蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第四十二話「還ってきた少女」

その時は一騎くんと総士くんが出発して暫くして訪れた。

 

「…いらっしゃい。乙姫ちゃん」

 

かつて竜宮島のミールに『生と死の循環』を学んでもらうために島と一つになった少女が店にやってきた。

 

「…」

 

少女は何も返してくれない

 

「乙姫…ちゃん」

 

「椎名先輩すみません。その子は『皆城織姫』ちゃん。乙姫ちゃんではなく、新たな人格を持ったコアなんです」

 

慌てて走ってきた立上芹ちゃんが経緯を説明してくれた

 

「…わかったかしら」

 

「乙姫ちゃんの娘さんになる訳だ」

 

「…貴女達の概念で言えばそういうことね」

 

「ごめんなさい織姫ちゃん。椎名恵ですよろしくね」

 

「知ってるわ。…いいお店ね」

 

「ありがとう。一度クロッシングしてくれたよね」

 

「えぇ。あの時は目覚めていたわ」

 

「その時の言葉で少し救われたよ、ありがとう」

 

「それが島の為になることだもの当然よ…それよりも聞きたかったことがあるのでしょ。芹、席を外しなさい」

 

「大丈夫よ立上さんも居てくれても、秘密にしたいことでもないし」

 

「椎名先輩…」

 

「どうして派遣部隊に亮介が行くことを許したの織姫ちゃん」

 

「どうしてだと思う。…考えて答えは出ているのでしょ」

 

「亮介や乙姫ちゃんが言ってた『力』が関係あるの」

 

「霧島先輩の『力』…」

 

「そう。その『力』を自らのモノにするためには、より多くを学び、感じ、悩み、そして決断しなければいけない。この島で学ぶことは大方学びそして正しい判断を下してきた。貴女と共に…」

 

「…」

 

「でも、この島のことだけではダメなの。亮介はこの世界のことを知り学ぼうとしている。彼が学ぶことで彼の目指すべき道が見えてより良い『力』の使い方が出来るようになるのよ」

 

「でも…」

 

「貴女の気持ちもわかるつもりよ、私は貴方達の子と近い境遇にいるのだから」

 

「…織姫ちゃん」

 

「だから信じて待ちなさい。亮介のことを」

 

「わかった。信じるよ亮介と織姫ちゃんを」

 

「それで良いわ。芹、行くわよ」

 

そそくさと歩いて行く織姫ちゃんに振り回されているようについてゆく立上さん

 

だが

 

「忘れ物をした」

 

そう言って織姫ちゃんは店に戻ってきた。

 

「恵、この花をよこしなさい」

 

「織姫ちゃん言い方悪いよ」

 

「私はこの島そのものなのよ。当然よ」

 

織姫ちゃんの指指す先にはヤブテマリの花と葉牡丹があった。

 

「この2つでいい」

 

「えぇ、ありがとう恵」

 

「どういたしまして、また来てね」

 

「いいわよ。また来るわ、さぁ行くわよ芹」

 

「待ってよ織姫ちゃん」

 

再び店を去る2人。その後ろ姿はどこか微笑ましかった。

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