転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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最近の科学理論では時間と空間は副次的なものであり、それらの基礎をなすものがあると予言されているとのこと。さやかの能力って、科学的にどう説明できるんだろう……?


36話 足掻いて?

 

 

 クリームヒルト・グレートヒェン

 

その性質は慈悲。

この星の全ての生命を強制的に吸い上げ 彼女の作った新しい天国(結界)へと導いていく。

この魔女を倒したくば 世界中の不幸を取り除く以外に方法は無い。

もし 世界中から悲しみがなくなれば 魔女はここが天国であると錯覚するだろう。

 

(引用「魔女辞典」)

 

 

 

 

ほむらちゃんが死んじゃって、ワルプルギスの夜が街を、皆を全て蹂躙した。さやかちゃんも奮闘したけど、ついにやられちゃうの。わたしの側には物言わぬほむらちゃんとキュゥべえしかいなかった。そして、ワルプルギスに対抗出来るのもわたししかいなくなった。

 

当然、わたしは契約した。そしたらね、ウフフ、呆気なかったなあ。ワルプルギス一撃で消えちゃうの。でもね、そのワルプルギスが貯めていた穢れがわたしの中に流れて来たの。

 

 

その時ね、気づいたの。世界がどれだけ悲劇で満たされているのかを。

 

 

嫉妬、恨み、傲慢、強欲、侮辱、苛立ち、怒り、悲しみ、誹謗中傷、そして絶望。

 

 

だから、わたしが全部救う。わたしが作った天国で、幸せに生きてもらうの。だからほむらちゃん。もういいんだよ。もう苦しまなくても。

 

 

 わたしがみんな幸せにしてあげる

 

 

 

 

"まどか"が魔女となってから10日後、地球どころか、その世界が消滅した。

 

当然、"まどか"は世界の狭間に取り残されることになる。

そして、彼女は必然的に世界の狭間に放り出されて、知ることになった。

 

他にもまだまだ救わなければならない世界があることを。

 

彼女は片っ端から世界を救い(滅ぼし)始めた。

 

当然、世界はそれをよしとはしなかった。

しかし、抵抗は全て虚しい結果に終わった。

世界は常に後手に回るからだ。彼女を脅威と見なすまで、表立った行動は起こさない。

彼女が本格的に、すなわち地球を覆ってしまうほどの大きさの魔女になって、破壊活動を開始しない限り、直接排除しない。

 

英霊、真祖、果てはアルティメット・ワンまで動員したが、全て彼女には叶わなかった。

そこが天国でない限り、彼女は消滅しないから。

 

一方、人、及び生命体も黙ってはいない。

彼らも実力での排除を試みたが、それもまた虚しく終わる。

そこで彼らは、望みを託した。

 

すなわち、彼女の習性、性質、行動パターン等、あらゆる情報を彼女に取り込まれないようにした。

 

そして、世界の狭間に散らばったその情報を、誰かが見つけてくれますように。願わくは彼女を消す知識を持つ者に、それが届きますように願った。

 

分の悪い賭けだった。

 

それでも、それしか出来なかった。

 

そして……

 

 

 わたしは、何をやっているんだろう。

 

もう一人の自分に恐怖して、さやか様が地に濡れるのをただ見ていた。

その後、威勢よく吠えて、でもその威勢は、彼女の過去に押しつぶされて、

 

皆がやられていく中で、ただ座り込んで、呆然として、

 

今、”わたし”に殺されようとしている。

 

ほむらちゃんは今なお震える銃を”私”に向けている。

 

 だめだよ。殺されるよ。

 

そう思った時、途轍もなく怖くなった。恐いではなく、怖い。

 

 ああそうか、怖いんだ。ほむらちゃんは私が死ぬのが。

 

この怖さはどの恐怖にも勝っちゃうね。

 

いつの間にか、“私”への恐怖は薄れていた。

 

 

 

 

 

ガブッ

 

まどかが、触手に噛みついた。

その目には反抗の意志が確かに宿っている。

 

確かに幸せだろう。だけどそんな幸せ御免被る、と。

 

「ぷっ、アハハハハハハハ」

 

それを見て、こらえきれないように"まどか"は嗤う。

 

「ハハハハハハははぁ~、死ね!!」

 

そして、まどかを叩きつけた。

 

「まどかァ!!」

 

まどかはぐったりとしている。気絶しているのか、または……

 

出かかった最悪の考えを振り払い、駆け出す。

"まどか"はさらに叩きつけようと腕を振り上げる。

 

「いらっしゃい、天国へ」

 

 駄目だ。間に合わない。

 

絶望感と共にほむらは目を瞑った。

 

ザシュ

 

その時、触手が切り裂かれ、"まどか"が吹き飛ばされた。

 

そして、まどかを守るように杏子とマミが立ち塞がる。

 

「よお、腹の傷ヤバイぜ? 治療の時間ぐらいは稼いでやろうか?」

「あなたこそ、ここは私に任せて左手でも治したら?」

「中はもう大丈夫さ」

 

二人は軽口を叩き合いながら、滑稽だと言わんばかりの嘲笑を浮かべた"まどか"に突撃した。

 

「まどか!」

 

その隙にほむらはまどかのもとにたどり着くことができた。

 

胸は微かに上下していた。

それをみて、ほむらは安堵の息を吐く。

 

但し、時間は止まらない。

ほむらの後ろで衝撃音が走り、壁が叩きつけられる音が二回響いた。

 

「杏子、マミ!」

 

思わず安否を確認したのがいけなかった。

はっ、と振り返ると今まさに拳を振り上げる"まどか"が。

 

なんたる失態。

 

一度ならず二度までも。

 

 

まどかに覆い被さって抱き締める。

 

 せめて、死ぬ時ぐらいは……

 

 

 

ガキッ!!!

 

 

再び、阻まれる。

 

「まどかばっか狙うな!」

 

みきが触手を防御したのだ。

 

舌打ちした後、"まどか"はその嫌な表情を崩す。

 

何故、時計に刺さらない?

 

「悪いけど、時計の時間は止めてあるから、固さは今までとは訳が違うよ」

「この。小癪だね!」

 

"まどか"はそれならばと、時計ごとみき達を触手で覆いつくそうとする。

 

 

ドスドスドス!!!

 

 

だかそれも、降ってきた針に縫いとめられる

 

「な!?」

「今までパクリ技ばっかだったけど、これはオリジナル。ま、射出するものが変わっただけだけどね」

 

 

――「クロック・ハンズ」――

 

 

数多の長針、秒針、短針、が"まどか"に降り注いだ。

 

やったのか、とほむらは一瞬期待した。

 

 いや、こんなもので倒せるなら、かわいいもの。私達でとっくに始末出来ている。

 

三度目の正直。もう目を離さない。ほむらはそう誓った。

 

 

 

 

"まどか"がいた所は正に剣山に成り果てていた。

 

「……あ~、くそ」

 

だが、剣山の一針がピクリと動いた直後、吹き飛んだ。

 

「弱音吐きたい……」

 

そこには、針が深々と刺さっているが、しっかりと二本足で立っている"まどか"が顕在していた。

 

「なかなかやるんだね。ちょっとびっくりしちゃった。」

「びっくりさせるつもりはなかったんだけどね。そのまま動かないでくれるとあたしとしてはかなり嬉しいなあ」

「ふふ、冗談? 無理な相談だ、よ!!」

 

みきの顔が引きつる中、"まどか"は時計に向かって拳を振るう。

 

時計は鈍い音を立てるが、特に異常は見当たらない。

そのままギチギチと押し合いに突入する。

 

「……ねえ、あんた何でそこまでまどかを狙うの?やっぱり自分だから?」

「そんなのは関係ないよ。ただ、こいつは否定した。何も知らないくせに。だから、体に教え込ませるの」

 

"まどか"はさらに力を込める。

僅かにみきの足が滑る。

声に出さないようにみきは歯を食い縛る。

 

「それよりも、あなたも、何で……」

「あ?」

「……もういい」

「何勝手に自己完結してん、だ!」

 

 

――「クロック・ハンズ」――

 

みきは再び針の雨を降らせる。

 

"まどか"はバックステップでこれを避け、距離を取る。

 

「あなたも残せば何も問題ない」

 

"まどか"はその場で震脚。僅かに地面が揺れる。

 

ただの震脚なわけがない。みきはそう確信していた。だからこそ、みきはそれに加えて地中を進む何かを感じ取った。

 

「ほむら跳べェ!!」

 

その声を聞いたからかはたまたほむら自身もそれに気づいたからか、まどかを抱えて跳躍。

 

 

コンマ数秒後、ほむらがいた場所から凶刃が突き上がった。

 

ほっとするのも束の間、みきは足が動かないことに気づく。

はっと見ると、足に絡み付く触手。ニタリと笑うクリームヒルト。

 

 

 しまっ……

 

 

ザクッ!!

 

 

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