蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第十七話 「自答」

(ここは…確か俺は溝口さんの訓練を受けてて、フェストムに遭遇して落とされた…そうか俺死んだのか)

 

「ここは、生と死の入り口まだあなたはここにいるわ」

 

真っ暗な世界の中に少女が一人点在していた。

 

「皆城…乙姫」

 

少女はいつもと変わらね笑顔を見せる。

 

「俺はどうなっているんだ。生と死の入り口ってなんだ」

 

「あなたの身体は千鶴達のおかげで無事。だけどあなたに秘められた力があなたがこちらに戻ることを困難にしている」

 

「俺に秘められた力…」

 

「あなたの決断によっては、こちらに戻ることもあちらに渡ることも出来る」

 

俺の答えは明白だ。

 

「早く戻りたいしまだ生き続けたい」

 

「貴方がそう答えてくれて嬉しい。けど貴方の想いが力を上回るかは別。貴方の力と向き合い受け入れて亮介」

 

皆城乙姫の姿が消え代わりに緑の結晶が現れる。

 

(それに触れることで、貴方と貴方の力との対話が始まる)

 

皆城乙姫の声が頭の中で響く。その結晶に手をかざすとさらに深い暗闇へと吸い込まれた。

 

(あなたはそこにいますか)

 

声だけが聞こえる暗闇の世界

 

(フェストムのいつもの語り口か…)

「俺はここにいるぞ」

(それは、本当にあなたですか)

「なに」

これまで無かった返しに俺は戸惑った。

(あなただと思っている存在は本当は私ではないですか)

「…どういうことだ」

(あなたは他の私と何度も1つになる機会があった。それを拒んだ)

「当然だ、俺は俺として生きたい」

(本当にあなたが)

「…」

(あなたの力で本当に拒んだ)

言葉を返せない。そう何度も経験したフェストムとの同化現象。今だに何故同化をすることが無かったか疑問に思うことがあった。

(あなたはわかっているのでは、本当はあなたが拒んだのでは無く、別の存在が拒んでいたと)

「それが、お前だというのか」

(そう…。あなたの中に組み込まれた私が拒み続けた。やはりわかっていた。本当に拒んでいたのがあなたではないと)

「お前の言葉のままいくとそういう答えにたどり着くだけだ」

(あなたは私に感謝する必要がある。私のおかげであなたはまだここにいる)

「仮にお前のおかげで俺が存在出来ているとして、お前は今俺に話しかけて何がしたい」

(あなたが私という存在を認識し、あなたの存在が私のおかげであることを理解した。ならあなたの代わりに私があなたでもいいでしょう)

「俺を取り込みお前が俺になるのか」

(そうこれからは私があなたである)

 

突然もの凄い量のイメージが頭の中にさらに景色として映しだされた。

 

「なんだこれは…」

 

(助けてくれ。まだ生きたい)(この子だけは、この子だけは見逃して)(よくも俺の家族を)(貴様らへの報いは必ず◯◯が…)(怖いよ、助けて…)(ウワーン。パパ、ママどこ)(殺す、コロス、コロシテヤる)(憎いこの世の全てが…憎い)

 

様々な負の感情が俺の身体を突き抜ける。

 

「やめろ。やめろー」

 

余りの恐怖に頭を抱え、目を閉じる。しかし、イメージはそれでも眼下に広がり、負の感情は俺にまとわりつく

 

(これは我々が1つになったモノ達の『感情』というらしい)

 

「そんなことはわかっている。なんのつもりだと聞いているんだ」

 

(我々と1つになるのを拒むモノ達には、こういった『感情』を肌で感じさせることで1つになることを受け入れるらしい)

 

「成る程な、確かにこれは…堪える」

 

だんだん意識が遠のくのが自分でもわかった。これは明らかに同化じゃない。俺の存在そのものが消えようとしている。そんな気がした。

 

「俺は…まだ生きるんだ」

 

(その役目は私がしよう。お前は安心して私に役目を引き継げばいい)

 

(ダメだ…俺がオレでなくなる…いままでぶじだったのはほんとうにオレのちからではなかったのか…)

 

(…すけ。…うすけ)

 

(なんだ…だれかがオレをよんでいる。あれは)

 

微かに見える視界、その先には一輪の花が咲いていた。

 

(これは…『ブルースターの花』なぜこんなところに)

 

僅かな気力を振り絞り手を伸ばす…届いた。溢れる想い。

 

(貴方のこと信じてるから亮介。)

 

(……………め・ぐ・み。恵。恵)

 

(…なるほど、これがあなたを支える力。私以外にあなたに力を与える存在。興味深い)

 

(…俺はまだ存在しているのか)

 

気がつくと五体満足で意識もハッキリとしている。

 

(気が変わりました。今はあなたがあなたでいることを認めましょう。次にこちらに来たときには、私があなたの役目を引き継ぐとしましょう)

 

声が響かなくなる。目線の彼方に一筋の光が射している

 

(おかえり。こっちにおいで)

 

光へ向かい進むと、目の前に天井が見える。呼吸器をしている。誰かが手を握っている。

 

「めぐみ…」

 

彼女は俺を見て大粒の涙を流している。

 

「亮介。おかえり、戻ってくるって信じてたよ」

 

あー。君か俺を救ってくれたのは

 

「恵ありがとう」

 

首を傾げる恵。呼吸器が邪魔で伝わっていないようだ

 

「ちょっと亮介。まだ安静に」

 

「恵ありがとう」

 

気がつけば、恵の唇を奪っていた。

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