アスナの妹を作って、SAOに放り込んだ   作:フリーザ様

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アインクラッド
第1話


 

結城家。そこの明日奈という少女は優秀だった。幼稚園の入試試験から十五年間、次から次へと試練が課せられてきた。そして、すべてに勝ち抜いてきた。だから、妹の明日香は生きづらかった。

何をするにも、姉と比べられてきた人生。同じように努力してきたつもりだった。頑張ったつもりだった。それでも、姉とは違い負け続ける人生。

おそらく、被害妄想だと分かっていても、姉からも軽蔑されている気がした。そんな重圧と視線が嫌で、ゲームの世界に逃げようとした。そんなわけで買ったソードアート・オンライン。

その世界は、本当に自分を現実のしがらみから解放してくれた。クリアしなければ帰れない。嬉しさに心が躍った。

と、いう少女の物語。

 

 

 

 

そんなわけで、SAOの中。明日香→アスカはフィールドに出ていた。

 

「よっと……」

 

無気力にコボルトにレイピアを突き刺す。コボルトの胸に剣先が突き刺さり、パキィィンと砕け散った。

すると、後ろから別のコボルトが突きを放って来た。それを首を横に曲げながら躱し、コボルトの脇腹をレイピアで叩き込んだ。だが、一撃で殺せるはずもなく、上から剣が降って来た。それを腰の鞘を振り上げて顎を殴りつけ、怯ませると、正面からレイピアで縦に真っ二つにした。

 

「ッ」

 

だが、まだ他にコボルトはいる。横から殴りかかってきた。アスカは目の前の真っ二つのコボルトが消える前に、掴んで横に叩きつけた。で、怯んだところで突きを三発ブチ込み、倒した。

 

「………まだいるの」

 

それでも他にいる。面倒になったのか、アスカは真っ直ぐ後ろに逃げた。それを束になって追いかけるコボルト。だが、アスカは途中、目の前の木に両足を着いた。

 

「ッヤァッ‼︎」

 

そのまま全コボルトを纏めて突き刺し、そのまま押し込んで後ろの木に串刺しにした。そして、動きを封じて鞘で袋叩きにした。

 

「…………ふうっ」

 

息をついて剣をしまう。

 

「疲れた。帰ろ」

 

そのまま帰ろうとした時、

 

「相変わらず無茶苦茶な狩りしてるな」

 

後ろから声をかけられた。誰かを背負っている。

 

「あっ、キリト。見てたなら手伝ってよ」

 

「いや、あのまま突っ込んだら俺も斬られそうだったから」

 

「斬らねーよ。私は人斬りマシンか。つーか、キリトこそその背負ってる子は何?」

 

「ついさっきまでそこでまさに全自動モンスター狩り機みたいにモンスター倒してたんだよ。多分、疲労で気絶した」

 

「ふーん………んっ?」

 

「どうした?」

 

その背負われてるフードのプレイヤーは見覚えがあった。いや、どっかで見たような気がした。

 

「…………」

 

「おい、どうしたんだよ」

 

「いや、なんか見覚えあるなと」

 

「知り合いか?」

 

「いや、気のせいだと思うよ。私の知り合いゲームやる人少ないし」

 

「あっそ。今日はもう終わりにするんだろ?」

 

「うん」

 

「一緒に帰ろうぜ」

 

「分かった」

 

二人は森を出た。

 

 

 

 

街に到着。倒れたフードのプレイヤーをその辺に寝かせておいて、キリトはアスカに聞いた。

 

「で、アスカはこの後どうするんだ?」

 

「帰る」

 

「そっか。あ、そうだ。お前は来るんだろ?」

 

「何処に?」

 

「第一層フロアボス攻略会議だよ」

 

「………ああ、アレ」

 

思い出したように呟いた。

 

「行くよ。こんな面白そうなこと、参加しないはずがないじゃん」

 

「そっか……分かった。一応言っとくけど、今日の夕方だからな」

 

「うん。分かってる。またな」

 

「ああ」

 

二人はそのまま別れた。

 

 

 

 

四時。会議の時刻になった。アスカは家で少し寝たあと、少し早めに噴水広場に向かった。早めに来たのに、すでに何人か集まっていた。アスカは中央から少し離れた所に座った。余り顔を晒したくないので、帽子を目深に被った。

 

「よっ、アスカ」

 

声をかけられた。振り返ると、キリトと先程のフードの人が立っていた。そのフードの人は「アスカ……?」と、呟いたが、キリトにもアスカにも聞こえていなかったのか、特に反応はしなかった。

 

「キリト。さっきぶり」

 

「どうしたんだ?その帽子」

 

「似合う?」

 

ニヒッと微笑むアスカ。まるで探偵のような帽子だ。

 

「……また新しい顔対策か?」

 

「うんっ。余り顔は知られたくないからな。現実の顔だし」

 

「顔は上手く隠れてるよ」

 

「なら良かった。あ、隣おいでよ」

 

「じゃあ、失礼して……」

 

と、アスカの隣にキリト、フードと座った。

 

「………こんなに、たくさんいるのね」

 

さっきまで無口だったフードの人が突然呟いた。

 

「たくさん?この人数が……?」

 

キリトはおもわず聞き返した。

 

「ええ。だって、初めてのこの層のボスモンスタートに挑戦するんでしょ?全滅する可能性もあるはずなのに……」

 

「……いや、どうかな。全員がそうだとは言わないけど、みんな俺がみんなを助ける!より、遅れるのが不安だからって人もいると思うよ。俺もどっちかっていうとそっちだからさ」

 

「……遅れる?何から?」

 

「最前線から、さ。全滅するのは怖いけど、自分の知らないところでボスが倒されるのも嫌なんだ」

 

「ちなみに、私は面白そうだから」

 

キリトに続いてアスカも言った。フードのプレイヤーはキリトに聞いた。

 

「……それって、学年十位から落ちたくないとか、偏差値七十キープしたいとか、そういうモチベーション?」

 

「………………」

 

キリトが絶句する中、アスカはそんな事を考えていそうな奴に心当たりがあった。だが、自分の姉がゲームなんてするはずないと思い直し、流すことにした。

 

「うん……まあ、たぶん……そうなのかも……」

 

と、曖昧な返事をするキリト。すると、噴水の中央からパンッパンッと手を叩く音がした。

 

「はーい!それじゃ、五分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!みんな、もうちょっと前に……そこ、あと三歩こっち来ようか!」

 

こういう場に慣れたような声。青い髪の片手剣使いの男だった。

 

「今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな!俺はディアベル。職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

その台詞に、どっと攻略組の全員が沸いた。口笛や拍手などがあがり、アスカも手を叩いていた。

 

「さて、こうして最前線で活動してる、言わばトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は、もう言わずもがなだと思うけど……今日、俺たちのパーティが、あの塔の最上階へ続く階段を発見した。つまり、明日か、遅くとも明後日にはついに辿り着くってことだ。第一層のボス部屋に!」

 

その声にざわめく周り。アスカも「へぇーすげぇー」と、感心した。

 

「一ヶ月、ここまで一ヶ月掛かったけど、それでも俺たちは、ボスを倒し、第二層に到達して、このデスゲームそのものをいつかきっとクリアできるんだってことを、はじまりの街で待っているみんなに伝えなきゃならない。そうだろみんな!」

 

その台詞にまた拍手が起こる。

 

「へぇー。ゲーマーにもまともな人いるじゃん」

 

「それは偏見だよアスカ。こういう事態だからこそ、ゲーマーの方が役に立つと俺は思うけど」

 

キリトが隣で言った。

 

「それに、俺もゲーマーみたいなもんだし」

 

「キリトもそうなんだ。私はオンラインゲームはやるの初めてなんだ」

 

「そうなのか?にしてはレベルよく上がってないか?」

 

「そりゃあ、楽しんでるからな。戦うのが楽しくて、ストレス発散になって、リアルでのこと全部忘れられるから」

 

思わず、含みのある言い方をしてしまった。キリトもなんとなく察したのか、それ以上何か言おうとは思わなかった。

 

「ちょお待ってんか。ナイトはん」

 

すると、中央にディアベル以外のプレイヤーが一人出てった。

 

「そん前に、こいつだけは言わしてもらわんと、仲間ごっこはでけへんな」

 

その言い草にもディアベルは顔色一つ変えずに言った。

 

「こいつっていうのは何かな?まぁなんにせよ、意見は大歓迎さ。でも、発言するなら一応名乗ってもらいたいな」

 

「………ふん、わいはキバオウってもんや」

 

名乗ると、広場全員を見渡して言った。

 

「こん中に、五人か十人、ワビぃ入れなあかん奴らがおるはずや」

 

「詫び?誰にだい?」

 

「はっ、決まっとるやろ。今まで死んでった二千人にや。奴らが何もかんも独り占めしたから、一ヶ月で二千人も死んでしもたんや!せやろが!」

 

途端、その場にいた四十人以上のプレイヤーが押し黙った。だが、ディアベルは恐るもなく聞いた。

 

「キバオウさん。君の言う奴らとはつまり……元ベータテスターの人たちのことかな?」

 

それにキバオウは大きく頷いた。

 

「ベータ上がりどもは、こんクソゲームが始まったその日にダッシュではじまりの街から消えよった。右も左もわからん九千人のビギナーを見捨ててな。こん中にもちょっとはおるはずやで、ベータ上がりっちゅうことを隠して、ボス攻略の仲間に入れてもらお考えてる小狡い奴らが。そんな奴らには溜め込んだ金やアイテムをこん作戦のために軒並み吐き出してもらわな、パーティメンバーとしては命は預けられると言っとるんや!」

 

その台詞に、アスカは少なからずイラッとした。そんな事をして何になるのか。ベータテスターは間違いなく自分達よりビギナーよりも戦力になる。その戦力を削ぎ落としてどうするのか。ま、だからと言って反論しようとも思わなかった。すると、また別のところから手が挙がった。

 

「発言、いいか」

 

出てきたのは黒人の巨人だった。ゲームをやるようには見えないほどの肉体の男。そいつは噴水の前に出ると、その巨体に似合わず一礼してから言った。

 

「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元ベータテスターが面倒を見なかったからビギナーが死んだ。その責任をとって謝罪、賠償しろ、ということだな?」

 

「そうや」

 

流暢な日本語でそう言った。

 

「あんたはそう言うが、金やアイテムはともかく情報はあったと思うぞ」

 

言いながらエギルは簡易的な本を取り出した。

 

「このガイドブック、あんただって貰っただろう。ホルンカやメダイの道具屋で無料配布してるんだからな」

 

「む、無料配布だと?」

 

キリトが反射的に呟いた。

 

「わたしも貰った」

 

アスナが呟いた。

 

「道具屋さんに委託してたけど、値段が0コルだったからみんな貰ってたわ。すごく役に立った」

 

「ど……どうなってんだ……」

 

キリトが信じられない……とでも言わんばかりに呟くが、アスカは無視して前のやり取りに目を向けた。

 

「それが何や」

 

「このガイドは俺が新しい村や街に着くと必ず置いてあった。つまり、これを作ったのは元ベータテスター以外ありえないってことだ」

 

エギルが言うと、周りは騒然とした、

 

「いいか、情報はあったんだ。なのに、たくさんのプレイヤーは死んだ。その理由は、彼らがベテランのMMOプレイヤーだったからだと俺は考えている。つまり、このSAOを他のタイトルと同じ物差しで測り、引くべきポイントを見誤った。だが、今はその責任を追及してる場合じゃないだろ。俺たち自身がそうなるか、それがこの会議で左右されると俺は思ってるんだがな」

 

と、言われキバオウは奥歯を噛んでエギルを睨めつけるしか出来なくなっていた。そして、ディアベルも口を開いた。

 

「キバオウさん、あんたの言うことは分かるけど、今はそのことより前を見るべきだろ?元ベータテスターは俺たちにとっては大事な戦力だ。彼らを排除したって、結果攻略が失敗したら意味ないじゃないか」

 

すると、キバオウは仕方なさそうに鼻をふんっと鳴らすと、言った。

 

「………ええわ、こかはあんさんに従うといたる。でもな、ボス戦が終わったら、キッチリ白黒つけさしてもらうで」

 

と、いう和解によって、周りから安堵の息が聞こえた。その様子を見ながらアスカはキリトに言った。

 

「ちなみにさ、私攻略本もらってないんだけど……どんなのなんだ?」

 

と、アスカはキリトに言ったら、無言で一冊渡された。

 

 

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