μ'sic story:From,Love Live! 作:またたね
【高坂穂乃果】ヒーロー♯2
この出会いはきっと偶然なんかじゃなくて
たとえ何億年、何万光年離れていても
どんな障害があったとしても
僕はそれを乗り越えて
君を守りたい
▼
僕の日常には変化なんてものはない。
ただただいつも通り、楽しくもなんともない学校生活を送り、家に帰ってご飯を食べて風呂に入って寝て起きて学校へ……
このルーティーンを機械のようにこなす。
それが僕に与えられた使命なんだと、そう思っていた。
しかし今日─────────
その日常は脆くも崩れ去る。
ある日の昼休み。
僕はいつものように1人で昼ご飯を食べながら、
皆で楽しそうに話している穂乃果ちゃんを遠くから見ていた。やっぱり穂乃果ちゃんは可愛い。見てるだけで元気が出てくるなぁ。
しかし─────────
何やら穂乃果ちゃん達とは違うグループの女子がチラチラとこちらを見ている……そして僕の方を見ながらヒソヒソと何かを囁いている。ここからでは何を言っているかはわからないが……大方いつもみたいに僕の陰口かな。
いいよ、もう。慣れっこだから。
自分の心にそう言い聞かせる。
忘れてしまおう。その方が自分のためだから。
でもそうするたびに─────────
胸は張り裂けそうになる。
そしてその女子生徒達は椅子から立ち上がり……僕の方へと歩み寄ってきた。
「……な、なんです…か……?」
「────さっきからアタシのことジロジロ見てるでしょ」
はァ?
と声を出さなかった僕を褒めて欲しい。
何を言っているんだろう。
「……どういうことですか?」
「とぼけないで。さっきからずっとこっち見て何?気味悪いんだけど」
「ホントありえない、サイテー」
「謝ってよ」
「ぼ、僕は別に別にそんなつもりじゃ……」
「言い逃れするわけ?マジキモいんだけど」
「調子乗んなよ変態」
「近づかないでくれる?
─────────ネクラさん」
フッ、と自嘲的な笑みが漏れる。
ここまで言うか。
別に僕はこの人たちを見てたわけでもないし、
それでいやらしい事を考えていたわけじゃない。
僕が君たちに何をした?
どうしてこんなに酷いことを言われなきゃならない。
この
この性格か。
僕の全てか。
何が悪いんだ。教えてくれよ。
「──────すみませんでした」
でも僕は全ての理不尽を堪えて、頭を下げた。
「やっと認めたよ、このネクラ」
「次は先生にチクるからね」
そう言って女子生徒達は元の場所へと戻っていった。
僕は机の下で拳を強く握りしめ、下げた頭に携えた表情は涙を堪えて唇を噛み締めていた。
悔しい。辛い。苦しい。
なんで僕が……どうして。
しかし次の瞬間呼びかけられた声は─────
「──────大丈夫?」
僕はその声に顔を上げる。
そして目の前には────────
「高坂……さん……」
穂乃果ちゃんがいた。
「色々言われてたみたいだけど……何かあったの?」
あの穂乃果ちゃんが、僕に話しかけてくれている。
体の底から熱を感じる。
今までに感じたことのないような高揚感。
その昂りを悟られないようにしながら、僕は穂乃果ちゃんの問いに答えた。
「……僕があの人たちを変な眼で見てたって…
言いがかりをつけられて……」
「あぁ、なるほど……あの子達、本当は悪い人じゃないんだ。きっと多分、ストレスとかが溜まってて、イライラしてたんじゃないかって……だから、あの子達を悪く思わないであげてくれないかな?
謝るのは、穂乃果からするから。
──────ごめんなさい」
穂乃果ちゃんが僕に頭を下げた。
やっぱり穂乃果ちゃんは優しい。友達を庇い、自らが泥を被ろうとしている。
「とんでもない。顔あげてよ高坂さん。僕は気にしてないからさ」
「ほんと?よかったぁ……」
僕が嗜めると、穂乃果ちゃんは心の底から安堵した表情をした。
しかし穂乃果ちゃんは、ここで1つの爆弾を投入する。
「……ねぇ、それで1つ質問なんだけど…」
「……ん?なにかな?」
「勘違いならいいんだけど……
────さっき穂乃果のこと、見てなかった?」
「…………」
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……
ポーカーフェイスを装っていたが、僕の心は大荒れ模様だ。
き、気づかれてた…!?本人に!?
どどどどうしよう…………
……嘘は、よくないよね……。
何より好きな人に、嘘をつきたくはない。
「─────うん、見てた、よ…」
終わった、かな…………
僕の淡い恋は、本人にバレるという最悪な形で終わりを告げることになるなんて。
しかし穂乃果ちゃんの返事は予想外のもので。
「やっぱりー!穂乃果も君のこと見てたんだよ!」
「……………………………………はい?」
たっぷり10秒ほど静止してしまった。
今、なんて……?
「穂乃果、ずっと君のこと見てたの!
君と話したいことがあったんだー!
君もそうだよね?」
……穂乃果ちゃんが、僕に……?
「穂乃果見ちゃったんだよねー、君のその机の絵」
「……!」
今の僕の机には授業中に描きなぐっているアニメのヒーローや、想像上のキャラなんかが書かれている。
見られていた───────穂乃果ちゃんに。
「あの絵、全部君が描いてるの?」
あぁ…また笑われるんだろうな………
「……うん、そうだよ」
しかし穂乃果ちゃんの返答は、またもや僕の予想外で───────
「すごーい!!上手っ!穂乃果、そのマンガ大好きなんだ!」
「え…………?」
「そのマンガ、連載し始めの頃からずっと好きなの!単行本も一巻から全部買ってるよ!」
へへへ、と穂乃果ちゃんは笑って僕にVサインをして見せた。
「……マンガ、好きなの?」
「うん!家にたーくさんあるよ!……みんなにはあんまり言ってないから、ナイショね?」
今度は照れたように穂乃果ちゃんは笑い、人差し指を自分の口元にあてがう。
しかし残念ながら、昼休み終了を告げるチャイムが無情にも鳴り響く。あぁ、夢のような時が終わる……
と思いきや。
今日の運命の神様は完全に僕の味方らしい。
「あぁ……チャイムなっちゃったかぁ……
ねぇ、今日一緒に帰ろうよ!」
「……えっ!?」
「まだ君と話したいことがたくさんあるから!
それじゃまた後でね────佐伯くん!」
最後ににっこりとはにかんで、穂乃果ちゃんは自分の席へと戻っていった。
僕はそれを唖然として見届けて、机に突っ伏した。
初めて穂乃果ちゃんに─────名前を呼ばれた。
きっと僕は今、他人には見せられない顔をしている。真っ赤でニヤニヤとして……さらにクラスで浮くこと間違いなし。
夢じゃ──────ないよね?
夢なら覚めないでほしい。何でもするから。
放課後になれば……穂乃果ちゃんと。
普段から早く家に帰りたくてたまらない僕だけど、今日ほど早く授業が終われと望んだ日はなかった。
この日から少しずつ
僕の運命は動き出す─────────
とりあえず、穂乃果編を終えるまではこちらを駆け足で投稿していこうかなと思います。
今回もありがとうございました!
感想評価アドバイスお気に入り等お待ちしております!