九尾に両親を殺された僕が左遷されナルトの世話係になった。   作:柚子ゴル

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前置きのような第一話

親の死に目を見れないのは仕方がないことだ。何故なら僕の両親はどちらとも忍びだったから。

 

 

任務に行く日に親に何度も言われた言葉を思い出す。私達は忍びだからもしかしたら貴方に会えなくなるかもしれないと。

でもそんなことを言っては必ず両親は帰ってきた。僕の両親はやなはた一族という少しだけ有名な一族らしい。

容姿端麗でありまた、異常なまでの回復力を持つ一族。どんな傷を負ってもすぐに傷が塞がる。

例えば、心の臓を刃物で突き刺したとしてもその刃さえ体から抜いてしまえばすぐ治る。首を切断したとしてもすぐさま頭と体をくっつければ癒着する。そんな僕の両親をみんなは「不死鳥」と呼んだ。それがなんだか誇らしくていつも僕は両親は死なないのだと信じていた。実際どんな事をしても死ぬだろうと言われていた任務も成功を収めているし怪我一つ見たことがない。それは僕が中忍になった時ですらそうだった。

しかし、実際はそうではなかったということを後に知ることになった。忘れもしない10月10日。その日、木の葉の里史上最悪最低な出来事が起こった。それは九尾襲来。理由は定かではないが、強烈な爆発音と風を受け、忍びは全員総出で出動した。

当然ながら僕の両親もだ。両親は僕を抱きしめまたお決まりの台詞を吐く。けれど死なないとわかっているのだから、はやく行きなよと急かす。僕も僕で中忍だから民間人を避難させないといけない。両親は名残惜しそうに僕から離れ九尾へと向かっていく。全く心配症なんだからと両親の背中を見る。動いている両親を見たのはこれで最後だった。

 

 

次に見たのは病院だった。傷一つない両親が横たわっていた。寝ているものかと思い起こそうとしたがなかなか起きない。そればかりかやけに身体が冷えている。もしかして寒いのかな?と思い、近くに居た医者に両親に毛布を頼んだ。しかし医者は首を横に振り残念ですが、お亡くなりになっています。と一言言い、お前なんかに構っている暇はないとでもいうように足早に去っていった。

僕はそんなわけないと叫んだが誰もこの混乱の中僕の叫びなんか気にも留めなかった。両親が死ぬなんて僕の頭の中になかった。傷一つないんだよ?こんなに綺麗な死体があるわけないと叫ぶけれどちらりと僕を見て医者は忙しい忙しいとぼやき見て見ぬ振りをした。

 

 

それから数日。やはり両親はまだ起きない。両親と仲が良かった同僚などが僕と両親を引き離そうとする。こんな事をしても両親は喜ばないと言う。どうしてそんなことをするのか、意味がわからなかった。だって僕はただ両親を家で寝かせているだけなのに。

 

家に食料がなくなり、一度外へ出た。スーパーの帰り道、人通りが少ない路地裏を通っていたら、話し声が聞こえて気配を消し、話に聞き入る。

 

「やなはた一族も可哀想だよな。あんな使い方されて。」

「確かになぁ。九尾の足止め、やなはた一族は回復するったって血を流しすぎたら死ぬんだろ?ならあんな大怪我させたならすぐ引っ込めないと駄目だよな?」

「それがよ、なんだか怪しいんだよそこが。」

「はぁ?何がだよ。」

「それがこの混乱に託けてやなはた一族の体が欲しかったんじゃないかって話だ。」

「はぁ?!」

「馬鹿声が大きい。やなはた一族は体がすぐ治るだろ?その力を解明したいやつが上層部にいてやなはた一族をあんな前線に出したらしい。」

「なるほどなぁ。事故で死なせてその体を解剖!ってわけか。ま、でもやなはた一族も大したことないな。不死鳥だなんて言われてたけど実際すぐ死んじゃったし。」

「そうだな。」

 

あははと笑いながら話す彼ら。わけがわからなかった。いや、まだ両親は死んではいない。けれどなんだか嫌な予感がして帰路を急いだ。

家に帰ると両親がいなかった。

代わりにいたのは気持ち悪い大蛇丸さん。三忍の一人大蛇丸さんはかなり苦手で嫌いだった。だけどそんなの関係ない。両親は何処と聞くとにこりと笑い言った。

 

「死んだ忍びの体は貴方のものじゃない。里のものなのよ?」

 

 

あれから数年。流石に今の僕は両親が死んだというのはわかる。

そしてあの九尾襲来でもともと少なかったやなはた一族は僕以外死んだことがわかった。不可解なことにやなはた一族の死体は行方不明なままだ。つまり、未だに両親の死体は何処にあるかはわからない。もはや解剖されているに違いない僕の両親は一体どうなってしまったのか。

あの後僕は泣き叫んだ。返してと言えば言うほど大蛇丸はにこにこと笑い、それは無理だわと言いのけた。火影様にも相談したが何もしてくれなかった。誰も味方などしてくれなかった。

そのうち両親の話はしなくなった。

やなはた一族は今でも名ばかりが先走りして実際は大したことないと言われている。

僕はそれが一番許せなかった。命を落としてまで戦った両親に対しその扱い。四代目は命を落として九尾を封印した英雄。僕は納得がいかなかった。両親をそんな風に無下にした奴らも、両親を足蹴にし英雄と成り上がった四代目も、何もしてくれない三代目も、そして何も出来ない僕も、全部が全部恨めしかった。

そもそも誰が両親の体を狙ったのかさえわからないこの状況でそれを確かめるにはある程度の地位を築かなければならない。忍びの世界は徹底した実力主義だから、上にいけばそれを知ることが出来るかもしれない。そして僕がある程度の地位を築けばきっと一族としての嫌な先入観も消えるはずだ。

そのためには力が必要でただひたすら力を磨き、上を目指す。地位を獲得するためにどんな汚れ仕事だってした。あいにく、僕は男でありながらやなはた一族で艶麗であり端麗でもあったから色任務もきた。それすらも地位が上がるならと喜んでやった。忍びのエリート集団、暗部になれた時の喜びは何にも変えることはできない。今は期待の新人として実力を惜しみなく発揮し時期隊長格とさえ言われている。

 

そんな僕に火影から直接話があると伝えられたのは数刻前。

それを聞いた時、暗部仲間はついに昇格か?!と騒ぎ出し、はやすぎるだろ!昇格するの!と僕の頭をグリグリ押さえつける。だけど僕はそんな暗部仲間の無礼すら気にもとめなく、僕の先輩であり先ほど僕に火影からの伝言を伝えた人をキラキラとした期待の眼差しを向ける。その先輩は困った顔しながらそうとは決まったわけじゃないぞと言った。

僕は嬉しくてすぐさま火影邸へと急いだ。その途中唯一の友達と言っていいうちはイタチを見かけてちょっかいをかけた。僕昇格するかもしれないんだと自慢する。もちろんイタチはとっくに分隊長になっていたわけだけど、優しく良かったなと言ってくれた。僕はイタチと別れ期待に胸を膨らませながら、火影室にノックをし、返事が来てから中へと入る。

そこには穏やかな顔をした三代目がいた。ああ、やっとここまできたと、まだ宣言されていないのにも関わらず何故か感極まる。しかし三代目から発せられた言葉は僕が全く予想していなかった発言だった。

 

「やなはたヤマト。お主は今日を持って暗部を辞め、うずまきナルトの世話係に任命する。」

 

それはいわゆる左遷命令だった。

しかも世話をする相手は、僕の憎き相手である九尾がいれられた四代目の餓鬼。

一瞬理解が出来なかった。何故僕?本当にそれは僕であってるのか?混乱してなかなか返事が出来ないでいると火影は眉をひそめ返事がないようじゃがと言った。僕は慌てて申し訳ありませんと謝り、抗議したかった。何故僕がと。好成績であるし仲間内で特に問題を起こさないよう注意してきた僕がなぜと問いただしたかった。けれどそれはできなかった。

火影の命令は絶対である。それに火影の雰囲気や目を見ればそんなの抗議など受け付けないと歴然とした態度で僕に接してきている。

僕はただ本当に、本当に小さなせめてもの抵抗として小声で震える声で了承しました。と答えた。

 

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