華佗は別人です。
ちなみに前編です。
都昌の周りを出来るだけ元通りにし、また俺はプラプラと旅をしている。
けっこう大きな町の大通りをのんびり歩いていたら、偶然、華佗に出会った。
最近は前髪を伸ばして顔を隠してるので、よく華佗の奴は気がついたな。まぁ華佗が言うには「気」が人それぞれ違うらしい。あと骨格。ちなみ何故、俺が前髪を伸ばしたかのは赤ん坊や子供が、あまりにも泣くからだ。俺の目を見てな。なかなか来るぜ。
で、俺は華佗に誘われ近くの茶屋に入った。
ダンゴうめぇなぁ。奢りなのでバクバク食っていたら…
「医術書をやろう。しかも俺の直筆だ」
ドヤ顔で言われたが。
「いらん」
マジいらん。
「なん、だと!?」
大げさなリアクションがうぜぇ…
その後も、やたらと進めてくる。
「人殺しだ。俺には資格が無い」
出来るだけ淡々と言葉を発した。
「大なり小なり人には罪があるさ」
透き通った静かな声が耳に響いた。
「それに…一歩間違えれば患者が死ぬ。責任が、命が…、重いんだよ…」
「そうゆうお前だからこそ医者になるべきなんだよ。それに、お前が医者をやらないより、医者をやった方が沢山の命が救える」
「……」
「これは、好きにしろ。お前の物だ。捨てるなり、燃やすなり、な」
華佗は俺が座っている横に医術書をそっと置いた。
「なんでだよ…、他に渡す奴とか居るだろ…」
「底抜けにお人好しな所は父親似だ。底抜けに優しいのは母親似だ。お前なら良い医者になる」
やわらかな笑みが…、鼻に付いた。
「答えに、なってねぇよ…」
〜
あの後、華佗は旅立った。
俺は、まだ町に居る。つか呼び出された。
何故か大守に呼び出され、太守の屋敷に向かった。
大守劉ヨウが、俺と同郷なので、そのよしみで呼ばれた。自分で言うのもなんだが、わりと俺は有名人らしい。
問題的な行動を起こし、喧嘩を売られブチ倒し、戦で戦い名が売れ、食客やったり、用心棒やったり、そんな感じで俺は有名になっていた。
で、太守にテキトーに挨拶してたら、戦に巻き込まれた。
巻き込まれたって言うよりは「手伝ってくれないか?」と太守の劉ヨウに言われ、悩んでいたら褒美に財宝くれると言うので手伝う事にした。
何度か盗賊を退治を手伝った。しかし、その後は、まったく呼ばれなくなった。それは何故か、人物批評家の許ショウを気にして劉ヨウは俺を使わん。
劉ヨウは許ショウの意見を聞いてアレコレ決めている。そんな許ショウに俺は嫌われてるようだったし、数日前に許ショウの話をどうでもいいと言ったからだろう。器が小さい奴だぜ。
許ショウが黄巾の乱の話をしていた。
「黄巾の乱は失敗に終わる。漢王朝は火徳の赤、黄巾賊は土徳の黄、奴らは『蒼天已死 黄天当立』と言っている。しかし蒼天だと木徳、土は木に負ける。」
とドヤ顔で言っていた。
どうでもいい…
そんな思想の話、どうでもいいわぁ。
そんな感じで、まったく呼ばれなくなった。まぁ雇われた傭兵みたいなもんだからな、金の為だ。それに楽だ。と俺も最初は思っていた。
しかし暇だった。暇すぎた。
暇で暇で、酒を飲んだりしていた。
一人で飲むのにも飽きたので、テキトーに兵士達を誘い飲み会を開いた。たびたび奴らと馬鹿騒ぎをした。
それでも暇で、無駄に偵察に行っている。
今も陳武と二人で偵察している。陳武は俺と同じような流れ者だ。何故か俺の副官のようなポジションにおさまっている。陳武はまぁまぁ頭は良いのだが、バカな変態なのが残念な奴だ。
いやぁ、いい天気だねぇ。にしても暇だ。かなり出張ってるから敵が出てきもいいようなもんだが。出ないかなぁ敵。と思いながら、さらに馬で進んで行くと。
あれは、武将だよな?
剣を持ってるし、気がデカイ。
桃色の髪、褐色の肌、スタイルの良い体してるねぇ。美人だが、なんか物憂げな表情してるな…
まだ気づいてないな。
つか一人なのか?
まぁいいか。
俺は馬に合図を送り、駆けた。
すると向こうも俺に気づいたようだ。
女も俺の方に馬で駆けてきた。
さっきまでと顔つきがまるで違う。
はっ!いいねっ!やる気満々だな!
おらっ!
すれ違いざま。
馬上で一太刀切り結んだ。
そして、派手な剣戟の音が響いた。