あの味を求めて幻想入り   作:John.Doe

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スキマの津々浦々食事事情

 何度目かの鹿威しの落ちる音が、五郎と、座卓を挟んで対面に座る紫と藍の正座する一言も発されない部屋に響き渡る。きっちりと背筋を伸ばして正座する藍の隣で、一見穏やかな笑みを浮かべて湯気を立てる湯呑に手を付ける紫。それとは対照的に、その対面の一見何ともない二人から感じる圧力に、五郎のこめかみから汗が滴る。湯呑を置いた紫の冷たい瞳が、五郎を捉える。小さく扇子を振ったかと思うと、五郎の目の前に小さな隙間が現れて、それが消えたかと思えば座卓の上には饅頭が現れていた。

「そうそう、お茶菓子もお出しせずにごめんなさいね。さて……そちらを召し上がりながらで構いませんので、お話しさせていただいてよろしいかしら」

 思わず固唾をのみ込んだ五郎。笑みを浮かべて言った紫の目は決して笑ってはいない……それすなわち、商談や世間話などという呑気な話ではない、ということを告げているからである。しかし用件が分からない事にはこちらも対応のしようがない。五郎は無言で肯定し、先を促す。

「井之頭さん。貴方は私……八雲紫という妖怪がこの幻想郷で何をしているかご存知かしら。私これでも、幻想郷という仕組みの根底にある結界に関わっておりまして、それは外との常識と非常識に関する境界の結界なのです」

 話が呑み込み切れない五郎は気の抜けたため息の様な返事を返すのが精いっぱいだった。何かに縋るような気持ちで饅頭に手を付ける。蕎麦の香りと漉し餡の柔らかな甘さがかなり上等な蕎麦饅頭だと教えてくれるが、詳しい味はどうも分からなくなっている。過度な緊張はやはり食事には不向きだ。

 

「井之頭さんはこの幻想郷の外の世界に興味はおありかしら。この幻想郷では見ることのできない技術、知識、文化。もっと身近なことで言えば、家具や道具、それにお食事なんかも。私の知っている限りでも幻想郷に住む方で、外の世界に興味を持つ方はとても多いわ。半端に外の世界のモノが流れてきて好奇心を刺激されることも要因としてありますけれど」

 相変わらず彼女の話すことは回りくどいというか核心を掴ませないというか、とかく何が言いたいのか分からない。お茶に手を付けつつ、話から重要そうなところだけを聞きのがさないように耳を傾ける。

「外から流れてくるのは何も物だけに限りませんわ。時折紛れ込んでくる外の世界の人……時折外来人と言ったりもしますけれど。その中には大変珍しい場合もございますの。例えば、ほとんどの方は自分の元居た世界と違うことを自覚なさるのですけれど、井之頭さんのように自覚がない場合ですとか」

「はあ、それはまた大変そうで……え?」

 一瞬聞き流しそうになった五郎が目を見開く。対する紫は表情一つ変えることなく話を続ける。五郎が幻想入りと帰還を無自覚に繰り返していたこと。会った相手も帰還した際の事を覚えておらず、なおかつ五郎の存在自体は覚えていること。結界にも不備は見つからず、原因不明の事故であること。そして――――

「私には、貴方をこちらと外の世界とを行き来させずに、外の世界に帰す義務があります。そして貴方には帰る権利と義務がある。正直に申しますと、今の状態が続くとどちらの世界でも存在を保てない危険があるのです。幻想郷とその外、基本的にはどちらか一方でしか存在を確立することはできない。そしてどちらかで存在を確立させてしまえば、もう一方の世界では原則的には存在することはできない。どちらつかずということはできないのです。このままではどちらかで存在を確立「してしまう」か、どちらにも存在を確立できずに消え去るかのどちらか……」

 ここにきてようやく、彼女が何を言わんとするかが理解できてきた。要は自分に、元居たのであろう外の世界で自分の存在を確立しろ、ということだろう。五郎としても、このまま曖昧なままにして自分の存在が消えてしまう、と考えると想像もつかない事への恐怖が少なからずあった。普段なら半信半疑に聞いていたであろう話だが、話しているのは誰でもなく八雲紫その人である。幻想郷で、彼女の姿は知らずとも彼女の名を知るものは多い。

「ええと、それで……そのご提案には異存は全く無いのですが、私は何をしたら?」

「ああ、井之頭さんは何もしてもらわなくて結構です。井之頭さんは最後の晩餐、というのはご存知? こちら側の貴方はご存知なくても無理もないのですけれど、要は死ぬ前最後の晩餐、とまあそのままですわね」

 と、言うことはこのまま自分は晩餐の後に殺されるのか、と呆気にとられた五郎。それを察しているのか予想していたのか、紫は五郎の言葉を待つこともなく話を続ける。

「ああ、死ぬとは言っても本当に死ぬわけではありません。こちらの世界の貴方、つまり幻想郷の側の井之頭五郎という人物に関する一切を無くし、外の世界に還す……最後の晩餐、の晩餐の部分は、こんな面倒に巻き込んでしまったことへの私からのせめてものお詫び。そう思ってくださいな」

 そこまで言い終わった紫は、隣に座る藍に目配せる。一言の会話もなく意味を了解した彼女は、音一つ立てず立ち上がり一礼とともに部屋を出ていった。良くできた式神だ、と五郎は思ったが、それと同時にもはや式神という括りをも憚られる深い主従関係と絆をうかがうことができた。

 

「さて。お話もとりあえずは済みましたし、用意の整うまでお茶の御代りとお饅頭、お楽しみくださいな」

 言われて手元を見てみると、いつの間にか新しく注がれていた茶が湯気を立てている。なるほどその能力だけではない。彼女を噂足らしめるのは、その見事とすら言える手際や考えの巡らせ方なのかもしれない。

 ともかく、と気を取り直して、緊張も解れ気を新たに、蕎麦饅頭を口に運ぶ。香ばしい蕎麦粉の香りと漉し餡のふわりとした甘さを先ほどよりも数段しっかりと感じる。

(お、さっきは緊張しすぎてよくわからなかったけど、この蕎麦饅頭随分とウマいな。流石八雲家の出す蕎麦饅頭、ってところかな。お茶との相性もバツグン、ピッタシだ)

 お茶に流され切らず、かつ飽きを感じさせない絶妙な甘さの餡と言い、お茶と共にしてもなお存在を感じさせる香りの高い蕎麦粉と言い、今までに五郎が食べた蕎麦饅頭のどれよりも「良い」ものだと感じさせる蕎麦饅頭だった。先ほどまで「最後の晩餐」と言われたことで食事を楽しむ心の余裕がなかった五郎の心を、蕎麦粉の香りと餡の甘さが落ち着けてくれているようだった。これすらも彼女、八雲紫は見越して用意していたのだろうか、と考えるも、やはりそれは蕎麦饅頭とお茶の魅力の前にはすぐさまかき消されていった。

 

「お待たせしました。お食事の用意が整いました」

 風通しを良くするために開け放たれていた襖の向こうで、膳を側に置いた八雲藍が静かに知らせた。蕎麦饅頭を堪能し終わって数分のことだった。見事な手際で五郎の前に料理が整っていく。葱の乗った油揚げの香りが食欲を刺激し、丼に盛られた米と、魚の切り身をはじめとした具材、そしてそれにかけるのだと思われる出汁が五郎の目を惹く。そしてキンピラゴボウがそれらの食事に手を付けやすくするような気がした。

「キンピラゴボウと油揚げの焦がし葱醤油かけ、大根と小松菜の味噌汁、そしてスズキの出汁茶漬けです」

「スズキ……? 海の魚の?」

 海のない幻想郷にいるはずなのに、海にいる魚の名に聞き覚えがあり、そしてスズキという魚の味をも知っているような気がした。これが紫の言っていた「五郎がどちらにも存在を確立できていない」ことによるものなのだろうか。その疑問を五郎の戸惑いから察した紫が、柔らかな口調で話はじめた。

「幻想郷では見ることのできない魚の名前、それは五郎さんのお考えのように、五郎さんの存在がどちらの世界でもあやふやなせいでしょう。それも今日限りですわ、せめてこちらでの最後の食事を、心からお楽しみいただける様私共も考えております。私は準備がありますので、別室へ移動させていただきますわ。部屋の外に藍を待機させますから、何かございましたら彼女にお申し付けくださいな」

 そう言って立ち上った紫は、藍に一言二言話した後部屋を後にする。軽くお辞儀をして出ていった紫に続き、藍もお辞儀の後に部屋の外へ一度出ていったようだ。近くに気配は感じるが、気になるほどではない。

「ははは……何もかも御見通しってことかな」

 自分の食事に対する考え方である「モノを食べるときは誰にも邪魔をされたくない」というそれをすっかり見透かされているらしい。しかしそれはそれで好都合、気兼ねすることなく飯を食えるというものだ。早速、座卓の前に向き直り、置かれた料理に意識を注ぐ。

 

「すごいな。山の幸から海の幸までてんこ盛り、大人用のお子様ランチだ」

 少しの迷いもなく、まずはと油揚げに手を付ける。普通の葱ではなく、焦がし葱を使っているところに工夫を感じる一品は、口に入れた瞬間香ばしさが口中を満たし、無意識的に五郎をうならせた。

(すごいな、この香ばしさ……すごいジャブを最初にもらっちゃったぞ。油揚げのこの手の料理は酒のツマミくらいにしか思ってなかったけど、これはもう立派に独り立ちしてるぞ)

 噛むたびに油揚げの油と焦がし葱醤油の香ばしさが合わさり、新たな味として五郎の舌を包み込む。葱のシャキシャキとした食感こそないものの、こんがり程よく焼かれた油揚げはそれを必要としていなかった。その香ばしさが口に残ったまま、味噌汁に手を付ける。少し熱すぎるくらいの味噌汁が、体の冷えるこの時期にはありがたい。

(大根と小松菜の甘さ、冬の寒さと相まって心地いい。冬の炬燵に匹敵するぞ。これだけでもご飯が御代わりできそうだ)

 具の美味しさも然る事ながら、味噌の風味もまた上品さを感じさせる。ほう、と味噌汁の熱気と共に吐く吐息すらも心地よく感じる。先ほどの油揚げの香ばしさも程よく流し去り、味噌の風味も跡を濁さぬ品の良さ。三歩後ろを歩くという例えの似合う味噌汁だった。

「いかんいかん、これも一気に腹に入れてしまいそうだ。どれどれ……」

 キンピラゴボウの小鉢に箸をつける。まるで測ったかのように均一に切られたそれを口に運ぶと、濃すぎない醤油味と鷹の爪のピリッとした辛さが広がる。

(何の変哲もないキンピラゴボウ。何の変哲もないからこそ安心して食べられるな……うん、ウマい。実家の料理みたいな暖かい味)

 ゴボウの歯ごたえが五郎の箸を止めさせることなく、次の標的としてついにメインの出汁茶漬けを捉えさせる。ほんの少し注ぎ口から立つ湯気からもう、出汁の香りが仄かに漂ってきていた。ゆっくりと注いでいくと、熱でスズキの身が僅かに白みを帯び、山葵の香りがより豊かに立ちはじめる。丼を手に取り、一気にかきこんだ。

(おお……ゴマの風味、出汁の香り、そして何よりスズキの身と出汁の合わさった旨味。これだ、これだよ。日本の味ってのはこういうのを言うんだ。田園風景で遊ぶ子供達とか、海岸でゆっくりと釣りをしているオジサン達とか、そんな感じの風景なんだ、この料理は)

 思わず顔がほころび、口の中の熱気を吐き出しながら、しかしそれさえも食欲を増す一因として更に出汁茶漬けをかきこむペースを上げていく。時折キンピラゴボウや油揚げ、味噌汁で口の中の雰囲気を変えながら、その組み合わせの多様さを楽しむ五郎。いつの間にか、茶漬けの丼は空になってしまっていた。

(いかん! 茶漬けだけ食いすぎたぞ……うーん。この油揚げもキンピラゴボウも味噌汁も立派に米のお供になるのに……よし)

 

「すみません。ご飯のおかわりいただけますか」

 部屋の外へ向けて声をかける五郎。目的通り藍が顔を出し、差し出された丼を受け取った。側に置いた櫃から米をよそう。

「具はいかがなさいます?」

 藍の、五郎にとっては少し予想外な問いかけに一瞬戸惑う。ここで再び茶漬けを味わう、というのもいい。しかし、今自分が真に求めているのはどちらか……その、傍からは一瞬に思える悩みは五郎の中では数分ほどにまで長く感じた。

「うーん……いや、白飯でお願いします」

「はい。ではどうぞ」

 五郎が礼の言葉を述べるとほぼ同時に、藍が頭を下げて部屋から再び退出する。その徹底ぶりに何となく申し訳なさを感じつつも、改めて目の前の料理達と対峙する。残るは油揚げ、キンピラゴボウ、そして味噌汁と米。メインである出汁茶漬けを持たずとも一食として成立しうる顔ぶれである。

「よーし、第二ラウンドだ。さて、どう攻めるか……」

 茶碗片手に物色を始める。まずは定番ともいえるキンピラゴボウか、あるいは少しはずして油揚げか、はたまた味噌汁で様子を見るか……この迷いは五郎にとって至福の迷いだ。この時ほど邪魔されることを拒みたくなる時もあるまい、と言えるほどには。

(よーし……まずはジャブ、定番のキンピラゴボウだ。うん、これこれ。このザックリとしたゴボウの歯ごたえと、ニンジンや醤油が絡み合った味わい。米との組み合わせも安心できる熟練のパートナー)

 噛むたびに音がするほどの心地よい歯ごたえと、湯気を立てる白米の組み合わせはもはや語るべくもない。キンピラゴボウの残った小鉢半分程度の量でも、この米一杯をかきこんでしまいそうなほどだ。米はそこそこにセーブしつつ、キンピラゴボウを食べ終えた五郎は次の標的を定める。油揚げの焦がし葱醤油かけだ。キンピラゴボウとは違う醤油の味付けに、やはり米を食べるのを加速させる。

(ほほぉ、やっぱりこいつはすごいぞ。油揚げ、侮るべからず。思わぬダークホースに大穴、大当たり。単品でもウマいんだけど、ご飯との相性も予想外のドンピシャ具合)

 先ほどのキンピラゴボウの歯ごたえとは打って変わって、油揚げのサックリとした歯ごたえも心地よい。何より、焦がし葱と醤油が染み込んだ油揚げの、香ばしさ溢れる調和のとれた味わいは、五郎の米に合うおかずランキングを塗り替えるほどの衝撃だった。あっという間と言うのが最も適当なほど、油揚げを食べ終えてしまった五郎。同じくして丼の米もなくなり、残るは味噌汁のみとなっていた。米こそなかったが、いっそ米の無い方がこの味噌汁には正しい状況なのかもしれない。

(ははぁ……これは最後にゆっくりと飲むのが正解だったんだな。大根と小松菜、それから味噌の上品な甘さは、今までの味をきれいさっぱりまとめてくれるまとめ役。うんうん、味噌汁ってのはやっぱり落ち着くもんだ)

 ほう、と息を吐く。箸と椀を持ったまま、数秒の時をそのままの姿勢で過ごしていると、自然と今までの食事で得ていた高揚感が心地よく沈静化していた。味噌汁の偉大さを感じつつ、箸と椀を戻し、再び藍を呼ぶ。

「どうもご馳走様です」

「御粗末様でした。主人もそろそろ準備を終えるころでしょうから、もうしばらくお待ちください。お茶はいかがです?」

 藍の気遣いを有り難く受けた五郎は、食事前の時と同じように座卓の前に正座して待つ。長い営業生活で、この程度の正座ならば既に慣れてしまっているのが今は有り難く思えた。

 

「お待たせいたしました。さて、井之頭さん。最後に一つ……これは私の興味本位の質問ですから、もし気分を害するようでしたらお答えくださらなくても結構です。貴方は今日この日まで、こちらの世界、つまり幻想郷で多くのものを召し上がってきたと存じます。お口に合うもの合わないもの、様々だったことと思いますわ。その食事……いかがでしたでしょうか。後悔や、不満はございましたか?」

 相変わらず、八雲紫という妖怪の話は回りくどい。しかしその回りくどさすら、彼女という一個人としての性格として受け入れられそうなあたり、憎めないのが不思議でもあった。そして五郎は、その質問の意味を吟味して、ようやく尋ねられたことの意味を理解する。

「……不満があるとすれば、幻想郷の飯は私には美味しすぎました。これから食べられないのがもったいないくらい」

 その答えを聞いた紫は、本気なのかわざとなのか分からない程度に驚いた表情を見せて、口元に扇子を当てる。いつも通りの胡散臭さも、やはりこれなしには彼女と言えないくらいには印象として染みついてしまっている。

「ふふふ。幻想郷の管理者として光栄ですわ。もうきっと……少なくとも、今の記憶を持った、不安定な井之頭さんに会うことはないでしょう。さあ、心の準備はよろしいかしら。貴方はここでの井之頭五郎という存在を捨て、外の世界に戻ることになる。きっと余程のこと……そう、例えば「誰か」の手によって本にでもなるときが来ない限りは、幻想郷に来ることもないでしょうね」

 ゆっくりと紫が立ち上がる。それに続くように五郎も立ち上がり、紫の後ろに続いて部屋を出る。静かに頭を下げた藍に見送られながら、来た時と違って玄関を通って家の外に出た。

 

「それでは……ここでの貴方のグルメも終わりを迎えます。仮初の貴方だったとしても、本当は幻想郷に受け入れるべきだったのかもしれない。それでもそれは無理なお話。それでは御機嫌よう。孤独な食事好きの貴方。いつの日か、貴方が忘れ去られて幻想郷に来ることの無いよう……」

 紫が、そっと閉じたままの扇子を振るう。直後、強烈な眠気の様な感覚を覚える五郎。立つこともままならず、急激に暗さを増す視界の中で、自分が倒れていくことを自覚した。

 

 

「うーん、何だか妙に惹かれてつい買っちゃったんだよなぁ。コンビニの蕎麦饅頭、なんて今まで何とも思ったこと無いけど」

 商談と商談の間に立ち寄ったコンビニのビニール袋から蕎麦饅頭を取り出しながら、独り呟く五郎。蕎麦饅頭に関する思い出は欠片もないはずなのだが、まるで誰かにもらった蕎麦饅頭のウマさが忘れられなくて、というような感覚に陥って、つい手を伸ばしてしまった。しかし今更返品に行くというほどのものでもないし、蕎麦饅頭が嫌いかと言えば全くそんなことはない。公園を通りかかった五郎は、進路を公園のベンチに変えて腰かけた。カイロ代わりにでもなれば、とベージュのコートのポケットに入れていた温かいお茶のペットボトルを取り出して、蕎麦饅頭と共に食べ始める。

「うん。寒空の下で、蕎麦饅頭とお茶。悪くない。いっちょ、次の商談も気合い入れていくとしますか」

 こうして、井之頭五郎の記憶にない、結界に隔離された日本でのグルメ紀行は、ようやく幕を閉じた――――




 皆様、今までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。諸事情(とレシピの限界)によりまして、本話をひとまずの最終話とさせていただくことになりました。

 元はと言えば友人との雑談から、軽はずみに始めた本作品。ここまで皆様に愛していただけたこと、そして私にとって最初で最後になるであろうここまで評価される作品にしていただけたことには、感謝の言葉をいくら述べても足りるものでは御座いません。
 これも、偉大なる「東方Project」と「孤独のグルメ」という二つの作品を世に送り出してくれたZUN氏と久住昌之氏両名、作品を書くきっかけを共に作ってくれた友人、そしてこの作品をお読みただいた皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました。

 2014年10月 John.Doe

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