蛇は蛇に 毒蛇は毒蛇に   作:宇垣秀康

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霧の中で

談笑もひと段落し、スネークはカズヒラを肩に担いで外に出た。

未だ敵達は昏倒、睡眠、そして恐怖に怯え動かない。

「全く…あんたは本当にやりすぎだ…」

その光景にミラーは苦笑いを浮かべる。

「そうか?」

「あぁ!全く…全くもって最高だよボス!」

どうやら喜んでいるようなので頷いておく。

そして仲間にヘリの合流地点を指定し、パートナーである馬を呼び寄せ、カズヒラを後ろに乗せ、傷に響かないようにゆっくりと、しかしながら周りに注意しながら月夜の中を移動し始めた。

馬の歩行音が響く中、カズヒラは先ほどとは懺悔するような…それでいて怒りに満ち溢れた声で話すのであった。

「ボス…あんたを失ってから俺たちは…いや、俺は戦場の泥という泥の中に埋れながら、あんたが残したかったものを…あんたの帰ってくるあのマザーべースを!他の奴らとともに守ってきたつもりだった…

しかし、あんたがいなくなったことから少なからず兵士に不安があったんだ。このままあんたは戻ってこないんじゃないかってね。

俺たちは必死で説明した。俺たちのボスが戻ってこないわけがない!また俺たちを待たせて楽しんでるんだ!とな…しかし俺にはあんたのようなカリスマはなかった…

最初は数人だった脱隊する奴らは、気づけばマザーベースの運営がままならない状態にまでなっていた。脱隊したやつらの中には、敵として戦場で死体になって再開した奴らもいる。

勿論味方の捕虜として捕まった奴らにはもう一度戻ってこないかと誘いもかけたさ!

しかし、奴らは奴らでマザーベースと同じようなPMC業を始めたのさ…あんたがふらっと現れるかもしれないとな…

スネーク……あのマザーベースは俺たちの中で大きいものになりすぎたのかもしれない…

俺たちは…9年前…あそこで基地を…仲間を……

いや!そうじゃない‼︎

基地なんてもんじゃない!疲れた身体を休めるだけじゃなく、心を癒せる家を‼︎

味方なんでもんじゃない!互いの思いの違いから衝突もしたが、くだらないことで笑い合うことさえ出来た家族を‼︎

全て失ったんだ!

だからこそ俺は、俺たちは!戦場の犬になった!」

ミラーは興奮を抑えられず息も絶え絶えになりながらそう言い切った…

スネークが少し落ち着かせようとしたとき…それは起こった。

急に辺りが暗く白くなって行く…

「なんだこれは…?霧?」

スネークが呟いたその時、ヘリからの無線が入る。

「こちらピークォード。霧が濃くてあなたたちを確認できない。一度態勢を立て直す!暫くお待ちくださいボス!」

そう言うと近くに聞こえてきていたヘリの機動音が遠のいていった。

…どうするか、ミラーに確認しようと振り返ってみるとミラーは顔面蒼白になりながら呟いていた…

「急に霧が出て来た?そしてこの状況…出来過ぎている…」

「どうした、カズ?」

そう言いながらミラーに手をかけようとした時、スネークは見た。

何もいないはずのところに高速移動しながら現れたものたちを…

そしてその手には何も握られていなかったはずなのにまるでそこにあったかのように現れた銃を…

少し遅れたが振り返ったミラーは大声で言う!

「まずい!捕捉されてる!ボス逃げるんだ!この霧の中から!どこでもいい!奴らから!

スカルズから!」




遅くなりすみませんでした。

ところで1話のネタってわかりますよね?
アルマジロ:ドラマCDで出て来た人。重厚な人
マンホール:カズラジで補給を担当してた兵士。カズヒラにこき使われてましたね…

カズラジネタとかって大丈夫ですか?

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