蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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最終話「約束」

「これが、俺達がここに来るまでの全てです」

 

亮介はここに来るまでの出来事を皆に話した。

 

「その機体は」

 

「『マーク・ネベル』。フェストゥムに同化された俺達の母…霧島叶が持っていた『ティターン・モデル』の情報と僅かに残った残骸を俺達が乗っていた『ドミニオンズ・モデル【ガブリエル】』に島のミールが機体を祝福することで再構成し完成したファフナーです。この機体のコアは『アトム』で形成されているので、実質俺の専用機となります」

 

「『アトム』とは」

 

「俺の中にいる『もう1つの俺』の名前です。『アトム』は俺のフェストゥム因子がベースで生まれたフェストゥムに近い存在で、俺は『アトム』と一心同体になることでファフナーを動かせるようになりました」

 

「つまり、『人の心を持ったフェストゥム』が君と一心同体になっていると」

 

「はい。皆城織姫曰く俺は『人とフェストゥムの中間に位置する存在』になったようです」

 

「『マーク・ネベル』の性能は」

 

「『ドミニオンズ・モデル』の性能に『ティターン・モデル』の性能が上乗せされているので問題ありません」

 

「ナレイン将軍から頂いていた情報によれば『ドミニオンズ・モデル』は量産型ザルヴァートル・モデルのようなものだと記録していました。つまり」

 

「そこに『ティターン・モデル』の性能が上乗せされている…マークザインやマークニヒトに匹敵するのか」

 

「恐らくは…」

 

「亮介くん。我々は今『プランδ』を実行している。だが先の戦闘で現存する全てのファフナーが使用不能となった。護衛を頼まれてはくれないか」

 

「もちろんです真壁司令。その為に俺はここへ来ました」

 

「ありがとう。すまんがよろしく頼む」

 

『マーク・ネベル』は敵意を持って近づくフェストゥムを意図も簡単に倒していった。たった1機で

 

(ベースは『ドミニオンズ・モデル』だが、人類軍のファフナーで標準装備のルガーグリップが左腕のみ『ティターン・モデル』の鋭利な手になっている。しかもその腕はイージスを展開出来るため攻守一体となったことで巨大化した左腕のハンデが見事に消えている。右手にはベヨネット。臨機応変に素早く対応するにはあのコンパクトな銃剣を装備した方が良いという判断か、背面は『ティターン・モデル』か…機動性を重視しているようだな。そして最大の特徴は『マーク・ネベル』のSDP『支配』。範囲内全ての敵を支配下に起きコントロール出来るようだ。範囲は丁度竜宮島を全てカバー出来る程の広範囲対象はディアブロ型クラスの上位種をも支配下に置けるほど強力な効果。対象は効果範囲内ならば何体でも支配出来るが、数が増える程1体への効力が弱まり、支配下においたフェストゥムの種類によっても一度に支配出来る数は変わるようだな)

 

「『マーク・ネベル』凄まじい戦闘力です」

 

(これが、亮介の本当の力…)

 

「亮介くん。こちらは間もなく竜宮島防衛圏内を抜ける。君も帰還したまえ」

 

「了解。…皆城織姫は還りましたか」

 

「あぁ、我々が必ず島に還ると信じ島に命を還した」

 

「そうですか…」

 

無事、竜宮島防衛圏内を抜けたRボートとLボート。しかし『マーク・ネベル』は歩みを止めた。

 

「『マーク・ネベル』が竜宮島防衛圏内で停止しました」

 

「亮介どうしたの、さっきの戦闘でどこかやられたの」

 

「恵すまない。俺はここから先へは行けない」

 

「えっ…どうして」

 

「俺達の命は竜宮島のミールの祝福によって生かされている。だから竜宮島のミールの大気が十分漂う竜宮島でしか生きていけないんだ」

 

「そんな…」

 

ようやく再会出来た矢先の突然の別れ、私の目は涙で溢れていた。

 

「佐喜さん。二人を頼みます」

 

「亮介…。任せとけこのバカ」

 

「ありがとうございます。」

 

「皆さん。皆さんが帰還するまで、俺達が必ず島を護ります」

 

「…戦力としては実質『マーク・ネベル』1機のみとなる。潜航モードに入り偽装鏡面も展開されるため、まず襲撃は無いであろうが、困難な任務となる。すまんが島を頼んだ」

 

「了解。…ごめんな恵、一緒に行けなくて」

 

「亮介…」

 

「俺達は、何年経とうが何十年経とうが必ず皆のこの島を護り皆の帰りを待ってる。だから恵も皆と必ず生きてこの島に帰ってきてくれ」

 

「うん。わかった…」

 

「約束だな」

 

「約束だよ」

 

そう言い残すと『マーク・ネベル』は海と同化し反応が消えた。

 

私達は各々が結んだ『約束』を胸に愛する故郷をあとにした…。




2年後

息子も成長しどこかあの人の面影が雰囲気に出てくるようになった。

私は、仕事の終わりに息子を迎えに行き海岸に行っては、私達が帰るべき方向を眺めるのが習慣になっていた。

「ねえお母さん、どうしていつも同じところをずっと見ているの」

「あの先にはね、私達の帰りを待つ人達がいて、私達が帰るべき故郷があるのよ。亮一」

「そうなんだ。故郷…」

「…行きましょ亮一。今日の夕飯はカレーよ」

「やったー」

親子は手を繋ぎ沈む日を背に帰路へと帰った。




(うん…。母さんは必ず僕が守るよ。父さん)
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