翌日。待ち合わせ場所の転移門前。ただし、待ち合わせ時間から一時間前。すでにアスカは待っていた。楽しみ過ぎて待っていた。
(ち、ちょっと、早く来すぎちゃったかな……)
ちょっと、どころではない。待ってる間、髪の毛のチェックを63回、服装の乱れのチェックを98回、笑顔の練習を124回、念のため鼻毛鼻くそのチェックを18回、その他諸々を含めて合計321回鏡を見ながら待ってると、1時間経った。
「悪い!待たせたか⁉︎」
キリトがやって来た。
「ううん。待ってないよ」
1時間待ちました。
「じゃ、とりあえず俺が昨日までマッピングしたところあるから、そこからやろうか」
「うん」
これから至福の時間が始まる……そう思うとニタニタが止まらないアスカだった。が、次の瞬間、キリトの真上にアスナが降りてきた。
「きゃああああ!よ、避けてーーっ!」
「へ?うわあああ!」
どっしーん☆と二人は転んだ。
「キリト!お姉ちゃん⁉︎」
慌てて二人に駆け寄るアスカ。その瞬間、半眼になった。キリトがアスナの胸をしっかりと鷲掴みしてるからだ。
「な、なんだこれ……」
そのまま、三回揉んだ。
「や、やぁーーーっ!」
「こんのぉ、スケベ!」
アスナのパンチと、アスカの蹴りがキリトの両頬を挟んだ。
「モゴグッ!」
頭がねじ切れそうになったが、なんとか堪えた。
「な、なんでアスカまで殴るんだよ!」
「うるせーよドスケベ野郎」
「な、なんか、辛辣……⁉︎」
すると、後から血盟騎士団の男が現れた。
「あ、アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
そいつは血盟騎士団のクラディールだ。
「さあ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう」
「嫌よ、今日は活動日じゃないわよ!……だいたい、あんたなんで朝から家の前に張り込んでるのよ⁉︎」
「ふふ、どうせこんなこともあろうと思いまして、私1ヶ月前からずっとセルムブルグで早朝より監視の任務についておりました」
「そ……それ、団長の指示じゃないわよね……?」
「私の任務はアスナ様の護衛です!それには当然ご自宅の監視も……」
「ふ、含まれないわよバカ‼︎」
「聞き分けのないことを仰らないでください……さあ、本部に戻りますよ」
聞き分けのないのはお前だ、という言葉を誰もが言いたくなった。それを飲み込む三人。すると、代わりにアスカが言った。
「それ、ストーカーじゃね?」
その瞬間、アスカをギンッ!と睨むクラディール。
「なんだと……?」
「いや、だってそうじゃん。誰がどう聞いてもストーカーだよそれ」
「………違う。私はただ可愛い子をチョッとだけ監視してただけだ!」
「や、だからそれがストーカーだって」
「貴様ぁ……私とデュエルしろ!私が勝てば私はストーカーではない!」
「私が勝ったら金輪際、アから始めるプレイヤーに近付かないで」
なんかスゲェ唐突にデュエルが始まった。3、2、1……と開始。した瞬間、クラディールは斬りかかった。アスカは片手剣を出した。クラディールの一撃を正面からガードすると、腹を蹴り飛ばして体勢を崩させ、そのまま剣をへし折った。
「っ……!」
一瞬で決着がついた。ふぅ……と、ため息をつき、アスカは剣をしまった。
「まだやるっていうならやってもいいし、これ以上恥かきたくないなら二度と私達に近付かないで」
「くっ……この!」
もう一度、剣を出して襲い掛かってきた。が、それをアスナが弾いた。
「クラディール、血盟騎士団として命じます。本日をもって護衛役を解任。別名があるまで待機。以上」
「なんっ……だと、このっ……」
クラディールは悔しそうに唸りながら帰った。
「………ごめんね、アスカ。嫌なことに巻き込んでしまって」
「別にいいよ。ストーカーとか私、この世の何より嫌いだし」
「そっか……。それより、二人は揃って何するの?」
「や、それは……」
アスカが言い淀む中、キリトがサラッと口を開いた。
「これからアスカと二人で狩りに行くんだ」
ピクッと反応するアスナ。
「二人で?」
「え?おう」
「私も行くわ」
「お、おう」
アスカは涙目で肩を落とした。