アスナの妹を作って、SAOに放り込んだ   作:フリーザ様

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第32話

アスカとヒースクリフは睨み合った。そして、デュエル開始。した瞬間、アスカのレイピアとヒースクリフの剣がお互いの首に向かって飛んだ。が、レイピアは盾に阻まれ、剣は躱された。

アスカは阻まれたレイピアの剣先を地面に突き刺し、棒高跳びのように飛んだ。空中に手ぶらで舞い上がると、アイテムストレージからダガーを出した。

 

「ヌンッ!」

 

ヒースクリフが空中のアスカに突きを放った。それを回転しながらガギンッとダガーでいなして凌ぎ、ヒースクリフを斬った。ギリギリ、首を曲げて躱され、アスカは地面に着地すると、ダガーをビュッ!と投げた。

それをヒースクリフは躱すと、アスカの脇腹に向けて剣を振るった。

 

「! アスッ……!」

 

誰かが声を漏らした。が、ヒースクリフの剣はアスカに届いていない。アスカは、カタナの柄でガードした。

 

「ッ………」

 

アスカはヒースクリフをガードしてる刀の鞘を反対側の手で抜き、ヒースクリフの顔面に突きを放った。ヒースクリフは十字盾でガードし、後ろに下がった。アスカはカタナをしまってワイヤーブレードを出し、飛ばした。

ヒースクリフは盾でガードした。バツンッ!と自分の手にワイヤーブレードを戻す。

 

「スゲェ……ヒースクリフ相手に押してるぞあいつ……」

 

「てか、どんだけ武器持ってんだよ」

 

クラインとエギルが呟いた。ヒースクリフの顔に焦りはない。ずっとポーカーフェースだ。

 

「……………」

 

アスカの頬に冷たい汗が流れる。攻撃が届いていない。その事に焦りを感じていた。だが、焦って迂闊な攻撃をすれば、ヒースクリフの思う壺だ。

 

「ァアッ!」

 

そう吠えると、アスカは天井に剣を突き刺し、空中に舞い上がると、ワイヤーブレードをしまい、ダガーを合計10本構えた。

 

「むっ……⁉︎」

 

空中からダガーが降り注ぐ。それをヒースクリフは盾を上に構えて防ぐ。その隙をついて、アスカはガラ空きになった懐にアスカは潜り込んだ。

 

「おおっ……!」

 

キリトが声を上げた。そして、アイテムストレージから取り出したのはワイヤーブレード。

 

「セェヤァァッ‼︎」

 

手に持ったまま突きを放つ。盾は間に合わないので、ヒースクリフは剣を前に構えた。

 

「届いてない……!」

 

「ダメか……!」

 

アスナとキリトが落胆の声を漏らす。だが、アスカはブレードを、ヒースクリフの剣を持つ腕に突き刺した。

 

「っ⁉︎」

 

そして、ワイヤーを伸ばし、ヒースクリフを引きずって壁に突き刺した。

 

「崩した!」

 

エギルが叫んだ。そして、アスカはワイヤーブレードを縮め、ヒースクリフに近付いた。

 

「ヌッ……!」

 

ヒースクリフは盾を前に構える。

 

「っ!」

 

「このままでは、盾に阻まれて……!」

 

あの盾にもダメージ判定はある。この勢いでカウンターを喰らえば終わりだ。だが、

 

「ッ⁉︎」

 

上からダガーが落ちて来た。それが、ヒースクリフの盾を持つ手に突き刺さり、腕が斬り落とされた。

 

(これは……さっきのダガー⁉︎一本だけ遅く投げていたのか……!)

 

盾がカランと落ちた。

 

「うあああああああッッ‼︎‼︎」

 

気合い一閃、アスカの体術スキルを発動した拳がヒースクリフの顔面をブチ抜いた。ヒースクリフのHPゲージが大幅に減る。

 

「ヌォオッ……!」

 

大きく怯むヒースクリフ。だが、負けじと無理矢理自分の腕に刺さっているワイヤーブレードを引き抜き、反撃しようとした。だが、アスカはヒースクリフのデッカい盾でそれを防ぐ。

 

「ッ!」

 

「便利だな、この盾」

 

ニヤリとアスカは笑うと、盾でヒースクリフをブン殴った。ドゴォッ!と音を立てて、ヒースクリフは壁にめり込んだ。ヒースクリフのHPゲージが、消滅した。

 

 

 

 

気が付けば、どっかにいた。下を見下ろすと、今まで自分たちがいたアインクラッドが崩壊していくのが見えた。

 

「どこ、ここ……?」

 

アスカは思わず呟いた。

 

「あれ?アスカ?」

 

聞き覚えのある声がした。振り返ると、キリトが立っている。その瞬間、顔を真っ赤にした。

 

「えっ、ど、どうした⁉︎」

 

「忘れろー!」

 

いきなり吠えながらキリトに飛び蹴りした。

 

「いった!ちょっ……何⁉︎何すんだよ!」

 

「忘れろ!全部!忘れろ!」

 

「忘れろって……何を!意味わかんね……てかとりあえず落ち着け!」

 

言われて、ようやく落ち着いた。が、落ち着いただけだった。

 

「『何を』?」

 

「えっ?」

 

「………まさか、忘れたの?」

 

「だから何を?」

 

アスカが言ってることは、告白してしまったことだ。だが、キリトはアスカがヒースクリフを圧倒したことの印象が強過ぎて、いまいち覚えていない。

 

「殺すッ!」

 

アスカはそう叫ぶと殴り掛かった。だが、

 

「残念だが、もう殺せないよ」

 

落ち着いた声がした。その声の方を二人は見ると、ヒースクリフではない茅場晶彦が立っていた。

 

「あれは、どうなってるんだ?」

 

キリトが聞いた。

 

「比喩的表現……と言うべきかな。現在、アーガス本社地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去作業を行っている。あと10分ほどでこの世界の何もかもが消滅するだろう」

 

「あそこにいた人たちは、どうなったの?」

 

「生き残った全プレイヤー、6159人のログアウトが完了した」

 

茅場が淡々と言った。

 

「なんで、こんなことをしたんだ?」

 

キリトが、誰もが聞きたくなることを聞いた。

 

「なぜ、か。私も長い間忘れていたよ。フルダイブ環境システムの開発を知った時……いや、その遥か前から私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた。そして私は……私の世界の法則をも超えるものを見ることができた……」

 

アインクラッドは、半分以上崩壊した。

 

「子供は次から次へといろいろな夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取りつかれたのは、何歳の頃だったか……。その情景だけは、いつまで経っても私の中から去ろうとしなかった。年経るごとにリアルに大きく広がっていった。この地上から飛び立って、あの城に行きたい。それが私の唯一の欲求だった。私はね、まだ信じているのだよ。何処か別の世界には、本当にあの城が存在するのだと……」

 

茅場の台詞をキリトもアスカも黙って聞いていた。

 

「……ああ。そうだといいな」

 

キリトはそう呟いた。

 

「……言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう、キリトくん、アスカくん。さて、私はそろそろ行くよ」

 

茅場晶彦はそう言うと、その場から去った。残ったのはキリトとアスカ。

 

「……お別れ、だね」

 

アスカが残念そうに言った。

 

「なぁ、名前、聞かせてくれ」

 

「名前?」

 

アスカは聞き返した。

 

「アスカじゃなくて、本当の名前」

 

「あ、ああ。結城明日香。先月で、多分16歳」

 

「ふぅーん、ゆうき、あすか……」

 

「君は?」

 

「桐ヶ谷和人。同じ16歳」

 

「そっ、か……きりがや、かずと……」

 

「ありがと、な。助けてくれて」

 

「ううん。助けられたのは、こっちだよ。キリトと、エギルと、クラインと、バカやってなかったら、つまんなかった」

 

「………そっか」

 

「ね、返事聞かせて?」

 

「返事?」

 

「さっき、告白したでしょ?」

 

「………ああ。アレ」

 

キリトは口を開きかけた。が、そのまま言葉は出ない。少し迷ってから、キリトは言った。

 

「………返事は、リアルでな」

 

「…………ヘタレ」

 

「うるせっ」

 

「でも、わかった。じゃあ、絶対に会わないとね」

 

「………ああ、そうだな」

 

二人は微笑み合い、消えて行った。

 

 

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