気が付いたら、赤ん坊だった。
高校生だったはずだが、何故か赤ん坊になっていた。
最初は戸惑ったが何も出来ないので、されるがままだ。
羞恥心など、とうに無い。
まぁ夜泣き愚図りが無いので手軽なはずだ。
一年が過ぎ家や親の事が分かった。
なんの因果か、また俺は医者の家に生まれた。
父親が医者のようで、母親は看護師っぽい。
でも母は足が一本になる前は武将だったらしい。
ここで分かったと思うが現代日本じゃない。
夜の灯りは電気ではなく、行灯っぽい奴だ。それに一度、母に抱っこされ外に行ったが、まるで何百年も前の中国っぽい雰囲気だった。。
ちなみに家の場所は東萊郡、まったく、さっぱり、どこか分からん。
二度目の母は時たま見せる笑顔が太陽のように綺麗だ。
俺の事を一番に考えてくれる優しい人で、秀美目無しに綺麗な美人だ。
俺を抱っこし、よく子守唄を歌う。
二度目の父は温和で優しい人だった。平々凡々の顔立ちだが、全身からは優しさが滲み出てる、そんな父親だった。
でも俺が3才頃に医者の父は死んだ。
患者の血を浴び感染して死んだようだ。
母は泣かなかった。俺に、父が遠くにいった事を伝え、優しく静かに抱き締めてくれた。
ただ、夜になって隣の部屋から、すすり泣く声が微かに夜明け頃まで聞こえた。
これからは俺が母を支えようと思った。
はい、5歳になりました。
人生ダラダラ生きてるほど無駄な事はない。だから、ぱっぱと進むぞ。
二度目の母親は優しい人だったが、苛烈で厳しく、ぶっ飛んでる。
5歳の俺が惰眠を貪っていたら突然腹に衝撃がきた。
心臓とか息とか色々なモノが止まった気がする。
うめき声すら出す事も出来ず俺の体はピクピクしていた。
プルプル子鹿のように顔を横に向けると、そこには母が立っていた。
俺の腹を殴った犯人は、母だった。
母曰く。
「男は、優しくなければ生きる資格が無い。強くなければ生きていけない。」
どこのハードボイルドだよ!どこの探偵だよ!
それに、と母は続けた。
男ならいついかなる場合でも戦う準備をしなくていけない。戦い、戦え、戦おう。と、のたまった。一応これは修行だと言っているが意味がわからん!つか!死ぬわ!
そして母は度々、突然と俺を攻撃してくるようになった。
二三回、親父に会った気がする…
5才なかばで思う赤ん坊の頃に見た母は夢幻ではなかろうかと。
あと、この二三年の間に母は看護師から医者になった。仕事で忙しいのは分かるが、5才の子供に料理に掃除なんでもやらせる。まぁ母は元々、料理や家事が出来ないんだがな。
ちなみに俺の日常は以下の通りだ。
暇な時は家にある医術書を読んだ。書と言っても殆ど板の巻物だ。少ないが本も数冊あった。
ちなみに主に書かれていたのは漢方、薬草の調合などだ。どれが毒で、どれで癒せる。二つの薬草を混ぜると、こんな効能がある。そんな事が書かれていた。
悪ガキと喧嘩ばかりしていたら近所の爺に武術を習わされた。
化け物並に強い爺で、何度か修行で生死の境をさまよった。爺、師匠は鬼だ。
五歳のガキに手加減無し、問答無用の滅多打ち、ボコボコにされる。
最近、近くに住んでる練丹術の道士と親しくなった。
物の見事な変人だ。まるっと全てが変態だ。
道士の夢は空を飛ぶ事だ。ちなみに鳥のようにではなく、仙人のように雲に乗りスイスイ飛びたいらしい。
一応俺は火薬を使って飛べばとアドバイスしておいた。
火薬は一応あるにはあるが庶民には出回ってない。でも練丹術の道士なら手に入れる事ぐらい出来るだろう。成功すれば、まさしく吹っ飛ぶ、そのまま天に昇る可能性もあるが本望だろう。
ついでに俺は和紙の作り方も教えた。前世で小さい頃、唯一やった事があるのが和紙の作り方だ。
学校の授業が役に立つ日が来るとは思わなかったな…
この時代、紙はメッチャ高価だ。つまり紙で尻を拭くなんて事は、まったくもって論外な話だ。
紙で尻を拭く為、まぁ出来たら良いな程度で教えた。
あとは父の友人、華佗に出会った。
色々な話を聞いたがなかなか面白い人物だった。
なんでも気合が大事らしい。
そんな毎日を過ごした。
うっし。
そろそろ寝るか。