「間もなく土星宙域に到達します」
「艦長!」
相原通信士が叫んだ!
「どうしたか?」
「救難信号を受信しました!国連宇宙軍のコードですが、微弱で個別コードまでは特定不能!」
「エンケラドゥスからか?」
「はい。発信座標は南極付近です」
「コスモナイトの搬入は予定通り真田副長が指揮を執ってくれ。森船務長はメデックをAU-O9を連れ救難信号の確認を行え」
(ちょっと!かんちょ!古代は?不味いな、艦長はAU-O9に操縦させるつもりだ)
「念のため、護衛を付けては?敵基地は確認されていませんが、皆無とも言えません」
「うむ、では誰か・・」
「古代戦術長が宜しいかと・・機関停止中ですし、能力面でも申し分ないです」
「よかろう、古代!森船務長に同行しろ」
「はっ!では、コスモゼロにて・・」
「まて古代!何を聞いていたのだ?艦長は[同行]しろと云われただろ!貴様がシーガルを操縦し、護衛もするんだよ」
「へ?」
「やれやれ、君は戦闘機で付いて行って、上空で旋回してるつもりか?」
(ゼロを持ってかれちゃ困るしな)
「あ、言われてみれば確かに・・・」
「瓜生参謀の言うとおりだ古代・・・操縦兼護衛だ」
(儂もコスモゼロで行かせるつもりだった・・危ないとこだ)
ほっとくと話の流れがおかしくなるようだ・・・
要所要所では気をつけないとBADENDかもな?
(さて、俺は子猫ちゃんの手伝いをしに行こう)
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『航空隊発進せよ!』
警報と共に発進命令が下る
発艦デッキが騒々しい
「どういうことだ⁉早くしろ!」
「ですから、艦が上昇しないと無理なんです!」
なんともお粗末な話だ・・・
誰も気付いてなかったようだ。
「(お、あれは山本玲!)」
彼女は状況を即座に読取り、上部格納庫へと向かった。
直ぐ様後を追う!
玲はコスモゼロ一番機の格納庫前にいた。
「山本三尉!何をしている⁉」
背後から呼ばれて(ビクッ)となって振り向いた。
「瓜生二佐⁉」
「こっちへこい!」
「・・はい」
半ば諦め顔で近づく玲
「ついてこい。もたもたすんな!」
「はっ・はい!」
「入れ!」
そこは二番機の格納庫
「来たな~玲ちゃん 」
にやけたオヤジが立ってる
「水原さん?お久しぶりです!」
「時間が無い!さっさとそれに着替えろ!」
私が指差したテーブルの上にはヘルメット・スーツ・グローブ・ブーツに装備品一式が並んでいた。
見て察した玲は艦内服のジッパーを下げ・・・胸元を露にして・・手を止めた?
「あのぅ、ここで着替えるんです・・・よね?」
「時間がないと言ってる!チャッチャと脱げ!」
「はいっっ!」
「おじさんはあっち向いてっからな 」
水原班長は気を利かせて背を向けた。
「玲ちゃん。準備が出来たら、そこの二番機に乗りな!ジャジャ馬だから気をつけなよ!なんせ、そいつには明生のフライトデータしか入ってないからな!」
「兄さんの・・」
「山本!私達に出来るのはここまでだ。あとはお前の腕次第だ!実力でその機体をモノにしろ!」
「はいっ!発艦準備完了!」
「あ、あくまでお前一人で二番機を強奪したことにするからな♪」
「はいぃ、いってきまーす!」
コスモゼロはカタパルトから発艦して行った!
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遡ること一時間程前
《格納庫》
コスモゼロ二番機が機首と翼を畳んだ状態で格納されている。ヤマトは艦尾カタパルトが両舷にあり、各々の下部に格納庫が設置されているために古代の乗機の一番機は反対側の格納庫だ。
「ここの責任者は誰か?」
出航以来、一度も稼働していない機体と格納庫にて一人黙々と点検をしている整備員に声を掛けた。
すると、手を止め振り返って私の姿を確認すると・・
「自分が整備班長の水原です。参謀殿が何の御用でありますか?」
40代半ば位だろうか?三尉の階級章が付いた整備服姿は職人気質を感じさせる。
「水原班長に教えていただきたいことがあります」
「なんでしょう?と、その前に階級が下の者に敬語は不用です」
「クスッ 水原さんて昔気質なんですね。・・失礼、私は戦闘配備でない限りは敬語で話しますからね。階級が上の私が決めました!よろしいですね?」
「ふぅ、了解です!瓜生二佐どの!・・それで、私に聞きたいこととは?」
「現在、本艦はコスモナイト搬入のために碇泊中です。この状態で航空隊出撃は可能なのですか?」
水原班長の目つきが変化した。
「ふんっ、コスモファルコンは発艦できない。艦底ハッチからの高度が低すぎるからな」
「やはり・・・スクランブルは二機のコスモゼロのみか」
「さすがは優秀な参謀殿だ・・・しかし、発艦できるゼロは一番機だけだよ。こいつは飛べない・・いや、飛ばせる奴がいねぇ!」
「どういうこと?ファルコンと違いが有りすぎるとか?」
(コスモゼロは量産機じゃないからか?)
「こいつはまだ試作機の段階を終えたばかりだ。初期ロットの二機が配備されてるだけ・・いや、もう一機あったが・・・」
「古代君が潰した機体ですね」
「あぁ、あんときゃ驚いた!初めて飛ばして空戦までやるとはな!普通は飛ばすだけで精一杯なんだがな」
「試作機だから?」
「あの機体は量産を前提として組み上げた零号機ってとこだ。問題はソフトでね・・ゼロは非常に不安定な機体で、AIが常に補正制御してるんだ」
「しかし、AI制御なんてファルコンだって・・・」
「ゼロのAIは未完成なんだよ!」
「どういうこと?未完成品を実戦投入したの!?」
「飛行パターンは基本完成した。が、コンバットフライトは全く空っぽなんだよ。開発に携わっていたパイロットが死んでしまった・・代役を探す時間も人材も不足してたしな。とりあえず機体だけは配備しようとなった時に古代が見事に飛ばしやがった!」
「彼の天性の素質ですかね・・?」
「それだけじゃない、似てるんだよ。テストパイロットだった山本三佐にな・・・」
「パイロットのタイプが似てる?」
「そうだよ。現代のパイロット、特に戦闘機はやるべきことを正確に行う優秀な【オペレーター】であることが求められる。しかし、テストパイロットは【クリエイター】でもなければならないんだ。秀才と天才の違いだな・・・古代の実戦データが集まったら、二番機にもコピーする。そしたら他の凡人パイロットにも飛ばせるさ!・・・古代のコピーだがね」
「そうですか、わかりました。では、不測の事態に備えて整備を頼みます。この機体をね!」
「加藤にでも乗らせるつもりか?」
「山本三尉よ」
「山本?玲ちゃんか!彼女がヤマトに?・・航空隊にはいなかったぞ?」
「主計科にいるわよ♪」
「ふんっ。そいつは驚いた!いいだろう、いつでも飛べるようにしとくぜ!」
「古代君同様に既成事実作戦ってことでね♪タイミングを見計らって、ここへ連れてくるわ。あと、ヘルメットからスーツなど装備一式用意できます?」
「備品庫に案内するよ、こっちだ」
こうして『山本玲パイロット転属計画』は実行に移されたのだった。
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《エンケラドゥス南極付近》
「そろそろ発信座標に近い、艦体が見えてもいい頃なんだが・・・あっ!あれだ!」
シーガルはゆっくりと軟着陸する。
外に出た三人の眼前には白く凍りついた〔いそかぜ型突撃駆逐艦〕の姿があった。
確認の為に艦内を捜索中にガミラス軍から襲撃を受ける古代達!
迫りくる敵戦車!
『 ドッ!ドッ!ドッ!』
上空からの攻撃を受けた戦車は装甲の弱い上部を貫通破壊され沈黙した。
「コスモゼロ!?誰だ?しかし、いい腕してるなぁ」