オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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遅れ過ぎた()

専門への願書云々や文化祭の準備云々その他バイトなどで書く時間が無かったでござる。

本当に申し訳ない。


89話『「─────英雄『永劫天翔斬』!!!」』

さて、感動的な場面もおわりっ!

妖夢達は朝食を取って栄養を付けなければ行けない。生命の営みだな、うん。

 

「よし、食べるか。頂きます!」

『「「「「「「頂きます!」」」」」」』

 

俺と妖夢、命に千草、桜花にウィーネに、最後にタケだ。みんなで食卓を囲む。ウィーネがいるからか、新鮮さを感じる。

 

『くっくっく』

 

俺が悪い笑みをしながらタケを見る。するとその視線に気がついたらタケがジト目で俺と味噌汁を交互に見やる。

 

「・・・・・・入ってないよな?」

『味噌は入れたぜ?』

「ええい、ままよ!」

 

タケは昔のことをおもいだしたのか警戒しながらも、一気に飲んだ。

あー!勿体ないなー。力作なのにぃ。ま、おかわりはあるからいいけどね。

 

「・・・・・・!美味いな!」

『当然だろ?』

「いやぁ、疑って悪かった」

 

そう言ってタケが次なる料理に手を伸ばす。時間がめっちゃ余っていたから春巻きを用意していたのだ。とうぜん、中身には辛子と山葵を練り込んだ具が詰まっている。加熱されると山葵の辛さが落ちてしまう・・・・・・故に!可能性の能力を使い中身を入れ替えておいたのさ!!(無駄遣い)外はホカホカ!中は生!喰らえぇえええ!

 

「んぐっ!?」

『かかったな馬鹿め!』

「くぁw背drftgyふじこlp;@:「」!?」

「「「タケミカヅチ様!?」」」

 

ふはははははは!わざわざオーバーリアクションありがとう!!

ん?どうした春姫、なんでプルプル震えてるんだ?あー、あれかタケが面白すぎて、けど食事中だから笑わないように気をつけてる的なアレか。我慢しなくても良いのにな。

 

「くぁw背drftgyふじこlp;@:「」!!」

「いやお前も食ってたんかいっ!!」

「くぁw背drftgyふじこ(ry」

「ウィーネ!?今までのやり取りを見て何故食べた!?」

 

うわぁ、大惨事だよ!やったぜ!そして桜花ナイスツッコミ!

 

『フハハハハ!』

「フハハハハ、じゃないですよハルプ!もしかしてこの春巻き全部辛いんですか?!」

『あれっれ~?妖夢さん、辛いの苦手なんですかぁ~?』

 

なんか妖夢が不安そうなのでからかってみる。多分、食べるんだろうなぁ。

 

「そ、そんなことはありません。ま、全く!タケもウィーネも修行が足りないのですよ!「ま、まへようふ!これはひけはい!」パクッ」

 

くくく、本当に食べてしまったのかい?

 

「─────────────!?」

『あー、可愛そーに』

 

この後全員に追いかけられることになったけどそれは置いておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆様に集まって頂いたのは以前お話していた、異端児救出作戦についてです」

 

ギルド前の開けた場所で貰った鎧を着てマントをはためかせる銀髪の少女、妖夢はギルドへと繋がる階段を数段登った所から目の前に集まっている者達へと語りかける。

この場に集まっているのは過剰戦力とでも言うべき面子だった。

 

タケミカヅチ・ファミリアの幹部。

 

ガネーシャ・ファミリアの精鋭達。

 

ロキ・ファミリアの主戦力。

 

フレイヤ・ファミリアからオッタルが1人。

 

そしてその他サポーター達だ。

誰もがこの救出作戦の狙いを理解出来ている訳ではない。しかし、彼らの上層部とでも言うべき知識層は理解していた。

 

いまだに立場がやや低い異端児をオラリオの主力が救い出すこと、また、異端児への不安や反感を持つ者達へのアピール。そして複数のファミリアが協力体制を敷く事で異端児を狙う者達への牽制にもなり得る。

 

「(それと、炙り出しの意味もあるだろうね)」

 

妖夢の説明を聞きながら、フィンはそう考えていた。今回の作戦には複数のファミリアが絡む。しかもそれはオラリオの主戦力と言っても過言ではないメンバーだ。

つまり、地上でコソコソと隠れている連中が動くチャンスである。

 

「(戦力は確かに減るけど・・・・・・彼らなら問題は無いだろう)」

 

フィンは残してきた団員を思い、そう判断する。それに対人戦に特化したタケミカヅチ・ファミリアがいるのだ。問題は無いだろう。動くかは不明だが、フレイヤ・ファミリアの4人もいる。

 

「(・・・・・・対人戦に特化とはなんなんだろうねホント)」

 

少し頭痛を覚えたフィンは直ぐにその思考を止めて、話に集中する。

 

「今回、私達か向かう場所は深層です。孤立した異端児が確認できた場所は三十七階層から五十階層の安全階層(セーフティエリア)までの範囲です」

「(白宮殿(ホワイトパレス)周辺か。というか、範囲広いな・・・・・・これじゃあ本当に1ヶ月掛かりそうだね)」

 

フィンは頭を抱えつつ、どうせならもっと探索をするべきだったとため息をつく。しかし、ロキファミリアの目的は『攻略』、けして『探索』ではない。ギルドからの支援で最短ルートを絞ってもらい、未開の地を切り開く事だ。

 

「(今思えば全てはギルドが仕向けた事だったか。・・・・・・なぜ隠していたんだろうか?)」

 

まぁいいか。そうため息をついて・・・・・・自分を抱きしめるティオネをどうやって引きはがすが考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンの中をけたたましい音を立てながら、大規模な冒険者の集団は進んでいた。その中腹あたり、サポーター集団の中に、僕は居た。

 

「緊張するね、リリ」

「そうですね、いきなり深層ですから」

「とはいえ、俺達も関係者だからな。ほっとく訳にもいかないだろ」

「ヘスティア様も妖夢様達の所で預かって頂ける様ですし」

「あはは・・・神様完全に子供扱いされてたよね」

 

タケミカヅチ様に連れていかれる神様、それを笑顔で迎え入れるタケミカヅチ・ファミリアの団員達。

その顔は何処か、会いに来た孫に接する祖父母の様な優しさに満ちた顔だった。神様は怒ってたけど、平気かな・・・・・・。

 

「よっと!にしても、こんなに食料が必要なんてな」

「文句を言わ無いで下さいヴェルフ様、何せこの規模ですから」

「確かになぁ」

「あっ!ちゃんと研石などは持ってきていますか!?稼ぎ時ですからね!」

「へへっ、抜かりはない」

 

2人の話に耳を傾けながら進んでいると、十七階層にやって来る。嘆きの大璧が修復されているのが見える。ゴライアスは中にいるんだろうか。

 

「止まれー!止まれー!一旦停止しろー!」

 

前から後ろへ止まるようにと号令がかかる。少し耳をすませればパキパキと音が聞こえている。

 

「ゴライアス、だね」

 

ゴクリと唾を飲む込む。これだけの戦力がいて勝てない訳は無いけど、やっぱり緊張する。

最前列では妖夢さんとハルプさんが・・・・・・準備運動をしている。もしかして2人だけで?

 

「ゴォォオオオオオオアアア───!!!」

 

壁を突き破りゴライアスが吠える。

 

『行くぜ妖夢!』

「はい!」

 

でも、その瞬間には妖夢さん達はゴライアスの顔の前まで跳んでいた。

 

『コイツは未来へ託す永劫の剣だ!!』

「我らが絆、とくと見よ!せーのっ

『斬空天翔剣!』

『「(プラス)!」』

「人鬼「未来永劫斬」!」

「『(イコール)!』」

 

仲良く交互に息ぴったりに叫ぶ。

 

 

『「─────英雄『永劫天翔斬』!!!」』

 

 

 

 

未来へ託す永劫の剣、そう叫んで放たれた技。2人は僕の目では追えないほどの速くなり、斬撃による閃光だけが残されていく。

 

「────へ?」

 

誰かの気の抜けたような声が響いた。ゴライアスは出てきた瞬間の姿勢から一切動けておらず、その体には斬撃の軌跡を象る光が未だ消えずに有ったからだ。

 

『「──お前はもう、死んでいる」』

 

同時に着地し、同時に刀を鞘に収める。そして、大火の花は咲き誇った。

一体今の瞬間で何回斬ったのか、組み上げられたブロックのようにゴライアスの体が崩れ、盛る炎に焼かれて灰となる。

 

『ふっ、完璧だな斬奪も完璧に「ハルプ危ない!」え?────ふぎゅ!?』

 

ドヤ顔と共に振り返ったハルプさんの上にゴライアスの魔石が落ちて来て、ハルプさんがそれに押し潰されて可愛い・・・・・・と言うよりも情けない声を上げた。

 

「す、すっげぇぇぇぇぇぇええええ!?」

「なんだ今の!?何も見えなかったんですけどぉ!」

「カッコよすぎワロスw」

「えええ、しかも魔石もちゃっかり回収してるし」

 

けど、それよりも先ほどの技がみんなの印象に残ったみたいだ。みんな口々に妖夢さん達を讃え、ハルプさんが魔石を体の中に取り込んでいく───え!?

 

「か、体より大きいのを飲み込んじゃったよ・・・・・・」

「ベル様、言い方がスケベです」

「なんで!?」

「そうだぜベル、デリカシーが無いな」

「そんな!?」

 

リリ達はもう「あの2人なら何やってもおかしくない」と思っているのか、落ち着いているけど僕やほかの人達は今の光景に驚いてばかりだ。

 

ドヤ顔で歩いて先頭に付くハルプさん、その隣をニコニコしながら歩く妖夢さん。レベルは近くてもやっぱり遠い存在だなぁと僕は思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、ししょーの後ろを歩いている。

薄明かりに照らされた空間、ここが十八階層だとわかる人はどれくらいいるのかな・・・?

 

「ンー、話で聞くよりも・・・・・・随分と凄いね、これは」

「そうだな。本来ならばもう修復されていてもおかしくは無いほどに時間は経っている」

「とんでもないのぉ」

 

リヴェリア達も冷や汗を浮かべている。たぶん私達が説明したあの戦いを思い出したんだと思う。

 

『でさ!そこで博士が出てきてさ“本当に申し訳ない”って言うんだよ!』

「えーなんですかそれ。誠意の欠片も感じないんですが・・・・・・」

『そうなんだよなー、閉所恐怖症の主人公にひどい仕打ちだよな』

「ご飯食べ辛すぎませんか?」

『やっぱり妖夢食い意地張ってない?』

「張ってません!だって首の後ろですよ!?」

『俺は平気ー』

 

ししょー達はよくわからない話をしてる。話に混ざりたい人達は話が終わるのを待ってたけど、語られる内容が面白かったからか聞きに徹していた。メタ〇マン、面白そう。

 

でも、この場所でする話なのかな。

 

「おい、てめぇら案内しろ案内」

「『はーい』」

 

べートに言われてししょー達が他のタケミカヅチファミリアの人と走っていく。と、思ったら全員が加速してリヴィラに消えた。縮地って凄い。

 

「あはは、相変わらず、非常識だね」

 

フィンが冷や汗をかきながらなんとも言えない、という目でそれを見送ると、言い終わるか終わらないかのタイミングでししょー達が戻ってくる。

 

「着いてきてくれるゼノスの方々の選出は完了です、リドとラーニェが来てくれるので間違いは無いでしょう」

『うむ。苦しゅうない』

「なぜハルプ殿が満足気なので?」

『なんとなくだけど?』

「自由かお前は」

『そう、実は俺、自由の女神なのよね』

「嘘ですね」

『はい』

 

真面目な顔でおかしなやり取りをする、みんなの緊張もなかなか解れている。

ししょー達を見ていると、守りたくなるような不思議な感覚がするのに、それと同時に背中を預けてみたいと思える不思議な感覚もある。

 

『ん、なんだよーアイズ、笑うなんて珍しいな?』

 

私と目が合ったししょー。ニッと笑って指摘されて、私は自分の頬が緩んだことを自覚する。最近はゼノスの事で気に病んでいたからか、久しぶりな気がした。

 

「うん。ししょー達、面白いよ?」

『ははは、有難う存じます。さて、一応確認しておくけど、誰も怪我人とかいないよな?』

 

ししょーの一言でみんなは点検を始め、ものの数分で万全である事がわかった。そして、彼らもやって来た。

 

「ハルプ、妖夢。準備は整っている」

「ハルっち、悪いな俺達のために」

 

ゼノスだ。

 

アダマンタイトを一切惜しまず使われた鎧に身を包んでいる。手に持つシミターも純アダマンタイト製なのかな?はっきり言って、私達遠征隊の上位に位置する装備だ。

 

「ん、これか?これはな、ハルっちに作ってもらったんだぜ!」

 

私の視線に気がついたのか、リザードマン・・・・・・確か、リド、は誇らしげ?に説明してくれる。ししょー、鍛冶も出来たんだ。本当に凄いね。

 

『おいー、秘密だろそれー』

「あ、そうだったか?」

「はぁ全く、早く行くぞ」

 

ラーニェと呼ばれたのはアラクネのゼノスだ。『よっと』とその上にししょーが乗る。講義するアラクネにじゃれ付きながら運んでもらうようだ。ししょーは疲れないんじゃなかったかな?

 

「ハルプ、ズルイです。私も乗ります」

「なっ!待て妖夢、私は元から許可など出していない!」

「私は、ダメ・・・ですか?」

「うぅ・・・はぁ仕方ない。いいぞ、乗れ」

「『わーい!』」

 

・・・・・こうして見ると、子供なのにあんなに強い。私の脳裏に昨日のししょーの言葉が蘇る。

 

「モンスターと、変わらない・・・」

「ん?どうしたのアイズ」

「ん、何でもないよ」

「アイズ?」

 

私はまだ、立ち直れそうにない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うい!俺です、ハルプでーす!今はなんと37階層!いやぁ、敵の歯ごたえも多少は上がり、とても楽しいですはい。

今宵の楼観剣は血に飢えておるわ。

 

「─────────!」

 

ウダイオスさんです。帰りに復活すると面倒いので、可能性操って出てくるようにしました。出てきました。以上。

 

「あの、ハルプ」

『何かな妖夢』

「えっ、あの・・・・・もしかしてこれは胴体の魔石は狙ってはいけないお約束的なあれですか?」

『いや?動くから当てにくいだけだろ多分』

「・・・・・えっと、無明三段突きお願いできます?」

『余裕のよっちゃんですね』

 

そうなんだよなぁ、弱点丸出しなんだよねぇ。鮭跳びでウダイオスの真後ろに回り込む。ぐっと姿勢を落とし、加速する。

 

『────一歩、音超え』

 

1歩目で音を超える。使う武器は戦争遊戯の時に余ってた槍です。刃があって振り回して戦えるなら剣、いいね?

 

『2歩無間』

 

1歩目から3歩目まで、全ての音が重なるほどの速度で突っこむ!ダメージは気にしないです!

 

『3歩絶刀────!』

「─────!!」

 

ウダイオスは威嚇をしている。俺ではなく、妖夢に。

 

『無明三段突き!!!』

 

 

 

 

 

あれから更に下に下がる。

 

『いやぁ、強敵でしたね』

「一撃だったよ・・・?」

『この俺様に一撃必殺を使わせたのだから、強敵なのさ』

「頻繁に使われてますよね、ハルプ殿」

『あれ?そう考えると皆強敵じゃね?やべーわー、つれぇーわー』

「ふぅ、なかなか、疲れてきたな」

 

あぁ、そうだ。俺は疲れないけど、みんなは疲れるんだった。ここまで潜ってくるのは初めてだし、疲れるのは仕方ない。周りを見渡せば、命も千草も桜花も疲れた顔をしている。

 

『みんな、五十階層まではあと少しだ。頑張れー』

 

ラー二ェの上から言うだけ。おい、ティオナヒリュテ殿、何故そのように羨ましそうな目でこちらを見ていらっしゃる?ダメだよ?乗せないよ?

 

バロールを倒した辺りからは他のファミリアに戦闘は任せている。そしてそこにちゃっかりタケミカヅチ・ファミリアも入ってる。縮地のお陰で速度だけなら余裕で付いていけるからなぁ、桜花達。ま、問題はステイタスが足りないのと武器が弱いのとでダメージがほぼ入らなかった事か。

 

だけど、ダメージが入らないと見るやすぐ様魔法を使い始めた。皆知らない間に相当強くなっていて驚いたぜ。

 

桜花は他の俺から目ん玉もらったせいなのか、危険察知能力がとんでもないくらいに上がっている。20体ほどのモンスターに囲まれたのに、傷一つ負わずに凌ぎ、凌ぎながら詠唱を完了させて雷で薙ぎ払ってた。文句を言うと、モンスターが現れるのわかったなら突っ込まないで欲しい!!死んだらどうすんの!?泣くぞコラァ!

 

命も並列詠唱をいつの間にかものにしていて、詠唱しながら戦っていた。んでもって足りない火力を補う為なのか、縮地で天井に着地、からの天井を蹴り飛ばし急速落下。そこで布都御魂剣を発動。範囲を狭める方法を見つけたのか、命を包み込む程度のサイズになっていた。光の剣と一体化したように命が超加速しながら突撃し、モンスターをぶち抜いていた。ただ、見ていてとても心配だったよ・・・・・・。あれ一歩間違えたら死ぬよね!?止めろよ命!!

 

千草も凄かった。どうやってるのかわからないけど、初めて見るはずのモンスターなのに一撃で魔石を撃ち抜いていた。一射確殺でバッタバッタと射抜いていく様はとてもカッコよかった。しかも矢が変態軌道を描くお陰で前衛が居ようと関係なし。面倒な魔物から魔石を射抜かれて死んでいく。不安にならないって素敵。流石千草!さすちぐ!

 

ベート達も流石の高レベルって感じで安定した戦いだった。派手さは無かったけど、皆にも見習って欲しかったね。率先して突っ込んでいくタケミカヅチ・ファミリアの面々に唖然としてたけど・・・・・・仕方ないんだ、戦は華だから・・・・・・。

 

ただ・・・・・・アイズが心配だ。突っ走って行く癖に、刃が鈍い。反応が一瞬遅れてるんだ。千草が全力でフォローしていたから良かったけど、下手を打ったらダメージを受けてたぜ。

まだ、気にしてるんだろうなぁ。

 

アイズが間違えてリド達を斬らないようにする為にアダマンタイトの武具を付けてもらったけど、今の所は大丈夫なようだ。

 

「ハルプ、暇ですッ!」

『いや、俺は暇じゃないよ?思い返すだけでソワソワとした気持ちが止まらないよ?暇が欲しいですよ?』

「なるほど・・・・・・ならば食らえ!感覚共有ー!」

『の、のわぁー!────あー、暇だわー。ってなるかぁ!!』

「う、うぅ、とても心配になってきました!命の技怖すぎますぅ!」

『暇じゃなくなって良かったね!?』

 

最近の妖夢は何だかんだ言いながら俺にくっついてくる。可愛い。しかし、俺だ。はっ!・・・俺は、ナルシストだった・・・・・・?(今更感)

ラーニェの上でも俺の隣に座ってるし、手を握ってくるし。チラッ、って見ると「なんですか?」って顔を覗き込んでくる。可愛い。

 

「ジー」

 

え、なんすか妖夢さん。なんでそんなにガン見してくるんですか?え、なに?マジで何?なにか付いてる?あ、もしかして体から剣とか餅とかはみ出て来てる?容量限界来てる?

 

「えへへー」

 

上目遣いでガン見からの照れ笑いだとぉ!?コフッ!!・・・・・・何なのだこれは、一体、どうすればいいのだ!!思わず半霊に戻っちゃったぜおい!

 

──笑えばいいと思うよ☆

 

はっ!?こ、この嫌らしくも憎たらしく無駄に爽やかで胸糞悪いゴミの様、あゴミに失礼か(大声)、な声はっ!!

 

──そう、僕だよっ☆

 

うぜぇええええええええ!罵詈雑言並べたつもりなのにスルーするあたりがうぜぇええええええええ!!

 

──うざいうざいも好きのうち・・・・・・僕だよ☆

 

いや、無いから(断言)

 

──久しぶりだね。

 

だな。ところで、僕って使うなよって話したよね?何使ってるの?死ぬの?

 

──あ、そうだった。コホン。改めて・・・・・・儂じゃよ♡

 

オロロロロロロロロロロロロロ!なんだこれ、なんだこれ・・・・・・死にたい。これが俺の大元ってんだから最悪だ。最早消滅したい。

見たくないわー、話したくないわー、黒歴史のノートが話し出して、つらつらとポエムを母親に聞かせていくかのような気分だわー。

 

──まぁまぁ。自虐はそこまでにしたまえ。

 

お前のせいでこうなってんだよなぁ。で?何のようだよ、駄神。まさか、もう回収しに来たよー、とかそういうオチ?

 

──まっさかー。君は儂の願いを叶えてくれた。だから、この世界に現界していられる間は好きにしていい。儂が来た理由は君を褒めるためだ。

 

褒めるぅ?うげぇー、気持ち悪い。自分に褒められるとか死ぬわ。カッコイイ必殺技を自分で考えて褒めちぎるくらい恥ずかしいわ。

 

──んー、確かに。じゃあ、お礼をしよう。

 

御礼ぃ?信用できねー。

 

──ありがとう。お陰で、俺は漸く目的を果たせる。

 

急に真剣だな。その目的ってのは何なんだ?

 

──・・・・・・俺の目的は家族の救済。俺の能力のせいで死んだ家族の蘇生、いや、やり直しか。

 

!!

 

──能力でどうにでもなると、俺は思ってたさ。けど・・・・・・このザマだ。神に上り詰めたせいで、俺は【英雄】になれなくなった。

 

お、おう・・・・・・英雄ねぇ。

 

──英雄で無ければ0と100を変えることは出来ない。神になれば全部いけると楽観視した俺の落ち度だった。

 

いや、神になることを楽観視とは言わねーよ普通。つか、駄神の言う英雄ってどんなヤツなの?俺はなれたんだろ?

 

──うん。君は英雄だ。定められてしまった運命を変えた魂。それが俺の求めた英雄さ。

 

へー。でもあれだぞ?俺お前に魂あげるつもりないからね?

 

──あぁ、平気だよ。()が英雄になったのだから、俺にもその可能性が発現する。

 

えーっと、つまり自分で何とかするってことか。

 

──うん。

 

・・・・・・もしかして、それ言いに来ただけ?

 

──yes

 

お前・・・・・・俺と妖夢の時間を返せ

 

──安心せよ、ワシが時を止めた

 

「ハルプー?おーい!起動してくださーい」

 

止まってねぇーじゃん!!

・・・・・・ってもう居ねぇ!?

 

『あ、あぁうん。起動したよー』

「急にどうしちゃったんです?」

『ちょっとエヘヘの破壊力があり過ぎて成仏しかけたわ』

「みょん!?ご、ごごごごめんなさい!消えちゃ嫌ですー!」

『はいはい、わかってるわかってる』

 

・・・・・・駄神との関係は終わるのだろうか。まぁ、その方がいいんだろうけども。

 

 

 

 

「あぁ、来たのか。でも、もう少し待ってくれよ。君の行く末を暫く見ていたいんだ。・・・・・・ありがとう」

 

 


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