月村家のたくさんの猫たちのなかの一匹の物語   作:向日葵星人

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第10話

「指示や命令を守るのは、個人のみならず、集団を守るためのルールです」

なのはたちが帰ってきたあと、リンディ艦長によるなのはとユーノのためのお叱りタイムなる時間が設けられました。

「勝手な判断や行動が、あなた達だけでなく、周囲の人たちをも危険に巻き込んだかもしれないこと、それはわかりますね」

などと、リンディ艦長は厳しい表情でなのはたちに諭しています。

なのはは、もともと指示や命令を守ることを、当たり前と考えるように躾けられてきたようでした。

それに、なのはは、良い子であろうとするところがあるように、わたしには見えました。

おそらく、リンディにいわれるまでもなく、そのようなことは分かって、理解できているでしょう。

そういうなのはが、友達になりたいという気持ちで、飛び出していったということに、わたしは感心しました。

なにかと、良い子であろうとするなのはに、上からの圧力をはねのけて進んでいく、あついこころを持っていたことに。

 

このあと、プレシア・テスタロッサについて、エイミーから説明がありました。

次元航行エネルギーを研究していたプレシアは、実験に失敗し中規模次元震を起こしてしまい、それがもとで中央を追われ、そして、行方がわからなくなったと。

エイミーが話したことは、わたしには初耳でした。

わたしが時の庭園で知ったプレシアの過去は、エイミーが調べた部分より後に起きた出来事でした。

次元航行エネルギーを研究していたプレシアが、なぜ、生命工学を手がけられたのか、わたしは大きな疑問を持ちました。

結局、管理局としても、核心の部分には迫れていないようでした。

 

リンディ艦長によれば、プレシア親子は大きな魔法を行使した後であることから、しばらくは動いてこないだろうとのことでした。

よって、我々は一時的に帰宅することになりました。

なのはは、リンディとユーノとともになのはの自宅へ行きました。

わたしは久しぶりに主すずかのお顔を見ておこうと思い、吾が家へと帰りました。

家へ着くと、久しぶりの吾が家に安心したためか、眠くなってしまい、日陰の、風通しの良い窓際でしばらく昼寝をしました。

途中、家のメイドがわたしのそばで騒いでいて、そのときは起きてしまいましたが、それ以外は眠っていました。

学校から帰ってきた主すずかの足音に気がついたときには、すでに日は傾いていました。

主すずかが帰ってきたことに気がつき、わたしは起き上がりました。

そして、主すずかのほうへ近づき、足元にすりよってみました。

するとわたしは抱き上げられ、どこに行ってたの、心配したんだよ、と言われ、はっとしました。

月村家にはたくさんの猫がいて、わたしも全ての猫を把握しているわけではなく、そのなかの一匹がいなくなったとしても、だれそれがいないと気がつくことはないでしょう。

しかし、主すずかは、わたしがいないことに気がついていたのです。

『ごめんなさい』

わたしは、主すずかに念話であやまりました。

もちろん、主すずかは気がついていませんでしたが、わたしにやわらかい、やさしい笑顔を向けてくれました。

 

翌日、昼過ぎになってようやく目が覚めました。

ここのところ、柄にも無く、なにかと気を張っていたのでやはり疲れがたまっていたようでした。

目が覚めた後は、家のメイドたちに愛想をうったり、書棚から本を引っ張り出して読んだりしていました。

久しぶりの、いつも通りの生活でした。

ここのところ、いつでもなのはやユーノとともにいましたから、だれかと会話することが当たり前になっていました。

しかし、月村家では、当然そうはゆきません。

当たり前のことなのに、なにか物足りなく感じてしまうのでした。

そうこうしながら、まったりとしていると、ユーノからアルフ発見の報が届きました。

どうやら、アリサの手で、バニングス家に犬として保護されていたようでした。

それを聞いて、アリサという人間は、アルフの姿を見て、犬として保護するとはなんとも懐が深いと、わたしは変に感心してしまったのでした。

 

夜、わたしは主すずかと寝る前のひと時を過ごしていました。

わたしは、主すずかのひざの上で、おとなしくなでられていました。

主すずかは、今日の学校での出来事を、やさしい声で話してくれました。

「なのはちゃんと、アリサちゃんはちゃんと仲直りできたよ」

それを聞いて、わたしは、なんだか安心していました。

 

アルフの証言により、状況は急速に展開、翌朝、なのはとジュエルシードをおとりにして、フェイトを誘き出すといった作戦がとられました。

2人は戦うのでしょう。

なのはは、たぶん最初で最後の全力前回の勝負になる、そういっていました。

なのはには、2人が友達として歩んでいく未来が見えているのでしょう。

フェイトは、母親にジュエルシードを届けるための、なのはは、フェイトと友達になるための、大勝負。

 

早朝、家のメイドたちは起きている時間でしたが、主すずかはいつもなら寝ている時間でした。

わたしは、庭の片隅で変身魔法を行使し、人間型になりました。

そして、門を出、鳴海臨海公園へと向かいました。

なのはと、フェイトの決戦を見とどけるために。

 

このとき、ある部屋のカーテンの間から視線がありました。

 

鳴海臨海公園沖での、なのはとフェイトの戦闘は熾烈を極めました。

なのはは、フェイトとの一対一を望みました。

管理局も、現場にいた我々もそれを受け入れました。

友達になりたい、これは犯罪を取り締まることに比べたら、そもそも次元が違って比べることすらできないはずであるのですが、なのはのあついこころに心を動かされたようでした。

 

戦局はめまぐるしく移り変わり、フェイトとなのはの交戦も終盤に差し掛かりました。

おそらく、フェイトもなのはも、残り魔力はほとんど無いはずです。

ディバインバスターの直撃をラウンドシールドでなんとか防いだフェイトは、スターライトブレイカーによって完全に撃ち落されました。

ひとことコメントをするべきことがあるとすれば、なのはがスターライトブレイカーを撃ったとき、だれもがフェイトの生死を心配したことです。

このあと、海へ落ちていったフェイトをなのはが抱きかかえ、中空へと戻ってきました。

どうやら、当人たちの間でも決着がついたようで、バルディッシュから、ジュエルシードが排出されました。

そのとき、わたしは背筋に薄ら寒いものを感じ、同時に、非常に強力な魔力の流れを感じました。

空が不気味に黒く渦巻き、そして、紫色の雷撃がフェイトへと落とされました。

バルディッシュから排出されたジュエルシードは、ふわふわと輪を描くように飛びながら、空の渦へと吸い込まれていきました。

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