アスナの妹を作って、SAOに放り込んだ   作:フリーザ様

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第31話

 

 

ワイヤーブレードがヒースクリフに直撃した。その剣先がヒースクリフに当たる直前、【immortal object】の文字が出た。

 

「アスカ⁉︎ 何を……!」

 

どういうつもり?みたいな感じで口を開いたアスナがメッセージを見てピタリと止まった。全プレイヤーがヒースクリフとアスカと、現れたシステムメッセージを見る。

アスカは、一応警戒して後ろに飛んで距離を開けた。

 

「システム的不死?……って、どういうことですか…団長?」

 

戸惑ったような声でアスナが聞いたが、ヒースクリフは答えない。ジッとアスカを眺めた。

 

「これが伝説の正体だよ。こいつのHPはどうあろうとイエローまで落ちないようにシステムに保護されてる」

 

アスカが咎めるようにヒースクリフを睨む。

 

「不死属性を持つ可能性があるのは、NPC以外にシステム管理者以外ありえない。なぁ、そうだよな。茅場晶彦」

 

アスカがまるでコナンくんのように言い切った。静寂がボス部屋の中をつつんだ。無言のまま、アスカとキリトの顔を見据えるヒースクリフ。

 

「言い逃れとか考えちゃってるならやめときなよ。見苦しいから」

 

アスカに言われて、フッとヒースクリフは息を吐いた。

 

「言い逃れなど考えていないさ。何処で気付いたのかね?」

 

「最初にオカシイって思ったのは、2対2のデュエルの時だよ。キリトの最後の一撃を躱した時、いくらなんでも早過ぎた」

 

「やはりそうか……しかし、君はあの時、アスナくんと戦っていたはずではなかったかね?」

 

「私、視力だけはいいんだよね。動体視力とかも含めて」

 

「なるほど……。あれは私にとっても痛恨事だった。と、なるとキリトくんも気付いていたのではないのかね?」

 

ヒースクリフがキリトをみると、キリトは頷いた。

 

「予定では攻略が95層に達するまでは明かさないつもりだったのだがな」

 

ゆっくりとプレイヤー達を見回し、堂々と宣言した。

 

「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上階で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

 

「最低最悪のネタバレだよ。ボスの正体が途中でプレイヤーにバレるなんてさ」

 

「中々、手厳しいな……。しかし、君に看破されてしまうとはね」

 

「私、こう見えてもコナン全巻読んでましたから。……あれ今どうなってるんだろ。黒の組織倒したかな」

 

最後に余計なことを呟いた。その時だ。一人の血盟騎士団の幹部がぐらりと立ち上がった。そして、ギロリとヒースクリフを睨む。

 

「貴様……貴様が……。俺たちの忠誠、希望を……よくも……よくも……」

 

呟きながら斧槍を握り締めた。

 

「よくもーーーッ‼︎」

 

絶叫しながら地を蹴った。振りかぶった武器を茅場に振り下ろしたが、茅場はパチンっと指を鳴らす。その瞬間、全プレイヤーが地面に這いつくばった。麻痺毒だ。

 

「これは……⁉︎」

 

誰かが言いかけた。いや、麻痺毒が回ってるのはアスカ以外の全員だ。

 

「………何のつもり?まさか、全員殺して隠蔽とか?」

 

「まさか、そんな理不尽な真似はしないさ」

 

首を横に振る茅場。

 

「こうなってしまっては致し方ない。予定を早めて、私は最上層で待つとするよ。だが、その前にアスカくん、君には私の正体を見破った報奨を与えなくてはな。チャンスをあげよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスを。無論、不死属性は解除するし、私に勝てば全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。……どうかな?」

 

その言葉を聞いた瞬間、アスカは愉快そうに微笑み、二つ返事でOKしようとした。だが、

 

「駄目よ!やめなさいアスカ!」

 

アスナが必死に声を上げた。

 

「そうだ、やめろアスカ!前にデュエルの時にやられたばかりだろ!」

 

キリトも言う。だけど、アスカの考えは変わらない。

 

「いいよ、受けるよ。それ」

 

それを聞いた瞬間、思わず涙を流しながらアスナ叫んだ。

 

「待ちなさいアスカ!アスカ!」

 

「大丈夫だよお姉ちゃん。なんとかなるって」

 

「なんとかって……!やめて……お願いだから……せっかく、せっかく姉妹になれたのに……」

 

アスカは茅場に歩み寄りながら、とりあえずレイピアを握った。

 

「アスカ!やめろ……っ!」

 

「アスカーッ!」

 

エギルとクラインが必死に体を起こそうとしながら叫ぶ。アスカはエギルに言った。

 

「エギル。今まで、剣士クラスのサポート、ありがと。知ってたよ、儲けのほとんど全部を中層ゾーンのプレイヤーの育成につぎ込んでたの」

 

目を見開くエギルにアスカは微笑むと、クラインを見た。

 

「クライン。今まで一緒にバカやってきて、楽しかった。だから、ありがと」

 

「……ッ!バッカ野郎ッ!バカやんのはこれからもだろうが!だから、絶対に死ぬんじゃねぇぞ!」

 

涙ながらに叫ぶクライン。それを見てまた微笑むと、今度はアスナを見た。

 

「お姉ちゃん、泣かないで」

 

「あすか……」

 

「大丈夫だよ。勝てばいいんだから。向こうに戻ったら、また、仲良くしてくれる?」

 

「する……絶対する!だから……死なないでね……」

 

そして、今度はボスフロア内の人間に聞いた。

 

「この中に、私のファンの人とか、いる?」

 

全員手を挙げた。キリト、クライン、エギルだけでなくヒースクリフも。

 

「お前らもかよ!………ま、いいや。今まで、ありがとう」

 

周りから「うおぉ……」「あすかぁー!」とか声が聞こえる。最後にアスカはキリトを見た。

 

「キリト」

 

「アスカ……」

 

キリトも珍しく泣いていた。これでお別れになるかもというのもあるが、何よりこんな事なら、やはり自分がヒースクリフの正体をバラすべきだったという後悔もあった。

そのキリトにアスカは微笑んで言った。

 

 

「好きだよ、キリト」

 

 

キリトは目を見開いた。しばらく口からは何も声は出なかった。そして、アスカは自分のアイテムストレージから武器以外のアイテムを全て破棄し、ヒースクリフと向かいあった。

 

 

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