されど、その楽しい暗殺旅行にも魔の手が迫っていることに、誰一人として気づいていませんでした。
それでは皆さん、暗殺旅行~~レディィィィィゴォォォォォ!!!
修学旅行2日目、この日1日は班毎に別行動となっている。
「しっかし、なんで京都に来てまで暗殺なのかねぇ~」
杉野のボヤキに反応したのは龍哉だ。
「京都こそ暗殺にはふさわしいよ、むしろここで暗殺されることはある意味殺せんせーにもいいことだ」
「どういうこった?」
「龍哉の言う通りだよ杉野、ちょっと寄りたいコースがるんだ」
「こっからだと…あそこか」
「知ってるの?」
「子供のころに京都内で起きた歴史上の事件の数々は覚えたからな、場所にも実際に連れていかれたし」
渚と龍哉主導の下、ついたのは…
坂本龍馬・中岡慎太郎が暗殺された近江屋の石碑前だった。
「坂本龍馬って…あの?」
「あ~」
「そう、1867年、今の日本の原型を作った功労者、坂本龍馬暗殺の近江屋の跡地だ」
「さらに歩いて直ぐの距離に本能寺もあるよ、当時とはちょっと位置がずれてるけど」
「他にも「池田屋事件」の他、様々な事件がこの京都市内では起こってる」
「このわずか1㎞範囲内でも歴史の教科書に出てくるようなビッグネームが暗殺されてる」
「古来、飛鳥時代のころから京都は日本の町の中心だった、それゆえに起きた暗殺は数知れず」
「つまり、暗殺の聖地ってことか~」
「そういうこと」
「さっきの覇月君の言葉の意味、『歴史上の人物と同じ土地で殺されるから』殺せんせーにもいい事だったんですね」
「そ…まぁそんな簡単に殺れるんならもうとっくに殺れてるんだろうけどね」
「あはは、それよりも次行こうよ次!!八坂神社!」
「えーもういいから少し休もうよ~京都の甘ったるいコーヒー飲みたい」
「八坂神社の近くにあるからそこまで我慢しろ、カルマ」
「良く知ってるね」
「いろんな場所を連れまわされたからな、大体の地形と建物や店の位置は覚えてる…10年前のだがな」
「「それ本当に大丈夫なの!?」」
そして龍哉案内の元いろいろな場所も観光しつつ暗殺結構予定場所に移動する4班の面々であった。
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「へー、祇園って奥に入るとこんなに人けないんだ」
「うん、一見さんお断りのお店ばかりだから…目的もなくふらっと来る人もいないし、見通しがよい必要もないし」
「それに店が開くのは夜間であることが多いし、店の中から外をのぞくこともないこの時間帯なら目撃者とかもいないからな」
「そう、覇月君が言ったこともあるから、私の希望コースにしてみたの、暗殺にピッタリなんじゃないかなって」
「さすが神崎さん!!下調べ完璧!!」
「覇月も良く知ってるね」
「…昔、俺が寝た後こっそり祖父ちゃん達がここに遊びに行って…俺が起きた時、全身ズタボロの祖父ちゃん達を見た、その時に概要だけ教えてもらったからな」
「「一体何があった!?」」
「その時にお祖母ちゃん達がすっげぇいい笑顔で「世の中には知らなくてもいいことがあるんだよ」って言って来たから細かくは聞かなかった…聞けなかったともいえるかもしれんが」
((確かにそれは聞けない))
「と、とにかくここで決行でいいかな?」
そんな会話をする龍哉達の元に…
「ほんとうってつけだぜ、なんでこんな拉致りやすいところ歩くかねぇ」
「誰だ!!」
3人組の学ランを来た男達が現れる。
「…何お兄さん等?観光が目的っぽく見えないけど」
「拉致っつったな、何が目的だ」
「男に用はねー、女おいておうち帰んな」
そういったデブの男をカルマが素早く顎に掌底を当て、顔を掴んで後頭部を電柱にたたきつける。
「ほらね渚君、目撃者いないところなら喧嘩しても問題ないっしょ」
「それには…同感だ!!」
ゴゴッ!!!
龍哉も即座にカルマに乗っかり、残った2人を即座に蹴りを水月に打ち込んで気絶させる。
「あれ?龍哉も手ぇだすんだ」
「あまりこういうのに目を付けられたくないから基本はおとなしいが、かといって放置し続けるほど、愚かではないつもりだ」
「んじゃこれでおわ「フン!!」」
カルマが終わったと言おうとした瞬間、龍哉がカルマの頭上に蹴りを繰り出した。
驚いたカルマが後ろを見ると鉄パイプを持ったさっき倒した3人と同じ学ランを来た男が倒れていた。
「油断大敵」
「(・д・)チッ」
「もういないかな?」
「いや、まだ5~6人はいる、渚、友人、女子の前に立て、女子は壁際に行っててくれ、俺とカルマで蹴散らすから」
「分かった」
「龍哉にカルマか、なんか大船に乗ってるって感じだな」
「気を抜くな、俺達とて油断したら負ける、向こうは全員戦闘が出来るがこっちは3人にも満たない、正直不利だ」
「…分かってるよ」
((あれ、もしかして俺(僕)達って戦力として合わせても1人分に満たない?))
龍哉の言った言葉からそう判断する杉野と渚、しかし、事実として戦闘慣れしていない2人では戦力にはならないだろう。
「どうする?」
「リーダー格をつぶすのと、周りを平らにするの、両方一気にやらんときつい…カルマ、リーダー格はお前がやれ」
「雑魚掃除出来んの?」
「この状況だ、相手も襲ってくるなら正面から、しかも多くても2人が限界だそれならたやすい」
「了解」
そう2人が段取りを決めると学ランを来た男達が現れる…ただし、
「なっ!!」
「ちっ!!」
良く歴史もので屋根の上から奇襲があるが、それをこの学ランたちはやってのけたのだ。
そしてその手に持ってたのは…
(スタンガン!!)
「くっ!!」
「がっ!」
スタンガンから電流を浴びせられて倒れる龍哉とカルマ、それを確認した男達は渚、杉野を倒すと神崎と茅野を連れてその場から立ち去って行った。
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「皆さん!!大丈夫ですか!?」
「…よかった、奥田さんは無事で」
「ご、ごめんなさい、後ろに隙間があったので思いっきり隠れてました」
「つ…まさか屋根の上からとは…」
「あいつら…かなり手練れだよ…車のナンバー隠してた」
「見えたのか?カルマ」
「ああ、多分盗難車だしどこにでもある車種だから…犯罪慣れしてるよ、あいつら」
「ってことは警察に行っても…いや、いっている間に茅野さんと神崎さんがどんな目にあわされるか」
「!!」
「俺としては個人的に処刑させてほしいけどね」
「同感だ…「~~♪」俺の携帯だ」
どうすべきか途方に暮れかけたタイミングで龍哉の携帯が鳴る
「磯貝君、どうし「覇月!!大変だ、片岡たちが…さらわれた!!」何!!」
龍哉は携帯をスピーカーに切り替え、全員で会話を共有できるようにする。
「そっちでさらわれたのは?」
『片岡、倉橋、矢田の3人だ。岡野は無事で、俺と木村も大丈夫だけど、かばった前原が…』
「軽症だが動けない怪我、か」
『ああ』
「こっちは神崎さんと茅野さんがさらわれた、そっちはどのタイミングだ?」
『ついさっきだ』
「こっちもだ…時間が一緒ってことは同一グループの仕業とみて間違いないな」
「ねね、そっちでしおり持ってる人いる?」
『しおり?俺が持ってるけど』
「こっちは俺と渚が持ってる、もしかすっとそこに対策があるかもしれない」
『そんな簡単に「あったよ、班員が拉致られたとき」あるのかよ!!』
「よし、それを基に行動しよう、幸い、こっちは全員動けるから…磯貝君達は烏間先生に連絡して前原君と岡野さんを旅館まで連れてってもらって、俺らは殺せんせーに連絡するから」
『分かった』
「連絡は豆に、些細なことでも報告しあおう、合流地点は…」
龍哉と磯貝を中心に話を纏め、1班と4班は仲間を助けるために行動を開始する。
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ところ変わってさらわれた神崎達
「ほらよ、ここにいな」
そう言って連れてこられた先には…
「片岡さん!!矢田さん!!」
「倉橋さん!!」
既に到着していたのか、1班の片岡、倉橋、矢田がいた。
「なんだ…知り合いか…へっへっへ、良かったじゃねぇか」
「仲良く「台無し」にしてやるよ」
そう言って男達は女子達のそばを離れていく。
そうなったところで茅野が口を開いた。
「…神崎さん、ちょっと意外、さっきの写真…真面目な神崎さんにもああいう時期があったんだね」
「……うん」
茅野が言っているのはさらわれたとき、誘拐した男達が携帯で見せた写真の事だ。
服装もかなりギャルっぽい、普段の清楚なイメージの神崎からはかけ離れたものだった。
そのことを知らない3人は疑問を持つが、黙って神崎の話を聞く。
「うちは父親が厳しくてね、いい学歴にいい職業…いい肩書ばかり求められて…そんな生活から逃げ出したくて、名門の制服も脱ぎたくて、知っている人がいないところ格好も変えて遊んでいたの」
「そうだったんだ」
「……ばかだよね、遊んだ結果得たのが「エンドのE組」の肩書、もう自分の居場所がわからないよ」
「じゃあ作ればいいんじゃない?
自分のことを話してうつむく神崎に声をかけたのは倉橋だ。
「有希子ちゃん、多分、皆そうだと思うよ」
「え?」
「皆、どこかに自分の居場所を作るのに必死だよ…そしてその居場所って無理に作るものでもないと思うんだ」
「倉橋さんも?」
「うん、私もね、昔はそうだったよ」
「えっ!!」
倉橋の言葉に一番驚いたのは友人である矢田だ。
なにせ彼女の知る倉橋陽菜乃という女の子は誰とでも仲良くなれる天真爛漫な子というイメージしかなかったからだ。
「昔…家族で京都に来た時に迷子になっちゃって…その時にね、男の子に助けてもらったの」
「そうなんだ」
「それと実はそのころね、幼稚園で中々友達が出来なくて迷ってたの」
「そうだったんだ」
「うん、その時にね、助けてくれた男のに言われたの、「僕を助けてくれたときみたいに、その優しさと明るさがあればきっと友達出来るよ」って、それからなんだ、友達ができて、居場所っていうのかな、そういうのもできたの」
「そうだったんだ」
「でもその男の子も…助けてくれたって」
「う~ん、まるで何かから逃げてたみたいだけど詳しくは聞かなかったな~…でも最後別れるときに心からの笑顔だったから大丈夫だと思うよ」
「そっか」
「はっ、くだらねー事べらべらとクチャべってるけどよ、俺らと
「俺らも肩書とか死ね!って主義だからよ」
その後も語られた男達の所業…はっきり言って人として最低であった。
当然…
「サイッテー」
茅野がつぶやく。
それを聞いてリーダー格の男が茅野を服を掴んで首を絞める。
「何エリート気取りで見下してんだよ…お前らもすぐに同じところまで堕してやんよ」
「今から10人ちょいを相手してもらうがよ、戻ったら涼しい顔してこういやいいんだよ「楽しくカラオケしていただけです」ってよ」
「…っ!!」
全員顔をゆがめる。
「それなら誰も傷つかねぇし、東京に戻ったらまた遊ぼうぜぇ楽しい修学旅行の記念写真でも見ながらよ」
「ッ!!」
そこまで言われて完全にピンチだと気付き、倉橋、矢田に至っては完全に涙目だ。
そしてドアが開く。
「きたぜぇ…うちの撮影スタッフがよォ!!」
しかし、出てきた男は顔面を手でわしづかみにされてつられている。
そしてその手は赤く光っている…誰がやっているのか分かった面々は一斉に笑顔になる。
そしてなぜと困惑している学ランたちに渚が修学旅行のしおりを読み上げて説明する。
「修学旅行のしおり1243ページ、班員が拉致されたときの対処法、犯人の手掛かりがない場合、まず会話の内容や訛りなどから地元の者かそうでないか判断しましょう」
「京言葉については俺が全部知ってるから、まずあんたらは京都在住じゃねぇことが判断できた」
「地元民でなくかつ学生服を着ていた場合、1244ページ、考えられるのは相手も修学旅行生で、旅先でお板をするやからです」
「覇っ君!!」
「みんな!!」
現れたのは龍哉、カルマを先頭に磯貝、木村、杉野、隠れて奥田だった。
向こうから向かってくる気配がないため龍哉はわしづかみにしていた男を連中の仲間のほうに放り投げる。
「なっ!」
驚きつつも仲間を助ける男達…
「何でてめえら…ここがわかった!!」
「地元民ではない場合、相手は土地勘がないため拉致した後遠くには逃げず、近場で人目につかない場所を探すでしょう、その場合は付録134へ」
そう言って渚は付録の地図を広げ、皆が見えるようにする。
「先生がマッハ20で下見した、拉致実行犯潜伏対策マップが役立つでしょう」
「「……!!」」
そこまで聞くと女子は全員が完全に喜色満面の笑みを浮かべる。
そしてそこまで黙って聞いていた男達は…
((ねーよそんなしおり!!))
内心律儀に突っ込んでいた。
「すまない、合流に時間がかかって遅くなったが…助けに来たぜ!!」
龍哉が、そう宣言した。
拉致された班員や友達を助けるために乗り込んだ龍哉達、そしてそこでわずかに知れる、龍哉の過去…
それが今後にどんな影響をもたらすのか…
次回、修学旅行の時間:4時間目に…レディィィィィゴォ!!