転生できると思うなよ!?   作:RPS-3rd

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私はFateのキャラクター。特にサーヴァントには幸せになってもらいたい質なんです。

もし彼らがサーヴァントのしがらみから解放されて、英雄としてではなく一市民として生きていたら、どんな毎日を過ごすのでしょうか?


劇的改造できると思うなよ!?

 今俺はコーヒー工場にいるんだが、何しろ古いコーヒー工場で、機械はあっても所々手を貸してやらないとつっかえてしまう古い機械なのだ。途中途中で数人が待機している。

 

「あ、また倒れてる……」

 

 手を伸ばした先には倒れた缶が流れていた。俺は機械のベルトコンベア部で待機していて、缶が倒れたりしてるのを直す作業だ。

 本来機械なら倒れることなど稀なのだがなぜかここは10本に1本は倒れている。なので直す作業は人がやる。

 

「チクショー! どうりで面接官の奴、誰が来ても合格させますよ~みたいな面してると思ったぜ!」

 

 俺は思わず吹き出してしまった。

 同じときに面接を受けた背の高い青黒いオールバックの青年がコーヒーをジョボジョボ手で注ぎながらぼやいていたからな。

 彼は不運にも注ぐ機械が一つ壊れた際、動きと手際がかなり速かったためにフォローに回されたのだ。機械が注いでいる隣で手動っていうのはシュールで笑えるなぁ。

 

 

 

「なあ吾郎よ、機械が新しくなれば楽になると思わねえ?」

 

「まあ確かに効率は上がるかな」

 

 俺も正直新しい機械に変えた方が効率は上がるだろうとは思う。

 でも俺は少なくとも俺がバイトを辞めるまではこの機械を新しくしてほしいとは思わない。

 なぜか? そんなものはセイバーに「シロウを愛しているか?」って質問するようなもんだ。単純にそれはその方が楽だからだ。機械が新しくなると当然そこに人は要らなくなる。以前からいるおっさんたちはスイッチや点検に新しくつくだろうが、俺はそうならないのは目に見えてるんだ。

 

 なぜなら普通は途中参加の若いバイト戦士は機械の方にはなかなかつかせてもらえない。若いイコール体力が余っているからっていう理不尽な理由で問答無用でトラックへの積み込みとか体力が必要な仕事に回されるんだ。

 

 若くて体力のあるバイト戦士は今でもここぞとばかりにこき使われてヒーヒー言ってる。

 

「釣りも素潜りも体力は必要だからな!」

 

「さいですか」

 

 彼みたいな体力つけたい奴にはちょうどいいだろうが俺は違う。そんな体使うのは耐えられない。ゆとり教育の犠牲者なめんじゃねえ。

 能力使わなくても楽できてんだからそれがいいのだ。

 

 

 

「にしてもよ……絞りカスの匂いなんとかならねえか?機械よりそっちの方が深刻だぜ」

 

 俺がボーッとしていると、彼はもう一つの悩みを話し出した。

 と言うか俺もそれは初日から思っていた。

 

「換気扇が壊れてるからな……さすがに俺もこの臭いは耐えられないなぁ」

 

 コーヒー豆の絞りカス。まとめて放置されてる訳なんだが機械の熱とかのせいであり得ないくらい臭い。窓も一つしかないし送風機も無いせいで換気なんかできないから工場に立ち込めてんだ。まったく、鼻が潰れそうだぜ。

 

「俺が昼休みにでも送風機持ってくるよ」

 

「お?どうにかできんのかよ?」

 

「多分」

 

 俺はそう伝えると作業に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 

 

「さて。部屋の匂いを急に消すのは怪しまれるだろうし……まずは何かしら送風機の代わりの物で匂いを追い出して、それからだな」

 

 昼休みになり、皆が別室で飯を食べてる間に俺は匂いをどうにかすることにした。

 急に匂いが無くなったら怪しまれるし、送風機みたいにだんだんと目に見えるもので匂いを追い出してやらないとそれも変に思われる。

 

 送風機を投影してもいいんだが仕組みがよくわかんないから形だけになる。それに普通の送風機を置くスペースが窓の前には無い。

 もっと手頃な……風がずっと出ているものは……

 

 

「あ、そうだ。エクスカリバーのあれで……」

 

 

 俺が思い付いたのは風により見えなくさせてるアレ。一応剣もコミなら柄だけみえるはずだし小型の送風機って言っときゃ(まさかマジモンの剣だとは)バレねえだろ。

 通常でも周りに風がそこそこ吹いてるだろうし。上手くやれば外に風を送れるはず。別に強い執着心がある訳じゃないからひどい使い方しても心は痛まないし。

 

 

 

 

 

 ただ……なぁ。

 

 

 

 

 

 セイバーちゃんに悪い気がするんだよな。あくまで個人的に。死んでから生き返って始めてみたのはセイバーちゃん(のポスター)だったし遠慮してんのかな──。

 みたいなことをのほほんと考えているうちに時間は過ぎていってしまう。俺が今は所有者なんだし帰ってから(ポスターに)謝りゃいいだろう。皆が来る前に設置しなきゃ。

 

「風王結界!!」

 

 辺りに風が吹き始める。おお。振らなきゃ風が剣にまとわりついてるようなもんか。いいぞ、風向きもなんとなく剣先に向かってる。振ったりするからあちこちに風圧が行くんだな。

 

「いくつか組み合わせてこの工場を快適にしてやるぜ……匂いさえなければ最高の職場なんだ!」

 

 昼休みが終わるまであと30分強。

 細かく考えてる暇はあまり無いな……!

 

 俺はまず手始めに絞りカスの周りにいる虫を処理することにした。ハエやらGやらがその近場にいるんだが、奴らにももれなく匂いがついてやがるんだ! そして何よりウザイ!!

 つまり奴らを排除しないと俺は次の段階には進めないんだよ。

 

 

 

 直死はパス。時間がかかる。だいたいハエの点とかついてチマチマ殺すくらいなら今無いけど殺虫剤の方が楽だわ! あとGを素手で触るのもいやだ。

 

 

 

「空想具現化なら楽チンなんだが匂いを消すのはやめといた方がいいな」

 

 その場しのぎになるからだ。何も処理せず使うのやめたらすぐ匂いは戻るだろう? 俺が出勤するたびにいちいち匂い消すのが面倒だ。しかも何も無いのに匂いが消えたり薄れたら怪しまれる。そのための風王結界なんだし。

 目に見える形で匂いが緩和されている方が怪しまれないだろう。それに、工場の人の中には「ちょっとは匂いがする方が落ち着く」みたいな人もいる。そういう人はあまりにも匂いがしないと逆に効率が落ちるだろう。俺は楽はしたいが俺一人のために何人かの人の効率が落ちるのはいただけないしな……

 

 

 

 俺は虫なら、まあ、虫だけならいなくなった後に匂いを極力無くして、ゴミを外に捨てる回数増やしてもらえばもう来なくなるだろうと考えていた。

 

 目標としては「虫はいなく、匂いは完全に消すので極力無くす位に緩和させて、ゴミは0。なるたけ怪しまれないように」だ。風王結界はとりあえずただの変わった送風機って事にしよう。まあ本物の剣なんてあっても、あれ柄だけだしわかんないだろ。

 

「絞りカスは定期的に外に捨ててもらうようにして、まずは、空想具現化で『虫が寄らない空間』っと、虫も本能で近づきたくないような感じにすりゃ発動中はいなくなんだろ。

 ……よし。これで逃げて……ん?」

 

 

 

 

 俺はハッとして虫が逃げていなくなったその場で地団駄踏んだ。それはもう全力で。

 

 

 

 クソジジイ! いい加減何に制約かけてんのか解んなくなってきたぞ!? これ使えてスキル使えないって意味わかんねえよ!

 

 ……まさか型月を後から知ったとか……?

 

 ……ありえる。

 

 

 

「後でヤバそうだと気づいたからいくつか封印したとかだったらブッ飛ばしてやる……」

 

 

 俺はそこで思考を匂いを軽減させる事に無理やり切り替えた。悩みが増えたのはどうにもならん!

 

 

 

『イージーモードが許されるのは小学生までじゃぞ?』

 

「はっ!?……気のせいか」

 

 

 

 虫が去ったところで俺はエクスカリバー(風王結界バージョン)を切っ先を窓の外に向けて近くの機械にガムテープで固定した。まあ、剥がしたときにペタペタに……それはもうセイバーが持つのをためらうくらいベッタベタになるだろうがこの際目をつむろう。そこまで面倒見れねえよ。

 

 とりあえずこれで風はこの|送風機«インビジブル・エア»でオーケー。俺はそのまま匂いをさらに効率よく目に見える形で集める方法を考えた。

 

 これは半永久的に動いて匂いを追い出してもらえないといけない……

 

「剣に匂いを集めりゃ勝手に追い出してくれるんだから、何か丁度いい|能力«もの»あったかな」

 

 考えろ俺、魔術は見えないし怪しまれるから論外。

 ただ風が吹いてるだけとか不自然すぎる。

 投影しても中身が伴わない……

 

 

 直後、俺は名案を思い付いた。

 

 

「そうだよ、それっぽい理由つければいいんじゃねえか!」

 

「カラドボルグ!」

 

 

 

 手に現れたのはグリグリねじれてる剣。

 外と隣接してるエクスカリバーと反対にある壁の目立たない下の方に先をつけて、

 

 

 

 グリグリグリ

 

 

 

 俺はドリルのように回してみた。

 

 

 

 グリグリグリグリグリグリ…………

 ボコッ

 

 

 

 さすがはドリルもどき。すぐに拳より一回り小さいくらいの穴が開いた。所々アルクの爪で微調整して、通気孔の完成! まあ、後で何か被せる蓋は作ろう。

 

 風の通り道があるだけでもちょっとは違うだろ。

 これでエクスカリバーがちゃんと匂いのたまった空気を出し続けてくれたら環境はかなりよくなるはずだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時の俺はまだ、あのインビジブル・エアが工場の人にむちゃくちゃ欲しがられる(主に青黒髪の青年に)ことになるとは思っていなかった。

 

 

 

 

「なあ、なんかあの送風機初めて見た気がしねえんだよ、譲ってくんね?」

 

「閉じろ閉じろ閉じろ閉じろ閉じろ」

 

「何が!?」

 

「お前のくだらない自尊心が」

 

「おい! 怖いこと言うんじゃねえよ!」

 

 

 

 




青黒髪の青年はだれでしょう?

ヒントは犬!
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