暗殺教室~拳法家の青春物語~   作:GGG-EX

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前回原作の時間に突入するといいましたが、実際はまだです。

今回は龍哉の第1の個別会と思って読み進んでください。


転入の時間

翌日、椚が丘学園3-Eの教室―

 

「みんな~、おはよ~」

 

「おはよ~」

 

E組の生徒達は暗殺の相談などがあるためか始業時間よりも早めに登校している生徒が多くいる。

 

倉橋が登校した時には既に磯貝悠馬、片岡メグ、潮田渚、茅野カエデといったリーダーシップや観察力に優れた生徒が来て暗殺の相談をしていた。

 

が、茅野が先日の倉橋達の会話を思い出して尋ねる。

 

「あ、倉橋さん昨日のスイーツどうだった?」

 

「それがさ~すごく大変な目にあっちゃってさ~」

 

「何があったの?」

 

「変な高校生達にナンパされちゃって」

 

「さらっととんでもないこと言った!?」

 

「大丈夫だったの!?」

 

「うん、助けてもらったから」

 

「誰に?」

 

「今日来る転校生」

 

「「「「え!?」」」」

 

そんな話をしているうちに杉野友人や神崎といった面々も集まりだす。

 

「おはよう!」

 

「おはよう」

 

「おはよ~」

 

「そういえば今日だよな?転校生が来るの」

 

「うん、それで今倉橋さん達が昨日会ったって」

 

「マジで!?」

 

「うん、ナンパされているところを助けてもらったの」

 

「ってことはいい奴なのか?」

 

「「「「う~ん…」」」」

 

磯貝達は昨日倉橋達を助けた、というだけでいい奴と判断していいか迷っているようだ。

 

「あ、みんな!時間!」

 

ふと時計を見るともう始業時間間近である。

 

「と、転校生がどんな奴かは本人見て判断しようか」

 

「助けられた私達からすればいい人だけどね」

 

「うん」

 

そう言って席に戻る面々。

 

なおこの場にいないだけで同じような会話が矢田、速水、千葉龍之介、木村正義、岡島大河の間でも繰り広げられていた。

 

=========================================================

 

時間を少し巻き戻して大半の生徒が登校してきたころ、職員室では…

 

「ヌルフフフ、君が転校生の覇月龍哉君ですね、私が担任の殺せんせーです、どうぞよろしく」

 

「………はい、覇月龍哉です。よろしくお願いします」

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、想像していたよりも大きかったので」

 

「ああ…」

 

「それと笑い方が気持ち悪くて」

 

「ニュヤッ!?」

 

「…まぁいい、これから体育以外の科目はこいつに、体育は俺に教わる。何か質問は?」

 

「え~と…今は特にないです」

 

「そうですか、あ、それと授業中の暗殺は禁止です」

 

「分かりました」

 

「もうすぐ始業時間だな」

 

「では行きましょうか」

 

「はい」

 

殺せんせー、烏間先生と続いて龍哉も教室を出る。

 

「そういえば覇月君のお祖父さんも暗殺に協力するんでしたね」

 

「正確に言えば暗殺の訓練にな、放課後に生徒達が自主練しているがそれを見て各々にあったトレーニングメニューを作っていただく予定だ」

 

「いいんですか?そんなこと教えて」

 

「放課後になればばれる、同じことだ」

 

「…まぁお祖父ちゃんは厳しいからすぐに指導はしないと思いますよ」

 

「確かに空挺団でも個別指導は向上心のある奴以外は実施してもらえなかったと聞いたことがあるな」

 

と、歩いて会話をしているうちにチャイムが鳴り教室につく

 

「ヌルフフフ、ではまずは出席をとってきますので、その後覇月君は入ってきてください」

 

「分かりました」

 

そう言って殺せんせーは教室に入っていき、号令が聞こえた後出席がとられる。

 

「では最後に転校生です、覇月君、入ってきてください」

 

「はい」

 

教室のドアを開けて入る龍哉、パッと見普通の生徒にしか見えないその姿に多くの生徒驚いている。

(事前に烏間先生から戦力になる生徒が来る、と聞いていたため)

 

教団の近くに立つと黒板に自分の名前を書き

 

「覇月龍哉です、諸事情あって学校に通うのは初めてなので間違ってたりおかしいところがあったら教えてください。みなさん、よろしくお願いします」

 

自己紹介をして一礼する龍哉。想像していた生徒像と違うところがあったのかまだ大半の生徒が驚いたままだ。

 

「うん、よろしくね~覇っ君」

 

「おや、倉橋さんはもう知っていたんですか?」

 

「うん、昨日高校生にナンパされているところを助けてもらって、そのままお茶に誘われたの!」

 

「なにぃ!!」

 

「ってことは神崎さんも!?」

 

倉橋の発言に即座に反応したのは前原陽斗だ。なおこの男、既に片岡以外の女子生徒に声をかけて振られているため、余計に驚いたようだ。

 

また神崎に思いを寄せる杉野もワンテンポ遅れて反応する。

 

「え、意外と肉食系?」

 

「どうだろうな」

 

次にフリーズ状態から脱したのは中村莉緒と菅谷創介の2名。

 

「けっ」

 

どうやら寺坂竜馬、吉田大成、村松拓哉、狭間綺羅々、竹林孝太郎といった面々はあまり興味がない様だ。

 

「で、どうやって誘ったんだよ」

 

岡島が龍哉に尋ねる。どうやら先程軽く別口で聞いていたので興味を持ったようだ。

 

「…まぁ間違っちゃいないけど倉橋さん達が食べに行こうとしていたケーキをたまたま母方の祖父母が買っててな、俺の家に来る途中にあって時間限定ので数もあったから誘ったんだ」

 

「あ、じゃあ偶然だったんだな」

 

「うん、えっと…」

 

「磯貝悠馬。このクラスの学級委員なんだ。分からないことがあったら聞いてくれ」

 

「わかった、磯貝君」

 

「ヌルフフフ、聞きたいことはいっぱいあるでしょうがそれは放課後に行ってくださいね」

 

「あ、すいません」

 

「いえいえ、覇月君、君の席は奥田さんの後ろです」

 

殺せんせーは席の説明を龍哉にしながら眼鏡をかけた女の子を触手で指す。

 

「分かりました。それと殺せんせー、それってせんせーの指ですか?」

 

「へ、ああはい、まぁそうなりますかねぇ」

 

「他人を指さすなんて行儀悪いですよ。生徒が真似したらどうすんですか」

 

「ニュヤ!!」

 

((突っ込むところはそこじゃない!!))

 

その場にいたほぼ全員が思った。

 

龍哉は意外と天然かもしれない、と…

 

「それでは授業を始めます」

 

そして、殺せんせーの授業が始まった。

 

=========================================================

 

その後行われた授業では龍哉が中心に当てられた。

 

今まで学校に行っていない、という発言から恐らく学力が低いと思われていたのかもしれないが…

 

「これでいいですか?」

 

至極あっさりとたいていの問題を解いていた。

 

「…学校には行っていなかったんですよね?」

 

「あ~、学校には行っていなかったけど最低限必要な勉学の内容は教わってたから」

 

「誰に?」

 

「お祖父ちゃん達3人。語学は父方のほうに、他のは母方のほうに教えてもらった」

 

「なるほど…ってはぁ!?」

 

「ああ、覇月のお祖父さん達って元エリートと現役エリートだもんね」

 

「「マジで!?」」

 

「らしいけど、俺にはただのお祖父ちゃん達だからよくわかんねぇ」

 

「「もったいねぇ!!」」

 

そんなこんなで授業はつつがなく進行し、昼食の時間

 

「あ、覇月君、聞きたいことがあるから一緒に食べない?」

 

「いいよ、磯貝君、俺も今までに実行した暗殺のこと聞きたいし…一番知ってるのって誰?」

 

「それなら渚だと思うぜ、な、渚!!」

 

「へ、あ、うん、多分」

 

「じゃあお願い」

 

龍哉と打ち解けるために磯貝が昼食に誘い、龍哉が今までのこと良く知りたいためそんな生徒がいないか尋ねると近くにいた杉野が潮田を推薦し、潮田が多分知っていると答えると龍哉がお願いする。

 

「うん、いいけど…」

 

「あ、私達もいい?」

 

「神崎さん!!もちろん!!…達?」

 

「うん」

 

神崎の後ろには寺坂組(寺坂、吉田、村松、狭間)以外の面々がいた。

 

「この人数だとちょっと教室内じゃ集まれそうにないから…外で食べるか」

 

磯貝がそう提案し、全員が賛同したことで校庭の少し開けた場所に移動した。

 

=========================================================

 

「で、みんなが聞きたいことって?」

 

校庭の少し広い場所に龍哉を中心に輪になって座って昼食をとりつつ龍哉への質問タイムとなったようだ。

 

「えーと、まず烏間先生から戦力になる生徒だって僕たちは聞いてたんだけど…」

 

「そうは見えないって?」

 

その言葉に昨日龍哉と知り合った4人以外が頷く。

 

「そういえば昨日倉橋さん達って何か聞いてないの?」

 

「え~とね、覇月君のお父さんって烏間先生よりも強かったんだって」

 

「「マジで!?」」

 

「うん、昨日それ聞いて気になって父さんの日記探してみたらそんなことが書いてあったよ」

 

「ってことは結構強い?」

 

「どうだろう…やってみないとわからないだろうね」

 

「まぁ次の授業は体育だしなんかわかるっしょ」

 

「そうだね…ねぇ、お祖父さん達がエリートって?」

 

「えっと…父方の祖父、秀治お祖父ちゃんは元々防衛省の空挺団のエリート教官でいくつもの国を飛び回ったこともあるって聞いた。母方のほうの市之助お祖父ちゃんは機械作りをはじめとする技術分野で軍事にも昔留学先で関わってたみたい。明お祖母ちゃんは逆に生物系をはじめとする化学系にすごく詳しくて極秘のプロジェクトに関わった事もあるみたい、だから対殺せんせー用武器開発の第1人者になったんだと思う」

 

「ふ~ん…ってええぇ!!!」

 

「こ、これ覇月君のお祖母さん達が作ったの!?」

 

「あ、そういえば昨日烏間先生が言ってたね」

 

「あの時は詳しく聞いてなかったけどね」

 

「聞けば聞くほどびっくりよね」

 

「リアルチート一家来たぁ!!」

 

「そうでもないと思うけど…でもそれを聞いてお祖母ちゃんにちょっとお願いはしたけどね」

 

「何をお願いしたのさ」

 

「対殺せんせーの素材でできた制服を全員分、後俺専用の武器」

 

「対殺せんせー素材って…こんなゴムみたいな制服着んのか?」

 

「ううん、お祖母ちゃん曰く繊維レベルでも作れるっていうからそれでお願いしてるよ、あ、希望があるなら教えて、お祖母ちゃん達に伝えるから」

 

「それは後でいいんじゃないかな、急に言われても皆すぐには出てこないだろうし」

 

「それもそうだね」

 

「というか流しそうになったけどお前専用武器って何だよ?」

 

「んっとね、これ」

 

そう言って覇月が取り出したのは幅25㎝、長さ1mほどの布だった

 

「へ?」

 

「布?」

 

「うん、でも俺にはこれのほうがナイフとかよりも使い勝手いいんだよ、ほら、タオルとかって素早く振るわれたものが当たると痛いじゃん、そんな感じで使うのさ」

 

「(小声で)殺せんせーに効くと思う?」

 

「(小声で)そうは思わないけど…でも自信があるみたい、あれでどうにかできるって」

 

龍哉の答えに潮田、茅野が小声で話し合うなか、他の皆も同じような感じになっている。

 

「え~とじゃあ次は…」

 

「あ、俺からも聞きたいことがあるんだけど」

 

「あ、ああ、これまでの暗殺か、いいよ」

 

そう言って磯貝、片岡、潮田を中心に今までの暗殺を龍哉に教えていき…

 

「そう、分かったよ」

 

潮田の自爆テロまがいの暗殺と赤羽の飛び降り自殺まがいの暗殺を聞いた龍哉の表情は…怖いくらい険しいものになっていた。

 

「覇月君、もしかして…怒ってる?」

 

「…ああ、俺はお前ら2人とはちょっと仲良くできそうにないし、皆ともちょっとな…」

 

「「!!」」

 

龍哉の唐突な発言に全員が驚いた顔をする。

 

「…正直言って俺は自分の命を大切にしない奴が一番嫌いだ。そして誰もそれをいさめないのも、否定しないのも、ましてやそれでも「殺せればいい」って思っていることも含めてな」

 

龍哉の言葉に皆何も言えなくなる。

 

「それに、それで殺せたとして…どう親とかに説明させるんだ、怪我したり、飛び降り自殺した理由を」

 

「「!」」

 

「今俺達が殺っているのは、誰にも言ってはならない、ばれてはならない…それなのにそんなことをすれば確実にばれる、1人にばれたら全員にばれる可能性だってあるんだぞ」

 

「「…」」

 

「ばれてしまえばそれもう暗殺じゃない…自分たちが殺した、その証拠を残さないのも、暗殺なんじゃないのか?」

 

何も言い返すことが出来ず、龍哉以外顔をうつ向かせ、かなり悪い雰囲気になってしまった。

 

「でもさ~普通の方法じゃ殺せないんだから…だったらそんな方法をとってもいいでしょ」

 

そんな空気の中、実行した張本人である赤羽が反論するが…

 

「…自分の命と引き換えの方法をか?」

 

「あったりまえじゃん」

 

「ならお前は今後暗殺者(アサシン)を名乗るな、名乗るんだったら【テロリスト】にしてくれ」

 

「なっ!!」

 

暗殺対象(ターゲット)を自分の命と引き換えに殺すんだったらそう名乗るのが適切だろ」

 

龍哉の反論はある意味(・・・・)的を得ていた。

 

「そして…それが正しいと思い続けるんなら…俺は協力できそうにないな」

 

龍哉の言っていることは間違ってはいないだろう。

 

だが…

 

「でも、殺せんせーはそんな僕らのことを助けてくれたよ」

 

潮田が反論する。

 

「覇月君の言っていることもよく考えたら確かにそうだって思う…でも、実際に僕もカルマ君も殺せんせーに(・・・・・・)助けてもらったんだ」

 

全員がそう言えば…と思いだす。

 

赤羽の飛び降りは潮田以外知らないが、潮田の自爆攻撃の時は殺せんせーが自らの奥の手を使って助けたことを。

 

「そして、僕はそういうことをしてはいけないって、カルマ君は自分を信頼してくれって殺せんせーに言われた」

 

潮田がそう言うとその時のことを思い出した赤羽が少し顔をそらす。

 

「殺せんせーは僕らが間違えたら、きっと全力で正そうとする、僕らの気持ちをよく考えて…そんな先生なんだ」

 

「……確かに、君たちの事情をよく考えず、自分の気持ちを押し付けていたようだな…すまない」

 

龍哉が自分の気持ちを押し付けていたことを謝罪する。

 

「ううん、僕も覇月君も相手の事をよく知らなったんだからしょうがないよ」

 

「……ありがとう」

 

しかし、空気を読まない奴というのはどこにでもいるもので…

 

「でもさ、なんであんなに過剰に反応したんだよ」

 

普通はそうなのかー、で流しそうなもんなのにな、と坊主頭の岡島が言うと

 

「…まぁ、良く知らないからそういう質問が来るのも当然か」

 

龍哉がかなり渋い顔をし、全身に汗をかき始めた。

 

少々震えているように見える状態で話し始めた。

 

「…俺の両親は―既に知っている人もいるが―もう…この世にはいない」

 

「「っ!!」」

 

龍哉の口から語られた事に既に知っている4人以外は驚愕する。

 

「…病死とか、事故じゃない…殺されたんだ…全身に爆弾を巻き付けた男に人質に取られた俺を…助けてな」

 

「「っ!!」」

 

龍哉の口から語られた衝撃の真実、そしてそれにより、先程の龍哉の態度の意味が分かってしまった。

 

潮田、赤羽の行動は全て龍哉にとってトラウマ、といってもいいことをしていたのだ、という事を。

 

「…今だって時折夢に見る…人質に取られた俺を助け出して巻き付いた爆弾を男からとって蹴り飛ばした瞬間…その男が…笑って…両親を…(ハァ)…吹き…(ハァ)…飛ばす…(ハァ)…ところを…」

 

「覇月君?」

 

「汗すごいけど、大丈夫なの」

 

徐々に息も荒くなり、かいている汗の量も多くなってきていたので心配した神崎が声をかけて速水が龍哉の首筋に手を当てると

 

「っ!冷たい!!」

 

「えっ!!」

 

「ってよく見ると顔色悪いじゃないか!!大丈夫か!!」

 

「…あんまり…」

 

「覇っ君、教室に戻ろう」

 

「…あ、うん…ただ…一言だけ」

 

「何?てか早く休んだほうがよくない?」

 

「俺は…最初…両親の事いうつもりはなかった」

 

「でも言ったよね」

 

「うん…なんとなくだけど…皆なら受け入れてくれるって思ったから…」

 

「そう…なんだ」

 

「うん…勘だけど…でも、きっと…大丈夫だって確信があるんだ」

 

「つまり、自分の辛い事を打ち明けてもいいほど俺達の事を信用してくれてるってことでいいんだよな」

 

「ああ…すまない、先に戻るよ」

 

「いや、気にしないで」

 

そう言って龍哉と倉橋を見送る一同…顔に浮かぶ表情は聞いてはいけないことを聞いてしまったことへの罪悪感と自分の過去を話してもいいほどすぐに信用してくれた事への嬉しさがないまぜになったものになっていた。

 

=========================================================

 

5時間目の体育の時間

 

「では今日も…」

 

訓練を始める、と言いかけて烏間先生の表情が曇る。

 

何せほぼ全生徒がどこか気まずげな表情を浮かべているからだ。

 

これは何かあったな、と察する。

 

訓練をしなければならないが、こんな状況で実施しても怪我をするだけだろう。

 

そう判断し、何か別の案がないか考え…

 

「いや、今日は少し趣向を変えてみよう、覇月君、俺と組み手をしよう」

 

「へ、あ、はい」

 

「俺も皆も、ついでに奴も君の実力が気になるからな」

 

「分かりました。よろしくお願いします」

 

龍哉が答えて前に出ていき、烏間先生の指示のもと他の生徒達は校舎近くの土手に行く。

 

「…どうなるかな」

 

「ケッ、どうにもなんねーよ」

 

「寺坂」

 

竹林の疑問に寺坂があきらめたように答えると磯貝からいさめるように名を呼ばれた。

 

「しかし、確かに気になりますねぇ、国が態々外国にいたのを呼び戻すほどですからねぇ」

 

「殺せんせー」

 

「って、外国!?」

 

「ええ、なんでも5歳のころから特殊な事情故の海外暮らしだったそうですよ」

 

「特殊な事情って…」

 

昼食の時に言っていた両親の事と一緒にいたメンバーは察した。

 

「5歳…あ、だから10年ぶりって言ってたんだ」

 

「何がよ」

 

「あ、もしかして悟朗ちゃんとの再会の時に明さんが言ってたこと?」

 

「うん、それそれ」

 

「悟朗ちゃんって…誰?」

 

「熊」

 

「ふ~ん、熊かぁ………熊ぁ!?」

 

「え、ちょっと待って、あいつ熊飼ってんの!?」

 

「子供のころに悪徳サーカスから引き取ったって言ってたよ」

 

「…あいつ…マジでなにもん?」

 

突如現れた殺せんせーにより龍哉の両親の事にはまだ言えない事情があることを知ったE組の皆だが…

 

その後に出てきた情報に一層混乱することになってしまった。

 

そんな皆の会話は今から戦う2人にも当然聞こえており…

 

「ご両親の事、もう皆に話したのか」

 

「はい」

 

「既にそれほどまでに信用しているとはな…」

 

警戒心が強い、と聞いていたため少々驚く烏間先生、そんな烏間の心情を察しつつそれ以上は何も言わない龍哉。

 

そう少し会話をしつつ2人とも準備運動をしてながら対峙する。

 

「準備はいいか?」

 

「いつでも」

 

烏間先生の言葉に構える龍哉。

 

「では…」

 

「行きます!!」

 

烏間先生の言葉に答えるように龍哉が駆け出す。

 

その速度は木村正義のトップスピードよりも速い。

 

(速い!!)

 

想定より速いものの、対処できない速度ではない、龍哉が左こぶしを烏間先生の胴体めがけて繰り出すが、読まれているためあっさりと烏間先生の右手により払われる。

 

しかし龍哉もそれを想定しており、その勢いを使って右足で後ろ回し蹴りを放つがこれは烏間先生に受け止められる。

 

だが龍哉は受け止められた右足を軸にして左足でそのまま回転蹴りを放つ。

 

これにより烏間先生は龍哉の右足を開放してバランスを崩そうとするが一瞬早く龍哉のほうが手を地面につけ、そのままコマのように回転して両足蹴りを繰り出す。

 

烏間先生もこの攻撃に対してすぐに蹴りが当たらない位置までしゃがみ込み足払いならぬ手払いをかける。

 

龍哉も読んでいたため、烏間先生がしゃがみ込んだ瞬間両腕に力を込めて腕の力だけでジャンプする。

 

それに対して烏間先生も手払いの攻撃を上段攻撃に移行するが、これは龍哉が両手でつかんで防ぐ。

 

その状態から龍哉は烏間先生の頭に攻撃を…しなかった。

 

(何!!)

 

自分の頭部に攻撃が来ると読んでいた烏間先生はさすがに驚く。

 

龍哉はつかんだ足の足先のほうに移動して着地し、そのまま烏間先生を自分のほうに引き込んだ。

 

「「なっ!!」」

 

全員が驚く。

 

当然この行動は予期できなかったため烏間先生も体制を崩す。

 

「ふっ!!」

 

体制を崩した烏間先生に真っ直ぐ蹴りを入れる龍哉。

 

対して烏間先生は両腕をクロスさせてガードすることでダメージを軽減させるが、全身が宙に浮いてしまう。

 

そしてそのまま龍哉は前進して烏間先生の両腕を蹴りで跳ね上げる。

 

そこからさらに両足で烏間先生の両腕を抑え込みマウントポジションに持っていき…

 

「これで王手です」

 

龍哉の右の手刀が烏間先生の首筋に充てられる。

 

観戦していた皆も、殺せんせーも、烏間先生も驚いた。

 

((つ、強い!!))

 

一瞬の油断が勝敗を分けた、まさにそういう戦いだった。

 

「まさかあそこから体制を崩しに来るとはな」

 

「あそこで頭狙いに行ったら身動き取れなくなってしまいそうだったので…それに、相手の虚を突くのが「暗殺」だと思いまして」

 

「なるほどな」

 

他の生徒達の方に戻っていく龍哉と烏間先生。

 

そんな2人に生徒達が近づいてくる。

 

「すごいな、覇月!!」

 

「まさか勝つなんてなぁ」

 

「びっくりしちゃった」

 

皆から称賛されて嬉しそうに龍哉もはにかんで礼を言う。

 

「ありがとう」

 

昼食時や先程高レベルの戦闘を繰り広げたとは思えない表情に…

 

((ボフッ!!))

 

一部女子生徒が思わず顔を赤くしてしまったのは…まぁ余談だろう。

 

「でも、これから烏間先生と戦うときはちょっと厳しくなっちゃうな」

 

「え、なんでだよ」

 

「さっきの戦闘で俺の能力や戦法は大体把握されちゃっただろうからね、同じ手が通じるのは対戦相手の事を過小評価するよりも格下の相手だけ、烏間先生のような実力者には同じ手は使えないよ」

 

確実に防がれるからね、とも付け加える龍哉に

 

「ほへぇ~」

 

「同じ手は通じないか…」

 

関心する生徒が多数いる。

 

「まぁこれが今の(・・)俺の実力、皆…これからよろしくな!!」

 

「ああ」

 

「よろしく!!」

 

E組の仲間として入った龍哉…

 

まだ皆に秘密にしていることはあるものの、前評判に違わぬ実力を示した。

 

(皆と一緒なら…もしかしたら…きっと…)

 

龍哉は思う、E組(ここ)でならもしかしたら過去を乗り越えることが出来る、と…

 




皆と早く仲良くするにはさっさと行ったほうがいいと思い、龍哉の過去を少し話しました。

そして龍哉にはトラウマがありますが、まだ明確には顔を出していません。

…流れ的に少々強引なところがあるでしょうけどね。

ていうかちょっと龍哉のキャラがぶれている気がする。

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