剣製少女の非日常   作:影使い

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本編
1話


「あれ?ここは?」

 

 

 

目が覚めるとそこは見たことの無い草原だった。そして、私の隣には六人の同年代の少年少女と白い靄が人形を型どって立っていた。

 

 

 

「お前らは我の手違いによって死んだ。よって、我の失敗の隠蔽する為に転生してもらう」

「え、ちょっと待って」

 

 

 

私は説明を求めるも白い靄はピシャリと突っぱねる。

 

 

 

「お前らに質問知る権利などない。お前らは転生してもらう。安心するがよい。サービス位はしてやる。」

 

 

 

そう言って白い靄は私達にそれぞれカードを投げ付けてきた。そして最後カードは私達に当たるやいなや淡い光を放ち胸の辺りに溶け込んでいく。

 

 

 

「じゃあ、もう行け」

 

 

 

そして、私は意識を失った。

 

======

 

 

 

私が気が付くと2、3歳位の幼女になっていた。しかも、以前の平凡極まりない容姿ではなくザ・美少女と言う様な容姿をした3歳程度の幼女に。因みに名前は神崎志穂(かんざきしほ)と言う。

だが、私が記憶を取りも出した後に待っていたのは今世の両親による虐待だった。理由は両親に一切似ていない子供なんて欲しくなかったと言う理由らしい。

そして、暫く虐待が続き周辺住民が虐待に気が付き、行政機関が動き糞両親は逮捕された後、私の親権を剥奪されたらしい。

半年後には完全とまでは言えないが回復した私は孤児院に入れられた。

 

 

 

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私が孤児院に入れられてから8年の歳月が流れた現在、私は割りと元気に過ごしている。時々、年不相応の態度や仕草をしてしまうので大人びた子と孤児院の職員や院長からは認知されているらしい。でも、私は孤児院の皆を家族だと思ってる。まぁ、誰にも話していない隠し事は有るけどね。

 

 

 

そして、今私は孤児院から程近い図書館で夏休みの宿題を全て片付けて、太陽が沈み逢魔時(おうまがとき)と呼ばれる時間帯に中心街から町外れにある孤児院に向けて帰路についていた。

 

 

 

 

逢魔時か……。確か言い伝えでは異形に出会いやすい時間帯だったよね。まぁ、あの神様の事だ。この世界前の世界みたいに何もないなんて有り得ないと思うから用心しなきゃ………

 

 

 

 

そんなことを思っていた矢先に周囲の雰囲気が一変した。

 

 

 

 

「うっ………」

 

 

 

 

そして、何故か目眩と立ち眩み、吐き気が一気に私を襲ったので壁に寄り掛かった。その直後に私の異変に気が付き、様子を見に来てくれた男性の上半身と下半身が泣き別れた。

その際に男性の鮮血を身体中に浴びるが私はそれどころじゃなかった。

私はあまりの光景に思考停止状態になるが、この惨状を引き起こした存在を確認していた。

上半身に蜘蛛の下半身を持つ化け物、俗にいうアラクネだ。

頭の何処かであれはヤバいとなにかが警告しているが恐怖で動けない。

 

 

 

 

『お、今日はラッキーだなぁ。人間の女も捕まるなんてなぁ。餓鬼過ぎるが人間の女に変わりはない』

 

 

 

 

 

それが口を開け、声を発すると妙に耳障りな声が聞こえた。その言葉の意味を理解すると生存本能が恐怖に打ち勝ち体が動く様になった。

 

 

 

 

「っ?!」

 

 

 

 

私は自身に備わっていた力である魔術回路を用いた魔術を使いその場から逃げた。私は転生者で魔術師と言う非常識な存在であるがまだ初歩中の初歩である《強化》しか出来ないヘッポコだ。

その証拠に強化の出力を最大まで上げたとしてもオリンピック選手レベルの身体能力までしか上がらない。

私は前世で良く読んでいた様な物語の主人公みたいな特別な存在では無いのだから。

 

 

 

 

『げへっへっ。逃げろ逃げろ!!こいつを喰ったら次はお前の番だ!!』

 

 

 

 

 

背後から聞こえる異形のそんな声と共に男性の遺体を捕食している音が聞こえるが私は無我夢中で走った。

近くの隠れるには持ってこいの廃工場に逃げ込む。ここは私が孤児院の皆に付き合って良く遊びに来ている場所だ。

工場の構造は良く理解しているので死角になり、絶対に見付からない様な位置に隠れる。

序でにドラム缶の中に残っていた廃油を全てをぶちまける。蜘蛛は嗅覚が良いとインターネットのサイトで見たことがあるからだ。

 

 

 

暫くすると、固く閉ざした筈の廃工場の扉が大きな音を立てながら吹っ飛んでいく。

 

 

 

 

 

『何処だぁぁぁ!!!!見付け出して喰ってやるぅぅぅぅぅ!!!!!』

 

 

 

 

 

そう叫びながら周りの廃材を破壊し始める。

 

 

 

 

 

「見付かるのは時間の問題かな………」

 

 

 

 

廃材が破壊される音と共にあの化け物の耳障りな声が近付いてくる。そんな状況に私は何故か恐怖するよりも怒りを感じた。

 

 

 

 

 

「……ふざけるな……ここで死ぬ?人の人生を神だかなんだか知らない奴に滅茶苦茶にされたあげく、化け物に喰い殺される?そんな理不尽あってたまるか………!」

 

 

 

 

 

私は受け入れない……、こんなくそったれなFate(運命)なんか!!!

 

 

 

 

 

そう思った瞬間、胸の辺りはズキッと言った痛みが走る。そして、私と遥か高みにある存在と繋がった。それと同時に何か膨大な何かが私に入り込み、溶け込んで、私と混ざり合っていく。

それと共にその存在の膨大な情報が流れ込み、私と言う存在がその何かに塗り潰されそうになった。

私はそれに抗うために限界を超えたレベルで魔術回路を駆動させる。

すると今まで使っていた魔術回路の錆が落ちたと言った表現が正しいのだろうか。

まるでこれが私の本来の魔術回路だと言わんばかりに今の限界を超えた状態で魔術回路を運用しても問題がなくなり魔力の生成量が一気に跳ね上がる。

そこからは私が侵食されることもなくなり流れ込んで来る何かを受け止めれば良かったのだ。

それと同時に服装も赤い騎士の装備を女性用に仕立て直した様な格好に変化していた。

そして、全て私の中に流れ込み終わり私と同化したことではその存在が何を理解しんだ。

 

 

 

 

投影(トレース)開始(オン )

 

 

 

 

 

私は私と一体化した存在、練鉄の英雄に許されたたった1つの魔術を行使するために彼の魔力回路を起動する。

すると、脳裏に燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立ち、空には回転する巨大な歯車が存在する荒野に一人の男が立っているそんな光景と共にある言葉が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

――― 体は剣で出来ている( I am the bone of my sword.)

 

 

血潮は鉄で、心は硝子 (Steel is my body, and fire is my blood.)

 

 

幾たびの戦場を越えて不敗 (I have created over a thousand blades.)

 

 

ただの一度も敗走はなく (Unknown to Death.)

 

 

ただの一度も理解されない (Nor known to Life.)

 

 

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う (Have withstood pain to create many weapons.)

 

 

故に、その生涯に意味はなく (Yet, those hands will never hold anything.)

 

 

その体は、きっと剣で出来ていた (So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.)

 

 

 

 

 

それは無限の剣製(アンリミテットブレイドワークス)、正義の味方を目指した少年、衛宮士郎、そして正義の味方を目指し、その成れの果てである世界と契約して守護者となった英霊エミヤが持つ心象風景を具現化する固有結界だ。

 

 

 

 

 

「――――憑依経験、共感終了」

 

 

 

 

 

英霊エミヤから継承された経験、技術が私自身に次はどう動いたら良いのかを的確に導いていく。

以前の私なら出来なかったが、枷が外れ、底上げされた技術により可能となった私は十全に魔術行使人間を超越した動きで強襲する。

英霊エミヤの技術を模倣し首筋を狙い剣を振るう。すると、呆気ないほど簡単に硬そうな皮膚を切り裂き、蜘蛛の下半身の腕を切り落とし、後方宙返りで距離を取る。

しかし、直ぐに身体が英霊エミヤの技術についていけない事により、関節に負荷が掛かり肘や膝、肩から痛みが走る。

それは当然だろう。英霊エミヤと私の体躯では筋力も身長も体重も違うのだ。英霊エミヤの基準で身体を動かせば身体が自壊していく事は当たり前だった。私はそれらを無視して戦闘を続ける。

 

 

 

 

『っ!!き、貴様ぁぁぁ!!!』

 

 

 

 

そう、叫びながら化け物は下半身の蜘蛛の体から明らかに毒だと分かる液体を射出してくる。

私はそれを確実に見切り紙一重で避けながら再び間合いを詰める。

そして、両手の夫婦剣で今度は蜘蛛の下半身を剣筋が交差する形で切り裂く。そして、悲鳴を上げさせる前に体を今できる限界まで強化して蹴り飛ばす。

 

 

 

 

 

投影(トレース)開始(オン)

 

 

 

 

 

その隙に両手に低ランクの聖剣や霊刀と言った破魔の力を持つ刀剣を投影し、化け物に向かって投擲しては投影すること五回ぐらい繰り返す。砂埃が晴れ、化け物の体に様々な種類の刀剣が突き刺ささり、痛みで身動きが出来ていない姿が見える。予想通りあの化け物には破魔の力が有効の様だ。

 

 

 

 

 

「――――投影(トレース)重装(フラクタル)

――――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う。)

 

 

 

私は弓を投影して構える。更に魔剣である偽・螺旋剣(カラドボルグ)を投影、矢に変換して弓につがえる

 

 

 

偽・螺旋剣(カラドボルグ)

 

 

 

 

確実に息の根を止めるために、真名を解放し苦悶の表情を浮かべている上半身の人間の顔を射ぬく。

私が放たった矢は化け物の頭部を的確に捉える。

そして、頭部が吹き飛び痙攣を起こしやがて動きが止まる。そんな光景を目にしたあと私は安堵感からその場に座り込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

「ーーー同調/投影(トレース)終了(オフ)

 

 

 

 

 

周囲に危険が無いことを確認した私はその一言で英霊化を解く。

同時に私の格好も元の私服に戻った。

そして、早々とこの場から退散するために立つと、虚脱感が私を襲った。

 

 

 

 

「あ、ヤバい……。魔力の使い過ぎた………」

 

 

 

 

その場に私は崩れ込み、意識を手離した。

 

 

 

 

======

 

 

志穂が意識を手放してから、暫くして廃工場に一人の着物を着た男が現れた。そして、その男は化け物の亡骸とその傍らで気を失っている志穂を、そして志穂の投影した干将・莫耶を見付けると驚きと好奇心が入り混じった表情をした。

 

 

 

 

「仕事をサボる次いでに異常な魔力反応を示したポイントに来てみたら、Sランクのはぐれ悪魔の亡骸と傍らに倒れている嬢ちゃんが居るだけか。状況的にはこの嬢ちゃんが殺ったとしか考えれんが嬢ちゃんからは神器(セイクリット・ギア)の反応はない……。が、問題は魔力を使った痕跡とコイツか……」

 

 

 

 

男は拾い上げた夫婦剣を見ながら暫くの間、考え込む。そして、考えが纏まったのか神妙な顔付きで志穂に近づき、志穂を抱えあげる。そして、男の背から6対12枚の漆黒の羽根が現れる。

 

 

 

 

「さてさて………、シェムハザにどう説明すればいいのやら………」

 

 

 

そして男の下に魔方陣が現れ、次の瞬間には志穂ごと消えていた。

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