《宇宙戦艦ヤマト 第一艦橋内》
第一艦橋要員が集合している。
「これで第一艦橋要員は揃ったな」
「私は技術長の真田だ。副長も兼務する。以後よろしく!」
副長の真田二佐が皆を前に簡単に自己紹介を行った。
「それから、皆に紹介する。参謀長の瓜生二佐だ」
「参謀長の瓜生です。よろしく」
濃いブルーのユニフォームに参謀飾緒が印象的なそれは、女性用に男性用の上着を合わせた様なスタイルだが、胸に錨をモチーフにした柄は無くストレートの黒帯が縦に一本だ。勿論、胸の盛り上りもない!
尚、組織上は艦隊附き参謀であるため、私はヤマトクルーではない。
「ミハル!?」
新見一尉がやや驚きの表情になる。
「あっ!あのときの!」
古代はばつが悪そうだ。
「なんだ、二人は知り合いか?」
真田は双方を見る。
「防大の同期です」
「病院でぶん殴られました」
「久し振りね、薫」
「君はたしか古代君ね?よろしく」
転生前の記憶は無いので、新見には適当に対応しておくか。
古代には軽く微笑んでやったら、赤くなって目を逸らした。(可愛いものだな フフ)
それより、ユニフォームが素敵でなによりだ!
他の女性クルーみたいなボディラインばっちりなエロチックスーツはごめんだ。
この世界には『セクハラ』という概念は無いのか?
続いて真田副長が落ち着いた声で通達する
「司令部から報告があった」
「冥王星から敵の惑星間弾道弾が発射された!」
「目標は本艦!到達予測は
艦橋内が慌ただしくなる。
(この場で私の出番は無いから、艦内を散策してくるとしよう)
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〔第一格納庫〕
古代と加藤が立ち話をしている
そして、物陰には・・・
(フフッ、いたいた)
「隠れて盗み聞きかしら?」
小声で話し掛けてみた。
「ひゃっ!?あ、いえ」
(慌てふためく姿が可愛い仔猫ちゃんだこと クスッ)
「あなたはたしか・・主計科の」
「はっ!山本三尉であります」
一瞬怪訝な顔だったが、二佐の階級章を見て直立不動で敬礼する山本…… 固まった。
「私は参謀長の瓜生。よろしく」
「あの、よろしいのですか?ミサイルが向かって来ていると聞いてますが?」
「艦が動かないと迎撃できないし、参謀の出番ではないのでね」
「主計科の私もです・・・」
蚊帳の外といった状態が悔しいのかな?
「それで、お目当てはコスモゼロ・・それとも古代君?」
「・・・私はパイロットなんです!」
「パイロット?で、そのあなたが主計科?」
私はとぼけてみせた
「航空隊を希望しましたが、主計科に配属されました・・・」
不満の表情だが、思い詰めている様子だな。
「配属に関しては上層部の決定だからなぁ。しかし、パイロットを主計科にまわすのは余程の理由からだろう。簡単には覆らんな」
「上層部?・・!でしたら、お願いします!私を航空隊へ転属させて下さい!!」
初対面の上官に対してあつかましい嬢だ(笑)
「その権限は艦長である沖田司令にしかない。ただし、相応の理由があれば・・・飛行長か戦術長の推薦をつければ可能かもな?」
「古代戦術長の推薦・・・」
「機会があればアピールするといいだろう。さて、話はここまでだ。持ち場に戻りなさい」
「はっ!失礼します」
その時は『お膳立て』してやるよ・・・
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《第一艦橋》
「敵弾道弾 月軌道へ」
「本艦到達まで あと6分30秒!」
「月軌道上に艦影!」
「きりしま と くらま です!」
(なるほど、やはり話のベースは2199版で間違いないな)
二艦による一斉攻撃で弾道弾の軌道がずれた!
史実では存在しなかった[くらま]の攻撃が加わったことで2分40秒の時間を稼げたのは大きいぞ!
(無傷の巡洋艦一隻分は大きいな!艦長だった谷一佐は残念だったが・・・まさかヤマト艦長に抜擢された直後に戦死とはな)
「主砲発射準備」
「全艦発進準備完了」
「抜錨! ヤマト発進!」
沖田艦長の発令により宇宙戦艦ヤマトは地上を離れ浮かび上がった。
「撃ち方始め!」
巨大な爆炎が辺りを包む!
ヤマトは弾道弾を見事に撃破した!
《イスカンダルへ16万8千光年の旅が始まった》
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ヤマトは大気圏を離脱
眼下には赤茶けた醜い大地の惑星が見える
20世紀に人類初の宇宙飛行士が残した有名な一言
「地球は青かった」
今は見る影もない・・・
クルーの中には初めて宇宙へ出た者も多い、皆それぞれの思いで《赤い星》を見つめていた。
地球圏を離脱したあたりで、火星宙域でのワープテスト実施を通達され。これから中央作戦室にてブリーフィングが行われる。
真田技術長が進行役でワープシステムの概要説明を行ってゆく・・・さっぱりわからん
一通り終えたところで、新見情報長に替わる。
「我々は波動エンジンの莫大なエネルギーを応用した兵器を完成させ・・・これを『波動砲』と呼称します」
ワープテストの実施と波動砲について説明が終わり解散となった。
(ワープした先が木星で、浮遊大陸を波動砲で吹っ飛ばすという話だ。私の出番はあるかな?)
考えごとをしながら歩いて行く先に人影が?
古代戦術長と平田主計長だな?
「瓜生参謀長!?ちょうど良かった!メ号作戦の時に艦橋に居られた貴女から古代に話してやってもらえませんか?」
こちらに気づいた平田主計長に呼び止められてしまった・・・
(私が巡洋艦くらまに移乗したことを知らないんだな)
「ゆきかぜのことかな?」
「はい・・僕の兄はゆきかぜの艦長でした。兄の最後を知りたいんです!」
「大まかなところは、平田主計長の話した通りだ。私はあの時は〔くらま〕の艦橋に居たので、ゆきかぜの姿を見たわけではない」
〔くらま〕と聞いて驚く二人!
(無理もない、艦隊の遥か後方で行動していたことを知るのは沖田艦長と〔くらま〕乗員だけだ)
「火星で〔きりしま〕に収容された時に一緒にいた巡洋艦ですね。奇跡的に無傷だったとか、別行動していた特務艦だったと噂の・・・」
真っ直ぐ見つめてくる古代・・・・
「噂は本当のことだ。乗員には箝口令が出ているが、〔くらま〕は作戦途中で艦隊が全滅した場合に備え後方待機していたのだ。作戦の詳細を知っていたのは艦隊司令の沖田提督と艦隊参謀長と次席参謀の私。それと、旗艦〔きりしま〕の山南艦長の四人だけだ」
「やはり・・・陽動作戦だったんですね」
「そうだ・・・作戦立案は私」
「なっ!あなたが⁉」
「最初の特使が訪れて、1年後に次の特使がやって来ることを告げられた。そして、1年後にはイスカンダルと地球の航路は冥王星軌道に交差していたのだ。そのため、敵の目を惹き付ける大きな『餌』が必要だった。艦隊を囮にしてイスカンダルからの特使を迎い入れることがメ号作戦に於ける最優先事項だった」
「兄は・・・囮とは知らずに戦い、そして死んだ・・」
「知らなかった。だが、気付かなかったと思うか?」
「どういうことですか?」
「彼我の戦力差を誰もが承知の上で赴いたのだ!敵殲滅など夢物語に等しい!『囮になって死ね』と命令など出来るかっ!!・・・」
「そんなっ⁉まるで特攻だ・・・」
「私は交信を聞いていたが、旗艦きりしまが撤退信号を発した時には〔ゆきかぜ〕は生き残っていた。古代艦長は旗艦を無事撤退させるために
「兄は・・・無駄死にではないのですね」
「古代!彼らを『無駄死に』させるかどうかは我々次第だ!」
「は、はいっ!」
古代の目には、それまでにない力が感じられた。
「英雄として散った彼等のためにも、必ずイスカンダルへ行かねばならん。頼んだぞ、古代・平田」
「「 はっ!」」
2人は敬礼する。
答礼した私はその場を後にする。
「(やれやれ、なんとか古代進は物語通りの感じになったな)」
歩きながら考える。
「(次は島か・・徳川の親父さんなら大丈夫か)」