リアルでもダメになりたくないなぁ……( ̄▽ ̄;) 【完結済み】 作:先詠む人
以前活動報告でも言ったと思いますが、最終回まで一挙更新します。
と言うわけで本日22時に最終回が更新されると思いますのでそちらもよろしくお願いします。
ハロウィンで子供たちに集られてお菓子をたかられた俺は、最終的に小学校の近所にある駄菓子屋できなこ棒を何本も買って配ることで勘弁してもらった。
「はぁ……疲れた。」
その日の夕方に校庭で騒いで疲れたのか眠ってしまった二人を背中に背負って家に帰り、玄関の上がり框に腰を下ろしてそう呟く。
人を一人でも背中に背負うのはかなりの負担がかかると昔聞いたことがあるが、実際慣れればそうでもなかった。
背負ったまま玄関から移動し、一旦二人をリビングにあるソファの上に寝かせる。
「ふぅ…」
ネクタイの結び目を緩くしながら二人の方を見ると幸せそうに眠っていた。
「……」
暫し、その寝顔を堪能する。ちょっとのあいだ堪能してから俺は
「飯作るか。」
と言って台所の方へ歩き出した。
2人の寝顔を見ている時に俺はそのことに気付けばよかったのかもしれない。二人の体を霞ませるかのように一瞬だけノイズが走っていたことに。
俺はそれを確かに目視していた。だけど、俺はそれを気のせいだと思って流していたんだ。
そして俺は肝心なことを忘れていた。
何が起きているのか全く気付かないままのんびりと日常を満喫しつつ、その年の年の瀬を俺たちはゆったりと越え、バレンタインデーで俺が二人から手作りチョコレートをもらって喜んでいたら玲奈が
「それでお兄ちゃん。実はおまけがあって~」
とか言いながら服を脱ぎ出したので顔を真っ赤にした雷香が必死に止めるなどと言った事態も起きたりしたが、3月を迎えていた。
「ふぁ~眠。」
3月の3日。男の日である端午の節句とは逆に女の子の日である桃の節句である今日は女の子がかわいがられる日……って認識であってるのかいな?
まぁ、そんな感じで春休みを地味に満喫しながらも俺は明石さんから昨日聞いたことについて考えていた。
『実は最近コエール君の様子が変なんです。もしかしたら壊れちゃうかも。』
『へ?』
昨日の夜11時くらいにバイトから帰って泥版の艦これをいじっていたときに不意に明石がそうこぼした。
『壊れるってどうしていきなり。』
『いや、さすがに機会ですから24時間ずっとひたすらメンテなしで稼働させていたらおかしくなることもありますよ~。』
『なんでそんなむちゃくちゃな稼働させてんの!?バカなの!?』
そのあまりにも衝撃的なカミングアウトに対して俺が暴言で返すと
『だって、もしも万が一があったら怖いじゃないですか。なので響さんがそちらに試験版で渡って以降常にアイドリング状態にしてありますよ。そしたらこのざまです。』
と、画面の向こうで明石さんはそう告げた。
『そうだとしてもなんでそんな機械にものすごい負担をかけるようなことを!!』
普通、機械と言うものは長時間の連続使用を見越して作られていないものが多い。ましてや精密機器などはなおさらで細かいメンテナンスが必要不可欠になる。
だが、明石さんが言うにはメンテなしで約半年の以上も連続稼働していた。
そうなったらどんな機会でも壊れてもおかしくない。と言うかむしろいまだに壊れていない方が僥倖だった。
『というか、もし壊れたらどうなるんだ?何かやばいことになったりしちゃうのか?』
『いやぁ~、わかんないです。さすがに異世界間を移動するという機械は前例を聞いたことがあまりないので壊れた場合もわからないのが本音です。』
『まじか……』
その返しに呆然とする俺を置いておいて明石さんは
『極力最悪の展開にはならないようにします。だけど、あまり期待しないでください。』
そう明石さんが言うのと同時に泥版の艦これが強制的に落ちた。
慌てて艦これを再起動する。
『今何が起きた!?』
スマホの1280×720の画面に映し出された執務室は先ほどまでと違って荒れていて、明石さんに代わって大淀さんが映っていた。
唐突に起きた事態に対して大淀さんに尋ねる。
『わかりません。ただ、工廠の方で爆発がありました!!今明石が向かっています。』
『状況把握を最優先にして逐次報告!万が一のことも考えられるから手を抜くな!!』
『はい!!』
そして数分後大淀さんから俺が一番聞きたくない一言が放たれた。
『提督……すみません。これはかなり辛い報告になるかもしれません。』
『何となくその言葉で想像ついたけど言ってくれ。』
『わかりました。では、報告させていただきます。工廠で起きた爆発はコエール君が原因ではありませんでしたが、しばらく建造ができません。建造ドッグが何者かによって破壊されました。』
『あ、そっち?よかった……』
椅子の背もたれに体を預けてずるずると音を立てながらずり落ちる。
『しばらく建造ができないというのはかなりの痛手になると思うんですがいいのですか?』
大淀さんは俺の言葉へ疑問を覚えたのかそう聞いてきたが、
『いいよ。俺からしたらコエール君がぶっ壊れる方が問題だし。』
俺は内心安堵したのを隠しもせずにそう答えた。
『……そう………ですか。』
そんな俺の言葉に対して大淀さんは何故か顔を曇らせながらそう答える。
『どうした?何かほかにあったのか?』
その様子に不安を覚えたからそう聞いてみたが、
『いえ、別に何もないです。ええ。』
と、濁された。
『……嘘はつかずに正直に報告してくれよな。何か取り返しのつかないことになってからじゃ遅いんだから。』
その濁された様子に少し不安を覚えたが、俺は大淀さんが正直に話してくれることを信じてそこまで追求しなかった。その判断が間違っていることなど知らずに……
次の日の夕方、何故か雷香と玲奈の2人が顔を寄せ合って俺のスマホを見ていたので少し遠目から画面を覗いてみたが、どうも泥版の艦これを起動させて話しているようだったから特に何も言わなかった。
特に言わなかった理由としては俺がパソコンをつけていないときは大体二人は勝手に俺のスマホで艦これにつないで鎮守府にいるメンツと話していたので目ざとく言う必要もないと思ったからだった。
ただ、その後二人は不安そうな顔をしていて、その日の夜は二人そろっていつの間にか爆睡している俺のベッドにもぐりこんでいたことに気付いたのは次の日の朝の事だった。
それからと言うと、二人はどことなく情緒不安定な感じでいつも俺にべったりしがみつき、「何かあったのか?」と尋ねても首を振るだけで答えてはくれなかった。
そしてその日がやってきた。
3月10日。
やけに胸騒ぎがして目を覚ますと二人は連日のように相変わらず俺にしがみついていたが異常が起きていた。
「うぅ……」
「痛い……」
「二人ともどうし………っ!?」
俺にしがみついている二人からこぼれた言葉が耳に入って俺は目を覚まし、二人の様子を見て目を見開いた。
まずいつも辛くてもなかなか本心を言わない雷香が痛いと言っている時点で普通じゃないことになっているのは確実だった。ただ、その規模が創造を超えていた。
今俺の両脇にいる2人を覆い隠すようにノイズが走り、パラパラと光の粒子が舞い散っている。
2人の様子は辛うじて輪郭が見える程度になってしまっており、玲奈に至っては体中にノイズ越しでもわかるレベルでひびみたいなのが走ってそこから蒼い炎のようなものが噴出していた。
「一体何が……」
慌てて二人を抱きしめつつ、そう漏らした瞬間に机の上に画面をたたんで置いていたノートパソコンの方から起動する際に聞こえるハードディスクが回転する音、そしてカカッと言う若干甲高い音が部屋に鳴り響いた。
「!?」
これまでにも鎮守府側からの
家に幽霊がいるって話はこれまで聞いたことないし、心霊スポットに行った覚えもないから心霊現象ではないと信じたかったのもあって俺はこのパソコンが勝手に起動したのは鎮守府側からの何らかのアプローチがあったからだと判断したのだった。
明石さんがこの現象をどうにかしてくれるのでは、と希望を抱いて二人をいったんベッドに寝かせ、机に近づいてたたんでいたノートパソコンを開く。
開いたことで見えるようになった画面にはいつも起動時に見る窓の7代目のバージョンのOSの起動画面が開いていた。
しかし、このノートパソコンを買ってからずっと見てきた
「ブルースクリーン!?このタイミングでパソコンがバグったのかよ!!」
のどから絞り出すかのように悲鳴を上げる。
俺が使っているノートパソコンの
そのため、真っ青に画面がなる。要は真っ青な画面に白文字が浮かび上がったということはパソコンのOSに異常が発生したということになる。
そんな最悪な事態に対してどうしようもないと呆然と項垂れる俺を救うかのように白い小ウインドウが唐突に画面に表示された。
「司令聞こえますか!明石です!!」
「明石!?」
聞こえた声に食いつくように画面のフレームを握りしめる。
小ウインドウには恐らく執務室なのだろうか、見覚えがある家具を背景に置いた明石がまるでビデオ通話をしているかのように映し出されていた。
「これまで黙っていてすいません。コエール君が先ほど中破、これ以上継続して稼働させるのが困難になりました。このままだと完全に壊れてしまいます!!」
「バカ野郎!!なんで継続稼働続けてたんだよ!!調子が変なら一旦機械そのものを止めて全部チェックしなおす。それで様子を見ながら再稼働が普通だろうが!!」
パソコンの画面に向かって怒鳴るが、こちらの声は届いていないのか明石は顔色一つも変えずに続ける。
「以前停止させようとして際に中規模の爆発が発生、鎮守府内に大きな被害を及ぼしました。そのせいで下手に稼働状態を変更できなくなったせいでこんなことになってしまったことを申し訳なく思います。」
「爆発ってあの時のかよ!?」
明石さんの言葉を聞いて脳裏に浮かび上がったのは以前泥版がいきなり落ちたときのこと。
やはりあの時大淀さんはごまかしていた。
「今はまだエネルギーがうまいこと廻っているので辛うじて連絡できましたがこれ以上機械の破損が起きればそちらとの接続が行かなくなるかもしれません。そうなった場合雷香さんたちにも何らザッの影ザッが」
バン!!プツン!
まるで古いテレビの電源を落としたかのように明石さんが映し出されている小ウインドウを含めた画面全体は小ウインドウから鼓膜が破れるかと思うレベルの爆発音とともに暗転した。
「明石さん?明石さん!!」
画面に顔がつくんじゃないかってほど近づいて名前を呼ぶが、答えは返ってこず、その上もっと最悪の事態が起こった。
画面にしがみつく俺の後ろの方から緑色のほのかな光が差し込む。
俺の机とベッドは丁度平行線になるように置いているからその光源はどこかすぐに察することができた。
「!?」
慌てて振り向く。
振り向いた視線の先のベッドの上には雷香と玲奈が体から0と1の数字を零しながら宙に浮いていた。
2人に先ほどまでのノイズは浮かんでいない。だが、その代わりにそのこぼれた0と1がこちらへとふよふよと流れてきていた。
「おいおいまじかよ……」
俺が無意識にそうこぼした瞬間、二人の体は勢いよく崩壊してすべて0と1のデータに変換されてこちらへと勢いよくなだれ込み始めた
今夜22時に最終回更新します。