次に、二人は杖を買いに行った。
そこは、
【オリバンダーの店
紀元前三八二年創業 高級杖メーカー】
と書かれれた、見すぼらしい店だった。
「いらっしゃいませ」
柔らかい声がした。
二人はびっくりして飛び上がった。
リズなんかは飛び上がった拍子に棚にぶつかってしまった。
「間も無くお目にかかれると思っていましたよ、ハリーポッターさん」
老人はハリーに近づいて、次にリズを見た。
「あなたのお兄さんもお姉さんもここで買っていかれた。お兄さんはカシの木にユニコーンのたてがみ。二十六センチ。軽く決闘にぴったり。お姉さんは杉にユニコーンの毛。三十センチ。曲がりやすく変身術にぴったり」
「……」
老人は、最初ハリーの採寸をはじめた。
しかし、いろんな杖をとっては、取り上げてしまう。
何本目かわからなくなる頃、老人は嬉しそうな顔である杖を渡した。
「柊に不死鳥の羽、良質でしなやか」
ハリーが杖を持って、杖を振った瞬間、赤と金色の火花が花火のように流れ出し、光の玉が踊りながら壁に反射した。
「素晴らしい!…いやはや…不思議なこともあるものよ…」
「なにが不思議なんですか?」
リズが尋ねると、オリバンダー老人は、ハリーを見た。
「ポッターさん、わしは自分の売った杖は全て覚えておる。全てじゃ。あなたの杖に入っている不死鳥の羽は、同じ不死鳥が尾羽根をもう1枚だけ提供した。1枚だけじゃ。…30センチもある、イチイの木じゃった。いやはや、兄弟羽が…その杖がその傷をつけたというのに…」
「「「……!」」」
ハリーのが終わり、次はリズの番になった。
いろいろな杖を握った。
そして、10本目の杖。
「りんごの木にグリフォンの尾羽。27センチ。太く折れにくい」
握った瞬間、ずっしりとした重みとともに、暖かさが手に伝わった。
杖の先から青々とした草が伸びてきて、ツタの先にぶどうがついていた。
「素晴らしい!」
「わぁお」
杖を買って外に出ると、店の外にブラッドリーが立っていた。
「買うものはもう買ったか?」
「うん」
「そうか。悪いがもう行かなければ。またね、ハリー」
「は、はい。また」
「入学式でね!」
漏れ鍋の外にセリアがいた。
服は黄色いフワリとしたワンピースに、白いカーディガンを羽織っていた。
荷物を持つのを手伝ってくれたが、帰りも地下鉄なのはしんどかった。
途中居眠りしてしまった。
気がついたらブラッドリーが担いでくれていた。
「あのハリーって子、また会えるかな。寮が同じだといいんだけど」
ブラッドリーの背中で、リズは呟いた。
***
最初、リズはふくろうは美味しそうだと思っていたが、すぐに可愛いと思うようになった。
それはふくろうがひどくリズに懐いてくれたからだった。
忙しそうに館を出入りするブラッドリーやセリアがいなくなった時の話し相手はこの子に決まりだった。
「名前…どうしよう」
暇な日曜の昼下がり、寝転がりながらリズは考えた。
外はすっかり薔薇だらけだったが、セリアがさっさと手入れしてしまったせいで、することがないのだ。
「アフリカオオコノハズク…………うーん…amber…エンバァでいいか」
『どういう意味?』
「琥珀って意味。あなたの目、とても綺麗なんだもの」
尋ねるエンバァに、笑顔で返す。
最初のころ、エンバァはリズの機嫌取りのために、よくネズミや鳩を取ってきた。
リズは嬉しすぎて思わずセリアに見せに行ったが、庭に埋めてあげてと優しく言われた。
教科書はあらかた読んでしまった。
簡単な呪文を杖で試してみたり…。
やりたいことはもう、すませてしまったのだ。
仕方なく部屋を出て、下に降りていくと、丁度良さげな本があったのでソファに座って読んだ。
「あと7日かぁ…」
魔法薬の本は読んでいて飽きなかった。
そのへんはセリアに似たのかもしれない。
「あと七日間はずっと本を読んでいようかな」
いよいよリズは本の虫になりかけていた。
……To be contnued