オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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今回は予告通りベル無双。原作でアポロン・ファミリアが何人くらいだったか忘れてしまったので、とりあえず300人位だろ!ってやってます。


原作とはだいぶ違います。そして速い。サラマンダーよりもずっとはやーい!です。




85話『大丈夫だよ、負けるわけ無いじゃん』

────僕は弐振りの魔剣を手に、城壁の前に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開戦を告げる銅鑼の音が、彼方より響き渡る。

制限時間は三日間。

アポロン・ファミリアVS純ヘスティア・ファミリアの戦争遊戯。

3対100ですら生温い数の暴力だった。ヘスティア・ファミリアから出場したのは団長ベル・クラネル、団員のリリルカ・アーデ、ヴェルフ・クロッゾの三名のみ。アポロンが出した“ハンデ”の一切合切を蹴った結果だった。

 

「ベル・クラネルさんは大丈夫でしょうか」

 

綺麗に掃除が終わり、普段と変わらない姿を取り戻した武錬の城にて妖夢は隣りに座るハルプへと問いかける。問いかけられた本人は『んー?』と聞いているのか聞いていないのか分からないような返事のあと

 

『大丈夫だよ、負けるわけ無いじゃん』

 

と言ってニシシと笑う。その表情からはベルが負ける事など少しも疑っていないのだろう。「ならいいのですが」と妖夢は不安げに神の鏡からベル達の様子を覗いた。

 

「二人共、ただいま。どうだ、ヘスティアの子は」

 

ギルドから戻ったタケミカヅチが二人の頭を撫でる。帰ってきた事には気が付いていたのか、さして驚くことも無く「『おかえりなさい!』と返す2人。

 

「えっと、1人で戦うみたいで少し心配です」

『ずるいよなぁー、俺達もああやって戦いたかったぜ。あっ、やっぱ今のなし!皆で戦う方が楽しかったっ!』

 

それぞれ反応を返す。タケミカヅチも少し嬉しそうだ。彼も彼女らもこんな会話を望んでいたのだから。

 

「タケ、命達は何処へ?」

「うん?あぁ、はははっ!確か広場で賭け事があってな、ベル達にお小遣いを全額注ぎ込んでくるらしいぞ」

『うへぇ、忘れてたぁ、俺もつぎ込めば良かったぁ』

「お前はベル達の勝ちを疑ってないんだな?」

『当然だろー、だって並のレベル4より強いだろアレ』

「私達は負けませんけどね!」『並のって言ったろ?』

 

命達の所在を聞き、項垂れるハルプ。しかし、タケミカヅチの問いにニヤリと笑う。タケミカヅチは知らないが、ベルのステイタスは現在全てB以上となっている。今までの貯金を踏まえ、なおかつアイズ+妖夢+ハルプ+ゼノス達に今迄扱かれてきたのだ。その技量も並大抵では無い。

 

『それに、俺の能力でほとんど結果出ちゃってるし』

「どんなですか?」

『それを言っちゃあつまらないでしょ?』

「確かに」

 

ハルプの能力でもその結果はほぼ判明しており、余程の奇跡が無い限りはひっくり返ることはない。

 

『うーし、戦いが始まるまで少し投影でも、やってよーか』

「えー、またヒビ入ったらどうするんですか」

『もう、ひび割れませんー』

「えー怖いですよー。やめましょう!」

『おだまり!アタシャ、和菓子を錬成するんだよ!』

「何故に口調が!?それよりも和菓子も出来るんですか!?ならぜひ!」

『・・・・・・あれ?俺の心配よりも和菓子が勝った・・・・・・?』

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

 

 

 

 

森の中、僕はリリとヴェルフと話していた。

 

「本当に、お1人で大丈夫ですかベル様」

「うん」

「俺たちに遠慮なんて要らないんだぞ?」

「ありがとう。でも、僕はやるよ。やらなきゃいけないんだ」

 

そうだ。僕は沢山の人に手を貸してもらった。アイズさんに鍛錬をお願いしたし、妖夢さんとハルプさんにも、ゼノスの皆にも手伝ってもらった。

 

「今の僕なら、あの青年(ひと)に負けない」

 

これは驕りじゃない。これは嘲りじゃない。確かな自信だ。これだけしてもらって負けましたじゃ済まされない。

 

「はぁ、こういう時のベル様は頑固ですからね。リリは諦めました」

「そうだな。っと、ほら使え。時間が無くて弐振りしか作れなかった」

「っ、あ、ありがとう。でも、いいの?」

「ダチのためなら意地も捨てるさ」

 

ヴェルフから渡された2本の魔剣。紅の剣と紫の剣。聞かされる内容は、紅は紅蓮の炎、紫は紫電を飛ばす魔剣だそうだ。

ただこれはただの魔剣じゃない。伝説の『クロッゾの魔剣』だ。分厚い城壁も壊せるはずだ。

 

まだ昼間だ、奇襲には向かない時間だけど、僕はこの時間を選んだ。見てもらいたかったんだ、僕の戦いを。少しでも成長したと思ってもらいたくて。

 

 

「─────じゃあ、行ってくるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んあ、なんだぁ?おいお前ら、なんか1人で来たぞ」

 

城壁の上、見張りとして配置されている男達はベルの姿を捉える。1人で歩いてくる白髪の少年。2本の剣を背にし、腰には2本の短剣。体はサラマンダー・ウールを着けている他は速度を落とさない為なのか最低限の箇所を守っているだけだ。

ぷふっ、と誰かが笑う。それに釣られるよように誰もが笑い始めた。

 

「だははははっ!!なんだアイツ!自殺志願者か!?おいお前ら!弓!弓構えろ!はっはっは!!」

 

小汚い笑い。構えられる弓。城壁の上だけでも100を超える人数だ。降り注ぐ矢もそれと同じだけの量があるだろう。100の矢を切り落とすなど、普通に考えて不可能だ。

勝利を確信した彼らの行動は速かった。裏からの侵入を危惧し数名を残し、素早くベルの見える城壁の上に集まり弓に矢を番えると、ベルが有効射程範囲に入るのを待ったのだ。

 

「なんだ?何してやがるあの白髪」

 

それにたいして、ベルの対応は─────一撃だった。

両腕を上げ、背に背負っていた2本の魔剣を引き抜き、同時に思いっきり振り下ろす。

紅蓮の炎と天を轟かす紫電が同時に放たれた。ベルの狙いがわかった時には既に遅い。集まっていた故に逃げる事すら覚束なかった彼らは一瞬にして吹き飛ばされることになる。

 

「「「ぐぁあああ!?」」」

「なんだ!どうした!!」

「ま、魔剣です!『クロッゾの魔剣』です!!」

「な、なんだとぉ!?」

 

城壁の一部と上に乗っていた冒険者の殆どを一撃で打ち倒した、それを確認したベルは一気に駆ける。草原を白いうさぎが凄まじい速度で走っていく。オラリオ全体が今の一瞬で湧き上がる。

 

「クソ!全員早く立て!リトルルーキーが来るぞぉ!」

 

最前線で指揮を執る皮装備の冒険者に、煙の中からベルが躍り出る。その手にはヘスティアナイフと牛若丸。

 

「─────シッ!」

「あがっ!?」

 

鋭い息と共に、紫紺と紅の光が踊る。一切の容赦なく放たれた2連撃は皮装備の冒険者の首と太股を切り付ける。さらに「はぁ!!」と言う掛け声とともに放たれた回し蹴りが皮装備の冒険者を吹き飛ばし、数人の冒険者を巻き込んだ。

 

「おのれ!させるか!!」

「っ、ふっ!!」

「なっ!ぐぼうっ!」

 

それを見た武者鎧の冒険者がベルを仕留めるべく槍を突き出すが、ベルはそれを牛若丸で逸らしながら一気に接近、飛び上がるようにして膝蹴りを打ち込む。さらに踞ろうとする武者鎧の冒険者を蹴り空中に駆け上がり、体を空にて反転しながら回転させ

 

「【ファイアボルト】ぉおおお!」

「ぐぁあああ!!」

 

魔法を連射する。その数12。360度へと放たれた雷炎は無詠唱だと知らない冒険者達を抵抗させる間もなく飲み込んで行く。

 

「っ!!」

 

着地すると同時に、そこ目掛けて炎を切り裂きながら飛び込んでくる複数の矢。2本を躱し、3本を弾く。そして駆ける。

 

「な、なんだコイツ!本当に()()()()かぁ!?」

 

一瞬にして肉薄したベルは油断なく一閃、弓を破壊した勢のままに回転。そしてニ閃。相手を装備事切り裂きながら移動する。飛び込んでくる矢を近くの冒険者を盾にする事でやり過ごし、冒険者を投げ飛ばして弓兵の動きを止め、近寄って短剣を突き刺す。

 

「ぐっ?!クソが!しね!!」

 

腰から短剣を引き抜いた冒険者が、自分にのしかかるベルを斬ろうと短剣を振るう、それを顔のギリギリで防いだベルは男の顔をぶん殴り気絶させ、次へ。

やたらと飛んでくる矢を全て避けるないしは弾き、ベルは縦横無尽に暴れ回る。

 

「く、矢が切れた!」

 

その言葉を待っていたかの如く、ベルは城壁を駆け上り喉元を切り裂くと同時に蹴り落とす。

 

「【ファイアボルト】!」

 

城壁の上を撫でるように雷炎が襲いくる。逃げられないものはそれに飲み込まれ、逃れたものは城壁の内へ。そしてそこにも雷炎は迫った。

 

「何なんだよあれ!?無詠唱だってのか!?」

「ぐぁあだれか!回復をたのギャァ!」

「お前ら!全員で囲め!!」

 

少しでも隙を見せた者からベルにやられて行った。低い姿勢で弐振りの短剣を構え、ベルは油断なく周囲を睨む。ジリジリとベルを囲むようにして動く冒険者相手にも、睨みを解かず動かない。

 

やがて包囲は完成し、冒険者達の余裕が取り戻される。

 

「へ、疲れて動けなくなったか」

「お前らやっちまえ!!」

「「「「「「うおおおおおお」」」」」」

 

全方位から迫る剣、槍、斧、槌、それらをベルは躱し、逸らし、流し、反撃を加えていく。

 

「っ!」

 

多少の傷をベルが負う中、冒険者達の勢いは止まらない。増援が駆けつけ、その包囲はさらに分厚くなる。跳躍しても逃れられない程の厚さだ。勝利を確信した冒険者達の攻めは更に凶悪となり・・・・・・ベルが動く。

 

「【ファイアボルト】おおおおおお!!」

「自爆だとぉ!?」

「「「ぎゃあああ!!」」」

 

自爆覚悟の魔法。自分の足元に十発。サラマンダー・ウールによって軽減されるが、それでもその威力は並外れている。多くの冒険者を巻き込むが、それで全員が倒せる訳では無い。

 

「自爆とかするか普通!?」「待て!奴がいない!!」

「なにぃ!?」

 

冒険者達は魔力の高まりを感じた。その方向は──上。

 

「─────行っけぇえええええええ!!!」

 

振るわれるのは2本の魔剣。紅蓮と紫電が咲き誇る。

冒険者を直接狙うのではなく、その足元へと。魔剣は主に従いその効果を存分に発動させた。

 

極光。からの爆音。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・よし、次だ」

 

土煙が晴れ、立っているのはベル1人。

開戦から10分とせずに、アポロン・ファミリアの3/4が倒れた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベルくーーーん!!イイぞーーー!やっちゃえーー!」

「そこよー!キャー!」

「ふ、フレイヤ!?興奮しすぎじゃないかい!?」

「何よ、いいじゃない」

「「「「そうよそうよ」」」」

「むむむ、ボクのほうが応援してるんだからな!ベルくーーん!!!!」

 

ギルドの上、神々の住居となっている其処から神々はこの戦いを俯瞰していた。

 

「なんだあの冒険者、無詠唱かよ!」

「欲しいな!うん欲しい!!」

「魔剣とかセコ過ぎィ!」

「というかあの動き、本当にレベル2かよ!?」

 

ベルのレベルは3だが、ハルプ達が起こしたゴタゴタやアポロン・ファミリアからの攻撃によりギルドへの報告はまだ済んでおらず、この場にいる者でレベルが3になっている事を知っているのはヘスティアのみだ。

 

「おいドチビ!なんやベル君また強くなってるやん!」

「そうだろうそうだろう!・・・・・・原因を考えると喜べないけどネ・・・・・・」

『おおっとぉ!?決めたーーー!!レベル2の冒険者6人を同時に倒したぁー!凄い!凄いぞベルクラネル!!』

「おぉ、今の回転剣舞六連やないか!使えたんやなぁ」

「か、カッコイイ・・・・・・さすがベル君だ!」

 

ヘスティア達の応援はベルには届かないが、確かにその心には届いている。

 

「(頑張ってくれよ、ベル君っ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───はぁ、はぁ。

 

とベルの荒い息だけが響いている。あと何人くらいだろう?そんな疑問が湧いては消える。

分からないが、進むだけだ。ベルに見えて来たのは螺旋階段だ。この先にヒュアキントスはいる、そうベルは理解した。

 

「──────よし、行こう」

 

リン、リンと鳴る腕、英雄願望を込めた一撃で塔ごと吹き飛ばす。少しでも多くのダメージを与える腹積もりだった。

 

「はぁぁぁッッ!!」

 

20秒チャージのクロッゾの魔剣。魔剣の破壊を代償に放たれるその破壊力たるや、上階のみならず─────塔ごと綺麗に吹き飛ばした。

ただ、奇跡的にヒュアキントスは直撃を避けており余波で空を舞っていた。「ぐぅあああああ」と言う悲鳴が昼の空に谺響する。

 

だが、ベルにはハルプからの教えがある。

それは『相手を信じろ。自分が使うその手は完全に対応されると考えて動け、自分の術の何もかもが相手にとって取るに足らないと思い込め。そんで、限界を超えて相手の予想を超えてやれ!───まぁあんまり俺はやってないけどネ!』と言うものだ。最後の方は小さくて聞こえなかったが、それは教訓としてしっかりとベルに刻み込まれている。

 

吹き飛ぶ瓦礫を蹴って跳ぶ。まるでそれは空を飛んでいるかのごとく。

 

「ぎ、ぎざまぁぁあ!!」

「まだ、行ける!」

 

それは誰に対する言葉だったか。ベルはヒュアキントスの言葉を完全に無視してかかと落としを叩き込む。ヒュアキントスが急降下する。この時点でヒュアキントスの敗北は確定したようなものだが、ベルはまだ「ヒュアキントスに逆転の手があると信じている」、故に、まだ攻めの手を緩めない。

 

「【ファイア────】」

「ま"、ま"っでぐれ"ぇええええええ」

「【───ボルト】ッ!!!」

 

放たれるその数───15。明らかなオーバーキルである。

 

「い"、い"やだぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

 

だが、まだ終わらない!ヘスティアとの思い出の教会!妖夢達の誕生会に参加出来なかった事!他にも諸々!たくさんの恨みをここにぶつける!

ベルのそんな思いは確かに届いた。背に回される手、壊れていない紫の剣。

 

「これで────────終わりだッッ!!!」

 

城の残骸に叩きつけられたヒュアキントスに、その紫電は落雷として轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

ベルとヒュアキントスとのラストバトル?に神々は──

 

「「「「「「「(さ、殺意パネェ)」」」」」」」

 

────ドン引きしていた。

確かにド派手だった。そこに文句はない。だが、伝説と歌われるクロッゾの魔剣をたかが一人の人間に使うか!?と言うのが彼らの認識だ。

 

一撃目でオーバーキル。空中からのかかと落としでオーバーキル。そこからの魔法連射でオーバーキル。からの魔剣でオーバーキルだ。

 

「ベルくーーーん!信じてたぞーーー!」

「す、素敵っ・・・・・・!」

「やばい、ウチここに居たらアカンやつと思われるわ。退散しとこ」

 

惚気けるヘスティア、濡れるフレイヤ、逃げるロキ。三者三葉の反応に呆れるほかの神々。

 

『っっったぁ!!見事にベル・クラネルがヒュアキントスを討ち取ったーーー!!』

『(観客達の歓声)』

 

実況も余りの仕打ちに一瞬硬直したが、それを「ため」という事にして一気に場を盛り上げた。神の鏡の奥、ベルは堂々と片腕を上げる。

そこへリリルカ・アーデとヴェルフ・クロッゾがやって来て、リリルカはベルに抱きつき、ヴェルフはベルの肩をバン!と叩く。

・・・・・・古城は全壊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『その為の右手』

「みょん?何言ってるんですか?」

『何でもないです』

 

いやぁ、酷いね。なんでああなったんだベル君。と言うかあの場所も不憫だよなぁ。だって、エロス達が直して、俺達が半壊させて、アポロンが直して、ベルが全壊だろ?つか、ベルさん?少しは手加減しても良いのよ?何人か死んだんじゃないかな俺が居なかったら。いや、俺の能力は完璧じゃないから何人か死んだかも知れんけどさ。

 

全く、なんで俺がベルの敵さんのお生命を守らなきゃーいけないんですかー?

もっとこう、明らかにベルが負けそうなのに対して俺が能力を使って勝てるようにするとかさぁ、したかったなぁ。

ま、現実なんてこんなもんよ。あ、待てよ?確かベルにも経験値ブースト掛けた気がする。・・・・・・うん、掛けてるね!ふふふははは、ベルは儂が育てた。

 

「むむむ、それにしてもズルイです!ベル・クラネルさんはあんなに思いっきり暴れてっ・・・・・・!!」

『確かになぁ、俺達も広範囲技ブッパしてぇ』

「やめろ、オラリオが無くなる」

「流石にそこまでの火力は、ねーハルプ」

『え、出るぞ』

「ぇ」

 

ふっふっふ、つか?私と妖夢の全力を合わせればタケの権能にすら迫るしぃー!ホントだかんな。

 

『さて、ベル達が凱旋するまで何するかー』

「もぐもぐあ、もう1個作れます?」

『あいよー、ほれ三色団子』

「・・・・・・なんだろう、俺はこれを受け入れ始めている。当然のごとくハルプの手のひらから三色団子が生えてくる現実を受け入れ始めているっ!!」

「正直ハルプって何でもありじゃないですか」

『使いこなせないけどなー、所詮人間ですしおすし』

「にん・・・・・・げん・・・・・・?」

『お前俺を泣かせたいの?』

 

そういえば俺さ、最近妖夢に距離を感じます(唐突)。私、気になります!なになに?嫉妬なの?俺の能力にたいする嫉妬なの?

え、違う?じゃ何さ。

 

「私が、その・・・・・・少し気になるのは」

『気になるのは?』「ん、何の話だ?『たぶん能力の話』ほう」

 

妖夢がもじもじしてる。でも直接伝えてこないのは、口頭で伝えたいからなんだろう。うんうん、偉いね。

 

「私とハルプは魂レベルでの融合を果たしていますよね」

『うん、いきなり難しい話でビックリだよハルプさんは』

「えへへ、ハルプの記録を見て少し勉強しました」

『はうっ!その笑顔120え〜ん!』

「ミスタードーナっハッ!?も、もう!茶化さないください!」

 

あ、すみません。

 

「ハルプの能力、可能性を操るという能力は非常に強力ですが・・・・・・私の能力と合体したせいで最高のポテンシャルを出せません。ほら、アレです、片足捻挫したまま戦ってる感じです」

『お、おう。具体的に来たねいきなり。・・・・・・あーあれだよ?俺は気にしてないからねそこら辺。正直皆と過ごせるだけで充分だし?』

「嘘です」

 

なにおう、なぜバレたし。・・・・・・つっても、まぁ「君には〜〜という能力がある!」って言われたら「うおぉ!使うぜー!」ってなるよな?んで持って「あ、8割しか使えねぇから」って言われたら「おうふ」となるのは当然だ。でもさ

 

『でも、こうしていられるのは限られた時間だ。だから、制限がある方が特別感があって良い。・・・・・・なんてのはダメかな?』

 

いいと思うぜ俺は。だって、いつまで一緒に居られるか分からないんだし。ずっと完璧だったらなんかこう、印象に残りづらいだろ?

 

「で、でも、私のせいで弱くなってしまったんですよ?」

 

うーむ、そんなに見上げられてもなぁ。こればっかりは妖夢の見方のせいだよな?

 

『そこはほら、視点を変えてみろよ』

 

妖夢が「?」と首を傾げる。サラサラの銀髪が動いて青い目がこっちを凝視する。視点って言われたから目に集中したのか、面白いなやっぱ。ふっここはカッコよく決めてやるぜー!

 

『─────だからこそ妖夢のおかけで幸せになれた、ってな!』

「っ!」

『はい、今の結論な!この話オシマイ!!さぁ、買い物行こうぜ!あいつら帰ってきたら喜ばせてやろう!』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、は、恥ずかしいぃぃい!?!何言ってるの俺!?なにが『だからこそ妖夢のおかげで幸せになれた』だよ!!バカ!はずかしいわ!!やばい死ぬ!成仏する!!思わず背を向けちゃったけど振り返れないぞコレェ!

 

『・・・・・・!!!』

「(照れてるな)」

「(・・・・・・て、照れてますね)」

「(妖夢、お前もだぞ?)」

「(は、はひ)」

 

ひ、ひぃなんか話してるよ!聞こえないくらい小さいけど話してるよ!どうせ「プゲラ、何今の言葉をウケるんですけど」とか言われちゃってるんだよぉ!

 

『よ、妖夢、しゃん、お財布って何処だったっけ!?』

 

あばばばばばば!舌噛む!舌噛む!俺の舌ってどうなってるの!?なんで幽霊なのに口から声出るのぉ?!今更すぎるか!!

 

「は、ハルプの中ですよ?」

『ソウダネ!ソウダッタ!!』

 

デスよねー!知ってました。スゲェ困惑した感じだったジャン!やばいもうダメだサヨナラ昇天します。

 

「めっ、目がっ、グルグルにっ!はっ、あははっ!止めてっ下さいハルプっ!!あはははははは!!もうっ可笑しいっ」

 

なっ!こ、こっちは真剣なのに!

 

『そ!そんなに笑う事ないだろ!!恥ずかしかったんだからさ!お前言えるのかよあんなセリフ!!』

 

転げ周りやがってぇ!!ぐぬぬぬ!!タケ!なんか言ってやれよぉ!・・・・・・な、なんか瞑想してる。

 

「──心頭滅却、明鏡止水───」

『おい、堪えてるだろタケ、おい』

「ブフっ!!・・・・・・・・・・・・つつかなければ、笑わなかったのにっ!!」

『うるせカミーユ』

「カミーユ?」

『ほかの世界の人。それよりも笑うなよー!』

「すまん」

『むー、許す!』

「ハルプちょろいですね」

『妖夢は甘いのに釣られるのでもっとちょろいですね』

「むむむ」『むふふ』「ぐぬぬ」『くくく』

 

ハッ!口で俺に勝てると思わぬ事だな妖夢!ふはははははははははは!(低レベル)

 

「う、うがー!」

『ふはは、へっ?うみゃーー?!』

 

ヒィ!?白楼剣!?白楼剣ナンデ!た、助けてー!

 

「ははは、仲良き事はって奴だな」

 

なんでさ!?








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