無理矢理、合わせました。
タイトル違いますが後編です。
ごめんなさい。
派手な剣戟の音が響き渡った。
「いきなりねー」
女は驚いたような顔で言ってはいたが。
「あれぐらい、どうって事ないだろ」
俺がニヤリと笑うと。
「ふふっ、まぁね」
女もニヤリと笑った。
たぶん女も強い敵と戦いたかったのだろう。さっきまでは物憂げな表情だったが、今は目を爛々と輝かせてる。
「あんた何やってんすか!?」
後から追いかけて来た陳武が大声を出していた。
「あ?見るからに名のある武将だろ。討ち取った方が良いだろうが。野暮な事はすんなよ」
ぶっちゃけ最近あまりに暇だったから体を動かしたい。つか戦いたい。
「あれ?私のこと知らないの?」
女は不思議そうな表情をしていた。
「会ったことあったか?」
こんな良い女に出会ったら忘れないはずだが…
「あははっ、ないわね」
何故か女は、ほがらかに笑っていた。
「せっかくだ降りてやらねぇか?」
顎をしゃくって指し示せば。
「ふふっ、いいわよ」
かろやかに頷いた。
「話がわかる女だ」
「あなたも話がわかる男ね」
「俺の名は『太史慈子義』だ」
「私の名は『孫策伯符』よ」
「「いざ、尋常に勝負」」
女は、最高の笑顔になっていた。
もちろん俺もだが。
お互いに駆け出した。俺が横薙ぎの一閃をすると孫策は避けずに受け止めやがった。しかも逆に押し返してきた。馬鹿力が!
その後は孫策が矢継ぎ早に仕掛けてきた。剣を、受け流し、かわし、受け止め、俺やや押され気味。つうのも孫策がまったくフェイントに引っかからない。
態勢を崩したように見せて俺は剣を受け止めた。そこで、足を入れようとしたら、これも防ぎやがった。マジでブラフは意味がないな。
数十合、斬り合った。
そこで初めて孫策の隙があった。
自然に体が動いた。そして刀を振り上げた瞬間、ヤバイと直感した。この女が戦いのさなかに隙を見せるか?
しかし、もう止まらねぇ。
仕方なしに俺は刀を伸ばした。その反動も使い、足に力を込め、後ろへ飛んだ。
孫策の髪飾りを切った。
が。
俺は前髪を切られた。
そして俺達は、いったん距離をおいた。
決着を着けようと、お互い走り出そうとした時。
「雪蓮!!」
その声に、俺と孫策はギクリと動きを止めた。むしろコケる勢いで動きを止め、俺達は停止した。
もう一度、距離を取りなおして、孫策は振り返り、俺は孫策の後ろに目をやった。
「マジかよ…」
馬に乗り、颯爽と周瑜が到来した。
周瑜は馬から降りると孫策につめより、当主の自覚が足りない、一人で突っ込むな、などなど俺にまで聞こえる声でガミガミと説教をしていた。
ようやく話し終えると、孫策はしょんぼりしていた。そして、やっと周瑜は俺の方に顔を向けた。
「太史慈子義」
やっこさんはガン睨みだ。
「よう、久しぶりだな周瑜公瑾」
昔の事は水に流そうぜ、的な感じで話しかけたが。
「なにが久しぶりだっ」
さらに周瑜は睨んできた。周瑜が目で殺せるなら、俺は死んでただろう。そんぐらい周瑜は俺を睨んでいる。
「あれ?冥琳と知り合い?」
孫策は戦う気が失せたのか、すっかり気が抜けた雰囲気になっていた。しかし気を抜きすぎだ。
「んー?んー、ちょっとな」
まぁ俺もすでに戦う気は失せていたがな。
「甘皮一枚分すら知り合いでは無い」
吐き捨てるように周瑜は言葉をはっした。
ん?つか待てよ?雪蓮って?
「もしかして…、牙連のイトコか?」
「えっ、そうだけど?牙蓮の知り合い?」
「そうだな。牙連とは友人だ」
牙連との知り合った経緯をおおまかに孫策に話した。今は元気か、どうしてるかなど、牙連に関した事をお互い雑談するように話していたら。
「雪蓮!何を敵と雑談してる!」
周瑜が怒り心頭していた。
「そんな怒らないでよ冥琳。小じわが増えちゃうわよ」
「誰のせいだ!」
漫才のようなやり取りが終わり、孫策が俺に向き直った。
「この決着は、また今度ね」
孫策は笑っていたが。
「首を洗って待っていろ」
あいもかわらず周瑜はガン睨みだ。
「またな。おーう…」
なんだかなぁ…
二人は馬で駆けて行った。
なんか疲れた、精神的に。
はぁ…
「帰るか、陳武」
「そうっすね」
〜
数日後。
劉ヨウは逃げ出した。
配下のおやじ共。
于縻がやられ、樊能がやられ。
笮融がやられ、薛礼がやられ。
ビビった劉ヨウは逃げた。
俺も、もう付き合いきれない。
部下が死んで逃げるなどクソだ。それに、まだ孫策と決着がついてない。一応は劉ヨウには話を通そうと思ったが、すでに逃げた後だった。逃げ足、早すぎ。
で、何故か俺を慕い残った兵士どもがいた。
こいつら孫家の兵数の知ってんのかね。あきらかに無謀な勝負だ。つか勝負にすらならない兵数の違いだ。
まっ、出来ることを今はやるかね。
とりあえず近くの盗賊をスカウトする事にした。
まず数ある盗賊団を調べ上げ、選別し、そののち大勢の兵を引き連れて、盗賊団を囲みこみ、盗賊の頭と一騎打ち、ぶち倒し、無理やり部下にした。
そんな事を五回ほどやってたら、孫家の奴等すぐに攻めてきた。あちこちで反乱があり鎮圧に時間がかかると思ったが早いな、おい。苛烈すぎる勢いだろ。
はい。都を囲まれた。
四面楚歌、これで二回目か。
包囲され終わり、どうするか考えていたら、牙連が兵の中から門の前に出てきた。
「我が名は孫瑜仲異!太史慈子義殿に一騎打ちを申し込む!返答はいかに!」
馬鹿でかい声で言い放ちやがった。
「あの野郎…」
やってくれるぜ。くっくっくっ。
思わず笑い声がもれた。
「陳武、俺が負けたら逃げるか降伏しろ。後は任せた」
さっさと出ようと階段を降りながら言うと。
「俺っすか?」
「他に任せられるような奴、いねぇだろ」
「うーす、わかりました。ご武運を」
陳武の言葉を最後まで聞かず、俺は階段を降りた。
門の前まで移動し。
「開門しろ!」
でかい扉が開いた。
「よう。久しぶりだな」
俺は牙連の数歩前で立ち止まった。
「うん。久しぶりだね」
笑いながら牙連は穏やかに返事をした。
「お前と一騎打ち出来るとはな。やっぱ孫策の為か?」
「うん、そうだよ」
「歪みないねぇ。つか、えらくゴツイ武器だな」
牙連は分厚い正方形の片刃の武器を持っていた。
「うん、まぁね」
「長く話すぎたな。やるか」
「うん」
牙連は儚げな表情をしていた。
「我が名は太史慈子義!いくぜ!孫瑜仲異!」
初撃をかわした奴はいないぜ!牙連!
蛇腹刀を伸ばし、牙連に向けて放った。
牙連はよけるそぶりも見せず刀を構えた。そして、刀がぶつかりあった。一歩もたりとも後ろに下がらず、牙連の奴は受け止めやがった。
「マジかよ…」
冗談だろ…
「蛇腹刀、使えるようになったんだね」
やる気のある顔を牙連は見せていた。
「ちっ、人間成長するもんだから、なっ!」
蛇腹刀を戻し、横に薙ぎはらったが、牙連は飛んでかわし距離を詰めてきた。
「そうだね。誠、本気で行くよ。死なないでね」
駆けながら牙連は武器を振り上げた。
「はっ!誰が死ぬか!来いよ!」
蛇腹刀を戻し、俺も斬りかかった。
刀がぶつかり合った瞬間。
景色が流れた。
あぁ俺が後ろへ吹き飛んでるのか。
何故か意識はゆっくりしていた。
しかし体が動かねぇ。
そして背後から多大な衝撃がきた。
がはっ、息、止まるぜ。
あぁ、目の前が暗くなる。
ちくしょう…
俺の負け、か…