家へ戻ると、もう空は夕暮れに染まり、日は庭の木々の向こうへと落ちていました。
プレシアの居城には、かなり長い時間いたような気がしていましたが、半日くらいの時間だったようです。
この時間は、いつもなら、ユーノとなのはと共に、ジュエルシードの捜索を行っていました。
今日は、わたしがいなかったから、二人で探していることでしょう。
いろいろな気持ちが、ぐるぐると頭の中をうごめいているようで、このまま部屋へ戻る気にもなれなかったので、わたしは2人を探しにいくことにしました。
2人の位置には大方の目星がついていました。
おそらく、鳴海臨海公園のあたり。
それは、その方向に、もう少しで発動しそうなジュエルシードの波動を、感じたからです。
猫の足では、少々時間がかかるので、庭の木々の陰で変身魔法を使い、人間に変身してから向かいました。
わたしが鳴海臨海公園へ到着したころ、すでにジュエルシードは発動したあとであったようで、なのはとフェイトが木の化け物に攻撃をしている最中でした。
この、木の化け物、バリアを使えるらしいのです。
なのはと、フェイトの攻撃を難なく防いでいるようでした。
バリアの強度は、わたしの作ったものより高いようでした。
ユーノから、戦闘中に身を守れたほうが良いだろう、などといわれて、プロテクションや、ラウンドシールドなどのバリアを習ったことがありました。
ですが、わたしはそのようなものには興味が無かったため、ユーノの話は半分くらいしか聞いていなかったのです。
このとき、練習という名目で、なのはの誘導弾をラウンドシールドではじく練習などをしたのですが、はじかれたのは誘導弾ではなく、わたしの体という有様でした。
このあと、防御魔法で魔方陣を出すより、幻術魔法で魔方陣を描いた方が簡単であるし、興味深いなどと文句をいっていたら、ユーノとなのはにあきれられた顔をされました。
なのはが仕事をしているのに、わたしはただ見ているのいうのも、なにか悪い気がしたので、ためしに幻術魔法で、なのはのディバインバスターを打つ真似をしてみました。
もちろん、レイジングハートも再現し、なのはの魔力光の色も厳密に再現しました。
すると、木の化け物はわたしのつくったディバインバスターの幻影に対してもバリアをはりました。
これは、目くらましとしては優秀な手段であるかもしれないとひとり納得していると、なのはの本物のディバインバスターと、フェイトのサンダースマッシャーで木の化け物との決着はついたようでした。
木の化け物は、ジュエルシードに戻り、なのはとフェイトは、空中に浮かぶ、それを間に向かい合いました。
しばらく向かい合って、なのはがなにかをフェイトに話かけた後、戦局は再開しました。
なのはとフェイトはデバイスを振りかぶり、それで互いを殴ろうとしているようでした。
ふたりの距離が1メートルほどに近づいたとき、突然、ふたりの間に光が発せられ、突然、黒い衣装の人間が現れました。
男というか、背丈は、なのはと大して変わらないくらいであり、男の子という表現がしっくりくるような年齢であるように見えました。
この人間は、その右手に持つ自身のデバイスでフェイトのデバイスを、左手でなのはのデバイスをとめました。
「ストップだ、ここでの戦闘行動は危険すぎる」
突然現れた男は言い、続けて、時空管理局、クロノ・ハラオウンであると名乗り、詳しい事情を聞かせろといいました。
わたしは、この人間は突然やってきて何様であるのかと思いました。
わたしは、基本的に、自由気ままに暮らしてきた猫でしたから、こういった高圧的な態度をとられることを、受け入れられないのです。
思わず、クロノと名乗った人間の顔めがけて、幻術魔法で偽ものの魔力弾を撃ってやりました。
魔力弾とはいっても、幻術魔法なわけですから、目くらましくらいの効果しかないのですが、クロノは驚き、自身の目の前にラウンドシールドを張ったのでした。
驚いたのは、クロノばかりではなく、ユーノも同じでした。
「だめ、攻撃しちゃだめ」
ユーノは叫ぶのと同時に、バインドでわたしを縛り上げ、クロノに対して攻撃の意思は無いことを現示しました。
「なにをするんだ」
わたしは言いながら、変身魔法を解き、猫の体に戻ることでユーノのバインドから逃れましたが、ユーノにはすぐにバインドをかけなおされました。
さすがに、これには閉口し、仕方がなく、おとなしくすることにしました。
クロノは、こちらを睨みつつ、その両隣にいるふたりを牽制しながら、地上へと降下しました。
3人が地上へと降り立ったそのとき、今度は本物の魔力弾がクロノを襲いました。
アルフが上空から数発の魔力弾をクロノに目掛けて撃ち、それをクロノがラウンドシールドではじきました。
どうやら、フェイトと撤退するための切欠のつもりだったようでした。
アルフの思惑は当たり、フェイトはその場を離脱しました。
そして、空中に浮かぶジュエルシードへと向かっていきました。
しかし、それはクロノの魔力弾で防がれてしまい、フェイトはアルフに回収され逃げていきました。
それをクロノが追撃しようとしていましたが、今度はなのはがフェイトとクロノとの間に立ちはだかりました。
「だめ、撃たないで」
なのはは叫びました。
ここまでされると、さすがにクロノは撃てないらしく、クロノはデバイスを引きました。