そんなわけで55層。
「びえっくし!」
リズが豪快にくしゃみした。
「寒いの?」
「………雪山なんて知らなかったのよ……」
なんて話してると、先頭を歩いてたキリトが振り返った。
「余分の服とかないのか」
「ない」
すると、キリトは大きな黒革のマントをオブジェクト化させて、リズに投げた。
「ほら」
「……あんたは大丈夫なの?」
「精神力の問題だ、きみ」
「いちいちムカつく言い方するんだから……」
その様子をアスカは見て、自分も加藤茶バリにワザとらしいくしゃみをぶちかました。
「アスカも寒いのか?」
「うん。だからコートを……」
「お前は55層は氷山地帯だって知ってただろ。持ってこなかったお前の自業自得だ」
「……………」
イラッとしたアスカは後ろからキリトの尻を蹴った。
「いてっ!何すんだよ!」
「るせーバーカ」
プイッと不機嫌そうにそっぽを向くアスカ。「なんなんだよ……」と、ブツブツ呟きながらもキリトは先を進んだ。そのアスカにリズが気まずげに聞いた。
「あの……使う?」
「………いい。自分の使う」
「自分のあるんだ……」
リズは呆れた。で、なんだかんだ話しながら山頂に到着。山頂は一面に巨大なクリスタルがキラキラと輝いていた。
「わあ……!」
リズが声を漏らした。そして、走り出そうとしたリズの襟首をキリトが掴んだ。
「ふぐ!何すんのよ!」
「転移結晶の準備しとけよ」
真面目な顔で言うキリト。
「それから、ここからは危険だから俺とアスカだけでやる。リズはドラゴンが出たらそのへんの水晶の陰に隠れてるんだ」
「……なによ、あたしだってそこそこレベル高いんだから、手伝うわよ」
「リズ」
アスカが口を挟んだ。真面目な顔で首を横に振ると、リズは小声で「わかったわよ……」と、引き下がった。すると、ドラゴンの鳴き声がした。
「! その陰に入れ!」
キリトに言われてリズは従った。そして、アスカとキリトがドラゴンを探す。そして、ドラゴンが真ん前のでっかい水晶の上に降り立った。
「行くぞアスカ」
「うん!」
ドラゴンが走る二人にブレスを吐いた。それをキリトは正面から斬ってガードした。そして、そのキリトの肩を後ろから踏み台にして大きくジャンプした。
そして、空中から閃光玉を投げ付けた。カッ!と輝き、怯むドラゴン。その隙に正面からキリト、背後からアスカがボコボコにする。
その様子を見て、リズは思わずスゴイと、思った。完璧に二人の攻撃は息が合ってる。正面から戦うキリトと、それをサポートするようにいろんな道具を使うアスカ。
もう勝ったなこれは……と、リズは思い、一歩踏み出す。その瞬間、キリトが声を上げた。
「馬鹿‼︎まだ出てくるな‼︎」
「何よ、もう終わるじゃない。さっさとカタを……」
と、言いかけたところでドラゴンの目が光った。そして、リズに向かって突風攻撃をした。
「きゃあっ!」
飛ばされるリズ。幸い、さほどダメージはなかったが、大きく吹き飛ばされた。
「リズ!」
キリトが戦闘を中断し、リズに向かって手を伸ばす。なんとかキャッチしたものの、二人の着地地点は穴の上だった。
「うそ……」
リズが声を漏らした時だ。その二人の手をアスカが握った。
「!」
「アスカ……!」
そして、ワイヤーを水晶に巻き付けて、上手い具合に地上へ着地しようとした。だが、そのアスカにブレスを放つドラゴン。
「アスカ!」
無理矢理、キリトはリズの手を握ったまま、アスカの肩の上に立ち、ブレスを弾いた。だが、完全に弾けるはずもなく、なんとかリズだけでも地上に残そうと投げ飛ばした。
「きゃっ……!キリ……!」
「キリトー‼︎」
リズが地上に着地して、声を出す前にアスカがワイヤーから手を離した。そして、落下しながらキリトの手を掴んだ。
「馬鹿!なんで付いてきた!」
「ほっとけるわけないじゃん!」
「今すぐ戻れ!」
「もう無理だよ!」
口喧嘩しながら落ちてった。