剣製少女の非日常   作:影使い

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大体3話と4話話になります。


3.5話

神の子を見張る者(グリゴリ)に所属して暫くが過ぎた。ふとある時自分の手札がエミヤの由来しかないと気が付いた。

剣製だけでこの世界を切り抜けれる程甘くないこの世界。どうにか増やそうと試行錯誤しているのだが……

 

 

 

 

「やっぱり駄目か……」

 

 

 

目の前で儚げに消えていく魔法陣。

私の魔力で構成され、初歩的な魔法が記された物だったのだが効果を発揮する前に魔力が霧散してしまう。

エミヤと同様に固有結界に特化したこの身ははっきり言うとそれ以外の魔術の才能は壊滅的だったのだ。

ならばと、この世界の魔法をどうにか扱えないかと試行錯誤しているのだが結果はすこぶる良くない。

初歩的な魔術や魔法は何とか行使できるがそれ以上はまともに扱うことが出来ないのだ。

それ以前に私がこの世界に本来存在しない魔術回路(マジックサーキット)で精製した魔力がこの世界の魔術や魔法に適していない可能性すらあるのだ。

まぁ、現状はデミサーヴァントの能力の範疇で対処不可能な事態に陥った事は無いのでそこまで急いではいないのだが、何時かは対処できなくなる日が来るかもしれない。

だから、少しでも進展を求めているのだがそれは一向に訪れないままだ。

 

 

 

 

 

「……さて、今日は切り上げようかな。まだ試していない魔法も多いんだし焦らない焦らない」

 

 

 

 

これ以上やっても疲れるだけだとそう自分に言い聞かせて訓練用の部屋から出て、入り口付近に広がるラウンジでソファーにドカッと座り込む。

そして、持参した魔法瓶に入っている温かいコーヒーを飲みながら今日の成果をノートに記録する。

 

 

 

 

「あら?シホじゃないですか。こんにちわなのですよ」

 

 

 

 

大体全部書き終えた頃、最近知り合った魔法使いの少女が私に声を掛けてくる。

 

 

 

 

「こんにちわ、ラヴィニア。君もこっちに来ていたの

か」

「はい。提督さんに私の神器の扱いのレッスンを受けに来たのです」

 

 

 

 

顔をあげるととんがり帽子とマントに身を包んだ如何にも魔女っ子、或いは最近流行りの魔法少女と言った風貌の金髪碧眼の美少女が目の前に立っていた。

彼女は神滅具(ロンギヌス)の一つである永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)を制御するために灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)から出向してきた魔術師、ラヴィニア・レーニである。ちなみに3歳程歳上である。

 

 

 

 

「ふーん……それにしてもラヴィニアも大変だね」

「そうですねぇ。

でも、制御出来ないと周りの方々に迷惑が掛かるので絶対に身に付けなければならないのです。

だから、余りそう言う風に考えた事ありませんでしたね」

「そう考えれるのがもう凄いんだけどなぁ。

魔法も神器も同時に学ばないといけないなんてさ、多分私には無理だね。

ズルみたいなことをして、ようやく魔法に手を出せてる私からしたら君は本当の天才さ。

人間、余程の天才じゃないと二つ以上の事を同時には出来ないんだよ。

凡人は目の前にある事を全力で取り掛からないと最善は出せないんだ」

 

 

 

 

これは私が転生する前からの経験則だ。

凡人な私は仕事でも勉強もで複数の事を平行してやろうとすると絶対に中途半端になるのだ。

むしろ、一つの事を集中的にした方が作業効率は良い。

だから、エミヤの技術を継承でき、戦闘関連の鍛練を保留に出来るのはかなり有り難かったりする。

 

 

 

 

「と言う事はシホは今魔法を学んでいるのですか?提督さんから伺った話ではシホは既に正式な教会の戦士に近い実力が有ると聞いているのですが」

 

 

 

 

ラヴィニアはクエスチョンマークを幻視してしまうような表情で私に尋ねてくる。

 

 

 

「まぁね、自惚れたわけじゃないけど確かに私は強くなったよ。

だけどね、それは私の実力じゃない。この身に継承された力がようやく扱えるようになってきただけなんだ。

だから、私は何か1つで良いんだ。彼を超えるものを持って起きたんだよ」

「それで魔法を学んでるんですね」

「自己流だけどね……。でもさ、簡易的な魔法さえ発動出来ないんだ。 こんな感じに」

 

 

 

苦笑いしながらさっき試した魔法陣を展開し起動させる。が、結果は同じで魔法陣を構成した魔力が霧散し不発に終わる。

ぶっちゃけこの世界の魔法を使う彼女からすればお粗末な出来の物だろうが彼女は興味を示す。

 

 

 

 

「うーん……? すみません、シホ。もう一度見せてもらえませんか? 私の考えが正しければ……」

「わ、わかったよ」

 

 

 

彼女に促され、再び魔法を使う。そして、不発に終わった魔法見てゆっくりと頷く。

 

 

 

 

「あー……。えっと……失敗していた理由が解ったのです。シホはただ単純に術式に魔力を込めすぎなのですよ」

「え?」

「シホは1の魔力で発動する術式に対して100の魔力を込めているんです。だから、膨大な魔力に対して術式が耐えられず霧散しているのですね」

「……ごめん、ラヴィニア。私が失敗していたのは魔法に対して過剰な魔力を使っていたからなんだね? 」

「はいなのです」

 

 

 

 

まさかの原因が判明しました。普段の感覚……投影魔術を使う感覚で魔法を使っていたから失敗していたなんて……。と言うか、この世界の魔法低燃費過ぎやしませんか?

古今東西の聖剣、魔剣、霊刀、魔剣、果ては宝具さえ真に迫る贋作を投影するとんでも禁呪クラスの魔術の副産物と極一般的な魔法を比べるなって?

いや、知らんがな。これまで投影と強化、固有結界しか使ってないし。

 

 

 

 

「提督さんからシホは特殊過ぎる魔術師だとは聞いているのですよ。

だから、普通の魔術師とは違う感覚かもしれないと思ったのです」

「まぁ……確かに私は余りにも特殊だし、確かに感覚事態が違うのは当たり前なのかもね」

 

 

 

そもそもこの世界から見たら異世界の技術だからね。逆に魔術回路を使う魔術師が居たらビックリだっての。

 

 

 

「兎に角シホは魔力をセーブして扱うかシホの魔力に耐えれるような術式を組むしかないかもですね。

取り敢えず、提督さんに相談してみてはどうでしょうか?」

「うっ……アザゼルさんに頼るのは気が進まないなぁ。なんか頼ってばかりいる様でね……」

 

 

 

 

アザゼルには返しても返しきれない程の恩がある。

だから、私の中には彼にこれ以上負担をかけたくないと言う気持ちが有る。後は個人的なワガママだ。

 

 

 

「はぁ……。そんな事気にしていたのかよ……つくづく思うが……難儀な性格してるよな、お前は」

「っ!?」

 

 

 

そんな時に背後からアザゼルさんのやれやれと言った声がする。

 

 

 

「あ、あああああアザゼルさん?! 何時からそこに?!」

「ん? あぁ、確か『アザゼルさんに頼るのは気が進まないなぁ』って辺りからか」

「一番聞かれたくない奴じゃん……」

 

 

 

恥ずかしくて顔が熱を持つのが手に取るように分かる。多分、赤面しているのだろう。

 

 

 

 

「で、俺に話があるんだろう? 簡単な事なら直ぐにでも取りかかってやるぜ」

 

 

 

 

そんな私を見て面白がっているのかニヤニヤと笑いながらアザゼルさん。そんな彼を見ていると意固地になっている自分が馬鹿馬鹿しくなってくる。

 

 

 

 

変な拘りは捨てよう。自分が強くなるためならどんな手でも使う覚悟をしよう。

何せ私は非才だ。天才みたいに一人で強くなれるなんて自惚れてはいけないんだ。

 

 

 

 

「……じゃあ、アザゼルさん。魔力の放出を制限する装置ってあるかな?」

 

 

 

単刀直入に自分が必要な物を融通してくれと切り出す。

すると、あっさりと

 

 

「なんだ、そんな物で良いなら直ぐにでも渡せるぜ」

 

 

 

と、言って空に現れた魔法陣に手を突っ込み何かを探す。そして、取り出したのは燻し銀色のブレスレットだった。

 

 

 

「ほらよ。これを着けてれば段階的に魔力を制限することが出来る。

それに任意で制限を解除することも出来るから本気出すときは外せよ。じゃないとぶっ壊れる」

 

 

 

 

渡されたのは思った以上に性能がぶっ壊れだったが有り難く使わせてもらおう。

 

 

 

「あ、ありがとう……アザゼルさん……」

 

 

 

そして、照れ隠しのために必要以上に頭を下げる。普段ならそんな事はしないのにだ。

 

 

 

「おう、良いってことよ。じゃあ、魔法の勉強頑張れよ」

「シホ、また後でお話ししましょうね」

 

 

 

用事が済んでアザゼルさんはラヴィニアを連れて訓練施設に入っていく。

 

 

 

「さて……頑張るか」

 

 

 

そんな二人を見送ってから、気分を入れ換え私は資料室に向かうのだった。

 

======

 

アザゼルさんにブレスレットを貰い、1年近くが過ぎた。

この頃になると自分の適正がある魔法が分かり、基礎を勉強し終わり現在は目下術式の構築に当たっていた。

色々と調べた結果、自分と最も相性が良い魔法はルーン魔術だった。

何せ、ルーンを刻んだ刀剣を剣製に登録するだけで即座に発動するための下拵えを用意することが出来る。

更に身体能力向上や結界、その他もろもろの有用すぎる魔術だ。

そして、私がルーン魔術と言って連想するのは某科学と魔術が交差する禁書目録の某14歳ニコチン中毒のバーコード神父とエミヤの記憶にあり私の中の格上殺し(ジャイアントキリング)の称号を贈ったバゼット・フラガ・マクレミッツさんだ。

二人の魔術は正直模倣してみたいと思わせる位には有用だ。怪獣大戦争レベル並みのインフレした戦闘以外は対応出来ると確信できるほどに。

だけど、作業は順調に進んでいたのだが遂に技術的な限界にぶち当たる。

 

 

 

「うーん……あれを再現するには正直今の私じゃ難しいのかね……と言うかバーコード神父が作り出した意味を持つ2つのルーンが重要なのかな……?」

 

 

 

バゼットさんの強化のルーン魔術や特定条件が揃うと発動する蘇生の魔術を模したルーン魔法は取り敢えず形になった。

しかし、肝心のバーコード神父の集大成とも言える大術式魔女狩りの王(イノケンティウス)を再現できていないのだ。

と言うのも炎を巨人の姿に維持できないのだ。

発動するとタールを芯に燃えている業火にしかならない。

何がいけないのか、何が足らないかこの3ヶ月間ずっと精査しているのだが全く見付からないし思い付かない。

 

 

 

 

「うがあああああ………。まじで何で人の形にならないのぉ……人間の意味を持ったルーンの【(マンナズ)】組み込んでもできないなん………て………あれ? もしかして【(マンナズ)】が発動してない?」

 

 

 

ふと無意識のうちに呟いたその一言が凄く気になり直ぐ様確認に移る。すると様々なルーンを重ねて作り出した陣の中には【(マンナズ)】のルーン文字はあるが効果を発揮していなかった。

今まで状態維持や魔力を炎に変換する機構を重点的に精査していたのが仇になってしまった。

こんなケアレスミスを見落としていたなんて我ながらバカだなと思う。

だが、問題はここからなのだ。

 

 

 

「………マジかぁ。陣の組み直しかぁ」

 

 

 

現在の陣を組み上げるのに半年の時間がかかった。それを思うと気が重くなるばかりだった。

 

 

 

ちなみに陣を作り直せたのは前回の時よりも時間が掛かり、実に半年と2ヶ月も掛かってしまったのだった。




余りにも特訓パートや魔術関連の失敗談が少なく主人公の背景に説得力が無かったために書いてみたくなり書いてみました。
本編の方は理想的な展開を思い付き次第書いていきたいと思います。
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