転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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今回約一人かなりキャラ崩壊しています。注意してください。

後この一周間は諸事情で投稿できません。ご容赦を。


23話 望郷の介入

 

 

力が、抜ける。

 

「がふっ」

 

息の代わりに、血が漏れる。

 

魔女の持つ蒼穹双刃は、的確に心臓を貫いていた。

 

油断なんてものは、始めからしなかった。

冷静に事を運んでいたはずだった。

 

だけど、神奈子達が召喚されてから、知らず知らずの内に、焦りが出ていたのかもしれない。

 

それ故に、見抜けなかった。

 

 

 

インターバルなんて、存在していなかった。

 

只のブラフ、はったりだった。

魔女は待っていた。あたしが決定的な隙を作り出すまで、ずっと虎視眈々と。

 

ボロを出さなかったのは敵ながらあっぱれだと称賛してやりたい。

そして、大振りの一撃は、十分決定的だった。

ものの見事に引っ掛かったあたしは今こうして、賭け金の命を取られた。

 

ズプッ

 

「あ…」

 

ゆっくりと、刃が引かれていく。

 

痛みなんて、もう感じられない。

ただ熱いのか冷たいのかわからない、変な感触。

 

腕は、あたしの命令を全く聞き入れない。

 

あたしは血に濡れた刃を他人事のように見ている他なかった。

 

 

 

刃が体から抜けきる。

 

体が、仰向けに倒れていく。

 

 駄目なのに

 

 負けられないのに

 

 動かない

 

視野が狭くなる。

 

 杏子達と約束したのに

 

 動いて、よ

 

「ち、くしょ……う……」

 

~~「さやか……!!」~~

 

暗い視界の中で、微かにまどかの声が聞こえた気がした。

 

 

 に……げ………て………

 

 

 

 

ピチャッ

 

頬になま暖かい液体が飛び散る。

 

「あ、がは……」

 

ドサッ

 

続いて、さやちゃんが不自然に痙攣して、仰向けに倒れた。

 

「さやちゃん?」

 

じわり、じわりと左胸がどす黒く変色していく。

 

 あーあこれは洗濯しても落ちないものだろうなあどうしよう

 

「ゴプッ」

 

さやちゃんが血を吐く音がトリガーとなって、始めて一連の出来事を受け入れた。

 

「あ……いやああぁぁぁァァ!!」

 

血で服が汚れるのも構わず、必死にさやちゃんを抱きしめてゆする。

 

 なんでどうして

 

 

 

死なないって言ってたのに

勝つって言ってたのに

 

約束は守るって言ったのに

 

「なにか言ってよ、さやかちゃん!!」

 

 

その時、ふっ、とまた意識が浮く感覚。

 

 

~~「大丈夫です! 信じてください!! 必ず、必ずこいつらは倒します!!」~~

~~「わたしは死ぬつもりは毛頭ありません!! 絶対勝ちます! 約束します!!」~~

 

わたしが、今さっき、さやか様に思っていたことを全部叫んで、単身妖怪の群れに突っ込んでいく。

さやかちゃんはまんまとおびき出されて、妖怪の足止めを食らっていて迎撃できるのはわたしだけ。

 

そして……

 

「そん、な……」

 

 あれは、夢なんかじゃなかった。

 

 

私は円(まどか)

さやか様に仕える、巫女だった。

 

でも、思い出しても、あまりにも遅すぎた。

 

 

 ああ、わたしはなんてバカなんだろう。

 

 最初に嘘をついたのは、わたし。

 とても、残酷な嘘をついてしまった。

 到底許されない嘘をついてしまった。

 

 

「すみません……」

 

結界の入り口が広がり、なす術もなく取り込まれる。

 

目まぐるしく変わる景色。それに何の感慨も抱けず、たださやか様の体を抱き締める。

 

バタン

 

扉をすべて通過して、結界の中心部まで引き込まれたみたいで、そこで見たのは、さらにわたしを追い詰める。

 

マミさんが、

ゆまちゃんが、

杏子ちゃんが、

ほむらちゃんが、

血を流して片膝をついていた。

 

 

 

「あ……あ……」

 

 怖い

 

 皆が、死んでいってしまう

 

「まどか!! どうして入ってきたの!!?」

 

ほむらちゃんがわたしの肩を掴んで、睨んでいる。

 

――アッハハハハハハハ――

 

聞こえてきたのは笑い声

 

嘲り、嬉しさ、安堵、喜び、色んなものが混ざりあったものだった。

 

「おいおい……」

「冗談よね……」

 

カツン カツン

 

三人の使い魔の後ろから、さやかちゃんの形をした魔女が歩いてくる。

不意に、魔女と目があった。また、意識が浮遊する。

 

血に濡れたわたし。それを抱きしめ泣き叫ぶさやか様。嘘だ嘘だ、と否定するその姿。多分さやか様のものなんだろう。

嬉しくも、自殺したいほど自分が嫌になった。

 

 わたしは、こんなにさやか様に思われていた。なのに、なのに……!!

 

 

「逃げ……て……」

 

声のした方を見ると、さやちゃんが胸を押さえながらも、立ち上がろうとしていた。魔法少女の体は伊達ではなかったらしい。

ゆまちゃんがかけよって治癒を始める。

 

 

「あたしが、食い止めるから……皆逃げて」

「な、何言ってるのさやちゃん!?」

「そうよ!! まだ終わってないわ!!」

「アタシは、まだ戦えるぞ!!」

「ゆまだって!!」

 

マミさんと杏子ちゃん、ゆまちゃんが食い下がる。

 

「違う……。魔女がああやって動けている時点で、精神世界の戦いに決着は着いたの。そして、あの魔女が動いていて、あたしの胸には、この傷」

「止めてよ……」

 

耳を塞ぎ、いやいやと首を振る。

 

「さやかは、負けたんだ」

 

 聞きたくないのに、

 

 なんでこの耳は正常に機能しているんだろう。

 あの時、さやか様だってあらゆる五感をつぶして否定したかったのだろう。時を戻したかったのだろう。でもそれをしなかった。出来なかった。

 でも、耐えて、耐えて、さやか様は前に進んだ。

 

 

 さやか様、

 わたしは弱い子です。あなたの死を受け止められません。

 

 

 すみません、すみません……

 

わたしの目から戦意の火は完全に消えていた。

 

「……いつになく弱気ね。あなた本当に美樹さやかが作った仮人格かしら?」

 

 でも、

 

「ほむらの言う通りだな。それがどうしたってんだ?」

 

 4人の戦意は、砕けなかった。

 

「は?」

「負けただけでしょ? それって裏を返せば、まだ美樹さんはあの中にいる、ってことよね。」

「なら、私達が逃げる理由はないわ」

「でも!! 魔女は最強と言ってもいいぐらい強いんだよ!? あのワルプルギスの夜よりも最悪の魔女な「ゴチャゴチャうるせぇ!!」」

 

ドン!! と杏子ちゃんは槍を床に突く。

 

「あんたに言っても意味ないけどさ…。てめえだけがのうのうと救えると思うなよ」

 

 

  たまには救われやがれ

 

 

そう言って、杏子ちゃんは背を向けて、槍を構えた。

 

 

「人はいつでも限界を越えれるんでしょ?」

「え?」

「いつでもは"今"もはいるよ」

 

そうゆまはさやの前に立つ。

 

魔女は三人に八坂様達を差し向ける。

対するマミさん達も各々で魔力を練り、迎撃する。

 

 「なんで……」

 

 なんで、諦めないの?

 戦力差は絶望的。さやか様は心臓を一突きされているのに。

 さやか様を助ける算段なんてもう無くなったのに。

 

 

 なんで、どうして?

 

~~そんなの、当たり前でしょ。~~

 

さやかちゃんの声が聞こえた。神様モードの時のような、絶対命令の厳しさを孕まず、天使のような、暖かさを持った、希望を紡ぐ声。

 

 

 

 

 

 

~~まだ、何も終わってないからだよ。~~

 

 

 

 

 

 

「あう!!」 

 

杏子たちは、ひたすら戦っていた。本人たちからすれば、今までで一番つらく苦しい戦いだった。と断言できるはずだ。

しかし、本気の神奈子たちからすれば、ただの児戯レベルに過ぎなかった。殺人的な量の弾幕の中、ただいたぶられるだけの存在。

 

そんな中、真っ先に落ちたのは、一番幼く、体力もなかったゆま。弾幕を浴びせられ、強かに体を地面に打ち付けられる。

 

「ゆま!!」

 

杏子が叫んで呼びかけるが、呻くだけで、体が動かせないようだった。

しかし、だからと言って、彼女たちが容赦してくれるはずもなく、四人にまた等しく弾幕が降り注いだ。

 

「ゆまああああ!!! くそおおおお!!!」

「こんのおおおお!!!!」

 

杏子とマミの顔がこわばり、弾幕を回避しながらも駆け寄ろうと、雄たけびを上げる。

しかし、彼女たちがどんなに頑張ろうが、届かないものは届かない。

一方のほむらも時間停止を試みたいが、使い魔はともかくとして、魔女が時間停止をものともしないのがネックだった。

魔女のもつ蒼穹双刃が時間停止している物体さえも斬るのならば、時間が止まった杏子たちに為す術はなく、リアルにいつの間にか死んでいたを地で行く可能性が高い。

 

三人が何も出来ぬまま、無常にもゆまに弾幕はせまり……

 

 

 

「滅魔陣」

 

弾幕が消え去った。

 

「よし、術はちゃんと使える」

「まどか……?」

 

ほむらがあり得ないといった風に、目を見開いてその名を呟く。

 

「ごめんねほむらちゃん。わたし、思い出したの。戦う術、見つけちゃった」

 

まどかはさやの腕に張り付けてあった札を剥がし、自分の腕に張り付ける。

 

さやかは霊力を使えなくなった時から、札を放置していた。そして札の中にはさやか特製の札がぎっしりと詰まっていた。奇しくも、もう使い道がないと思っていたものがゆまの命を救った。

さやかでさえ予想しえなかったことだが、ともかく僥倖であろうことは間違いない。

 

「わたしは円!! 我が神、美樹さやかに仕え、魔を祓う巫女なり!!」

 

まどかは先ほど発動した札を掲げ、高らかに叫ぶ。

 

「今、時を越え、世界を越え、ここに推参したてまつる!!」

 

 

 

   諦めない

 

 

言うのは簡単だが、今この状況で実行するのにこれほど難しいものはない。

さやかは生死不明。敵は大妖怪一人に、かつて強大な力を振るっていた神様二人。

さらに時間停止の前に対応出来るのはほむら一人だけ。

 

 

諦めなければなんとかなる? 何それ?おいしいの? 状態を体現したかのような状況の中、

 

 

この5人の顔は、ちっとも曇っていなかった。

どうとでもなる、そんな自信が全身から湧き出ていた。

 

 

魔女にとって、それが気に食わないのは当然のこと。

魔女は使い魔に命令して、まどか達をいたぶり殺せと命令する。

 

 

「アッハハハハハハハ!! こりゃあ一本取られたねぇ、さやか!! そしてお前たち!! よく頑張った!!」

 

そこに追い打ちをかけるかのように、心底愉快そうな笑い声が聞こえて、赤い服を来た使い魔の女の人が魔女を、明らかに敵意を持って蹴飛ばした。

 

 

 

諦めなければ、なんとかなるのだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

私は、一回死んでいる。その時のことは、今でも克明に脳裏に焼き付いている。結界が割れた音は今までの修行の怠り、そして自分の無力さを表すようで。どうにもならなかった。力を合わせても、無駄だった。ただ、無力だった。

 

――あなたは、生きて――

 

闇に包まれる直前に聞いた言葉は、それだった。

もう目は閉ざされたままだろう。この私の予想は外れた。すぐに紫の仕業だと気付いた。

 

再び目を開けた時、私は愕然とした。

 

過去に、生まれた時に戻っていたから。

 

 

その日、私は初めて泣いた。

 

己の無力に

 

騒がしく、うっとうしくも、いつの間にか大切になっていた人達を守れなかったことに

そして、決意した。

 

 

今度は、守り通す。

 

 

その日から、私はひたすら己を研磨した。

そのせいで、神童だの、幻想郷の紅白の巫女だの(まんまよね?)、色々ととやかく言われたけど。

 

 

私が生きていた間の史実は、変わらなかった。(過去の歴史はかなり変わっていたけど)

一回経験した通りに物事は進んだ。この世界は前世とは違うところは多々あったけど、最終的に行き着くところは変わらなかった。

 

 

ただ一つを除いて。

巫女さん募集中と言いながら、そのくせ何もしなかった、青が良く似合う神様。

小さい頃、確か先代と私を巡って、巫女異変というはた迷惑な騒動を起こした、

魔理沙とはまた違う、どこか不思議な雰囲気な魔法少女チックな出で立ちのそいつ。

 

 

 

美樹さやか

 

 

彼女はいなかった。それどころか、過去にも、いたという痕跡はなかった。

それを疑問に思いつつも、迎えたある日、

 

 

夢を見た。

彼女が、魔女と戦って敗れる夢

直感的に、これは夢じゃないと感じた。

 

「とても興味深いわね」

 

隣に、隙間に腰かける紫がいた。

 

いつの間に、なんては聞かない。

元々こういうやつ。

人の夢に勝手に土足で上がる奴。

でもそれも、私が考えつかない理由があるから。

 

「あなたは博霊の巫女よ」

 

 わかってるわよ。

 

私は、この地の平定者。理由もなしに外に出ていくことなんて許されない。

 

だけど、

 

 

「紫、」

 

 

見捨てるなんてことも、絶対にしない。

 




おめでとう。まどかは円に進化した!

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