オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
ダンジョン十六階層。
ダンジョンが解禁されてからというもの、冒険者達は挙ってダンジョンに飛び込むような事をしていない。
ギルドからのダンジョン進入禁止のお触れ、それは冒険者達を警戒させるには十分なものだった。しっかりとした準備を整えるべく、多くの者は未だ地上にいる。
そう、極小数・・・・・・ベル・クラネルを初めとした彼らは(妖夢達を除いて)誰よりも先にここ十六階層にたどり着いたのだ。
「はぁ〜、ベル様ぁ〜!リリは幸せですっ!まさか、まさか魔石とドロップアイテムだけでこのバックパックが埋まるなんて思ってませんでしたよー!」
「リリ、はしゃぎ過ぎたよッ!!け、警戒しないとっ!?」
「おおおい、落ち着け、落ち着けベルそれにリリ助。帰ったらあれだぞ、半分くらいは俺に渡せよ?防具も武器も作ってやるからな!な!」
リリはホクホク顔で幸せそうに歩き、ベルは興奮気味にそれを窘め、ヴェルフは欲を漲らせている。
「・・・・・・なんだかズルしてるみたいだね(能力って凄いなぁ)」
「それは・・・否定できませんが、スキルの様なものだとハルプ殿も言っておられたので問題ない、かと?(なぜ春姫殿に隠すのでしょうか?)」
「よく分かりませんが、アイテムが沢山貰えるのは喜ばしい事なのでは無いのでございますか?」
「うれしいよ?嬉しいんだけど。もう持ちきれないよ」
「そうですね、それに魔石やアイテムを落としっぱなしにしたら強化種が生まれてしまい危険かと」
「なるほど・・・・・・流石は命様と千草様っ!」
「「様!?」」
そんな!様だなんて!!と命と千草が慌てながら春姫に抗議する。
「おっとと」
命がバランスを取るためにたたらを踏む。命は両腕まで使って魔石とアイテムを抱えている。
なにせ10体倒した内、8体程はアイテムを落とすのだ。持ちきれなくなるのは必然だった。
なので今は出来るだけモンスターに会わないように慎重に進んでいる。十七階層にはモンスターは階層主のお陰もあってかあまり沸かない。
「ベル様、帰ったら何をお買いになられますか?」
「うーん、ヴェルフが装備は作ってくれるって言うし・・・・・・やっぱり拠点が壊されちゃったから、お家かな?」
「ですよねっ!ならやっぱりリリは大きな家がいいです!あ、やっぱり小さな家で静かに暮らすのもいいかもしれない(小声)」
ビュン!
今後手に入れるだろう大金に胸を躍らせる各々の前に、銀の閃光が横切る。それもとんでもない速度で。
『いやっふぅぅぅーーーーーーー!!!』
「待ってくださーーーーーーーーい!!!」
『オラどけモンスター!!あっ魔石と素材は置いていけ!!』
「ぐぬぬぬ!負けません!負けませんよぉ!」
妖夢とハルプが追いかけっ子をする様にダンジョン内を駆け回る。そして壁にヒビが入れば壁ごとブチ抜き、通路にモンスターが居ればすれ違いざまにぶった斬る。
もはや乱獲だ。素晴らしいのはそのコンビネーション。前に出た方が倒したモンスターのドロップアイテムを後ろにいる片方が回収する。あれだけ高速で動きながら素材を置きっぱなしにはしていないのだ。
『バックパック一杯だろ!?ほらよっと!』
「ありがとうございます!じゃあこれどうぞ!」
『はいはいー!っと、そらよ!!』
「右です!」『そいやっさ!あ、上お願いね』「勿論ですっ!」
バックパックを交換し、その途中でモンスターを刈り取る。
余りの神業にベル達がポカーンとしてると、2人はベル達に気が付いた。
『あっ!妖夢妖夢、千草達いたぞ』
「あ、ホントです!千草ー!命ー!春姫ー!」
壁を蹴り方向を転換、飛ぶような三歩で跳躍、くるりと回って綺麗に着地を決める。そしてフィニッシュのポーズ。「『ブイッ!』」とピースを決めた。
『おお皆、荷物1杯だな!』
「はい!僕達も沢山ドロップして、ハルプさんのお陰ですよ!」
『ははは、それほどでもある!』
ハルプのしてやったりと言った顔に、ベルが答えればハルプは自慢げに無い胸を張る。
『よし、じゃあ進もうか。妖夢、バックパックあといくつ持てる?俺もうパンパンなんだけど』
「戦わなくていいならあと四つは行けますよ」
『うーん、どっちがいい?俺も腕とか使えば四つ持てるけど。妖夢戦いたい?それとも荷物運びながらお話したい?』
「お話し!お話しがいいです!あでも戦いたい・・・い、いえやっぱりお話しで!」
ハルプと妖夢は話し合い、どちらが残るか話し合う。結果としては妖夢が残ったようだ。妖夢はニコニコと笑いながら命達やリリルカ達と話し合う。
賑やかに話しながら、彼らは新しくなったリ・ヴィラへと向かっていくのだ。
僕はほんの少しの疲れを感じながら十八階層への坂を下っていく。下るにつれて背中が汗ばんでいく。
思い出したんだ、あの日の事を。じんわりと冷たいものが体を這う。首を振ってそれを払い、僕はみんなを振り返る。
「みんな、行こう!」
「はい!」「おう!」
リリとヴェルフがいつもの様に返事を返し、命さんや千草さんも頷いてくれる。春姫さんはドキドキしてるのか不安そうだ。
「そんなに緊張しなくても・・・・・・と言いたいですけど、無理な話ですね。私も若干緊張していますから」
妖夢さんが困ったように笑う。その笑顔に一瞬ドキッとしてしまったけど、リリに蹴られて正気に戻る。
「よ、よし!」
自分を奮い立たせ────「じゃあ誰が一番速く降りられるか勝負しましょう!!」「畏まりました!」「えっ!?わ、わかったよ!」「コンっ!?」──へ?
バッ!と駆け出す妖夢さんたち。目を点にして呆ける僕ら。 ってこんなことしてる場合じゃない!
「行くよリリ!」「はいっベル様!」
「・・・・・・。はっ!いや待てよお前ら!?」
駆けていくにつれ、徐々に明るくなる。数秒の事だったけど、その中で僕は思う。
僕の目の前を走っている妖夢さんや他の人達に追い付きたい。超えたい。追い越したい。
負けたくない。
「僕がっ!!勝──!!」
本気で走る僕を嘲笑うように、妖夢さんが掻き消える。確か「縮地」という技術だったはず。
それに続くように命さんと千草さんも掻き消えた。
「は、はや?!」
僕が到着した時には既に、妖夢さん、命さん、そして千草さんが居た。僕は4位だった。縮地って凄い・・・・・・。
自惚れてたのかな、千草さんには負けないと思ってた。ごめんなさい。
「1位です!」
「妖夢殿、ずるい」
「速いよ、もう」
うぅ、若干、なんて言うか男としてのプライドのようなものが砕かれた。変なところで驕ってたらしい。こう言ったところで自覚できてよかった・・・・・・。
「───────」
最後に春姫さんがハァハァ言いながら辿り着き、誰もがそれを讃えた。そして、高台となっているこの場から・・・・・・戦地を望む。
「穴?」
春姫さんが呟く。よく響く高い声、妖夢さんがそれに頷き話し出す。
「たった一つの魔法がこの光景を作り出しました」
階層の中央、そこから総面積の半分程の巨大な穴。そこへ川が流れ落ち、滝を作る。今までのような水浴びが出来る場所は殆どない。
「沢山の犠牲の上に咲く、酷く醜い桜がこの光景を生み出しました」
木々も全くと言っていいほど生えてないし、本来なら至る所にあった水晶も今は疎らにある程度だ。
階層そのものも薄暗くなってしまった。あの魔法がどれだけ規格外なのか、この光景を見れば分かる。
「魔法とは・・・危険なものばかりです。春姫、貴女の魔法もです」
「私の・・・・・・?」
「はい」
神様は言っていた。
「あの魔法は、ダンジョンを殺したんだ。一部だけとはいえ、ダンジョンを」
ダンジョンは生きている。だから壊れても治るし、モンスターが生み出され続ける。
でもあの穴の部分は治らないしモンスターも生まれない。完全に機能を停止しているんだ。
「だから、確りと考えてください。それを隠して生きろとは言いません。それを独占するつもりも有りません。貴女の自由です」
妖夢さんがニコッと笑う。どこか無理をしているように見える。けど、多分平気だ。よく分からないけどそう思う。
「さーて。右手をご覧くださーい!なんと、街です!」
妖夢さんがコホン、と咳払いをして明るい声を出す。
え?街?
と僕らが振り向けば、そこには本当に街があった。この間来た時とは違ってとても頑丈に見える。
でもどうして・・・・・・?ダンジョンは封鎖されていたんじゃ?
『おーい!みんなー生きてるかー?』
「ハルプさん!?」
遠くからハルプさんが岩の竜・・・・・・たしかガーゴイルに乗ってやってくる。
テイムしたのかな!?
「えええどういう事ですか!?」
「わわわ、分かりません!」
「妖夢ちゃんたち何したの!?」
「あっ!グロス様!」
「「「グロス様!?」」」
慌てふためく僕達を見て、ハルプさんが『ふふふ、ははは、はーっはっは』と笑い、頭をグロスと呼ばれたガーゴイルに叩かれて『むわー!』と地面に落ちる。
何やってるんですか・・・・・・
おのれグロス。ゆるざん!俺のかっこいい登場を無駄にしやがってーー!
俺は頭を押さえつつ、グロスの上にもっかいよじ登る。グロスが身動ぎするがその程度で落ちる私では無いわ!
『みろ!俺の友達だっ!』
「友達!?」
ドヤ顔で宣言しつつ、グロスの頭をベシベシ叩く。
ぬおわっ?!落ちるか馬鹿め!
「どう見ても抵抗されてるのですが・・・・・・」
『いや、普通に考えて頭乗られたら嫌だろ?そういう事』
「グルルルル!」
『いやですー!降りませんー!』
リリに指摘されたけど、そもそもテイムしてないし。抵抗されるのは当たり前だ!!
だがそもそも「乗っていい」と言ったのはグロスだ。何処にという指定が無かったから頭を選んだのに。
『とりあえずさグロス、もう演技しなくていいよ?』
「・・・・・・」
「「「「?」」」」
みんなが「えっ?」て感じでこちらを見ている。ふふふふ、驚く顔が目に浮かぶぜ・・・・・・。
「良イノカ?」
「「「「!?!」」」」
グロスがそっと呟くと皆が驚く。ぷくく・・・・・・やばい、面白すぎる。特にベル君っ口がっ!あが〜って開いてるっ!
「い、いま・・・・・・話して・・・・・・?」
「うそ・・・・・・モンスターが?」
笑うな、笑うな俺っ!!
「プクッ・・・・・・ふふふ」
『妖夢さんッ!?笑うなよそこで!!ここ真剣な場面だからね!?』
「で、でもっ!あは、ベル・クラネルさんが・・・・・・ごめ、ごめんなさいっ!」
妖夢が「耐えられない」と言ったふうに笑いだす。やめろォ!俺だって笑いたいんだぞ。でもアイツらからしたらとんでもなく重要なことなんだぞ!?
元から「魔物?あぁ、どうせ話すんでしょ?ファンタジーだもんね、知ってる知ってる」みたいな価値観してた俺と、「え?なんで話さないの?」みたいに思ってたお前とじゃ全然違うんだぞ!?
・・・・・・確かにそうですねって妖夢ぅ、え?妖怪みたいなやつが多かったからどうせ話す奴らも多いだろって思ってて知ってる人も多そうだなって?でも俺の知識が流れ込んできた時に、知ってる人は少ないと知って驚いた?
うん、だから価値観の違いはあるし、結構大きいよ?
アイツらからしたらアレだ、目の前に落ちてる導火線に火のついた爆弾が「ボク、アンゼン、ダヨ!!」って言ってるようなもんだ。
それは確かに怖いですね?そうそう怖いよ。とても怖い。
「ぇ、えっと妖夢、さん。これは・・・・・・どういうことでしょうか?」
目を点にしてる千草達を除き、リリが俺たちにそう聞いてくる。ふふふ、流石はリリ。お目が高い。1歩足を後ろに下げた所とかイイね。警戒は重要。
『その通りだ、リリルカ。そう、今貴様が想定した最悪─────────モンスタートラッ「えいっ」あだっ!?』
いっでぇ!?・・・・・・俺はお化け、痛くない!
「もう全く。リリルカと仲良くなれたかもっ!!って喜んでた癖に、そうやって好感度をわざと下げるような事しないで下さい!」
『おいおい、本人の前でそれを言うか?それじゃ俺が素直になれないツンデレみたいじゃーないか』
「それでいいのでは?」
『良くないわっ!』
くそぅ、なんか生暖かい目が向けられてるんですけどぉ?どうすんのさこれ。
「えっと、その、どう説明すれば良いんですかこれ?」
『・・・・・・あ、もしかして前まで説明下手だったのって妖夢のせい?』
「うぅ、すみません」
『いいよいいよ』
よし、ここは圧縮言語を使うしかないな。まぁ圧縮言語と言うよりは能力によるテレパシー的なものなんだけど。
うぉー、みょんみょんみょん・・・・・・!
「「「「「「なるほどぉ」」」」」」
「す、凄いですね。良く分からないうちに全員が理解しましたよ、何したんですか?」
『能力で理解させたのさ!』
「万能ですねぇ」
『ねね、罅とか無い?』
「はい、ありませんよ。綺麗なお顔です」
『ふぅ良かった』
どうやら能力は完璧とは言えないまでも扱えるようにはなった。今のところ罅とかも見られないし。
「それにしても
「う、うん。モンスターなのに人と同じ心を持つ」
「あー、あれだな。モンスターと戦うのが少し億劫になった」
「!?も、もしかしてさっき戦ってたモンスターの中にも?」
強引ではあるが、ゼノスがどんなものか理解したベル達は、先ほどの戦いで殺していたのでは?と僅かな罪悪感に捕らわれている。ま、ゼノスが生まれる可能性とか低いし、平気だろ。
『いや、それは無いと思うぞ。ゼノスはモンスターからも攻撃されるからな』
「モンスターからも?」
『外見以外は人間扱いなんだよ、ゼノスの皆は』
モンスターからも狙われるという事で、ベル達からの憐憫?の気持ちが強くなったように思える。よしよし、このまま味方に引き込むぞー。って、そう言えばガネーシャと接触してないな俺。後で行くか。
「・・・・・・」
ベルが考え込んでいる。多分「助けてあげたい」って気持ちと、今までの常識がぶつかりあってるんだろうなぁ。にしし、少し卑怯な言い方をしようかね?
『ベル、お前は何になりたい?』
「え?」
『お前は何になりたいんだ?』
俺はニヤニヤしながらそう言う。だって結果はわかってるので。
「えっ!?えっと、そのぉ、あはは・・・・・・」
『なに?』
「っ!」
誤魔化そうとするベルにグイッと顔を近づけつつ首を傾げる。上目遣いも忘れないぞっ!くくく、やばい楽しい。ベル君真っ赤だぞはっはっは!
「え」
『え?』
「英雄・・・・・・です」
頭から煙を吹き出しながらそう言ったベル。よしよし、ここで「アイズさんの旦那様ぁ!」とか言い始めたらどうしようと思った。
『そうかそうか』
嬉しかったのでそれをアピールしつつ、話を進めていく。
『じゃ、質問だ。お前の目の前には沢山の誰かが乗った船がある』
「ふね?」
『そう、嵐が海を怒らせて今にも沈んでしまいそうだ。君にはそれを救うだけの力があった。助ける?助けない?』
「助けます!」
ベルはすぐに答えた。
『では、そこに乗っていたのがモンスターだったら?』
「え、えっと・・・・・・・・・・・・助けません・・・・・・」
グロスの方を伺いつつ、正直に答えた。ここで助けますとか言ったら信用無かった。
『そうか。じゃあ、そのモンスターが意志を持っていて、ベル・クラネルに「助けて!」と言ってきたら?』
「!?」
ベル君の顔が若干歪む、想像したのかな?いや、それとも?
『こわい、たすけて、だれか。って叫んでいたら?』
「・・・・・・助けます」
「ベル様?!」
『そうか。その結果人々がベル・クラネルを蔑むかもしれないぞ?』
「っ!・・・・・・それでも、助けたいです。助けてって言ってるなら、助けられる力があるなら、助けてあげたい」
『・・・・・・ありがとな』
「で、でも、なんでこんな質問を?」
ふふふ、待ってましたその疑問!!!止めの一撃をくらえぇ!・・・・・・なんか俺悪役!?
『──────俺も
「「「「「!?」」」」」
今まで静かに聞いていた皆もその目を見開き驚いている。
まぁこれで・・・・・・自惚れでなければ仲良いし?味方になってくれんじゃね?みたいな?
「ハルプさんが・・・・・・」
「ゼノス、だって?」
『おう、だからさ仲良くしてもらいたいんだ。俺と仲良くなれたんだし、他の皆とも行けるだろう?因みに言っておくけどな、異端児としては俺が一番酷いんだぞ?それと話せているんだから他の奴らとも行ける!』
「ええぇぇえ?!だってハルプ様はスキルで・・・・・・!?」
「確かにそうだ」
『────あれは嘘だっ!』
「「「えぇえ!?」」」「コン!?」
ハッハッハッハー!俺はスキルでは無かったのです!ちなみに!スキルだよって言っても嘘だと思われないのは、確かにスキルでもあるからだー!ずるい!ややこしい!
まぁそんなこんなで、リ・ヴィラに入った冒険者諸君。皆には俺が魂だけのへんちくりんであることは教えた。驚いていたけど、モンスターが話した事に比べると納得が言ったらしい。よくわがんね。一応秘密にするように言っておいた。
そんな皆が俺と妖夢がニヤニヤ見守る中、心を持ったモンスター、ゼノス達と触れ合っていく。ベルも良いけど、リリがとても面白い。
嫌だ。と顔に出しているくせに、アルミラージが来たら周囲を見渡し、誰もいないことを確認した後、良い子いい子と撫でている。微笑ましいなぁ、という訳で霊体化からの実体化からのリリの頭をナデナデ。
「ひゃいっ!?ハルプ様!?」
『ナデナデ〜』
「や、やめて下さいっリリは子供では───。」
子供ではないと言おうとしたのだろうか?周りに人が居ないことをもう一度確認し、安全と判断したのかアルミラージを抱っこしながらこちらを見る。
も、もっと撫でてって事かな!?可愛いなおい!
「こ、こ、子供ではないので・・・・・・その、やめて下さい」
涙目で凄い残念そうに言ってらっしゃる?!なんだそれ破壊力あり過ぎかよ!?
俺の撫でる手が止まらねぇえ!
「ズルイですよハルプ!!私も撫でさせて下さいっ」
「なっ!?」
『えへへ~可愛いなぁ〜』
「ホントですねぇ〜」
「ちょ止めてくださ」
「キュイー」
「ひゃ!首を舐めないで!」
ぬししー。とイチャイチャしていると、リドが走ってくるのが見えた。仕方なくリリを解放してあげる。リリは顔を真っ赤にしつつも、満更では無さそうだ。
「ハルっち!頼まれてた材料は揃ったぜ!」
『お?本当に?』
「あぁ、フェルズが何とかしてくれた」
『あはは、伝説の賢者さまがまさかカレーの買い出しかぁ、後でお礼しなくちゃな。よぉし、そんなことよりも宴だぁ!!』
「そんなことって・・・・・・宴って!それに伝説の賢者って!!もう色々ありすぎてリリはパンクしそうです!!こんなのおかしいです!」
リリが悲鳴をあげるが、そんなことお構い無しに物語は進むのです。
宴の末、皆そこそこ仲良くなった。命とレイが歌を歌っているし、フォーの肩に春姫が乗せられて慌てている。でも楽しそうだ。ベルはリドと話し合いながらお酒を飲んでいるし、ヴェルフはレッドと鍛冶について話し合っている。レッドには鍛冶の技を軽く教えておいたのだ。さす俺。付け焼き刃だがそもそもの製法が違うのだろう、ヴェルフとの会話も盛り上がっている。
リリはいわゆる「カワイイ系」のモンスターに群がられて嫌そうにしているが幸せそうだ。千草がラーニェ達お姉さんに捕まり可愛がられている。
「・・・・・・ありがとう。私ひとりではこの様な光景は永遠に作れなかっただろう」
俺達はと言うとフェルズと話している。保護者視点で遠目から3人で眺めてるのだ。
「そんな事ありませんよ。ね?ハルプ」
『おう!そうだぜ?本当はこの後ベル達が結局はこの光景を作る事になる。・・・・・・俺達はそれを早めただけだ』
やってる事は手柄の横取りなのだ。誇ることでは無い。それに?もうすぐ戦争する少年にいきなり背負わせるわけですから?なかなかに悪役な俺。え?それって私も含まれますか、だとぉ?答えはyes!
「そうか・・・。だとしても、私は感謝するよ」
『そっか。なら、受け取っときますぜ?』
「あはは」
あ、そうだ。ガネーシャに話通してあるのか聞いとこうか。まぁ、話してあるんだろうけど確認だ。
『なぁ、話は変わるけどさ。ガネーシャに俺のことって言ってある?勝手に動いちゃってるから話付けとこうと思ってたんだけど』
「あぁ詳細は省いたがタケミカヅチファミリアに内通者が居るとは言ってある」
『なんで詳細省いたんだよぉ』
「むしろわかりやすいと思ってね」
「『確かに・・・・・・』」
ローブで隠れた骨の身がカタカタと笑う。おい笑うな。
フェルズが嬉しそうな雰囲気のままこちらを向く。
「『ひゃ怖い!!』あわわわ・・・・・・!お、おばっ──みょん(気絶)」
『よ、妖夢!?気をしっかり!ここここ、怖くねぇよっ!フェルズイイヤツだから!ここ、こわ、怖くないよぅ?!』
「・・・・・・」
ああぁ!?精神がやっぱり妖夢に引っ張られる〜!妖夢が怖がることにより、怖がる精神は2つ。つまり2倍の恐怖なのだ!!
妖夢のお化け嫌いがここまでとは、このハルプの慧眼をもってして見抜けなんだ・・・・・・。
「はぁ、とりあえずありがとう。そしてなんか済まない」
『た、
「噛みすぎだろう・・・・・・」
俺達のやり取りを見ていたのか場が笑いに包まれる。そんなことよりも妖夢を助けて。
この後ベル達VS戦える
結果だけ言うならベル達の耐久ステイタスとかが凄まじく上がったことだけは言っておこうかな?
コメントくだされ〜_(:3」∠)_