「っ⁉︎」
自分の腹にナイフが突き刺さり、アスカは倒れた。身体が動かない。
(これは……麻痺、毒……?)
自分のHPゲージの隣に、アイコンが付いた。
(ラフコフ?……いや、奴らは壊滅させたはず……)
なんとか犯人の正体を見ようとしたが、身体が動かさない。目玉だけを動かすと、いた。犯人と思われる人物で、動機もある奴が。
「よォ、クソガキィ」
「クラ、ディール……」
ギリッと奥歯を噛んだ。その表情を見ると、クラディールは「クヒヒッ」と愉快そうに笑い、アスカの横に降りてきた。
「ヒャハハハハッ!良いザマだなオイ!クソガキよォ!」
「なん、の……つもりだよ……」
「あ?人をストーカー呼ばわりしといて何言ってンですかァ?お前のおかげで俺はなァ、kobの白い悪魔って呼ばれてンだぞコラ」
「……カッコ良くない?」
「由来を考えたら不名誉極まりねェだろうが!」
そう言うと、クラディールはデッカい大剣を取り出した。
「まァ、そンなわけであれだ。俺がスカッと出来るよう、スカッと死んでくれや」
言いながらクラディールは大剣を担ぎ、アスカの前に仁王立ちして、剣を向けた。まだ麻痺毒は消えていない。
「………断る」
「ダメだ。お前に拒否権はねェ」
言うとクラディールはアスカの背中に剣を突き刺した。
「……っぁあっ!」
「ホォ〜う、いい声で鳴くじゃねェか」
「ッ……! や、やめろよ……!こんな事したって、あんたがストーカーっていう事実は消えない……!」
「……………」
クラディールは無言になった。そして、真顔でアスカの顔面を蹴った。
「ッあぁッ……!」
「テメェ、もしかして状況わかってねーのか?お前、これから死ぬンだぜ?」
「死ぬのなんて怖くない……。リアルにいた時はむしろ死にたいとか思ってたから……!」
「………チッ、ダメだァ。俺が見てェのはそンな顔じゃねェンだ。もっと楽しむしかねェみてェだな」
そう言うと、クラディールはアスカの手を掴んで持ち上げた。そして、くいっとアスカのシステム窓を開く。
「なァ、知ってっかクソガキ。このゲームにはな?《倫理コード解除設定》ってのがあンだよ」
「倫理コード……?」
「ああ、そいつを解除すればな?」
言いながらクラディールはアスカの倫理コードを解除した。そして、アスカの体を髪の毛を引っ掴んで無理矢理起こした。
「っ⁉︎」
「この通り、ハラスメント防止コードは出なくなるんだ。それどころか、色々とヤッちまえるわけだが……」
「っ⁉︎」
「そこまでヤッてたら麻痺毒が切れちまうし、誰かに見られるかもしれねェ。だから……よっと」
クラディールは大剣でアスカを木に串刺しにすると、再びアスカのシステム窓を開かせた。そして、装備の所を開く。その瞬間、こいつが何をするつもりかアスカは一発で分かった。
「っ⁉︎ や、やめろよ!私に触れるな!」
「どうせ死ぬンだから慌てンなや」
言いながらアスカの装備を上から解除していく。
「や、やらァ……やめっ……」
「ほう、ようやくいい面になって来たじゃねェか」
「やめて!離して!」
「うるせェ」
クラディールは更にアスカに短剣を刺し込む。アスカは既に上半身は下着一枚で、下半身もあとはズボンとパンツのみだ。
「……へェ、男っぽい口調の割に結構あるじゃねェか」
「やめて!見ないで!てか、見るなぁ!」
クラディールはズボンも解除した。
「さて、もう少し楽しむか」
言うと、クラディールはアスカの胸に手を伸ばした。涙目で抵抗しようとするも、アスカの身体は未だ麻痺毒が回っていて動かない。
(もう、ダメ……!)
キュッと目を瞑った時だ。クラディールの手を誰かが掴んだ。
「ア?」
見ると、真横にキリトが鬼の形相でクラディールの手首を掴んでいた。メキメキメキッと手首を握り締める。
「て、テメェは……!」
言いかけたクラディールは両目と口の中にドスドスドスッ!と、短いピックが捻じ込まれ、最後に顔面を思いっきりブン殴られた。
キリトはアスカに刺さってる大剣と短剣を引き抜き、自分のコートを脱いでアスカに被せた。
「きり、と……?」
「悪いなアスカ。遅れた」
キリトはそう言うと、真っ直ぐクラディールを睨めつける。
「チッ、増援か……まぁ、一人くらいならいいかァ……まとめて消せばいいだけだからなァ!」
言いながらクラディールがキリトに斬りかかるが、横から拳が飛んできた。エギルの拳だ。
「おごっ……⁉︎な、なんだテメッ……!」
と、言いかけたさらに後ろからクラインの蹴りが入る。気が付けば、辺りは囲まれていた。その中央にシリカが立っている。そのシリカは冷静な口調で言った。
「アスカ親衛隊隊長」
「はいっ!」
「アスカファンクラブ会長」
「はいっ!」
「アスカ防衛隊総隊長」
「はいっ!」
「アスカ護衛部隊全隊長」
「はいっ!」
「アスカ聖教教範」
「はいっ!」
「アスカ研究会研究室長兼教授」
「はいっ!」
「アスカエンジェル艦長」
「はいっ!」
「アスカ合衆国大統領」
「はいっ!」
「アスカ海賊団船長」
「はいっ!」
「シン・アスカ」
「はいっ!」
「その他アスカ組織全リーダー」
「「「はいっ!」」」
「こいつの処遇を決める会議を始める。死刑か処刑、どちらがいいか挙手で答えよ」
「「「はいっ!」」」
どちらにせよ死刑だった。ちなみに人数はザッと数えて150人は超えている。
「なら、処刑執行人は我れら主神の姉に任せよう」
シリカに言われて出て来たのは、アスナだ。ザッザッザッと足音を立てて、鬼気を纏って歩いて来る。
「…………」
「て、テメェら!退きやがれ!」
命の危機を感じたクラディールは逃げようとするが、それを全教徒が許さない。そして、アスナはレイピアをクラディールに向けた。
「ひ、ヒィ!」
「死ネ」
一閃、そして一撃でクラディールは散った。すると、キリトがアスカを見て言った。
「終わったよアス……」
言いかけたところでガバッ!とアスカがキリトに抱きついた。
「あ、アスカさん⁉︎」
「キリト……キリト……きりとぉ……」
涙目どころか思いっきり号泣してるアスカが何度も名前を呼ぶ。
「あ、あの……アスカ、さん……その格好で抱き着かれると……」
だが、アスカは離さない。キューっと抱き締めた。さすがのアスナも邪魔する気にはならなかった。が、邪魔する気になれなかったのはアスナだけだ。周りの団員はそうはいかない。
「奴を殺せ」
シリカの命令で全員が襲い掛かったので、キリトは転移結晶で逃げた。