光陰矢の如し、俺は二十歳になった。
二十年ほど生きてわかった事、それは、この世界が三国志っぽいのだ。
董卓、呂布、曹操、そんな奴らの噂話を聞いた。
ただ俺は…三国志を知らん。ほとんど、まったく知らん。
ちなみに俺の知ってる董卓と呂布は…
董卓は悪い奴だっけ?
呂布はスゲー強い奴だったな。多分。
三国志の流れは…
劉備、曹操、孫ケン?、その三人が戦い、曹操が勝つ、だったな。
まぁ三国志だろうが、三国志とは違かろうが、俺には関係ない。
んで、俺の日常生活は相変わらず…、いや少し過激になった。
母の修業(襲撃)は年々厳しくなった。拳が剣になったり、鎖鎌や槍などになった。修行の時間帯は食事中やトイレ、深夜になった。間違いなく当たったら死ぬ。そんな日常生活だったよ…
幼少期の思い出は全て幻だったのではないかと最近ではよく想う。
昔と比べて武術の師匠である爺に勝てるようになり、今はだいぶ勝ち越している。家の医術書と言うか薬術書は全て読破し覚えた。暇な時は町のゴロツキをぶっ倒したり、山賊を退治を手伝った。母がやらないので、料理や家事スキルが無駄に上がった。
火薬と和紙の作り方を教えた練丹術の道士は、見事に両方とも作り上げた。
火薬の作り方は知っていたようで、教えた半年後に出来上がっていた。
私には不要な物だと言い、部屋の片隅の床に置いてある。
紙の作成は、息抜きにやっていたようだが、二年ほどで作り上げた
ただ和紙を作る機械は部屋の隅に棚の代りとして置かれている。
その他にもあった木製の和紙を作る機械が処分されそうなので俺がもらった。これで尻を拭くのに困らんな。
ついでに火薬も貰い、作り方も一応は聞いておいた。
ちなみに俺の容姿は母言わく、まぁまぁらしい。
178cmほどの身長、体は風邪一つひかず健康だ。
母から受け継いだのか、生まれ変わる前と同じなのかは不明だが、生前と同じ漆黒の髪と瞳だ。
あと俺の特徴は、目だ。目付きがすこぶる悪い。母の目はキリッとして凛々しいが、俺の目は極悪人らしい、赤ん坊は俺を見ると必ず泣くし、子供は涙目になる。だから赤ん坊や子供には出来るだけ近づかないようにしている。
ホントどうでもいい事だが死んだ祖父とソックリらしい。
いつものように爺と手合わせしていたら母の助手、朱知が来た。なんでも母が俺を呼んでいるとつげられた。
「なんだよ。用って」
家に入ると母は椅子に座っていた。
「来たか。東萊郡と青州の間で問題が起こった。邪魔してこい」
いつもの無表情で淡々と母は話した。
「はいっ?」
助手の朱知に詳しく聞くと、なんでも俺達が住んでる東萊郡と青州の間で金の問題が起こり、文(上奏文)を先に国へ報告した方が勝つらしい。
「このままじゃ私の友が困る。どうにかしてこい」
そう母に言われ俺は家から叩き出された。
そして俺は、家に向かって罵声を浴びせ、仕方なく文を報告する場所がある都に馬を走らせた。
国に報告する役所に着いたが、どうするか。
う〜ん、何も思いつかねぇ。勢いだな、どうにかなるだろ。
列を見ていたら先頭に、たぶん青州の役人がいた。早くしねぇとヤバイな、とりあえず行くか。
「何を出すか確認する。見せてもらおう。青州の役人か?」
ここの役人っぽい雰囲気で当たり前のように俺は言葉を発した。
「どうぞ上奏文です。はい、そうです」
何の疑いもなく真面目そうな役人は俺に上奏文を手渡した。
間違いねぇな、コレどうするか。邪魔しろだっけ?
つか報告が出来なきゃいいんだよな。よし。
俺は一気に文を破き、さらに粉みじんになるまで破き続けた。
「あっ!あああああーーー!なっ!何をしている!」
「ドンマイ。俺は逃げる。お前も逃げた方がいいぞ、じゃあな」
速攻で走り去り、馬に乗って逃げた。
ついでに俺はそのまま旅に出た。
母には助手の朱知がいるし大丈夫だろう。
ちなみに朱知は、母の事が好きなようだし、良い奴だからな。
安心して任せられる。
後のちに思う、別に青洲の役人の前で破く必要は無かったかもとか、そのまま預かって上奏文を提出した事にすればよかったとかな。青洲の奴らに命を何度も狙われ、そう考えるようになった。
まぁ、あれだ。
若気の至りだ。