では、どうぞ
俺は5歳になり、来年から小学生だ。今は幼稚園では遊ぶ寝るを繰り返す日々を過ごしている。
今日もいつもと同じように朝起きてテレビを見ながら朝食を食べていた。
「ママー、おみずとってー」
「はいどうぞ」
「ありがとう」
「どういたしまして……ふう君テレビを見ながらご飯を食べないでね」
「はーい」
俺は子供らしく返事を返しテレビから目を離した。それから黙々と食べていると、
『昨夜、『篠ノ之 束』博士が飛行パワードスーツ《インフィニット・ストラトス》の発明を発表されました。』
「え……」
「どうしたの?おにいちゃん」
俺は耳を疑った。『篠ノ之 束』、『インフィニット・ストラトス』この2つの単語は俺が前世で読んでいたラノベの1つ、『インフィニット・ストラトス』で出てくる物だ。俺は今まで『前世とそこまで違いの無い世界』程度にしか考えていなかった。が、今気付くここは、この世界は『インフィニット・ストラトス』の世界だと……。
「な、何でもないよ」
俺はまた食べ始めが、頭の中は、『インフィニット・ストラトス』通称『IS』のことでいっぱいだった。そして、同じ……いや、俺以上の天才、篠ノ之 束に会ってみたいと思うようになった。そして、この物語の主人公である『織斑一夏』、そしてその周りを取り巻く物語を
「生きてるって素晴らしい……」
俺はこの数年間妹以外に自分のして来た事を見せてい無い。むしろ、周りには抑えて見せている位だ。子供の時から天才だとわかると俺は色々な事に巻き込まれる。そして、段々と不利な状況に追い込まれる。これだけは避けたかった。今の自分には力が無い。頭が周りより優れているだけ。だから自分の実力を抑えなければならない。
ーー息苦しい。
最近そう思う様になって来た。実力を見せれば楽かも知れない。実力を見せれば変わるかも知れない。今取り巻く環境も、自分も……
憐華や母さんは俺と他と変わらず接してくれるが他は違う。親父は俺を下にしか見ていない。あの目を俺は知っている。前世で俺が向けられた目だ。『役立たず』『足で纏い』『邪魔』俺を1人の人としてではなく、1つの異物程度にしか見ていない、そんな目だ。
多分俺を家族とは見ていない。母さんの前ではそんな目をする事は無いが母さんがいないとすぐに俺を蔑んで来る。
幼稚園では、園児は俺の目に怯え、保育士は俺の目を毛嫌い、異質な存在を排除しようとする。所謂イジメだ。そいつ等は絶対に憐華にバレない様にする。俺とは違い憐華は人気者だ。全く理解出来ない。同じ顔、同じ声なのに目の色でこんなにも環境が変わるのかと驚きを隠せない。だからといってそいつ等を恨んだりはしない。助けを求めもしない。どちらも何の解決にもならないからだ。
俺は前世で学んでいる。誰かに助けを求め、助けられても、逃げても何も変わらない。最悪、悪化する。『何チクってんの?』『逃げれると思うなよ』助けを求めると毎回この言葉が返ってくる。俺の心はそんな環境で頑丈にはならなかった。だからといって弱く、脆くもならなかった。ただ、
柔軟になった。
色々な事を言われ、され、傷付く。俺の心は限界に来る。しかし、限界で留まる。傷ついてもすぐに修復し、前を向く。これは心が強い訳ではない。心が強いのは耐える事が出来る奴の事だ。しかし、俺は耐える事が出来ない。この違いだ。
俺はさっさと食べ終えると幼稚園に向かう準備をした。いつもだったら少し鬱な気持ちになっていたかも知れない。だが、今日は、今日からは違う。目標がある、楽しみがある。
此処はこの世界は『IS』の世界だ。