「よーっす、エギルー」
「うーっす、来たぞー」
「………何しに来たアホコンビ」
アスカとキリトの軽いノリの挨拶にエギルはため息を吐いて答えた。
「まぁそう言うなよ。お前がどうせ暇してると思ったから面倒ごとを持って来てやったんだ」
「そんなことを頼んだ覚えはねぇ」
キリトがエギルの肩に手を置いて言った。反対側の肩にアスカが手を置く。
「頼むよ。ハゲの力が必要なんだよ」
「殺すぞ。大体、今日はまだ仕事の予定が入ってるんだ。お前らの相手をしてる暇は……」
と、言いかけたところで後ろからやって来たアスナが口を挟んだ。
「そうだったんですか?申し訳ありません、忙しい時に。また後日お伺いさせていただきま……」
「今、メッセージが来て全部キャンセルになった。今日は店じまいだな。ゆっくりしていけ三人とも。今、茶と菓子持ってくるからな」
手の平どころか肩あたりまで回転していた。
○
で、机を四人で囲んで話した。キリトが大体のことを説明する。
「と、いうわけなんだ。エギル」
「………圏内でHPが0になったってわけか……。それもデュエルじゃなくて」
その台詞にアスカが頷いた。
「そう。あの状況で誰もウィナー窓を見つけられないとは思えないし、直前までヒルコさんと一緒にいたことから睡眠PKの線もない、と思う」
「そこで、これよ」
アスナがアイテムストレージからロープを出した。それを、エギルが鑑定する。
「ど?なんか分かった?」
「いや、残念ながらNPCショップで売ってる凡用品だな。ランクもそう高くない」
「そっか……まあ、ロープにはあんま期待してなかったさ。次が本命だ」
キリトが言うと今度はショートスピアを実体化させた。今度はそれをエギルが鑑定する。さっきのロープより時間がかかった後、エギルが言った。
「……プレイヤーメイドだ」
その台詞にキリト、アスナ、アスカがバッ!と身を乗り出した。
「誰ですか?作成者は?」
アスナが聞くと、エギルはシステムウィンドウを見ながら言った。
「グリムロック。聞いたことねぇな。少なくとも、一線級の刀匠じゃねぇ。まあ、自分用の武器を鍛えるためだけに鍛治スキル上げてるやつもいないわけじゃないが……」
「でも、探し出せることは出来るはずよ。このクラスの武器を作成できるレベルに上がるまで、まったくのソロプレイを続けてるとは思えない」
「確かにな。こいつらみたいなアホがそうそういるとは思えん」
エギルが深く頷き、アスカとキリトを見た。
「な、なんだよ。俺だってたまにパーティーくらい組むぞ」
「ボス戦の時だけだろ」
キリトが反論するもアスカが自分のことは棚に上げて冷たく答える。
「お前にだけは言われたくない!女でソロなんて普通ありえねぇぞ!モテナイんだろ!」
「違いますー!何度も誘われますー!でも私が組みたくないから組まないんですー!」
「嘘つけ。お前が俺やエギル以外の奴と話してるところなんて見たことないぞ」
「嘘だね!それは嘘だね!私だって女友達の二人や一人いるから!」
「へぇー。男友達は?」
「………お前とエギル」
「やっぱモテないんじゃん」
「うるせーよ!」
なんてやってると、アスカの肩をアスナが叩いた。
「ちょっとアスカ?あなたソロでいるの?」
「そうだけど?」
すると、アスナは顎に手を当てて考えたあと、言った。
「あなた、血盟騎士団に入りなさい」
「はぁ?」
「ソロなんて危険よ。私が面倒見ててあげるから入りなさい。団長にお願いすれば入れると思うわ」
「やだ」
「ダメよ。あなたの身を心配してるのよ?」
「やだ」
と、険悪な雰囲気になって来た姉妹から目をそらすようにキリトはエギルに聞いた。
「あ、あのさ……一応、武器の名前教えてくれないか?」
「お、おう。えーっと……ギルティソーンってなってるな。罪のイバラ、ってとこか」
「……ふーん。罪の、イバラか……」
キリトがそう呟く中、姉妹の口喧嘩はさらに発展していた。