蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~ 作:naomi
(亮介。恵を頼んだぞ)
目が覚めると日が変わっていた。変わらず鳴り響く警報
(恵は昨日は帰ってないのか)
いつも以上に静かな家…どうにも落ち着かない。
居間に行くと手紙が置いてあった。
「昨日はごめんね。お父さんが心配なのでAlvisに泊まります」
(俺が気づかなかっただけか)
不意に笑みが溢れる。
「霧島ちょっといいか」
外で見張っている仲間が俺を呼んでいる
「なんですか」
「そう睨むなよ。溝口隊長からだ」
(溝口さん…どうしたんだろう)
通信器を預かる。
「よお、亮介ちゃんと大人しくしてるか」
「溝口さん。ちゃんと大人しくしてますよ」
「それは良かった。…いいかいつでも動けるように準備しておいてくれ」
「なにかあったんですか」
「どうにも話し合いが上手くいってないみたいだ。一騎が今話しているが交渉決裂も出てきた。その場合に備えて用意しておいてほしい」
「いいんですか」
「交渉決裂になったら向こうの要望を必要以上に聞く必要はない。いつでも出れるように頼んだぞ」
「わかりました」
人に頼りにされる。忘れかけた感情が溢れる。
「今、溝口隊長から聞いた。これを」
『俺達の服装』を渡された。その時だった。
「CDCよりフェストゥム襲来の連絡…これまでにない数だそうだ」
日に日に増えていた敵の数…それが今途方うもない数で襲来した。
連戦で疲弊したこちらには厳しい状況だ。
繰り広げられる戦い。見慣れた光景が崩れていく
「ついにこの辺りまで被害が出るようになったのか」
外の仲間が呟く。自室に上がり窓を覗くと無数のフェストゥムと7機のファフナーが激しく戦っている。
次々に戦闘不能になるファフナー各機。
まずい戦況だと思っていると
(封印が解かれる)
『中のアイツ』が反応した。
(封印…)
激しい地響き、こちらだけでなくフェストゥムも驚いているように見えた。
「あれってまさか…」
仲間が見ている先にいたのは…マークニヒト
一騎が乗るマークザインと同じザルヴァートル・モデルで2年前島に大打撃を与えた紫のファフナー
禍々しさは前より増してみえた。
俺の身体は咄嗟に家を飛び出していた。
「おい霧島勝手に…ぐわぁー」
ニヒトより放たれた無差別な攻撃が俺の周囲を襲い、監視していた仲間達もそれに巻き込まれた。
(Alvisは無事なのか…。恵)
急いでAlvisに向かう。半壊した設備、火花が散りいつ引火するかわからない導線
「急いで」
普段は物静かな千鶴先生の焦り声が聞こえる。
場所はワルキューレの岩戸か、ワルキューレの岩戸に着くとウルドの泉と繋がる壁が壊され、岩戸もヒビが入り液体が漏れだしていた。
「千鶴先生」
「亮介君!?…医療ブロックを見てきてほしいの、私はここから離れられない」
「わかりました」
医療ブロックへ向かうと想像してたよりは被害が出てなかった。
「霧島君貴方なんでここにいるの」
「そんなことどうだっていい。ここは、恵は無事なんですか」
「亮介」
驚いた表情の恵が病室から出てきた。
「恵。無事か」
「えぇ、なんで亮介が」
「そんなのはいいから、被害状況は」
「スカラベ型だったかの触手でAlvisの施設内が被害を受けたけどこの辺りは大丈夫みたい」
「そうか、良かった」
「きゃーあ」
悲鳴の先にはスカラベ型の触手がウネウネとこちらに接近していた。
(行くぞ。いいな)
(…)
「触手が結晶になって割れた…亮介」
『力』を使った反動で身体の一部が同化現象にさらされるがすぐに割れた。
「大丈夫なの」
「あぁ、ちょっと疲れるけどな」
「亮介」
そこで俺の記憶が途絶えた。聞いた話ではそのあと弓子先生の娘の日野美羽が相手と対話したことで一時的にフェストゥムが撤退
しかしマークザインと一騎が行方不明となった。