オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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次の話は少しいや結構遅れるかも?


8話「私は妹ではなくベートの友達ですっ」

赤い目をした妖夢が消えてゆく。その顔には先ほどの子供の様なウキウキとした表情は無く、能面のように無表情だった。

 

「・・・ゴハッ・・・!・・・くっ・・・」

 

ベートは我慢しきれず血を吐き出す。おもむろに脇腹を確認すると左側の脇腹は大きく抉れ、地面は血だまりになっている。ベートは傷口から視線を外し、周りからの視線を無視し、蹴り飛ばし壁に半ばめり込んでいる妖夢の元に歩いていく。

 

「・・・なか、なか・・・やるじゃねぇ、か・・・妖夢、だったか?」

 

どうやら気絶しているらしい。ベートの本気の蹴りを当たる直前で回避を試みていなければ今頃上半身と下半身はサヨナラしていただろう。

 

「・・・ハハッ、仕方、ねぇな・・・」

 

ベートは妖夢の奮闘を讃えるように笑い、ゆっくりと抱き上げた。

 

 

 

 

「みんなおきてー!ほらパパは仕事!もう、早く着替えなさい!貴女もよ、学校遅れるわよ?」

「ふぁ・・・おはよう、飯はなんだ?」

「時間が無いから昨日の残りよ、ほら起きなさい!」

「うぅん・・・あと5分・・・」

「1分2分3分4分5分!はい!五分たったわよ!」「それ5秒じゃん・・・」

 

―顔が乱暴に黒く塗り潰された名前もわからない俺の家族が幸せそうな朝を迎えている。・・・また夢だ、ココ最近見てなかったのにな。

 

「あぁんもう!ネクタイ曲がってる!・・・よし!さぁ、行ってらしっしゃい!」

「ありがとう。行ってくるよ」

「おかーさーん、私の筆箱知らない?」

「知らないわよそんなの、ほら、一緒に探してあげるから」

 

―いま、唯一覚えているのは声だけ。見ている夢は所詮俺の願望に過ぎない。ああ・・・早く目覚めてくれ・・・生き地獄は嫌いなんだ・・・。そして願う、どうかもう忘れませんように。

 

 

 

 

目が覚める。・・・知らない天井だ・・・なんだかんだデジャブになってるなこれ。この人生で既に12回目だぞ、知らない天井だ、やるの・・・。体を動かそうとすると全身から鋭い痛みが走る。グおぉあ痛てぇー・・・タケのアホぉ・・・。なんだよなんだよ、「自分がどれだけ無茶してるか自分で確かめるんだな」とか言って毎回最低限の治療しかしてくれないのはさー、ごめんなさいするとすぐに治してくれるけどさ?にしても

 

・・・・・・負けたのかぁ・・・思ってたよりショックだな、まぁ、一応脇腹は吹き飛ばしたし向こうも無事ではないだろう。

 

「ぅ・・・くっ・・・イタタ・・・」

 

つい声が出てしまう。雑ではあるが自分なりに体を調べてみると腹部に大きな痣が出来ていて、ここを蹴り飛ばされたのだとわかる。他にも腕には若干の違和感がある事、頭に包帯が巻かれていること、服が着せ替えられている事がわかった。おそらく治療をしてくれたのは命や千草だろう、アイツらには頭が上がらないですわこれは。

 

「ん・・・・・・んぅー・・・」

 

ん?なんだ?と首を横に向けると千草と命がベットにもたれかかる様に寝ていた。看病しててくれたのか・・・有難い事だな・・・。心配をかけたらしい・・・そりゃそうか、ハハハ。

 

とりあえず痛む体を無視し、千草と命に掛け布団をかける。しばらく眺めていたいがそれはレディーに失礼というもの、まぁ、俺もレディーだけどね?・・・何か自分で考えていて馬鹿らしくなるなこれ。とりあえず部屋の外に・・・

 

俺が部屋を出ようとすると丁度部屋のドアが開いた。入ってきたのは猿だ。あっごめん、ナチュラルに猿って言ってしもうた。

 

「猿」

 

「一言ぉ?!それだけでごザルが!?昔はお猿さんって言っていたでごザルよな?!ついに猿でごザルか?ただの猿でごザルか?拙者はひゅーまんでゴザル!!」

 

うぉぉぉー止めて!命達が起きちゃうだろうが!わるかった!猿って言ってわるかった!

 

「うわわわ!ごめんなさい!次からはお猿さんって呼びますから!」

 

「違う違う違うそうじゃ、そうじゃないでごザル!猿師でごザルよ!」

 

わかったようるさいよ何しに来たんだよ。俺がそう言うと猿師は(´・д・`)こんな顔しながら話し始める。

 

「ハァ――いいでごザルか?妖夢殿は無茶をし過ぎでごザルよ、タケミカヅチ様にあまり心配はかけてはいけないでごザル。」

 

うぁー、確に、言い返せないなぁ。迷惑をかけている自覚はある。でもさぁー、いや、言い訳じゃないよ?自分の憧れのアニメの技が使える、って言われて「戦いは好まない」とかなる?いや!ならねぇ!声を大にして言うね!バトルジャンキー?戦闘狂?いいじゃねぇか!かっこいいんだもん!技が!試さなくてどうする!?勿体ないじゃないか!だろぅ!?

 

「言い返すことは出来ませんが・・・私には憧れの英雄達が居ます・・・私はそれに近づきたい。例え頭がおかしいと言われようとも、私は戦います。・・・強くなりたいから。」

 

ファ!?なに?どう言う翻訳されたの?!メタい発言は全部都合のいい解釈されちゃうの?!

 

俺の固い決意を感じたのか猿師は黙り込む。

 

「ならば・・・相談するでごザル。拙者達は大人、妖夢殿は子供、なれば守るのは当然。・・・さぁ、まだ寝ていた方がいいでごザルよ?今からポーションを使うでごザルからな」

 

そう言って腰のポーチから猿師はポーションを取り出す。・・・あれ?この猿いい奴じゃね?・・・いや知ってたけど。そういえば猿って家族居たよな・・・極東に置いてきたのか?

 

はい、と返事をしベットに寝転がる。命達を起こさないように静かにだ。猿師は命達の状態に気付き、優しい笑みを浮かべる。

 

「・・・慕われているのでごザルなぁ・・・大切にするでごザルよ?」

 

「はい、家族ですから、何があっても守りますよ。・・・お猿さんのご家族は?」

 

俺が微笑みながらそう言うと猿は嬉しそうな笑顔で話し始める。v(´∀`*v)こんな感じの顔だ。

 

「家族・・・うんうん。素晴らしものでごザル。拙者の家族はオラリオに来ているでごザルよ?同い年の妻に、もうすぐ20になる娘でごザルな、ああ、後は母上も来ているでごザルよ」

 

うんうん、素晴らしいものだよなぁ!同い年の妻に20の娘か・・・流石はエリートだなぁ・・・え?お婆ちゃん来てるの?・・・まじかよまだあの人のレベル抜かせてねぇよ!あの三角跳びお婆ちゃんを超える日はいつになるやら・・・。早く会いたいな、でもまだ猿はこっち来てから1日しか経ってないし・・・。

 

「うんうん素晴らしいものです。・・・お婆ちゃんも来ているんですか!早く会いたいなぁ・・・。でもまだ引越しの途中ですよね、お手伝いに行かないと!」

 

恩は返す!何かあの時は返せなかったしな!引越しの手伝いなら任せろぉ!バリバリー!半霊を使えば効率は凄まじく上がるぜー!

 

「そうでごザルか!母上も喜ぶでござろう、ささ、早く飲んで速く治すでごザル。」

 

うおぉー!飲むぜぇー!超飲むぜぇー!丸薬もかじるぜぇ!

 

「ゴホッ!・・・ゲホッ!ゴホッ!・・・む、むせった・・・」

 

「焦りすぎでごザルよ、妖夢殿。ゆっくりと・・・そう、そうでごザル。」

 

い、勢い良く飲み過ぎた・・・身体が痛んでむせったぜ、にしても猿は本当に医者って感じだなー。信頼できるぜ。んな事を考えている間にも身体の傷は塞がっていく、ポーションと癒しの丸薬が効果を現し始めたのだろう。

 

よし、治療も終わったし行動開始だ!・・・何しようかな。ダンジョンに行くのもいいけどまずはベートの様子でも見てくるか!

 

「ありがとうございました、では少し行ってきますね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・とは言ったものの・・・ベートどこだよーここはどこだよー。なんか歩き回ってたら迷ってしまったぜ、そこらにロキの眷属の人たちは居るんだけど何故か話し掛けようとすると逃げちゃうんだよな。何故だろうか?ままさかベートが死んだとか・・・いや、だったら俺が無事じゃないか。ふっ、恐れを成したか人間よ・・・・・・。

 

・・・寂しい。話しかけても逃げられるってのはこんなにも精神的にダメージを負うものなのか、心も鍛えねばなぁ。いやいや待て待て、このままだとボッチルート確定じゃねぇか!俺友達とか1人しか居ねーぞ、ヤバイなこれは。・・・友達・・・?ハッ!カチューシャがねぇ!?

 

俺は頭につけていた黒いカチューシャが無いことに気が付く。実はこれは唯一の友達に貰ったものなのだ。

 

俺は全力で来た道を駆け抜ける。急げー!走れー!俺は曲がり角を90度直角カーブして先を急ごうとするが。

 

「みょん!?」

 

変な声を上げて通行人とぶつかってしまう。ここは黄昏の館、つまりはぶつかる人なんてほぼロキ・ファミリアの団員である。んでもってぶつかったのが・・・犬っころだ!じゃなくて狼だ!

 

「狼さん!?」

 

「ベートだ、いい加減名前覚えろ、馬鹿なのか?」

 

おんおんおん?やんのか?誰が⑨だ、一般的な数学なら余裕のよっちゃんだぞ!そもそもお前だって俺の名前覚えてないだろどうせ。

 

「甘く見ないでください!ちゃんとした教養はありますよ!そもそも狼さんだって私の名前覚えてないくせに。」

 

「ああ?舐めてんのかこのガキィ・・・。名前くらい覚えてるっつーの。確かぁ・・・こんぺいとうだったか?」

 

・・・マジで覚えてないのか?俺はジーーーーーーーーっとベートを無言でジト目で睨みつける。

 

「・・・あー・・・妖夢・・・だったか?ハッ!雑魚の名前なんて覚えにくいったらありゃしねぇ。」

 

なんだよ、覚えてんじゃん。しっかたねぇなぁ〜名前で呼んでやるよーはっはっはー!

 

「フフン、正解です。そこまで頼まれては仕方ないので名前で呼んであげましょう!」

 

俺は腰に手を当て胸を張りドヤ顔でそう言い放つ。するとベートはハァーと深いため息をつき、頭を掻きながら俺の頭に手を置く。

 

「・・・悪かったな、本気で蹴っ飛ばしてよ。ロキの野郎に謝ってこいって言われてな、部屋に行こうとしてたんだ。」

 

・・・・・・・・・・・・え?誰この人。俺は知らないぞ、こんな優しい人知らないぞ!あっ、まさかこれは認めてもらえたのか?何がとかはわからないけど。よし!ならばここで言おうか。ふっふっふ、許して欲しければ我が願い聞くがよい!

 

「意外です、ベートが謝るなんて。まぁ、この際それは置いておいて。許して欲しければ私のお願いを聞いてください」

 

「そうか、じゃあな。」

 

おいぃいいいいい!待って!まだ何も言ってないから!聞いて!聞くだけならタダだろうが!そんな難しいものじゃないから!簡単だからお願いしますー!

 

「うわー!待ってください!簡単なお願いですから!」

 

サササっ、とベートの前に回り込み頭を下げる。するとベートは面倒くさそうに対応してくれる。

 

「ったくこのガキはぁー・・・で?なんだよ」

 

や、優しい・・・ほんとにベートだよな?実は中身違う人とかないよね?ま、まあいいとして本題だ。

 

「お願いは二つあります――」

「じゃあな」

 

いや、だぁかぁらあぁぁぁあ!聞けえぇぇ!俺の話を聞けぇ!仕返しか?!酒場での仕返しなのかァ!?

 

その場を去ろうと踵を返すベートの前に再び周り込む。

 

「一つ目は私と戦った感想を教えてほしい、と言うものです。」

 

そう言うとベートはしばらく黙り込む。戦いを思い出し言葉を考えているのかもしれない。

 

「・・・てめぇは出し惜しみしすぎだ。最後の技、あれを最初からぶっぱなしてりゃあ俺を倒せただろ・・・舐めてんのか?」

 

うぐッ!・・・つ、次からは・・・って言いたいけど技を最後までとっておくのはこう・・・ロマンというかですね?様式美って奴で・・・。一応言うけど零閃とか音速より速い程度に速度落ちてるとはいえ切り札クラスよ?あれ。出し惜しみはしてないと思うのですよ私は。開幕でぶち込んだし。

 

俺がそう説明すると納得いかなかったようで少し不機嫌になった。こっちだって色々とダンジョンでイメージトレーニングをしてたんだから手抜きじゃないぞ!終始ベートに押されていた性で殆ど技使えなかったけどな!スキル使って初めて攻めれたんだ、やっぱりレベル5は化物ですわ。

 

「では二つ目のお願いは――――」

 

 

 

 

 

ロキ・ファミリアのとある部屋にて、ロキとファミリアの幹部達、そしてタケミカヅチと桜花、そして猿師が対面していた。

 

「まずは礼を言おう。妖夢と試合をしてくれた事に感謝している。」

 

タケミカヅチはそう言い軽く頭を下げる。桜花と猿師も軽く下げた。

 

「いやいや気にせんといてーや。ウチの子供達もいい経験になったやろうしなー。」

 

「そうはいかない、こちらの無理を受けてくれたのだから礼くらいはさせてくれ」

 

「いいんやって、こっちも下心満載やったし、寧ろこっちが礼を言わせてーや。べートがな?「あのガキには負けられねぇ!」とか言ってメチャンコやる気出してな?こっちとしては嬉しいことずくめなんよ。」

 

そんな事を話していると扉が開きアイズが入ってくる。

 

「あの子・・・起きたよ・・・?」

 

その言葉にタケミカヅチ達は何処かホッとした表情を浮かべ、ロキ達は驚いた様な顔をする。

 

「マジかいな、まだ運ばれてから1時間もたってへんで。妖夢たんは何処に行ったん?」

 

ロキがアイズにそう聞くとアイズは少し考え込んで話し出す。アイズは会話が少し苦手なのだ。

 

「・・・ベートと・・・ご飯食べに・・・2人で行っちゃった」

 

ショボーンとなるアイズをよそにこの場にいる者達は皆唖然としている。内容はそれぞれ違ったが。

 

「まさかあのべートが・・・」

「ありえん・・・」

「んなアホな、ついさっきまで斬りあってたやないか・・・」

「ハッハッハやはり子供はそうでなきゃイカンなハッハッハ!」

「ハァー、妖夢、お前ってやつは・・・がめついというか遠慮がないというか・・・」

「・・・千草に何ていったらいいんだ・・・」

「青春・・・でごザルな〜!」

 

フィン、ロキ、リヴェリアは純粋にベートがそういった行動に出ることに驚き、ガレスはなんだろう。タケミカヅチは妖夢の行動をある程度予測し、桜花と猿師は勘違いしている。

 

その様子を見たアイズは首を傾げ、内心で剣術について色々と聞きたかったなと思うのだった。

 

 

 

 

 

豊饒の女主人にて、べートは妖夢と食事に来ていた。

 

(どーして俺がこんな事を・・・)

 

べートはそんな事を思いながら目の前で目を輝かせながら夢中で話をする妖夢にテキトーに相槌をうっていた。

 

(こんな奴に一撃で脇腹持ってかれたのか・・・)

 

「それでですね、そこで私がズバッと切りつけて、そこを命が、あっ、命というのは今日来ていたポニーテールの子です。それで命が―――」

 

(はあああぁぁぁ・・・うるせぇなー、飯をくえ飯を、さっきから話してばっかじゃねぇか。周りからめっちゃ見られてんぞ)

 

ヒソヒソとベート達の事を話す声がしっかりとベートには聞こえていた。しかし目の前の少女は話すのに夢中のようでそれに気づいていない。

 

(はぁぁ、これで変な噂とかたったらマジぶっ飛ばしてやる。)

 

「ベート!ベート聞いてますか?」

「聞いてる聞いてる」

 

まず食え、そう言えば妖夢はちゃんと食べると思うのだが、ベートは何故かそう言わない。テキトーに相槌をうつだけだ。

 

「聞いてくださいよ!タケってば命の気持ちに全っぜん気付いてくれないんです!もう、鈍感とかそこら辺を超えていますよ!」

 

そして話はファミリア内の恋愛話しにまで変わり始めた所でようやく決心がついたのかベートは声を上げる。

 

「飯食えよガキ、冷めちまってるじゃねぇか。そんなんじゃ何時まで経ってもチビのままだぞ」

 

「みょーん、わかりましたー。・・・冷めてる」

 

しぶしぶといった風に食事に手をつける妖夢、ベートはまたため息を付く。

 

「あむ・・・もぐもぐ・・・それにしても意外ですね、ベートと食事を一緒にするなんて」

 

食べながら会話を続ける妖夢、別にマナーがなってない、とかベートは言う気は無い、もともと冒険者で食事のマナーを気にする人は結構少ないのだ。

 

「気まぐれだ、ちょうど12時近くだったからな」

「ほうれふか、でもうれひいでふ」

「アホ、話すか食うかどっちかにしろ」

「ふぁい」

 

 

 

どうも、俺です。今、ベートとご飯食べてます。・・・いやー・・・びっくりだねぇ、まさかベートから誘ってくれるとは。ホントだぜ?嘘じゃない。実は二つ目のお願いは俺と友達になってくれーっていうやつだったんだけど案の定断られ、「もう昼だしついでだ、てめぇも来るか?」という感じに食事に来ているのです。多分話しを逸らそうとしたのかな?あ、ちゃんとカチューシャは取りに行ったよ、そこでアイズに会ってご飯食べに行くことを話したんだ。

 

すると薄鈍色の髪をしたこの店の店員、シル・フローヴァがやってくる。・・・顔をニヤつかせながら。そう言えば俺ってこの人と話したことなかったなー。

 

「ベートさんベートさん、妹さんですか?うふふっ!」

 

明らかに違うよね、俺獣耳ついてないよね。何なの?アイズもアンタもどうして俺の頭に獣耳を幻視してるの?

 

「・・・・・・うるせぇな、あっち行ってろ」

 

否定しないのかよー!否定しなさいなベート君!なんだ、俺に猫耳いや、狼耳を着けろと?!

 

「あら?否定しないんですか?」

 

意外、と小さく呟くシルを他所にベートはうんざりとした表情でガクリと項垂れる。・・・あー、これは前と同じ\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!状態ですな。まぁ、SAN値っつーより怒る気力が無くなってるだけだろう。

 

「ええと、店員さんベートは疲れて反応出来ないみたいなので、それと私は妹ではなくベートの友達ですっ」

 

ふっ、先に周りに広げ、周辺から固めて行く感じで行くか(笑)冗談だけどさ。

 

「おい、誰がテメェみてぇな糞ガキと友達になったよ」

 

ひっでぇ!糞やて!糞付きやん俺!今まで付いてなかったのに・・・何が原因なんだ!全く、斬りあった仲だろ?戦う内に徐々に友情が芽生え戦いの後に握手して友達になる・・・王道だろう?俺はベートとそんな感じの友達になりたい!具体的には強敵(とも)になりたい!

 

「全く、斬りあった仲ではありませんか。得がたい強敵(とも)です。あっ、強敵と書いて友と読むほうですよ」

 

「はー、こっちはお前の愚痴聞いてうんざりしてんだよ、そういうウザイ奴は友になんかならねぇ」

 

な、なんだってーーーー!!orz

 

「みょーん!」ガクッ

 

俺達の最早軽い漫才じみた応酬にシルはたまらないと言ったふうに笑い出す。

 

「アハハッ!お2人は仲がよろしいんですね!」

 

「誰がこんな奴と!」

 

からかうシルとムキになるベート、きっと普段はこんな感じなのだろう。するとシルはミアに呼ばれ、厨房に入っていく。先程のショックが抜けきらない俺はテーブルに顎を乗せ腕を前に伸ばし「みょーん、みょーん」と言っている。いじけてますよーショックですよーとベートにアピール。フッフッフッ、子供が前でこんな事をしていれば大人ならばどうにか機嫌を取ろうと試みるはず!

 

「おいガキ」

 

ホラ来たぞ!ふん!誰が話すもんか!ちゃんと名前で呼んでくれないと返事しませーん。やーいやーいwww。

 

「・・・ふん!」

 

プイッと右を向く。お、おう、そこまでしなくてもいいんじゃないかい?ベートって意外と繊細だよ?

 

「・・・・・・・・・妖夢」

 

ベートは若干考える様にした後俺の名前を呼んでくる。意外と子供の扱いとかわかってるのかな?すぐさま返事を返す。

「はい?なんですベー―」

「子供かテメェは!!」

 

なんでさ・・・。

 

 

 

 

その後、俺はベートに燕返しや無明三段突きに付いての説明をした。ベートは疑問に思っていたらしい。

 

あれは多重次元屈折現象というとても凄い原理が使われていて、平行世界から自分を一時的に呼んでくる技なんだ!って説明したんだけどさ、何か可哀想な子を見るような目で俺の頭撫でて来たんだよね・・・なんだろう、くっそ心にダメージを負ったわ・・・。

 

「どうやって覚えた?」って質問に俺はちゃんと答えたんだよ。燕斬ろうと頑張ったら出来たらしい、自分はその姿を思い浮かべて素振りしたら出来たって。今度はシルさんに抱きしめられた・・・胸に無明三段突き食らった位にダメージ負ったわ。そのまま再びガクッとなってショボーンとしてたら帰る時間になってしまって黄昏の館まで戻ってきましたとさ!

 

「・・・・・・妖夢、ちゃんとお礼は言ったか?」

 

現在何故かタケが腕を組みながら俺の前で仁王立ちしている。お礼ってなんだ、戦ってくれたことか?・・・あれ、してないかも。しとくか、礼儀は大事だから。

 

「ベートありがとうございます、戦ってくれて。楽しかったですよ」

 

「ハッ!もう二度と自分より強い奴に挑まない事だな。まぁ、テメェが死んでも俺はどうでもいいけどな」

 

おお!ベートが心配してくれているぞ!ふむふむ・・・「お前が死ぬと目覚めが悪いから強い奴には挑むな、心配になるだろ」かな?ツンデレめ!男のツンデレとか誰得だよ!・・・だがなベートよ、俺はまだまだ強くならねばならんのよ。俺は英雄達の技を使える、でも、それは弱体化したもの。俺が強くならないと技本来のポテンシャルは引き出せない。故に俺は強くならなくちゃ行けないんだ、技の本来の持ち主に顔向け出来ないしな!

 

「心配してくれてありがとうございます。ですが私は強くなる為ならどんな強者にも挑むつもりです。・・・私にも目指す所があるので」

 

俺だって頑張れば一人でゴライアス位行けるさ。俺は覚悟する、どんな奴でも斬ってやる、と

 

「・・・ハッ!いい顔してんじゃねぇか、さっきまでみょんみょん言ってた糞ガキとは大違いだ」

 

うるせぇ、俺の意思じゃあどうにもならないのー、勝手にでてくるのー口癖なのー!てかナンパか?すみません、俺、心が男なんです。

 

「うるさい、口癖なんです。それとナンパはお断りです、お友達なら大歓迎ですよ?」

 

「誰がテメェなんかナンパするかよ!それに雑魚と連むつもりもねぇ!」

 

ほぅ?声優的にはロリコnげほごほっ、アクセラレータにそっくりなのに?違うのか・・・いや、安心したけど。

 

「では、また今度。さようなら〜!」

 

命と千草に目配せしてロキ・ファミリアの皆に手を振り自分達のホームに向けて歩き出す。少し遅れてタケや猿、桜花も横に並んで歩く。

 

「いや〜楽しかったですね。」

「はぁー色々と大変なんだぞ?もう止めてくれよ?」

「・・・んー」

「悩むな、桜花達がどれだけ心配したか・・・」

「むー・・・仕方ないですね・・・」

「いや〜青春でごザルな〜ブヘェッ!何でごザルか?!何が当たったでごザルか?!」

「秘拳半霊パンチです」

「アイエエェェ!半霊!?半霊ナンデ!?」

 

いや〜平和だなー・・・ベルは今何してるんだろ、リリと会うのはまだ先になりそうだし・・・モンスターフィリアはもう少しっつー事はダンジョンで頑張ってんのかな?

 

モンスターフィリア・・・変な花のモンスターが出て来きてティオナ達が苦戦する奴か・・・。頑張ろうか、目的のために。




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