リアルでもダメになりたくないなぁ……( ̄▽ ̄;) 【完結済み】 作:先詠む人
色々と考えた結果、IFルートを別作品として投稿することにしました。
おそらく、この回と同時刻に投稿するようにしているので検索の下の方にあると思います。
URL
https://novel.syosetu.org/80395/
パーンパラリラリーラーラ♪(ドンッドンッドンドドッドドンドン)
耳元で流れるある意味聞きなれた太鼓のメロディの中に急に出てくるトランペットの音で目を覚ました。
どうやら布団にくるまって自己嫌悪に陥っていた内に俺はそのまま眠ってしまっていたらしい。
ヘッドフォンを外しながら未だに焦点が合わない目でそのまま時計をぼーっと見ているともう12時を過ぎていることに気付いた。
「もう昼か・・・・。」
そう呟いた後に今にも死にそうな顔でどうにかこうにか動き出した俺は、そのまま布団をたたんでリビングへ出た。するとそこには
(何があったんだ?雷香は今朝の俺のせいだとしても玲奈はなんで?)
「「・・・・・・・・(ガクガクブルブル)」」
顔を真っ青にして二人でお互いに抱き合いながらソファの上で震えている雷香と玲奈の姿があった。
「・・・・・・・・・母さん、あれ一体どうしt「「おにいちゃ~ん!!!!!!!」」ウォワァ!!!」
声をかければビビッて逃げられると思った雷香もそしてなぜかはわからないが震えていた玲奈も俺が事情を聴こうと母さんに声をかけたとたんに、勢いよく二人そろってこちらに向けて走ってきてそのままタックルするように押し倒され…
「痛ぁ!!!!!」
押し倒された際に反射的に自分の体を雷香達と床の間にすべり込ませて二人分の体重を受け止めた結果、思いっきり後頭部と腰を強打して叫ぶことになったのだった……。
「「ごめんなさい…」」
俺が痛みのあまり叫んでから数分後、俺の前で正座している
「いや、別にさっきの押しつぶされた分は良いって…それよりも二人ともけがはなかったか?」
寝てる間に狂乱状態だった俺の
「怪我は大丈夫なんだけど…。」「お兄ちゃんが私たちに話してないことを知っちゃって…。」
俺は今にも泣きそうな二人の顔を見て、そして玲奈が話しながらちらっと母さんの方を見たことで何があったのか、母さんが二人に何を
「ハァ・・・・、まさか母さん俺のトラウマのことについて教えずに資料館に行かせたんじゃないよなぁ?」
ため息をつきつつ、母さんの方を半目で見て問いただすと、
「行かせたわよ?だってもう一回遠足で行っていてもおかしくないじゃない?」
そう返してきた。だけど、それは違う。雷香達の通う小学校の1年生の行事予定で原爆がかかわっているものは明日の8月6日に被爆者から講堂で暑い中、夏休み中なのに行われる全校集会で話を聞くというのが一つ。
そして千羽鶴を折って2年生に渡すということだけで実際に平和記念公園に遠足に行って資料館を見に行くのは2年生の春に行われる予定だ。
「ちげーよ。雷香達が行くのは今回が初めてだ!!…ったく、なんで俺が雷香達の行事の予定知ってて
俺は一瞬フラッシュバックが蘇りそうになって顔をしかめながらそう吐き捨てた。
広島の高校生以下の学生たちはみんな過去に起きた悲惨な出来事を忘れないために平和記念公園に遠足で行ったり、被爆者の方たちを学校にお呼びしてお話を聞いたりすることがある。
俺が通っていた高校は校長が途中で変わるまではそうしていたらしいが、俺が2年の時に校長と教頭が変わったせいかそのために集会が行われることは無かった。何か聞いた話によると「そんなことよりも勉強させんかい。勉強。」とか言ってしないことにしたらしい。
ただ、俺が卒業後の今年はやったらしいのでやはりあの出来事をないがしろにするようなことは批判が大きかったのだろう。
だから雷香達も一応、事前に先生から話は聞いたりして悲惨な出来事だったということぐらいは知っていたに違いない。
だけど、
…………まぁ、それがあの資料館を作った人たちの狙いだと言われたら俺は何とも言えなくなるんだけどな。
それにしても、雷香達も俺と一緒の状態か…。
そう思いながら目の前で泣いている二人を見ていたらその瞳の奥になぜか紅葉に満ちて、幼い少年ともうだいぶ年を重ねたであろう老婆が並んで座っている縁側の光景を幻視した。
『……◯◯いいかい?心ってのは案外簡単につながるもんなんだよ。それは思いも一緒さ。だから人間、一人で生きてるって思っても案外そうじゃなくていろんなときにつながってるもんなんだよ。そこは覚えておきなさい。きっといつかそれが役立つはずだから…』
そして、その幻視の中で老婆が隣に座っている少年に向けてそう言う声がどこからか聞こえたと同時に俺はある記憶を思い出した。
これもまた俺が幼いころの話だった。
ある秋の日に、親に連れられてひぃばあちゃんの家へと行ったことがある。
ひぃばあちゃんの家はかなり山の奥の方に会って当時幼かった俺からしたらそこで過ごす時間は暇でしかなかった。
そんな時に偶然裏手の山の方に洞窟を見つけてそこに入った結果、ものすごい親父から怒られたんだ。確か…『いつ崩落するかわからない防空壕に入るんじゃない!!!』…………だったかな?
それでめちゃくちゃ怒られた上に殴られて、ふてくされた俺が縁側で寝ころんでたらやってきたのがひぃばあちゃんだった。
そして、俺の顔を見たとたんにこう言ったんだ。
『何をふてくされとるんね?あ、もしかして防空壕入ったんか?』
そう言いながらひぃばあちゃんは俺の横に座って、寝ころんでいた俺の頭を撫でた。
『---------。』
正直、俺がその時言った内容は思い出せない。だけど、その何かを言った途端にひぃばあちゃんの顔が泣きそうに一瞬なったのは事実だった。
そしてひぃばあちゃんは俺の頭を撫でるのを一回止めて俺の方をはっきりとみてからこう言った。
『隼人いいかい?。心ってのはねぇ、自分で思うよりも簡単じゃないんだよ。自分と合わないのもいればぴったり合うのもいる。だからこれだけは覚えときな。』
ひぃばあちゃんはそう言ってからこう続けたんだ。
『隼人いいかい?心ってのは案外簡単につながるもんなんだよ。それは思いも一緒さ。だから人間、一人で生きてるって思っていても案外そうじゃなくて、いろんなときにつながっているもんなんだよ。そこは覚えておきなさい。きっといつかそれが役立つはずだから。それにばあちゃんはもう長くない。だからお前にあの日起きた悲劇のことを話そうとするかね。これはおまえのばあちゃんも知ってる話さ。今から半世紀ほど昔の話…』
そうだった…俺は昔、ひぃばあちゃんからあの日の生の。生きた経験の話を聞いてたんだ……。
そしてひぃばあちゃんは俺たち家族が帰ってから数日後に天寿を全うしたらしい。あの日起きたことすべてを俺に語り部として託して…………。
ひぃばあちゃんとの思い出は俺が幼いころに亡くなったのもあってあんまり残ってないけれど、あの秋の日にひいばあちゃん家に行ったときに縁側でしたその会話の内容はなぜかあのトラウマと一緒に俺の記憶の奥底に眠っていた。
…………いや、多分わざと眠らしていたんだろうな。関連してトラウマまで思い出しちまうから。
俺はそう思いながら雷香と玲奈の頭を撫でた。不思議とさっきまで感じていたトラウマから来たりする不快感はなくなっていた。
「あの日に起きたことは忘れちゃいけないことだけど、だからってお前らが苦しまなくてもいいんだぞぉ~。それに過ぎたことは変えられないしさ。あれが怖いんなら俺でそれを上書きしてもいいぞ。」
落ち着かせるように撫でながら、ゆっくりと二人を諭すようにそう伝えた。
そしてそのまま泣き出した二人をずっと撫で続けていた。
ずっと。ず~っと。扉の向こうでこっちを恨めしそうに見ている帽子をかぶった銀髪少女に気付くまで・・・・。
感想、評価をもらえると作者はキラキラします。