そんなわけで、聞き込み開始。
「すまない、今の一件を最初から見ていた人は話を聞かせて欲しい」
キリトが大声を上げる。すると、人の群れの中からおずおずと手が挙がった。前に出たのは女の人だった。
「悪いな、怖い思いしたばかりなのに。名前は?」
アスカが聞いた。
「あの……わたし、ヨルコっていいます」
「サソリの人傀儡みたいな名前だね。もしかして、最初の悲鳴もヒルコの?」
「ヨルコです……。そうです、知り合いです。ついさっきまで、一緒にご飯食べたんです……だけど、広場で、逸れちゃって……そしたら、」
「死んでた、と……」
死んでた、にヨルコは顔を青くして口を押さえた。
「ちょっとアスカ、もう少しオブラートに包みなさいよ」
「あっ、ごめん……」
「ごめんなさいね。この愚妹が……」
「愚妹⁉︎言い過ぎでしょそれは!」
「言い過ぎじゃないわ。あなたは空気を読むことも出来ないの?」
「た、たまたま言葉選びをミスッただけだよ!」
「そんなんだから模試で現代文で点を取れないんでしょう」
「うるせぇ!」
「お前の方が五月蝿い」
キリトに怒られ、アスカは黙った。
「それで、ヨルコさん。殺されな人の名前、わかるかな」
「あの人……名前はカインズっていいます。昔、同じギルドにいたことがあって……。今でもたまにパーティ組んだり、食事したりしてたんですけど……それで今日も、この街までご飯食べに来て……でも、あんまり人が多くて、広場で見失っちゃって……周り見てたら、教会の窓から、カインズが落ちてきて……」
その話を黙って見るキリト、アスカ、アスナ。
「……心当たりはありますか?」
「えっ……?」
「だから、カインズさんが誰かに狙われるような理由」
アスカが聞くと、ヨルコは一瞬固まったものの、すぐに首を横に振った。
○
ヨルコを家に送り、三人は歩きながら話した。
「さて、次はどうする?」
キリトが聞いた。それにアスカが答えた。
「手持ちの情報を検証とかでいんじゃないのか?ロープとスピア、一応持って来たんだよね?」
「なるほど……動機がダメなら物証ってわけか。となると、鑑定スキルが要るなぁ。アスカは上げてるか?」
「ないよ」
「アスナもない、よな?」
聞かれて、頷くアスナ。
「うん。友達で武器屋やってる子が持ってるけど、今は一番忙しい時間だし……」
「えーいーよあいつの事なんて気にしないで。キリト、リンダースの街にその子いるから、行こう」
「だめよアスカ。人に迷惑は掛けられないわ」
「平気でしょ別に」
「ダメです。キリトくんには知り合いいない?」
アスナに話を振られて、「うーん……」と、唸るキリト。
「あれは?ほら、エギル」
「ああ、あいつがいたか」
アスカの台詞に思い出したようにキリトは手を打った。
「決まりだね」
「でも、この時間は雑貨屋さんも忙しいんじゃ……」
「「知らん」」
アスナの言いかけた正論はキリトとアスカの声に消されていった。