時空のエトランゼ   作:apride

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3話 木星重力圏

《ヤマト艦内 大浴場》

デカイ浴槽にどっかと浸かり、正面のガラス越しに富士山を眺め寛いでいる。ヤマトはイズモ計画の移民船として設計されており、そのために豪華客船並の設備が整えられているのだ。そのひとつが温浴施設で、人工温泉に多彩なホログラムで景色を演出する大窓ガラスに露天風呂やサウナ。温水プールに簡易ビーチまである!いやはや快適なものだ!

 

私が居るのは勿論『女湯』である。最初の頃は気恥ずかしい思いをしたものだが、最近は堂々と『女』をしている(笑)

(しかし、兄がまだ生存しているとは夢にも思うまいな・・・)

「ま、話せる訳がないんだがな~はぁ・・」

 

「なにを隠し事してるのかしら~?」

 

ギクッとして振り向くと新見薫が立っている。

 

「薫か・・素っ裸でどうした?」

「お風呂なんだから裸に決まってるでしょっ!! て、話をそらしてる?」

「古代のことよ。兄貴の最後の様子を知りたいってね」

 

「そう・・・あなたは〔きりしま〕から見てたの?」

 

「いや、後方待機の〔くらま〕に移乗していた。だが、司令との交信は聞いたよ」

戦闘中に艦対艦の指向通信をする余裕が無く、全方向通信だったので傍受できたのだ。

 

「古代守・・・彼は最後になんて?」

 

「『地球を頼みます』だったよ」

 

「彼らしいわね・・・」

 

「死んだと決まった訳ではない。行方不明だ」

 

「宇宙で撃沈されて生きてるわけないでしょ!」

 

「撃沈の確認はとれていない。・・捕虜になってる可能性もある」

 

一瞬、薫の表情に変化があったが・・すぐに伏し目がちになった。

 

「その可能性は限りなくゼロに近いでしょ・・・古代君に同じこと言ったの?」

 

「言えるわけないだろ・・・」

(本当にガミラスの捕虜になってるなんて)

 

「そうね・・・ところで、いつの間に二佐に昇進したのよ?」

えらく不満そうな眼差しを向けてきた。

「帰還した翌日にだよ。戦時特例だそうだ」

 

「あら、それはおめでとうございます・・瓜生・に・さ・ど・のっ!たまんないわ~二階級も上の同期が一緒てのはね!」

 

「あはは・・・」

 

同期は大半が一尉もしくは二尉なので、私の二佐という階級は異例中の異例だ。戦時特例は大概、戦闘機パイロットのエース以上に適用される。

 

 

 

 

 

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「ワープテスト最終フェーズに入ります」

 

「秒読み入ります」

 

島航海長に続き、森船務長がカウント開始

 

 

「10 9 ・・・3 2 1 」

「ワープ!」

 

ヤマトは宇宙空間に開いたワームホールへ飛び込んで往く・・・

 

 

異次元空間を抜けた先には!

 

 

 

「なっ、ここは⁉あれは木星じゃないか!」

島航海長が正面に見える特徴的な紋様の惑星を見て叫んだ。

 

 

木星の強力な重力圏に引きずり込まれるヤマト

 

 

「レーダーに感あり!船ではありません!大きすぎます!」

 

 

スクリーンに写しだされたのは巨大な浮遊大陸だ

 

「島!あの大陸へ滑空の要領で軟着陸させろ!」

素早く艦長が指示する!

 

 

「瓜生参謀、どうかね?」

艦長が視線を向けながら聞いてきた。

 

「軍のデータベースには存在しない大陸です。木星は衛星も全て調査済ですから、恐らくはガミラス絡みと推測いたします」

「敵情を得る機会ですし、調査チーム編成を具申します」

「よかろう、古代!直ちにチームを編成し、周辺調査を行え!」

 

即座に古代戦術長をリーダーとした調査チームが編成された。メンバーは榎本掌帆長・AU-O9・南部二尉そして私だ。

「なんで僕がサンプル集めなんて・・ブツブツ」

「ブツブツと小声で愚痴か?」

「ぃっ!いえっ!なんでもありません!」

ヘルメットのバイザーをコツリとぶつけ、至近距離で睨み付けてやった。慌てる姿が思春期の坊やみたいだ(笑)

面白そうだから、これから時々からかってやろう・・

 

粗方のサンプルを集めたところで帰艦命令がきた。

敵基地発見と動きがあったようだ。

 

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「試射を兼ねての波動砲使用を具申します」

真田技術長は冷静な口調で言う・・

(彼は感情が全く顔に出ないというか、感情あるんか?)

 

「私も真田技術長の意見に賛成します。しかし、木星への直撃は万が一を考えて避けて頂きたい」

(波動砲で木星を破壊されては困るからな)

 

「本艦と浮遊大陸の射線から木星を逸らすとなると、木星重力圏に引き込まれてしまいます!」

島航海長は危険を訴える。

 

「試射のために危険は冒せないが、木星への影響は極力避けねばならん。新見!発射ポイントを算出しろ!」

 

「既に計算済です。航海長へ座標を指示します」

 

表示された座標位置へと艦を進めて行く。

 

「発射ポイントに到達!艦首回頭180°」

「操艦を戦術長へ!」

 

「セーフティロック解除、ターゲットスコープオープン」

マニュアル通りに手順を進める古代。

 

「発射5秒前!・・2 1 発射!」

 

 

 

次の瞬間、眩い閃光が眼前を照らしてホワイトアウト状態になる!

そして見えてきたのは粉々に崩壊して行く浮遊大陸の姿だった!

 

なんと!波動砲から放たれた凄まじい破壊エネルギーは射線上付近にあった木星大気層の表面を抉るようになぎ払っていた!

 

「未知の超兵器なので、もしやとは思っていたが・・・まさかこれ程とはな!(危ないとこだったな)」

知っていたとは言え、現場で実際に目にするとスゲーな!

 

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──────────

 

『 ド ォ ォ ン!』

 

「エンジントラブルです!」

「恐らく、波動砲試射の影響かと」

 

 

(やはり、土星宙域へ向かうことになるんだな)

 

 

シナリオ通りにヤマトは土星の衛星エンケラドゥスへ進路ん向けたのだった。

 

「では、玲ちゃんのお膳立てしますか・・・」

 

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