宇宙世紀0079、普通なら俺は大晦日であるこの日を家族と暮らしているはずだった。
家族と会うため、母艦ドロスから離れてサイド3に向かうはず"だった"俺は戦場にいた。
「ジークジオン!! ジー···」
ジムが前方にいた上官のドムをビームサーベルで切り裂き、ビームスプレーガンで留めを刺す。
「よくも上官をっ! っ!!」
それに気付いた同じ小隊のザクがマシンガンを構えて突撃した が、その姿をもう見ることはなかった。
俺はひたすら、ビームナギナタで敵を斬った。 何体も何体も。
このゲルググは学徒出陣からの愛機だ。
練習量や練度は他の士官よりも少なかったものの、実力は士官以上にはある。
軍に入れさせられた時にゲルググに出会い、表現はおかしいかもしれないが俺はこの機体に"一目惚れ"した。この機体に乗っていこう。そう思った。
今日の出撃で13機目を撃墜したちょうどその時ア·バオア·クーの電気が落ちたのが外から確認できた。
最後の砦であったア·バオア·クーが墜ちたのだ。
ジオン公国はギレン·ザビ、キリシア·ザビの戦死により10年間の国命を終えた。
公国の代替として発足したジオン共和国臨時政府は地球連邦政府へと終戦協定を提示。
地球連邦政府の受諾により「一年戦争」は終わりを告げたものの、この戦争が全てを狂わせだしたのだ。
U.C.0080 3 /5
「お兄ちゃん! ご飯だよぉ!!」
元気そうな妹の声とともに、階段を上ってくる妹が見えた。
「今日はえらく元気だな。」
「今日はお兄ちゃんの誕生日だから! 料理も手伝ったんだよ!!」
「そうか 偉いな。」
頭を撫でると嬉しそうな顔をする妹は可愛らしい。
「ここに戻ってきてかなり経つんだな…」
サイド3へと戻された俺は家族と暮らしていた。
特徴の無い俺は軍人だからと回りから何か言われることも無く、
皆で、楽しい時間を過ごしていた。
何の取り柄もない俺の父親の残したこの家はこの一体では大きい方で、
廊下から全ての部屋へと行くことができる造りが気にいっていた。
この大きな遺産を残した父親はジオン公国のエースだったらしい。
だがそんなことはどうだっていい。
ジオン公国なんていう組織が悪かったんだと、そう思っていた。
その時、下の階から銃声が聞こえた。
下にいるのは···· 本当なら母親だけのはずだ。
「ここに隠れていろ。絶対に来るなよ わかったな。」
妹は小さく頷き、クローゼットの中に小さな体を隠した。
それを確認した後、俺は机の中に隠しておいたハンドガンを手に取り、階段をかけ降りた。
真っ先にリビングへと向かう。
すると隣のキッチンから男の声が聞こえてきた。
「ジオンの女は汚ねぇなぁ こんなに血を出して倒れちまってさ。」
「相手がジオンだからってやり過ぎじゃないか?」
俺はドアからキッチンを覗きこんだ。
床は血で染まり、母親は血溜まりの真ん中で倒れていた。
こちらを向いて。
"逃げろ" 脳がそう言っている。"走れ"と。
リビングを出て俺は廊下を通って開けっ放しの玄関を走り出た。
クローゼットに隠れさせた妹の事なんて脳裏にすら浮かびもしなかった
どれくらい走っただろうか。
地球連邦軍がサイド3の警備を行っていることも知っていたし、
最近、"警備の一環"や"憂さ晴らし"、"豚処理"という言い訳を用いてジオンの民間人を殺していたことも知っていた。
ポケットに入れたハンドガンはなんの意味も成さないままここにある。
あの戦争で俺は何体ものMSを撃墜した。 そんなことがなんの役に立つのか。
少し血を見ただけで、少し恐怖を得てしまっただで、俺は逃げた。
もしかしたらゲーム感覚で戦争を戦っていたのかもしれない。
その時俺は妹の事をふと思い出した
クローゼットに隠れたままの妹を
妹を置いて逃げてきた自分の不甲斐なさに泣き、俺は来た方へとまた走り出した。
お読み頂きありがとうございます 著者のあるふぁべーたです。
一話一話読みやすいように小さく区切っていこうかなと考えております。
地の文多めで読みにくかったでしょうか?
なにかご提案等ありましたら御投書よろしくお願いします。
一年戦争を生き抜いた学生の生涯を書きたい!!
これから始まったこのお話は勿論非公式であり、更新ペースも遅めになっていくかもしれません。
一応原作寄りで、個人的に好きなゲルググを中心に書いていけたらな と
それでもよろしければ、続きを読んでいただき、少しでもご感想を頂ければ幸いです。