剣製少女の非日常   作:影使い

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5話

夕暮れ時、今日最後の授業の終わりを告げるチャイムで私は居眠りから目を覚ます。

昨日、アザゼルの実験に付き合わされ帰宅したのが朝で一睡もせず登校したことが居眠りの原因だ。

 

 

 

 

「んー……良く寝た……けど……授業ほぼ受けてないじゃんか……。あのクソアザゼルめ、JKを不眠不休で働かせるとは……」

 

 

 

 

 

私の神の子を見張る者(グリゴリ)での仕事は至って簡単だ。まずは実戦でのアザゼル総督の趣味である神器の研究の副産物である人為的に作り出した人工神器のテスターだ。

私が作動テストを担当している人工神器は戦闘用の物が主流で、それを使いはぐれ悪魔の始末を出来るし、尚且つはぐれ悪魔に掛かっている賞金も稼ぐことができる旨い仕事だと思う。

 

 

 

 

「それでも……学校生活に支障をきたすのはどうかと思うけどねー……。ま、この程度の勉強、授業聞いてなくても分かるけど」

 

 

 

 

同級生ーが聞いたら殺気すら持たれそうな独り言を呟きながら私は帰路についている。あくまでも学校に通っているのは表側の体裁を保つための物。

高卒の資格や大卒の資格を得るために通っているに過ぎない私としては、未来を掛けて日々死にもの狂いで勉強している同級生とは立場が違う。

裏の世界に生きると決めた時から未来が決まってしまっている私には授業を聞こうが聞かないが関係ないのだ。

それに長年、アザゼルのスパルタな教育を受けた身としてはこの高校レベルの勉強は問題ないと言うのも多少は関係しているが……。

今日もアザゼルから要件が有るらしく早く帰らなければならないので手早く荷物を纏め、誰もいない教室を後にする。

この学校は強制ではないがほとんどの生徒が何かしらの部活をやっている。だから、私みたいに帰宅部みたいに直ぐに帰宅する生徒は逆に珍しい。そして、早朝ならば生徒で溢れかえっている道を通り帰路に着いた。

もう少しでマンションに着くかと言う時にスマホから着信音が鳴り響く。

私はスマホの画面に表示されている相手に舌打ちをしながらも遮音結界を張り通話にでる。

 

 

 

 

「昨日は散々こき使っておいて何の用事かな……アザゼル?」

「いやなに、お前さんにしか頼めない用が出来たんだ」

「あー……はいはい。どうせ表だって神の子を見張る者(グリゴリ)じゃ動けない案件でしょ?」

「まぁ、そうなるな」

 

 

 

 

とまぁ、アザゼルは神の子を見張る者(グリゴリ)では表だって動けないと言うことをあっさり認める。そしてその尻拭いは私と言うわけだ……。

 

 

 

 

「えー……長期になりそうだなぁ。」

「安心しろ。一身上の都合で学校を公欠扱いにしてもらっている。まぁ、あの学校事態が裏に精通しているから出来る処置だな」

「はぁ……、学校公認の粛正ってなによー……。ま、アザゼルがそこまで言うなら余程事態が緊迫しているだね。で、内容は?」

 

 

 

 

どうせ、三大勢力の小競り合いなので敵は天使か教会の狂信者ども……そして私の大っ嫌いな悪魔。悪魔ならどう駆除しようか頭の片隅で考えていたら、予想もしない様な内容が返ってくる。

 

 

 

「お前さんはバラキエルが保護していたアーシア・アルジェントに面識が有るんだったな」

「私は表向きは堕天使贔屓のフリーランスな傭兵だからね。バラキエルさんの指示で彼女を保護しに行ったのも私。その縁で何回か会いに行った事はある。まぁ、身ばれは無いかな。向こうは贋作者って認識だし」

「こっちは最初から贋作者としてのお前さんに依頼するから、お前さんが見ばれする可能性はないから万が一にも大丈夫だろう」

「ん……で、場所は?」

「ん?あぁ、場所は魔王の妹君、リアス・グレモリーの領地である駒王町だ」

「んげぇ……こほん……了解。他には?」

「お前なぁ……そうだな、今回の件は俺達の意思ではない。後程改めて組織として謝罪をすると伝えてくれ。正式な書類も渡してくれ」

「わかった」

 

 

 

アザゼルからは要件を全て伝え終えたらしく通話を切るぞと言われ通話が切れる。

私はマンションに駆け込み、荷物を置き、準備を終えてからアザゼルから支給された行き帰り様の転送魔術の魔法陣を起動させて駒王町に飛ぶ。

 

 

 

=======

 

オッス!!俺は兵藤一誠っていう駒王学園に通うしがない高校生だ。好きなものはおっぱい!!

まぁ、当然そんな俺が女の子にモテることはないと思っていたさ……。普段の行いがあれだしな……。

だが!!だが、そんな俺にも彼女が出来き春が訪れたんだ!!

その子こそ俺の横に肩を並べてくれている天野夕麻ちゃん。スタイル良し、気立て良し、おまけに美少女と言う最高の彼女だ。

そして、頑張って考えたデートのプラン通り最後に夜の公園でキキキ、キス、あわよくばその先も……と淡い期待を持ってこの公園にやってきたんだ。

 

 

 

「ねぇ、イッセー君。今日は私たちの記念すべき初めてのデートって事で一つお願い聞いてくれる?」

「な、なにかな?お、お願いって?」

「うん……死んでくれないかな?」

 

 

 

可愛らしい笑みを浮かべる夕麻ちゃんに俺は思わず見惚れてしまう。次の瞬間、ドスッと肉に何かを突き刺す音と共に鈍い痛みが胸から身体中に広がっていく。

そして、夕麻ちゃんどす黒い何かに包まれ格好が豹変する。何時もなら舐め回すように凝視していただろう露出が高い衣装。そして、優しい笑みは俺を蔑む様な冷たい笑み変わっていた。

 

 

 

「何で……夕麻ちゃん……」

「ごめんなさいね、兵藤一誠くん。あなたは私の計画に影響する可能性があるからね。でも、人生最後に素敵な時間を過ごせたでしょ?まぁ、高々人間風情が堕天使であるこのレーサ様と付き合えただけ有り難く思いながら死になさい」

 

 

 

それだけ言うと夕麻ちゃんは去っていく。

 

 

 

あぁ……痛てぇ。俺は本当に死ぬんだな……。母さん、父さんごめん。ろくに親孝行出来ない俺を許してくれよ。それにしても死ぬ前におっぱい揉みたかったなぁ……。

 

 

 

『はぁ……私も焼きが回ったかなぁ。一般人に被害者を出すなんてなぁ……まぁ、ここで放置するのもあれだし、君は生きなさい』

 

 

 

そんな声を聞いたあと、俺は全身に広がる心地好い感覚に身をゆだね俺は意識を手放した。

 

 

=======

 

堕天使の被害者であるを少年を手持ちの魔力を込めた宝石を全て潰して蘇生させた。その際に少年の秘めた神器の真価に気が付いたのだがどう考えても厄介ごとでしかない。

 

 

「あー……、むしゃくしゃする。ただでさえ、私のミスでこの少年が死んで気分最悪なのに、なんで赤竜帝の籠手(ブーステッド・ギア)の所有者なのかなぁ……」

 

 

 

そんな事をぼやきながら事後処理をしていると突然、目の前に鮮やかな赤い魔法陣が現れる。ふと少年を見てみると悪魔が契約するためにばらまいているチラシが少年の手にあった。

 

 

 

「ちっ……まぁ、こっちからアポ取らなくて良いから結果オーライだな」

 

 

 

私は頭をがしがしと掻きながらその場に留まる。勿論、リアス・グレモリーとの接触のためだ。そして、一際魔法陣が光輝くと若い一人の悪魔が現れる。

 

 

 

 

「貴女が私を呼んだのかしら?」

「いや、この少年だ。私はたまたま通りすがった魔術師に過ぎないからな」

「そんな見え透いた嘘はお見通しよ。贋作者(フェイカー)。悪魔嫌いで有名な貴女が悪魔である私の領地に……。いったい何が目的なの?」

 

 

 

どうやら、私がこの土地に居ることはリアス・グレモリー側に伝わっていたようだ。

それにしても……こいつはバカなのか?

 

 

 

「はぁ……。リアス・グレモリー、君は駆け引きと言うものを理解していないようだね。なんでも尋ねれば答えるなんて奴はそうそう存在しないぞ。まぁ…今回は私も雇われの身でね。君に……ひいては君の兄君に依頼主からの釈明とこの件に対する処置が書かれた手紙がある」

 

 

 

懐から厳重に封印された封筒を取り出しリアス・グレモリーに手渡す。

 

 

 

「え、えぇ……確かに受け取ったわ……。でも、貴女みたいな高名な傭兵がたったこれの為だけに来るなんてあり得ないわよね」

「あぁ、それにも書かれているが……今回の件は私が対処する。まぁ、そちらでも動いても良いが私の邪魔はしてくれるなよ。間違って殺してしまうからな……」

 

 

 

私が殺気を込め、にらみ付けるとリアス・グレモリーは硬直してしまう。この様子じゃ、実戦経験は皆無に近いのだろ。もしくは格下としか戦った事のないお子ちゃまのどちらかだ。

そして、踵を返しこの場から離れる。その際に一つ老婆心を聞かして皮肉とアドバイスを送る事にする。まぁ、8割が皮肉なんだがね。

 

 

 

「はぁ……、とんだ期待外れだな……。魔王の妹君とは言え、所詮は20も生きていないひよっこ悪魔だもんなぁ。あ、そうそう。この少年は君が保護すると良いよ。私が手を出さなくても君が何とかしたはずだろうしね」

 

 

 

 

それだけ言い残すと私は身体強化魔術を行使し、神速の領域にギリギリ入る速度でこの場を後にした。

 

 

 




長い事、お待たせしました。第一巻に突入です。
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