店の中にいたのはキリトだった。
「あっ、アスカ」
「キリト。どったのこんな所で」
「こんな所ってなによ」
アスカの一言にリズはジト目で睨み返しつつも、若干紅潮してるアスカの頬を見逃さなかった。思わず意地悪してやりたくなったが、接客せねばと思い直し、キリトを見た。
「いらっしゃいませ。どの武器をお探しですか?」
「片手剣だよ。どーせ」
アスカが代わりに答えた。
「なんでお前が言うんだよ。………まぁあってるんだけどさ。お願いできるかな?」
最後の部分はリズに向かって言った。
「と、言われましても具体的な数値などを出してもらわないと……」
「それもそうか。じゃあ……」
と、キリトは背中の剣をリズに渡した。瞬間、リズはあまりの重さにヨロケそうになった。
「この剣と同等以上の性能、ってことでどうかな」
「いや、この剣とって……エリュシデータじゃん。さすがに無理だろ。てかエリュシデータがあるのになんに使うんだよ」
「ま、まぁ……ひみつ……」
「ふーん……まぁいいけど」
とても、「まぁいい」ようには見えないアスカの視線からキリトは逃げると、リズに言った。
「それで、どうかな」
「うーん………」
リズは唸りながら壁にかかった剣を渡した。
「これが今うちにある最高の剣よ」
渡されて、キリトは無言で剣を振った。
「………少し、軽いかな」
「使った金属がスピード系の奴だから……」
「うーん。ちょっと試してみてもいいかな?」
「試すって?」
「耐久力をさ」
キリトは言いながら自分の剣の上に最高傑作を乗せた。
「って、キリト!そんな事したら折れるよそれ!」
アスカが止めるも、キリトは平気な顔。
「折れるようじゃダメなんだ。その時はそのときさ」
「あーあ……わたし、新しい武器の素材集めとか手伝わないからね」
「………マジで?」
「マジで」
やっぱやめようかな……と、思いつつもキリトはものっそい速さで剣を振り下ろした。振り下ろしてしまった。結果、剣は折れた。最高傑作の。
「うぎゃあああああ!」
モンスターのような悲鳴をあげてリズはキリトの手から最高傑作のグリップを奪う。だが、修復不可能だ。
「な……な……」
震える唇を無理矢理動かし、リズはキリトの胸倉を掴んだ。
「なにすんのよこのーっ‼︎折れちゃったじゃないのよーっ‼︎」
「ご、ごめん!まさか当てた方が折れると思わなくて……」
その言い草にリズはかちーんときて、アスカはうんうんと頷いた。
「それはつまり、あたしの剣が思ったよりヤワっちかったって意味⁉︎」
「えー、あー、うむ、まあ、そうだ」
「あっ‼︎開き直ったわね‼︎」
アスカはまだうんうんと頷いてる。そのアスカの顔面をリズは肘打ちでぶっ飛ばすと、リズはキリトに言った。
「い、言っておきますけどね!材料さえあればあんたの剣なんかぽきぽき折れちゃうくらいの剣をいくらでも鍛えられるんですからね!」
「……ほほう。そりゃあぜひお願いしたいね。これがぽきぽき折れる奴をね」
「そこまで言ったからには全部付き合ってもらうわよ!金属取りに行くところからね!」
「……いや、リズ。やめといたほうがいいって」
アスカが口を挟んだ。
「そいつと一緒だとリズは足手まといになるから」
「ねぇ、あんたら二人は一々私をバカにしないと話を進められないわけ?」
「いや、冗談抜きで……」
「いいのよアスカ。あんたがそういう態度なら、さっき言ってた剣、作ってあげないんだから」
「そういうんじゃないんだってば……」
だが、アスカの言うことなどリズは聞かない。
「ま、とりあえず素材を手に入れるまではよろしく頼むよ」
キリトは言いながらパーティ申請をした。それを受けるリズ。
「あの、なんで私も?」
アスカが聞いた。
「え?来ないの?」
「やだよ。私は私でやることあるし」
「ふぅーん……まぁいいけど。装備作らないからね」
「さて、行こうか」
リズに言われて一発で手のひらを返すアスカだった。