時空のエトランゼ   作:apride

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15話 ジレルの魔女【前編】

《観測室》

 

漆黒の宇宙空間を眺めながら煙草に火をつけ…一服

 

「 ‥ゴホッ‥ゲホッ! …不味い 」

 

「あー! 煙草吸ってる! …て、大丈夫ですか? 」

 

やってきた太田が私の喫煙姿を見て心配そうだ…

 

「大丈夫… ちと咽た コホッ 」

 

無理もない… この身体では喫煙は初体験のはず?

 

先程、平田にお願いして作ってもらったのだが…

 

『ミハル』には悪いが、これから起こる事態を考えると煙草でも吸わないと落ち着かないんだ…

転生前の私は酒も煙草も嗜む男であった。既に世の中は嫌煙が浸透していたが、数少ない喫煙所をみつけては喫煙したものだ。

 

 

「しかし… 参謀長が煙草を吸う姿は……たまらんです! 」

 

太田がなにやら…身悶えてる

 

「太田… 何故、悶える? 」

 

私は思わず… 汚いモノを見るように太田を睨み付けていた。

 

煙草を手に睨む私を見た瞬間

 

「はうっ!? あぁぁっ…! 」

 

うっとりと恍惚の太田…

 

「……(逆効果だ… 絶対にこいつ)」

 

 

 

 

 

 

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( 潮風がここまで… 心地良い )

 

海岸の道路沿いにあるコンビニ

 

買ったばかりのコーラをらっぱ飲みする

 

 

『もうすぐ東京に行っちゃうんだね… 』

 

 

「神奈川な… 」

 

 

『え? 東京だと思ってた… 似たようなもんでしょ? 都会じゃん! 』

 

 

「横浜じゃないんだからさぁ、此処と大差ないよ」

 

『あんた頭良いんだからさ… 東大とか受けると思ってた』

 

「あー無理! うち貧乏だからさ、衣食住さらには給料まで出る防大しかなかったんよ… ね? 」

 

奨学金という手段もあったが、都会での生活費などを考えるとな… 親父のリストラ、両親の離婚と続き… 進学できる金銭面の余裕はなかった。

 

『… 逢えなくなるのは一緒じゃん』

 

「仕上げは江田島なんだから帰ってくるさ! それに配属がここになるかもだしな! 」

 

目の前に広がる海に碇泊する真っ黒な艦を眺めたまま話している。横から話し掛ける人物が誰かは知っている。

視界の隅には見馴れた高校の制服のブレザーとチェック柄スカートが見える。彼女は地元で就職が決まっている… 別れが近い

 

『そっか… ハルもあれに乗るの? 』

 

 

「あれは絶対に乗りたくない! 沈んだままになったら嫌だしな! 息が出来ないなんて恐いよ… 」

 

曾祖父さんは大東亜戦争中に潜水艦乗りだったが、太平洋の何処に沈んだまま帰って来なかったそうだ。船外に空気が無いのだから逃げようもない…

 

 

 

『 宇宙はもっと恐いわよ 』

 

 

 

聞き慣れない声

 

「 え ? 」

 

 

横を見ると

 

 

 

 

そこに居たのは『瓜生ミハル』だった

 

 

 

 

 

 

 

『瓜生准尉、よく見ておけよ… 生で見る地球の姿はこれが最期かもしれないからな。と、まあ… 変な意味でなく、司令部に配属になるとそうそう機会もなくなるからな 』

 

「はい、艦長 …やはり戦況は芳しくないので? 」

 

言い繕う様に… つい聞いてしまった

 

『…そうだな。本年度の練習航海は月までに短縮されたしな。戦況は親父さんから聞いておるだろ? 』

 

「はい… 大まかではありますが」

 

『他言無用だぞ… 同期の者だけでなく、乗員全員にな! 』

 

練習艦[あさぎり]の外には地球が蒼く耀いていた。

 

時に西暦2192年、既に外惑星圏は敵の勢力下と成りつつあった。

 

 

 

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「お父様! 何故、私を司令部に? 艦隊勤務を希望しましたのに… 抑々、私の専攻は… 」

 

 

『お前は戦闘部隊には向いてない… 人事の判断はそれだけだろう』

 

「瓜生家の者は事に於いては先陣を… と、仰っておられました… 嘘でありましたか? 」

 

 

 

『… 時季が悪い。 それに、前線に赴くだけが戦いではあるまい? お前が優秀なのは承知している‥が、【切り札】は後に残して置くものだ。暫くは土方君の下で学ぶが良い… それに、お前の役目は優秀な士官を婿に迎えて家を守ることだ』

 

 

「口が過ぎました… すみませんでした」

 

目尻には薄っすらと涙が滲んでいた…

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

~『なんだこいつは? 記憶が入り雑じってるのか? 』~

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「 …? …誰だ? 」

 

 

ミハルの記憶? 最後の声は?

 

 

 

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──────

 

 

 

「お目覚めですか? 」

 

看護士姿をした【リンケ中尉】がカーテンを開けて窺う。

 

ベッドから上体を起こした【森 雪】は…

 

「これは夢? 」

 

 

その瞬間、ネル(リンケ)は違和感を覚えた。

 

 

 

『『それともそなたの悪戯か?』』

 

 

 

「馬鹿な!? そんな‥ 何故、オマエがここに!? 」

 

その場を逃げるように飛び出した!

 

 

「どうなっているんだ! さっきのアイツといい‥ 」

 

苛立ちを溢しながらリンケ中尉は次の行動に移った。

 

 

 

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《数分後》

 

『 ギャアアァァ!! 』

 

 

機関室にリンケ中尉の断末魔が響いた……

 

 

 

波動エンジンの再起動を告げるモニターの前では【岬 百合亜】が画面を見つめながら呟く…

 

「オヤスミあなた」

 

「オハヨウ私」

 

「あなたは私」

 

「私はミサキ… ユリア」

 

 

「そして… あなたは誰? 」

 

 

 

 

『 私は ウリュウ ミハル 』

 

 

 

 

 

 

 

 

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─────

 

 

 

 

目が覚めると…

 

 

全てが終わっていた……

 

 

 

 

「… (あれはミハルの記憶か? )」

 

 

 

 

 

 

 

 

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