今回から新作SS『ご注文は義兄ですか?』を始めようと思います。
てなわけで、どうぞ
初めまして。僕の名は「
とある木組みと石畳の街にある喫茶店、「ラビットハウス」のマスターの次男坊、「香風 タカツグ」の息子だ。
僕の両親は医者で、二人とも特定の病院には就かず、紛争地帯で苦しむ人々を助けるWHO……だったろうか、確かそんな感じの組織なんかに所属する医者だ。
どちらも優しさと強かさの両方を兼ね備えた人だった——父は母の尻に敷かれてたが。
それはともかく、僕の両親は多くの人に好かれる好人物だった。
仕事から帰ってきた両親が撮ってきた写真の中には、両親が映っているものもある。その中で一緒にいる人は皆笑顔だった。治療のために注射をする時とか、包帯を変える時などの痛みを伴う場面を除けば、皆笑顔だった。
時々父の実家に家族で戻った時、僕と従姉妹の少女である「香風 智乃」とその母親と一緒に、母が話してくれる現場の人達との楽しかった時間や、父と伯父と祖父がやるくだらない喧嘩を見て母達と笑う時が、幼い頃の僕の何よりの幸せだった。
そんなある日、その幸せは崩れ去った。
これは僕が5歳の時。
ある日両親が、紛争地帯のとある山を車で通っていた時、その山は豪雨だったという。その豪雨のせいなのか、土砂崩れが起き、両親は車ごとそれに飲まれ、車ごと山から転落して死亡したという。
幸か不幸か、遺体は見つかったらしく、その時持っていた遺品も無事らしい。
なので僕の机の引き出しには二つの物が入っている。
一つは、亡き両親と幼き頃の僕との三人が映った家族写真の入ったペンダントがある。これは父が肌身離さず持っていたものだ。
そしてもう一つは、母が気に入っていたオーディオプレイヤーだ。中身はクラシックばかりだが、とても安らぐ為、今でも時々使ってる。
閑話休題。
兎も角、両親を失った僕は伯父の家、つまり父の実家である「ラビットハウス」に引き取られた。チノはその時から僕の義妹になった。
両親の死にショックを受けて、日々を空虚に過ごしていた僕を励ましてくれたのは、チノの母、今では僕の義母になったあの
彼女は僕を明るくしようと必死に頑張った。彼女の努力が功を奏したのか、僕は元気を取り戻す事が出来た。
しかし二度目の悲劇が僕を、僕達を襲った。
二度目の悲劇は僕が7歳の時。
僕の義母——つまりチノの母が亡くなったのだ。この時、チノは4歳。
チノはまるで数年前の僕の様に心を閉ざし掛けていた。
しかし僕は彼女がそうならない様にチノを励ました。かつて
結果としてチノが心を閉ざす事は避けられた。しかしこのままではチノを守れないと思った僕は、義父のツテで義父の軍人時代のライバルであり、親友の方に鍛えてもらう事になった。
その親友の方の姓は「天々座」という、変わった苗字の人だった。同じ街に住む方らしい。厳ついボディーガードの人達がたくさんいた。
そしてそこで僕は、大事な妹であるチノを守る為に、努力を惜しまず特訓した。時々、無茶をしすぎてチノや義父に祖父、そして天々座さん家の娘さんで、今や僕の幼馴染であり友人の「天々座 理世」——リゼを酷く心配させたりした。
リゼとは、日々切磋琢磨しあうライバルのような娘でもある。義父曰く「嘗ての俺とアイツを見ているようだ」だとか。
ともかく、そんな風に幼少期を過ごしていた僕ですが、今は高校生、この春休みが終われば二年生です。
リゼは今、地元のお嬢様校に通っていて僕とは別の学校だが、彼女は今、我が家——つまりラビットハウスでバイトをしている為、ほぼ毎日顔を合わせている。
そんな感じの為か、何故かリゼの家のボディーガードさんには、「いつ婿養子に来るんですか?」とからかわれている。因みに僕は彼らとも仲は良い。ああいう事を言う度に「CQC」で黙らせているが。
コホン、話が逸れましたね。
兎も角、春休みが終われば僕とリゼは高校二年生。チノは中学二年生となる。
そんなある日、この家に居候が来る事になった。どうやら僕の一つ下の女の子らしい。チノには知らせてないが。
ともあれ、その子が来れば
まぁそれはその時とか明日あたりに色々考えるとして、今は仕事の準備に専念しよう。その子が来るのは明後日なのだから。
◆◇◆◇
「悪い二人とも!寝坊した!」
店のドアが勢いよく開かれた。そこに立っていたのは、僕にとってもう見慣れた少女だ。
「あぁリゼか。問題ないよ。まだ準備を始めたばかりだし、開店までまだあるし」
「そうですリゼお姉ちゃん。いつも早いんですから偶に寝坊するくらいで怒りませんよ」
既にチノと一緒に開店の準備に取り掛かっていた為、僕とチノが、リゼを出迎える。
「そ、そうか。しかし……」
「はいはい。悪いと思うのなら早く着替えて来てね」
「そうですよ。いつもそこまで忙しく無いとはいえ、仕事ですし」
「わ、分かった!直ぐに行く!」
「転ばないようにね」
会話が終わると、直ぐにリゼはドアを開けて走って行った。更衣室に向かったのだろう。
「全く、忙しないやつじゃのう」
「良いじゃないか爺ちゃん。偶にはドタバタがあったって」
「ヒロお兄ちゃん。お爺ちゃんと喋ってないで手伝ってください」
「あ、うん。ごめん、直ぐ行く」
カウンターの上でゴロゴロしていた祖父と話していると、チノに注意されてしまった。チノに言われたのでは働かざるを得ない。——世間一般では、こういう僕みたいなのを「シスコン」と言うのだろうか。
「すまない、遅れた。ヒロ、やる事はまだあるか?」
「ああリゼ、おかえり。それじゃあ、僕も行くから豆を運ぼう」
「ああ、分かった」
そうこうしている内にリゼが戻ってきた。いつも通り速い。
「リゼよ、さっき来たときもそうだったが、慌てんようにな」
「分かってるよ爺さん。慌て過ぎて失敗したら元も子もないもんな」
リゼが爺ちゃんと一言二言交わしながらこっちへと来る。リゼはあれで完璧超人なんだから早々慌てやしないってのに。
ともあれこんな感じで、僕らの開店前の準備は進んでいく。リゼが寝坊すると言った珍しいアクシデントがあった事を除けば、概ねいつもと変わらない風景だ。他にいつもと違う出来事といえば、精々、僕が寝坊してリゼに軍人風に叩き起こされたりした事ぐらいだろう。
因みにリゼがナチュラルに爺ちゃんと話していたが、実はリゼは家の外の人間の中で、唯一爺ちゃんの事情を知る人物なのだ。開店準備してたら突然ティッピーが喋りだしたので驚いた。リゼもその場にいたので、当然モデルガンをティッピーに突き付けた。もちろん僕とチノの二人掛りで止めたが。
まあそんな感じで、僕らの開店前の準備は進められていく。そろそろ開店時間だ。
「それじゃあ皆。今日も張り切っていこう」
「おう!」
「はい!」
「頑張るのじゃぞ」
そう言っていると、戸が開いた。お客さんが来たのだろう。僕ら全員で扉の方を向いて笑顔で、
「「「いらっしゃいませ!」」」
お客様をお迎えするとしよう。さあ、1日の始まりだ。
皆のキャラ、合ってるか不安だな……
主人公の名は、
ヒロの服装は、大体タカヒロさんが着ているバーテンダーの服装を思い浮かべていただけたら結構です。
ヒロの容姿ですが、大体タカヒロさんを学生時代ぐらいにした感じで、髪だけを綺麗な黒にした感じです。
チノちゃんのキャラが変わってますが、リゼは幼馴染なので、昔から一緒だから親しみのある呼び方になっているだけです。