

 

────ドロップ率上昇。

────霊力を選択。

────ドロップ率5%

────可能性の増加。5%→80%。

────霊力92%→82%。

────発動。

 

うっわ!・・・・・・うぐぐ・・・・・・!っはぁ、なんか凄い変な感じだ!

体が引き伸ばされたような感覚がしたぞ!?ビックリしたなぁ!?

 

平気?ねぇねぇ妖夢!俺平気か?なんか罅入ってたらしいじゃん暴走してた時!平気?罅無い?無い?よかったぁ。

 

『よっし、出発!』

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳でダンジョン一階層にやって参りましたー。

さて、チーム分けだね。

 

『よぉし、じゃあチーム分けだけど』

「あ、私ハルプと一緒がいいです」

『ん?それだと戦力が・・・・・・』

「(ゼノスですよ、ゼノス。十八階層に街作ったんですよね?)」

 

あぁ、そうか、気にしてなかったけどまだベル達はモンスターと仲良くするなんて考えたこともないはず。なら一足先に向かわないとな。

 

『そうだな。なら俺と妖夢は2人で、あとはみんなで動いてくれ。ふふふ、どっちのチームが多いか勝負だ!!』

「あ、あのぅ」

『ん?なんだねベル・クラネル君』

「ハルプさんと離れたら効果ないとか無いです?」

『大丈夫だよ。お前達が倒した敵からはアイテムが落ちやすくなってる(はず)』

「おお!(尊敬の眼差し)」

「ドヤァ」

 

妖夢がドヤ顔すんだ、そこ。

異論があるか聞いたけど、特に無いそうなので良し。あるとすれば若干リリが文句を言ったかな。「サポーターとして〜」ってね。まぁ?俺様の体はバックパックの代わりになりますし?

さらに言えば今回はバックパックを沢山体に詰めてますし?一杯になったら外に吐き捨ててを繰り返し凄まじい量のアイテムを獲得してやるぜ。

 

「ハルプ、私達も勝負ですよッ!!」

『なぬ!?りょ、了解です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せいやー!とうりゃぁー!

 

って感じで虐殺しつつ、一直線に十八階層を目指して突撃!

ゴライアスは当然まだ居ないので17階層はスルーだ!いても弱いしな!

 

「はぁ、はぁ壁抜けはズルイですよぉ~」

『床抜けしないだけ優しいと思うの』

 

壁抜けして全力で進む俺に何とか追いつこうと必死になってた妖夢は結構ヘトヘトだな。むしろよく付いてこれるなぁ。

 

「もう、ハルプが地形覚えてなかったら私迷子ですよ!?分かってるんですか!」

『あはは、ごめんごめん。』

 

にしても、やっぱりすげー光景だ。あの十八階層が真ん中に穴空いて、んで持って砦がある。そう、砦だ。あの時の俺は人間と共存するとか言ってた癖に作ってたのは対人間の砦。

ギルドがダンジョンを封鎖してくれて良かった。

 

『りーどーー!おーーいっ!』

 

俺が大きな声をあげれば、モンスタータウンは騒がしくなる。ゼノスのみんなが動く音や、鳴き声だろう。

みんなが健在だということに嬉しさを覚え、俺は進んでいく。

ベル達には申し訳ないけど、人類と怪物の共存、それの最初の1歩になってもらおうかな。

 

「ようハルっち!」

 

俺達が門に近付くと、上から声が掛かる。アダマンタイトの鎧を纏った蜥蜴人。リドだ。

分かりづらいけど、嬉しそうに笑っている。

 

「それと、あー、なんだったか」

「妖夢です。魂魄妖夢」

「妖夢・・・・・・ヨっち?」『ブフッ』

「笑わないで下さいよ!無理に考えなくて大丈夫です。呼び捨ててください」

「おう、わかったぜ」

 

リドがニッと笑って、尻尾を振ると、門が開いていく。「『おー』」と声をあげる俺たちの前には、一列に並んだゼノスの姿が。

グロスとラーニェ、フォーが一際目立つ。絶対強いぞ。アダマンタイトの鎧と武器を持った怪物だからな。アステリオスが居ないのは修行中だからかな?

 

「ようこそ!我ら異端児によって再び蘇った『怪物の街(リ・ヴィラ)』へ!」

『ただいま。そしてようこそ妖夢。』

「おー!何だか感動です!」

「そう言ってもらえると嬉しいな!」

 

 

そのままリヴィラ・・・・・・じゃなくて、リ・ヴィラを案内してもらうことに。案内はなんとラーニェだ。蜘蛛のお腹部分に乗っけてもらった!乗せないと言われてたけど、まさか乗せてくれるとは。

 

・・・・・・クモの背中?って確か・・・・・・精器が付いてんだっけ?

あ、触ったりはしないから安心したまえよ妖夢君。やめよう?そういう気を飛ばすのはやめよう?

 

「まずはこの門だ。お前が居た時は開閉機能は無かったが、フェルズの提案によって付けさせて貰ったぞ」

『おー、結局付けたんだな』

 

まぁどの道、レベル3あればジャンプで飛び越えられるけどな。いや、筋力が鍛えられてるなら2レベルでも行けるか。

 

「あとは商店だが『へ?』・・・・・・なんだ、何かおかしかったか?」

『いや、もう作ってるのかーってな。もう少しあとだと思ってたわ』

「ふふ、フェルズがもう少しでギルドのお触れが無くなると言っていたからな。急遽冒険者が喜びそうな物を掻き集めたんだ」

『へー、んで商店を開いたと』

「そう。金銭を私達はあまり持っていないのでな。その代わりとして魔石を貰うことにしたんだが・・・・・・どうだろうな」

『強化種を警戒されそうだけど・・・・・・まぁ平気だろ。てか平気にする』

「!・・・・・・それは頼もしいな?」

『ワイルドだろぅ?』

「いや、別に」

 

にしても成程、商店とは名ばかりの簡素なテーブルに直接素材が置かれているが・・・・・・深層でしか手に入らない素材や、レアで入手が厳しいものまで、多種多様なアイテムが揃っている。

ポーションなんかもあるけど・・・・・・劣してるな。大方冒険者の死体などから頂戴したんだろうけど。

 

『・・・・・・ポーションとかはやめといた方がいいかな』

「どうしてだ?」

『出どころ聞かれたらなんて言うつもりだ?』

「亡くなった冒険者から・・・・・・はぁ、確かにそれもそうか。冒険者の役には立つが、私達のイメージの改善とは言い難いな」

『そうそう、人間ってのは我儘でね。どうせ「ポーションをとる前に助けてやれよ!」とか言うに決まってる。だからそういったものは置かない方がいい』

「すまない、参考になる」

 

ラーニェが綺麗な顔を困り顔にしつつ、俺の頭を撫でる。よし、もっと撫でていいぞ。

 

「他にはあるか?」

『あとは防犯かな』

「それは私たちが居るのだから平気だと思うが?」

『厳しく言うが無理だな。こんな野ざらしじゃあ小悪党も防げないぞ。しかも、例え相手が泥棒だろうと街中でモンスターにやられたー!って叫べば俺達の評判は悪くなる。だから盗まれないよう、盗ませないようにしなきなゃならない』

「そうか・・・・・・なるほどな。つまり私達はまともに交戦することすら出来ないと」

 

ふ、やはり人は面倒くさいな!俺もその1人に入ってたけどね?

はい、なんですか妖夢さん。はい、私会話に入れないんですけど?うーんまぁそれはほら、会議に一般人が入るのは・・・・・・は、はい。そうだね、俺達は2人で1人だもんな。分かってるって。

うーん、仕事取られたくないんだけどなぁ?

 

「あとっ!私からの提案ですが一ついいですか?」

「む、すまない。聞かせてもらえるか?」

「はい!印象を良くするにあたり、外見はとても重要な要素です。モンスターと同じ外見をもつあなた方は人間側からすれば受け入れ難い外見です。なのでそこを変えていきましょう!」

『ズバッと言うなぁ。オブラートに包みたまえよ?』

「わかりやすく簡潔に!ですよ!」

 

ラーニェも渋い顔をしているぞ妖夢殿よ。

けどまぁその点は気にしていたみたいだな。奥の店で機織り機の音がする。妖夢もそれに気がついたのか、言わなくてもよかったか!みたいな感じだ。

 

「それについては私達でも話し合ったんだが・・・・・・なかなかどうして決まらないものだな」

『うーん、とりあえず布面積を狭くすると男は雑魚に変わるぞ。ちょろいぞ』

「・・・・・・あまり肌は出したくないのだが・・・・・・」

『ですよねごめん。なら・・・・・・うーん、とりあえずは全て布で出来たものを着て、雰囲気を和らげよう。俺の作った鎧なんて着てたらそれこそ怖がっちゃうよ』

 

ふむふむ、ラーニェやレイのドレス姿なんて人気出そうだ。モンスターフィリア大発生によりオラリオは秩序崩壊!なんて事にはならないだろう多分。それに手を出したら手痛いしっぺ返しが来るだろうし。

 

「テキシュー!バリスター!」

 

バシュバシュバシュ─────ッ!!

 

うお!?バリスタがいきなり連射されたんですけど!?

ラーニェさん説明はよ。

 

「どうやら飛行能力を持つモンスターが来たらしいな。穴が空いて以降、飛べるモンスターはこの階層に来れるようになってしまっている」

「ひゅー、ひゅー!(口笛を吹こうとしている)」

 

妖夢、誤魔化すの下手かお前。

 

『ま、俺の作ったバリスタが役に立ってるわけだ!良きかな良きかな』

「あぁ、威力も精度も高い。・・・・・・問題は槍の補給が間に合わんことか」

「あぁ・・・」

『ま、そこはしゃーない。撃ったやつ拾ってくるなりして節約しかないな』

 

 

そんなふうにラーニェと話しながら進んでいると、リドとグロスが出迎えてくれる。

 

「コノ建物ヲ覚テイルカ?」

「俺達が最初に作った場所だぜ!」

『うん・・・・・・覚えてるよ。懐かしいな、本の数日前まではここに居たのにさ』

「へへへ、なんだ、なんか嬉しいな!グロス!」

「フン、スグニデモ冒険者ガ来ルダロウ。準備スルゾ」

「な〜んだよグロス〜!素直じゃないなぁ!」

『あはははは、さすが2人は仲いいね』

「おう!」「ハァ」

 

くくく、いやぁ、やっぱりこういうじゃれ合いは傍から見ても楽しいなぁ。そう思わない?だよね、やっぱり楽しいわ。・・・・・・へ?

 

「ハルプーーー!!スリスリさせてくださーい!!」

『えっちょまって!?あはははは!!擽ったい!やめっ、やめてっ!あはははは!?』

 

なんで俺たちまでやる必要がぁぁ!?

 

私がしたいんですって君ね!?やめっ!脇わやめろぉおおおおおおおお!!!!

 

 

 

 

 


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