魔法使いになった猫   作:雪兎 銀杏

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お久しぶりです。
前回を読み直したほうがいいかもしれません…。


16.発見

 ”親愛なるアルバス

 

 私がもうすぐ死ぬかもしれないということを伝えておこう。君は納得できないかもしれないが、私の予感が外れたことがない。だから私がもし死んだら、これが君の元に届くようにしておこうと思う。

 急な頼みで申し訳ないが、あの子が然るべき年になったら、同封したその包みを渡してほしい。その包みは……

 

 

 

 手紙はここで破られている。

 

 

 

「まったく、君は本当に…不思議な男じゃのう」

 

 ダンブルドアはかつての友人からの古い手紙を眺め、静かに呟いた。

 

 

 

 ********

 

 

 

 ペンダントは美しい赤色の宝石が付いている、六角形の凝った代物だった。

「……綺麗」

 リズは一目でそれを気に入った。

 月の光に晒してみると、反射した光がキラキラと輝いている。

 ペンダントと一緒に、小さな紙が付いていた。

 

【これは君を守るお守りだ。手放さないように】

 

 ダンブルドアが書いたのだろうか。よくわからないが、つけろというのならば、つけたほうがいいのだろう。

 リズは不慣れな手つきで金具を外し、ペンダントを首につけた。

「服の下に入れていればバレないかな?」

 寝巻きの下に入れると、金属が直に肌に触れて少し冷たかった。

 リズは箱を持って自身の部屋まで上がっていった。

 

 先程までの不安が、蘇ることはなかった。

 

 

 

 ************

 

 

 

 冬休みが明けても、四人はニコラス・フラメルについて調べ続けていた。

 しかし、一向に詳しい情報は見つからない。

 それにハリーはウッドによりクィディッチに駆り出されていたのでなかなか会えなかった。ウッドは今年こそスリザリンに寮対抗杯を取り戻そうと必死なのだ。

「はぁ、なんで見つからないんだろう…」

 何冊めかわからない本を閉じて、リズは思わず呟いた。

「リズ、弱気にならないでよ。私もうんざりしているんだから…」

 ハーマイオニーが、次の本をリズに差しながら言う。

 リズはのろのろとした動きで目次を開きいた。

 

「あの男の子も見つからないし…」

 捜索にも手詰まりを感じていた。

 汽車に乗っていたのだから、ホグワーツやその周辺にいないはずなのだが、一向に見つからない。

 なにも知らないのでは動き出せない。そもそもホグワーツは広すぎるし、隠し通路も多すぎるのだ。

「…本当にいるのかい?その男の子とやらは」

 ロンが訝しげに言った。

「でも、現に助けてくれたし、いないわけないんだよ」

 彼らの前に影も形も現さないのだから、うたがわれても仕方がないだろう。

「……」

 ハーマイオニーはちらりとロンの方を見た。ロンにあの男の子のことを話すべきか、迷っていたのだ。

「男の子のことや、セリアの怪しい行動も気になるけど、とりあえず今は、ニコラス・フラメルのことを考えよう」

 

 

 夕方、なんの成果もあがらず談話室に戻ると、三人は気分転換にチェスを始めた。

 ロンは上級者だがハーマイオニーもリズも初心者なので、なかなか勝つことができない。なので、ロンはリズとハーマイオニーの二人を相手にしていた。

 リズはハーマイオニーと相談しながらチェスの駒を進めていた。

 魔法界のチェスは難解だ。駒が言うことをなかなか聞いてくれなかったりするし、勝手に喋って集中力が切れてしまう。

「ハーマイオニー、やっぱりそっちに動かしたら…」

「あぁ、でも…」

 

 二人で話しているとき、ハリーが青い顔をして談話室に帰ってきた。

「どうしたの?ハリー」

「…なんかあったのか?なんて顔してるんだい」

 

 リズとロンが声をかけると、ハリーは小声でスネイプがクィディッチの審判をやりたいと言い出した、という不吉なニュースを伝えた。

 

「試合に出ちゃダメよ」

 すぐにハーマイオニーが言った。

 

 スネイプはもちろんハッフルパフを贔屓するだろう。

 それに、スネイプは四人からトロールを女子トイレにいれたのではないか、その間に三頭犬フラッフィに噛まれて足を怪我をしたのではないかと疑いをかけられている。

 

 前のグリフィンドール対スリザリンの試合でハリーを箒から落とそうとしたし、その上、ダンブルドアが守ろうとしているものを奪おうとしているのだ。

 

「今回の試合で、なにかしてきたらどうしよう」

「足を折ったってことにすれば?」

「いっそ本当に折ってしまえ」

 なにやらロンが物騒なことを言い出したが、ハリーは冷静にそれを否定した。

「駄目だよ。グリフィンドールのシーカーは僕しかいないんだ。僕がいないと、グリフィンドールはプレイできなくなってしまう」

 

 重い沈黙が落ちた。

 しかしその時突然、談話室にネビルが倒れこんできた。汗だくで、足がぴったりとくっついてしまっている。

 誰かに「足縛りの呪い」をかけられたのだろう。ここまでうさぎ跳びしてきたようだ。

 みんなは笑い転げたが、ハーマイオニーだけが立ち上がってネビルに解呪の呪文を唱えた。

 

「なにがあったの?」

 リズはネビルに手を貸しながら立ち上がらせ、ハリーとロンの側に座らせながら尋ねた。

 

「マルフォイに…図書館の外で会ったの。誰かに呪文を、試して見たかったって…」

「そんな、ドラコがそんなことを?」

 リズが戸惑って言う。

「マグゴナガル先生のところに行きなさいよ!マルフォイにやられたって報告するのよ!」

 ハーマイオニーが怒って急き立てた。

 

「これ以上、面倒は嫌だ。それに…僕に勇気がなくてグリフィンドールにふさわしくないなんて、言わなくてもわかってるよ。

 さっきマルフォイもそう言ってたもの」

 ネビルが声を詰まらせた。

 ハリーは今にも泣きそうなネビルに蛙チョコを差し出した。

「マルフォイが十人束になっても君には及ばないよ。組み分け帽子に選ばれてグリフィンドールに入ったんだろう?マルフォイはどうだい?腐れスリザリンに入れられたよ」

「ハリー、ありがとう…僕、もう寝るよ…カードあげる。集めてるんだろう?」

 

 ネビルが行ってしまってから、ハリーは「有名魔法使いカード」を眺めた。

「またダンブルドアだ。僕が初めて見たカード…」

 ハリーは息を飲んだ。カードの裏を食い入るように見つめ、そして三人の顔を見た。

「見つけたぞ!」

 そのカードの裏には、

 ニコラス・フラメルがダンブルドアのパートナーで、錬金術の共同研究をしているとのことが書いてあった。

 

 それを聞いたとき、リズとハーマイオニーは、思わず顔を見合わせた。

「「ちょっと待ってて!」」

「えっ」「ちょっと!」

 二人は女子寮の階段を駆け上がり、巨大な本を抱えて矢のように戻ってきた。

「この本で探してみようなんて思いもしなかったわ」

 ハーマイオニーが興奮しながら言った。

「随分前にハーマイオニーと借りたの」

「ええ。軽い読書をしようと思って」

「軽い?」

 とロンが口走った。

「ちょっと静かにしてて」

 リズにぴしゃりと言われて、男二人は思わず黙った。

 二人は小さく話しながらすごい勢いでページをめくりだした。

 

「これよ!これだわ!」

「やった!これで核心が持てる!」

 やっと探していたページを見つけ出し、リズとハーマイオニーは手を叩いて喜んだ。

「もう喋ってもいいのかな?」

 とロンが不機嫌な声を出す。

 

 リズは声を潜め、二人に説明した。

「ニコラス・フラメルは、現在665歳。賢者の石の創造に成功した唯一の人なの。この前も言ったけど、賢者の石は不老不死になれる命の水の源よ」

 続きをハーマイオニーが言った。

「ねっ?つまり、あの犬が賢者の石を守ってるってことに核心を持てたのよ!この人はダンブルドアのパートナーだから、ここで守ってほしいと頼んだのよ。きっと、誰かが石を狙ってるって知ってたんだわ」

 

 探していた情報を見つけ出したものの、四人の心には不安が残った。

 スネイプは、この賢者の石を狙っているのは、ほぼ明らかだろう。

 だが、その前に、クィディッチの試合でなにをするつもりなのだろうか。

 

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